日本囲碁ニュース (その他)

日本の囲碁ニュース・棋戦情報をお伝えします。
日本で行われている囲碁のイベントや棋戦情報を皆様にお伝えします。

囲碁ニュース [ 2024年10月2日 ]

三浦新人王誕生

 第49期新人王戦(しんぶん赤旗主催)の決勝三番勝負第2局が10月1日に打たれ、三浦太郎三段が、終局直前の藤井浩貴三段のミスで逆転し、黒番半目勝ち。2連勝で新人王の初タイトルを手にした。三浦は「黒番で藤井さんに勝った記憶があまりないので、そんな、いけるぞという感覚はなかったです。相手の研究の範疇かどうかを対局中に考えてしまうと自信がなくなってしまうので、考えないようにしようと臨みました」と振り返り、藤井は「1局目のように変に工夫して自滅していく展開にはならないように、善戦したいと思っていた」と振り返る。序盤から白番の藤井がペースを握った。「緊張せず、藤井さんらしく伸び伸び打てている」とYouTube解説の平田智也八段は評した。中盤、形勢が揺れる局面もあったものの、わずかに白がリードしてヨセに入り、そのまま白半目勝ちとなる終局の直前、藤井が先手のつなぎを単純に打ち忘れ、逆転を許した。平田八段は「名局といってよい内容でした。これより悔しい負け方は見たことがない。この負けをバネにしてがんばってほしい」とエールを送った。藤井は「集中力の問題なので、勝負師としてあってはならないところを見せてしまい、しかも、こういうことをするのが人生で初めてなんですけど、それがこの舞台というのが恥ずかしくて、応援してくれている方には本当に申し訳ない」と語った。記者団からさらに問われ、「意識が…自分でも何が起きたのかよくわからなかったんですが。研究会でも手合いでも一度もなかったので。頭が真っ白です」と答えた言葉からは、タイトル戦の並々ならぬ重圧が感じられた。初タイトル獲得の三浦は「これまで、新人王になられた方は強い先生ばかりなので、とりあえず、最弱新人王と言われないように。一手一手意味のある手を打てる棋士になりたい」と喜びと抱負を語った。

囲碁ニュース [ 2024年9月26日 ]

新人王戦開幕。三浦が先勝

 25歳以下、六段以下の棋士が出場する第49期新人王戦(しんぶん赤旗主催)は、藤井浩貴三段と三浦太郎三段による決勝三番勝負の第1局が、9月24日、千代田区の日本棋院東京本院にて打たれた。藤井は棋士仲間の中では、特に布石の「AI通」として知られる。三浦は「相手の知識量に気圧されないようにがんばります」、藤井は「三浦さんは弱点がない。でも、自分は最後のチャンスかもしれないので、優勝を目指したい」と臨んだ。序盤、黒番の藤井が気合いのこもった奇抜な手を繰り出した。ただ、「見ていない手を打たれ、形を崩されてしまった」と藤井。「昼食休憩は絶望していた」と振り返る。午後に入り、三浦は中央のやや弱い白石を放置して、さらに右上の黒の攻めを開始。ここから、少しずつ黒が盛り返していった。YouTube解説の孫喆七段も「黒が中央の白に寄り着いて、難しくなってきました」と見守った。だが、複雑な攻防の中、三浦が「会心の一手」(孫喆七段)を放ち、流れを取り戻すと、そのまま押し切って中押し勝ちとした。三浦は「勝てたことはよかったですが、内容が納得できず……はっきりしない手が多かったので、恥ずかしいなという気持ちが多いです。次局はレベルの高い碁を打ちたいと思います」と語った。この言葉を受け、藤井は「レベルの高い碁を打ちたいと言いたいのですが、読みの勝負になると三浦さんには勝てないので、もう少し自分のよさが出せるような碁になればいいなと思います」と謙虚に語った。第2局は10月1日に打たれるが、その間に別棋戦でも両者の対局が組まれている。藤井は「そこでも、心理戦を楽しみたいと思います」と抱負を加えていた。

一力、阿含桐山杯連覇

 一力遼棋聖と芝野虎丸名人の頂上カードが続いている。「第31期阿含・桐山杯 全日本早碁オープン戦」(日本棋院主催。阿含宗特別協賛)の決勝戦が、9月25日に京都で打たれ、大熱戦の末に一力が白番半目勝ちし、2年連続3回目の優勝を果たした。序盤は、芝野が優勢を築いた。大盤解説の羽根直樹九段は「中盤、白がきれいに攻め取りの形にもっていき、局面をリードしました」と振り返る。AIの評価は「白90%」台を示したが、ヨセに入り、芝野がじわじわ追い上げ、最後に左下のコウを仕掛けて、ついに逆転した。「黒80%」台、目数にすると「1目未満」だ。判断が難しいコウ争いの中で、わずかに一力が抜け出して半目勝利とした。羽根九段は、「本当にその手が正解なの?と思うような手を打たなければ黒は勝てなかった。ですので、(人間的には)白が終始わずかにリードしていたと判断してよいと思います」とコメント。芝野は「最後の左下のコウ争いで、正しく打てばいけるんじゃないかと思ったが、正しい手が見つけられなかったのが残念です」と語った。二連覇を果たした一力は「ヨセは雑な部分が多かった」と反省点を振り返った後「本局含め難しい碁が多く、その中で結果を残せたのは自信になりました。ただ内容的には改善点があり、もっとよくしていきたい」と喜びを語り、「昨年は日中決戦でよい結果を出せなかったので、今年はいい状態で臨めるようにしたい」と決意で結んだ。

囲碁ニュース [ 2024年9月19日 ]

藤沢女流本因坊が先勝

 5連覇(通算8期)を期す藤沢里菜女流本因坊と、本棋戦初挑戦となる牛栄子四段による第43期女流本因坊戦挑戦手合五番勝負(共同通信社主催)が開幕し、第1局が9月18日に岩手県花巻市の「佳松園」にて打たれた。握って牛の先番。藤沢は、序盤、左辺の攻防で「少し打ちやすくなった」と振り返ったものの、その後に「錯覚があり、厳しい手を打たれ苦しくなった」という。だが、見事にシノぐと、逆転を許さず逃げ切り、白番中押し勝ちとした。牛は「今日は、自分の中では打ちたい手も打てました」と振り返りつつ、「実力不足を感じました。2局目まで、1か月以上ありますので、準備していきたいなと思います」、好スタートをきった藤沢は「次局は1か月後なので、コンディションを整えて、今日ちょっと見落としとかあったので、次はないように精一杯がんばりたいと思います」とそれぞれ反省と意気込みを語った。ネット解説をつとめた鶴山淳志八段は「序盤から内容の濃い一局で、次局以降もとても楽しみです」と両者にエールを贈る。第2局は10月20日に、秋田県能代市の「旧料亭 金勇」にて打たれる。

囲碁ニュース [ 2024年9月10日 ]

一力、世界王者に

 一力遼棋聖が、日本中の囲碁ファンに歓喜と勇気を届けた。4年に1回、オリンピック年に開催される世界一の大会とも称される第10回応氏杯世界選手権(中国囲棋協会、台北応昌期囲棋教育基金会等主催)決勝5番勝負の第3局が、9月8日に中国・上海市で打たれ、一力が中国の謝科九段に黒番中押し勝ち。3連勝で優勝を決めた。本大会の日本勢優勝は初めて。また、日本勢の「世界一」も、2005年の張栩九段以来、19年ぶりの快挙となる。本局も超難解な戦いに突入した。迫力の攻防が続き、一力が優勢を築いていく。大盤解説会場では、「AIには打てても人間には打てない」と解説される手を一力が打つたびに、大歓声と拍手が沸き起こった。だが、最強手を選び続ける一力に一手のミスがあり、形勢が入れ替わる。黒には不本意な振り替わりとなり、一時は、AIの勝率が「黒5%」を下回った。大盤解説の張栩九段は「一力さんはまだ諦めていません。応援する私たちが諦めるわけにはいかない」と会場のファンを励まし続けた。そして、謝科九段の緩着を捉え、一力が逆転を果たした瞬間、会場はこれまで耳にしたことのない温かい大歓声に包まれた。優勝の歓喜に沸く中、関西からかけつけた洪清泉四段が一堂に押されて登壇。世界に通用する日本選手を育てたいと洪四段が立ち上げた「洪道場」からは、一力、芝野虎丸名人、藤沢里菜女流本因坊ら、多くのトップ棋士が育っている。洪四段は「私は日本に来て20年目で、今日、来た理由が少しわかりました」と喜びを語り、会場から盛大な拍手が贈られた。

 悲願の世界戦優勝を果たした一力は、翌日の記者会見の中「重たい優勝カップを手にし、大勢の方から祝福の言葉をいただいて、実感が湧いてきました」と語ったのち、張栩九段の背中を追いかけてきたこと、井山裕太王座が日本選手が世界戦に出場できる環境を整えていってくれたことなど、先輩への敬意と感謝を述べ、「通訳兼研究パートナーとして許家元九段が帯同してくれたことが心強かった」とライバルへの謝意も語った。また「韓国のトップ選手には、まだ自分は追いついていない」、「中国の層の厚さに、日本は大きくおくれをとっている」と課題をあげつつ、「ここからだと思っています」と決意を新たにした頼もしい笑顔を見せていた。

囲碁ニュース [ 2024年9月6日 ]

アマ本因坊 大関さん4度目のV

 8月24日、25日の両日、東京市ヶ谷の日本棋院において第70回全日本アマチュア本因坊戦全国大会が行われ、62名の選手が日本一を競った。

 1日目の予選リーグでは1回戦からアマ名人の夏冰さん(京都)が丸吉寿史さん(富山)に敗れるという波乱のスタートとなった。名誉アマ本因坊の平岡聡さん(招待)や2年前の優勝者栗田佳樹さん(東京)も硯川俊正さん(神奈川)、竹田和正さん(埼玉)にそれぞれ敗れた。予選リーグでは女流アマ優勝シードの内田祐里さん(招待)が2連勝し、あと1勝で予選リーグ突破、アマ本因坊では女性初のベスト8進出となるところだったが、実力者である村上深さん(東京)に惜しくも敗れた。

 本戦トーナメント進出の8名はほとんどが関東であり、関東のレベルの高さを証明した。準決勝では優勝経験者同士となった大関稔さん(招待)と村上さんの熱戦を大関さんが制し決勝に進出。もう一方の山を谷口洋平さん(東京)が竹田さんを破り勝ち上がった。

 決勝戦は2連覇を目指す大関さんと初優勝を目指す谷口さん。谷口さんは学生時代に学生タイトルを取るなど活躍していたが、一般の全国大会ではベスト4が最高で初の決勝進出。結果は大関さんが貫録を示し2連覇。これにより大関さんはアマ本因坊通算4度目の優勝となり、名誉アマ本因坊の資格を獲得した。これにより大関さんは来年以降のアマ本因坊戦全国大会の永久シードとなった。

囲碁ニュース [ 2024年8月27日 ]

少年少女囲碁大会

 小学生と中学生の日本一を決める第45回文部科学大臣杯少年少女囲碁大会全国大会が8月6日、7日に東京市ヶ谷の日本棋院東京本院で行われ、小学生98名、中学生97名が熱戦を繰り広げた。小学生の部は小川蓮くん(東京)、中学生の部は福田佳朋くん(神奈川)がそれぞれ初優勝となった。

 小学生の部では比較的実績のある選手が勝ち上がった。決勝戦は今大会2連覇を狙う横手悠生くん(東京)と昨年12月こども棋聖戦低学年の部優勝、今年3月のボンド杯全日本こども大会に続く3冠を目指す小川蓮くんとなった。同じ教室に通うライバル対決を制したのは小川くん。これまで他の大会では何度か優勝しているが今大会では初優勝となった。

 中学生の部では予選リーグから激戦が続いた。実績のある有力選手が次々と姿を消すことに。さらに予選リーグでは2勝1敗で4人が並ぶ混戦となったブロックもあり、実力の拮抗を思わせる。そんななか決勝に勝ち上がったのが、福田佳朋くん(神奈川)と森達輝くん(島根)の2人。福田くんは3月まで院生経験のある実力者。森くんは準々決勝で長尾想太くん(福井)、準決勝で角優輝くん(福岡)と子供大会では全国優勝をしている強豪を破っての決勝である。初の全国優勝を目指す同士の戦いは福田さんが制した。

 全体的にレベルが高く、中学生の部では関東や関西といった都市部だけでなく、各地方の選手の活躍が目立った。その勉強法もAIやネット碁、オンラインというものが多く、全国どこにいても勉強ができる環境が整っているのを感じた。

囲碁ニュース [ 2024年8月20日 ]

一力、世界一にあと1勝

 一力遼九段と中国の謝科九段による、第10回応氏杯世界選手権(中国囲棋協会、台北応昌期囲棋教育基金会等主催)決勝5番勝負の第2局が、一力が先勝した1局目から1日あけた8月14日に、中国、重慶市で打たれた。序盤、白番の一力は、右上を捨て大場に先行する作戦をとったが、直後に黒にポイントをあげられ、リードを奪われた。その後、黒が下辺の白模様に入り、攻めとシノギの戦いが繰り広げられた。一力は戦果をあげながらうまく攻めて追い上げ、形勢は不明になる。攻防は、白が黒の大石の下半分を取り、黒が右辺の白を取るフリカワリという決着になったように思われ、AIの評価は再び黒優勢を示した。だが、一力はAIが気づいていなかった右辺の白の味を見ていた。巧みに手をつけ中央の黒を取って勝勢とすると、謝の勝負手に的確に応じて寄せつけず、正確なヨセで勝ち切り、2連勝とした。悲願の世界戦優勝まであと1勝とした一力は、「今日勝てたのは運がよかった。3局目はよい内容の碁を打って決められるように頑張りたい」と語った。一力が一気に決着をつけるのか、謝の反撃が始まるのか。第3局は、9月8日に中国で打たれる。

囲碁ニュース [ 2024年8月13日 ]

一力、応氏杯先勝

 4年に1回開催される国際戦、第10回応氏杯世界選手権(中国囲棋協会、台北応昌期囲棋教育基金会等主催)の決勝5番勝負が開幕した。第1局は、8月12日、中国の重慶市で打たれ、日本の一力遼九段が、中国の謝科九段を破り、先勝した。本棋戦はコミ8目(日本ルールでは7目半に相当し、ジゴは黒勝ちとなる)。また、持ち時間は準決勝の各2時間半からプラスされて各3時間半。使い切ると35分ずつに2目払う(3回まで)という特別ルールもあり、対局時間は最長で10時間半になる。一力は対局前、「トータルで使うと一人5時間以上。名人戦リーグなどで長い持ち時間で戦うのは慣れているので、日本の棋士にとってはプラスになると思います」と語り、「歴史ある棋戦で戦えることは光栄。結果を残したい」と臨んだ。序盤はいい勝負。黒番の一力が下辺の白模様に打ち込み、謝の強烈な攻めと一力のシノギが争点となった。難解な攻防の中、一力がAIの予想を超えるシノギの妙手を放ち勝勢に。そのまま逃げ切って1目勝ちとした。第2局は、1日あけた14日に、同じく重慶市にて打たれる。8月27日に開幕する名人戦挑戦手合七番勝負(朝日新聞社主催)と共に、今後も一力の活躍が注目される。

囲碁ニュース [ 2024年8月7日 ]

能登半島復興支援 チャリティー指導碁会
日本棋院輪島支部の囲碁愛好家と藤澤一就八段門下の棋士4名がビデオ通話付きオンライン指導碁で交流

東京では対面で藤澤一就八段の一門とIGOPROに
所属する棋士による指導碁が行われた

 8月3日(土)に東京・市ヶ谷の日本棋院東京本院で、藤澤一就一門後援会と一般社団法人IGOPROが主催する「能登半島復興支援 チャリティー指導碁会」が開催された。

 藤澤一門からは、関航太郎九段や本木克弥八段、上野愛咲美女流立葵杯、上野梨紗女流棋聖の姉妹をはじめとした13名の棋士が、IGOPROからは「つるりんコンビ」でお馴染みの鶴山淳志八段と林漢傑八段、NHK杯の新旧司会コンビの星合志保四段、安田明夏初段が参加した。そして中部から山城宏九段、関西から清成哲也九段が駆けつけ、計20名の棋士が趣旨に賛同して指導碁を行った。

 今回のイベントには、パンダネットもシステム協力。石川県津幡町にある「囲碁サロンシトラス」に被災地の日本棋院輪島支部に所属する6名の囲碁愛好家が集まり、河原裕二段、竹下凌矢二段、柳井一真初段、竹下奈那初段の若手棋士4名と、石川と東京をつないだビデオ通話付きのオンライン指導碁が行われた。

 使用されたビデオ通話付きの対局機能は、パンダネットが提供する新しい対局ソフトに搭載されており、Zoomなどのビデオ通話アプリを別途立ち上げなくても、この対局ソフトをダウンロードするだけで、ビデオ通話をしながら対局や講座が受けられる。

 対面での対局と同じように、「よろしくお願いします」の挨拶から対局がスタート。対局後にはビデオ通話をつかった検討が行われ、指導棋士が質問にも回答しながら丁寧に初手から解説を行った。指導を受けた能登の囲碁愛好家からは「今回のイベントに参加して、とても元気が出た」という感想が届いた。

 イベントには囲碁ファンや関係者の約200人が集まり、イベント内で行われたオークションでの売り上げと寄付金を合わせた約100万円が被災地に寄付される。

日本棋院輪島支部の皆さん
映像と音声をつないで指導碁が行われた
1回戦では、河原二段(左)、竹下凌矢二段(右)と竹下奈那初段(中央)が指導を行った
2回戦では、竹下奈那初段と交代で柳井一真初段(中央)が指導
対局中の様子(囲碁サロンシトラス)
終局後には、それぞれの棋士が能登からの参加者と会話をしながら、棋譜解説を行った
東京会場の棋士からの話に耳を傾ける参加者

囲碁ニュース [ 2024年7月30日 ]

高校選手権全国大会

 第48回文部科学大臣杯全国高校囲碁選手権全国大会が7月22日~24日に日本棋院東京本院で行われた。22日、23日午前には団体戦が行われ、男子50校、女子46校が熱戦を繰り広げた。男子は仙台第二(宮城)が3連覇を達成。女子は白百合学園(東京)が7年ぶりの優勝を果たした。23日午後、24日には個人戦が行われ、男子98名、女子96人が熱戦を繰り広げ、男子は羽根和哉さん(愛知・愛知工業大学名電高3年)、女子は鈴木時さん(秋田・御所野学院高2年)がそれぞれ初優勝となった。

 仙台第二は毎年選手のバランスが良く、誰かが敗けても他の誰かが補うというチームワークの良さで勝ち上がってきた。決勝の相手となったのは昨年個人優勝の小島二十さんが率いる大分東明(大分)。副将は弟の小島十二さんで兄弟二人で勝ち進むというスタイルだったが、三将が2桁級のため、自分が敗けたら負けるというプレッシャーの中での戦いだった。最後は2-1で仙台第二が勝利。

 女子は決勝トーナメントでは負けていた主将の増渕可那子さんが自身の勝利で2-1により優勝を決めた。

 男子個人で優勝の羽根和哉さんは羽根直樹九段の息子さん。春の選抜大会に続く2冠となった。お父さんの直樹九段からは「特にアドバイスはありませんでした」と笑顔で答えた。8月の総文祭と合わせて高校3冠を目指す。

 女子個人優勝の鈴木時さんは「まさかという感じ。勝てると思っていなかったので信じられない」と語り「ベスト8までいければ」と思っていたという。鈴木さんも羽根さんと同じく春の選抜大会で優勝しており2冠となった。

囲碁ニュース [ 2024年7月16日 ]

藤沢、扇興杯優勝

 第9回扇興杯女流囲碁最強戦の決勝戦が、7月14日、滋賀県近江市の「迎賓庵あけくれ」で行われ、藤沢里菜女流本因坊が上野愛咲美女流立葵杯の猛攻に耐え、終盤力を発揮して白番2目半勝ち。3年ぶり4度目の優勝を飾った。世界棋戦で大活躍の上野は、本局も序盤から積極的な打ち回しを見せた。左上で「ハンマーパンチ」を繰り出し、攻めながら黒地を増やし、優勢に立った。藤沢は左辺の黒を攻めるが、上野が反撃から逆に白を切断し攻守が逆転。藤沢が中央の大石を捨て、右辺を取る振り替わりを目指すなか、上野が巧みに右下を荒らし、一次は「黒勝勢」とも思われた。だが、藤沢は落ち着いていた。決定打を与えず、上野のミスを誘い、じわじわと追い上げ、逆転に成功した。上野は「いい場面が多かった気がするのですが、取りにいくか、いろいろ迷いました。結局ちょっとだけ中央を取らせてもらい、よさそうだなと思ったのですが、左下隅(の形)が気持ち悪く、気にしていたら上辺の打ち方を間違えてしまい……筋が悪すぎました」と振り返り、藤沢は「終始苦しい碁で、まだ実感がわかないのですが、昨年は滋賀に来られなかったので、うれしく思います。来年も来られるように、がんばっていきたいと思います」と喜びを語った。また、本棋戦の上位4名が出場できる世界戦「SENKO CUP」に触れ「優勝を目指したい」と決意を述べた。

一力、応氏杯決勝進出

 4年に1回開催される、優勝賞金40万ドル(約6300万円)の世界戦、第10回応氏杯世界選手権(中国囲棋協会、台北応昌期囲棋教育基金会等主催)の準決勝3番勝負が、7月6、7、8日に打たれ、一力遼九段が、中国の柯潔九段に1敗の後に2連勝して決勝進出を決めた。日本勢の同棋戦の決勝進出は、第3回大会(1996年)の依田紀基九段以来。他棋戦も含めた主要な世界戦決勝進出は2017年「LG杯」の井山裕太九段以来7年ぶりとなる。悲願の世界戦優勝まであと一歩に迫った一力は「3局目は、難しい戦いがずっと続いていましたけど、全体的に自分の力を出しきることができたかなとは思います。1局目があまり見せ場のない負け方だったので、切り替えようと思っていました。結果を出すことができてうれしいです」と語り、決勝戦に向けては「お相手の謝科さん(中国。九段)には前回の応氏杯準決勝でやられているので、そのリベンジをする気持ちで頑張りたい」と意欲を見せた。優勝すれば、2005年「LG杯」の張栩九段以来、19年ぶりの快挙となる。決勝五番勝負は、8月からスタートする予定だ。

囲碁ニュース [ 2024年7月2日 ]

上野、世界戦「黄竜士杯」で準優勝

 第10回中国姜堰黄竜士杯世界女子囲碁選手権(中国囲棋協会等主催)が、6月20日から27日にかけて行われ、日本代表の上野愛咲美五段が準優勝の好成績をあげた。2019年開催の第9回大会まで女子5名による団体戦だった本大会は、5年ぶりに女子個人戦として再開された。8名(中国4名、韓国2名、日本2名)による総当たり戦で、1週間(23日は休み)に7局をこなすハードスケジュール。日本からは予選を勝ち上がった藤沢里菜七段と上野五段が参戦した。第4戦では、黒番の上野が、劣勢から左辺の白の大石を捕獲しての大逆転勝利で、全勝の周泓余七段(中国)に土をつけた。藤沢も崔精九段(韓国)に勝利し、日本勢はいずれも3勝1敗でトップに並んだ。だが、疲れが出たか、藤沢はその後に連敗。上野は勢いに乗り勝ち星を重ねた。第6戦を終え、上野と周が1敗で並んでいたが、最終局に周が許瑞玹四段(韓国)に勝ち、上野は陸敏全六段(中国)に敗れ、周の優勝が決まった。上野は「準優勝でした。ですが、課題もみつかりとても勉強になりました」、6位の藤沢は「反省と課題だらけでしたが、次の世界戦に向けてまた頑張ります」と、それぞれSNSでコメントを残した。

囲碁ニュース [ 2024年6月18日 ]

上野愛咲美女流立葵杯3連覇

 「第11期会津中央病院・女流立葵杯」挑戦手合三番勝負の第1局と第2局が、6月15日、16日に福島県会津若松市「今昔亭」にて打たれ、上野愛作美女流立葵杯が挑戦者の向井千瑛六段に2連勝して3連覇を果たした。
 15日の第1局は、向井が「攻められる石を作られないようにと思って打っていたのですが、なぜか途中から(中央と上辺の石の)絡み攻めを受けてしまいました」と振り返る展開に。向井は上辺を捨て、左辺を取りながら中央をしのいだが、振り替わった時点で上野が優勢を築いていたようだ。そのまま押し切り、上野の白番6目半勝ちとなった。16日の第2局は、互いに手を抜き合い、それぞれ攻めに向かう気合いの応酬。その後、大盤解説の鈴木伸二八段が「黒石全てが躍動していますね」と評した石運びで、上野が中央に巨大な模様を広げる。ここに向井が深々と踏み込み「この手が、この碁を面白くしましたね」と鈴木八段。上野は「ほぼ取りにいってたんですけど、結局しのがれちゃって、ちょっと不満だった」と振り返る。向井が見事にシノいだが、「その直後、向井さんに形勢判断ミスがあったのではないか。左上を守るのではなく、上辺の攻めに向かいたかった」と鈴木八段は惜しむ。黒優勢のままヨセに入るかと思われたとき、上野が左辺の白に侵入して手をつくり、向井を投了に追い込んだ。「黒模様に入っていった石をなんとかしのげたのはよかったかなと思います。でも結果的に力が及ばなくて、もっと勉強しなければいけないなと思いました」と向井。上野は「向井さんのパワーを警戒していたのですが、警戒しつつ、自分が攻める展開に持っていけたので、満足のいく内容で打てました」と2局を振り返り、「まさか3連覇できるとは思ってなかったので、本当に驚いていますし、うれしいです」と喜びを語った。

囲碁ニュース [ 2024年6月14日 ]

関東甲信越静囲碁大会 静岡優勝

 第66回関東甲信越静囲碁大会が6月2日、東京市ヶ谷の日本棋院において開催された。本大会は毎年各都県が持ちまわりで2日間かけて行われるが、今年から1日制で日本棋院で行われることになった。今回は茨城県が不参加で1都9県16チーム4回戦で行われた。1チーム5名。
 近年では神奈川県の勢いがすごく、2チームある神奈川はそれぞれAチームが大関稔さん、Bチームが瀧澤雄太さんと、それぞれ全国優勝経験者を主将としている。神奈川Bチームは1回戦で中島光貴さんが主将を務める埼玉Aに4-1で敗れた。埼玉は昨年神奈川の連覇を止めており、連覇を目指している。その埼玉Aも2回戦では土棟喜行さんが主将の東京Aに3-2で敗れている。この3チームが同じブロックに入るという激戦のブロックとなった。この3チームと同じブロックになった長野は、チームこそ2連敗したが主将の杉田俊太朗さんは土棟さん、瀧澤さんを破る活躍をしている。
 3回戦は東京Aと静岡A、神奈川Aと千葉Aとなり、それぞれ静岡と神奈川が勝ち決勝に進出した。副将から五将までで2-2となり、主将戦の大関(神奈川)―平岡聡(静岡)戦に全てが託される形となり、平岡さんが大関さんに3目半勝ち、静岡の優勝が決まった。
 今年は会場が東京の日本棋院となり、また、現在は東京などに住んでいる地元ゆかりの強豪が各県のメンバーとして参加したことにより、非常にレベルが高かったと思う。

囲碁ニュース [ 2024年6月1日 ]

世界アマ 日本代表大関さん3位

 5月19日より22日までの4日間、第44回世界アマチュア囲碁選手権東京大会が開催され、60ヶ国・地域より60名が参加、熱戦を繰り広げた。東京では6年ぶり14回目の開催となる。
 日本代表はアマ名人本因坊の大関稔さん。日本アマチュア囲碁界の第一人者であるが、世界アマは初出場。大会開始前には「日本代表としての責任を感じています。この大会のために準備してきたので、今の実力が出しききれるように頑張りたい」と語った。  大関さんと優勝を争うのは自身過去4回の優勝を誇る中国代表・白宝祥さん、昨年優勝で連覇を狙う韓国代表・金正善さん。最終8回戦が終了し、日本、中国、韓国が7勝1敗で並び、スイス方式のポイントにより中国の白さんが5度目の世界アマ優勝となった。
 この大会に向けて準備をしてきたという3位の大関さんは無念の表情。「3位以内が目標であり、中韓どちらかに勝てば3位に入れるので、そこは達成できた」としながらも「今回の自分の調子であれば3位は取れると思っていた」とした。大関さんの今回の大会への思いは強く、「ピークを今大会に持ってくるよう準備をした。世界アマに今後出場できるか分からないが、来年以降出場できても今回以上のパフォーマンスはおそらくできないと思うので、優勝するなら今回しかなかった」と語った。「中国に勝っての3位なので自分が出場した意味はあった」と優勝出来なかったものの、日本の第一人者としての責任の一つを果たしたとし、「今後は他の方にも活躍してもらいたい」と後に続く人たちへの思いを語った。
 来年の世界アマは初の北米開催となるカナダのバンクーバーで行われる予定。

囲碁ニュース [ 2024年5月7日 ]

テイケイ杯俊英戦、芝野優勝

 芝野虎丸名人と関航太郎九段による、第3回テイケイグループ杯俊英戦(テイケイ株式会社ほかテイケイグループ各社協賛)決勝三番勝負の第2局が、5月4日に東京都千代田区の「竜星スタジオ」で打たれた。序盤、右上の難解な三々定石から進んだ。黒番の芝野はこの攻防でリードを奪うと、その後も着実にポイントを加えてリードを広げていく。粘る関にチャンスらしいチャンスを与えず、完勝と言える内容で寄り切り、3目半勝ち。シリーズ2連勝でタイトルを獲得した。芝野は、第1局に勝った後、「(本局までの)1か月間、(十段戦や世界戦など)大きな対局で全部負けてしまったので、(俊英戦で)勝ちたい気持ちが強くなっていました」と語り、自身のSNSでは「予選から決勝まで苦しい碁が続き、運が良かったと思います」と謙虚に振り返った。

囲碁ニュース [ 2024年4月30日 ]

上野愛咲美、世界戦で活躍

 4月25日、日本の囲碁ファンも棋士たちも大歓声をあげた。中国・衢州市で行われた「第2回衢州爛柯ワールドオープン」(中国囲棋協会など主催)で上野愛咲美五段が、中国のトップ棋士で世界チャンピオンの経験もある謝爾豪九段に白番中押し勝ちを収め、ベスト16に進出したのだ。黒の中央の大石を仕留めての見事な勝利に、棋士たちからは「肉を切らせて骨を断つハンマー!」(首藤瞬八段)などの賞賛の声がSNSに一斉にあがった。現地にいた高尾紳路九段によれば、中国や韓国の取材陣にも祝福されたという。謝九段は過去、13局日本選手と対戦している。井山裕太九段は、2018年2月に「第22回LG杯朝鮮日報棋王戦」の決勝三番勝負を戦い、第二局を半目制した。日本選手が謝を破ったのはその1勝だけだ。謝九段は中国選手の中でも早打ちで知られ、日本選手が、いわゆる「時間攻め」に苦しめられた光景も何度か目にしたが、上野は「決断の早さ」も武器に戦い抜き歴史的な勝利をあげた。上野は27日に打たれた3回戦では、中国のランキングトップ、辜梓豪九段に敗れたものの、21日に打たれた「第10回応氏杯世界選手権」でも韓国の強豪、朴廷桓九段に最小差の1目負け(応氏杯はコミ8目)と大健闘しており、世界に名をとどろかせる1週間となった。なお、「第2回衢州爛柯ワールドオープン」では井山がベスト8に進出、「第10回応氏杯世界選手権」では一力遼九段が予選2回戦を突破、3月に打たれた「第15回春蘭杯世界囲碁選手権」では芝野虎丸九段がベスト8に進出と、それぞれ勝ち残りを決めている。悲願の世界戦優勝に向け、日本の3棋士の活躍を期待したい。

囲碁ニュース [ 2024年4月23日 ]

藤沢、女流名人に復冠

 上野愛咲美女流名人に、藤沢里菜女流本因坊が挑戦する女流名人戦三番勝負(一般社団法人巨樹の会他協賛)の第2局が、4月17日に千代田区の日本棋院東京本院にて打たれた。3日前の第1局に快勝した藤沢は本局も序盤からリードを奪い、上野の勝負手にも最強に応じて黒番中押し勝ち。1期ぶり6回目の女流名人位に就いた。序盤、藤沢はまず左上でポイントをあげ、落ち着いた打ち回しで優勢を維持する。上野は「中盤に右上でコウを仕掛けたのですが、それがよくなかった。その前もよくなかったのですが。右上に手がないことに絶望して、やられたなという感じでした」と振り返る。終盤は大フリカワリとなるが、その後に上野の狙いをしっかり封じて投了に追い込んだ。藤沢は今年8割を超える戦績で好調だが「研究会では負けてばかり。自分としては調子がよいとは思っていません」と語り、「今日の碁は反省がありましたが、第1局、第2局とも自分の力を出し切れたと思います。リーグ戦も大変でしたが、一局一局大事に打てました」とシリーズを振り返り、「来期は、今よりレベルアップした状態で臨みたいです」と抱負を語った。敗れた上野は「今シリーズは今イチだったんですけど、相手が強かったです」と脱帽し、来期に向けては「リーグで妹(上野梨紗女流棋聖)と当たるのがちょっと困るなという感じなのですが」と報道陣の笑いを誘い、「まず妹といい勝負ができるように、できれば挑戦者になれるようにがんばりたい」と控え目に抱負を述べ、「今年はこのシリーズの反省を生かして、全部がんばりたい。とりあえず近くに世界戦があるので、楽しい碁が打てればと思います」と笑顔で語った。その言葉通り、上野は、4月23日、「第10回応氏杯世界選手権」(応昌期囲棋教育基金会主催)の予選2回戦で惜敗したものの、韓国の朴廷桓九段と黒番で大熱戦を繰り広げる(終盤にAIの評価が「黒96%優勢」)健闘ぶりを見せた。

囲碁ニュース [ 2024年4月16日 ]

女流名人戦開幕。藤沢が先勝

 上野愛咲美女流名人に、藤沢里菜女流本因坊が挑戦する女流名人戦三番勝負(一般社団法人巨樹の会他協賛)の第1局が、4月14日、千代田区の日本棋院東京本院で打たれた。序盤は、黒番の上野が研究の手から工夫を重ね、藤沢は穏やかに応じながら互角の進行となる。白は準備を整えてから左辺の黒模様に浅く入り、上野が反発して戦いに突入した。この折衝で、黒にやや疑問手があったようだ。戦いが一段落した時点では、AIの評価は大きく白に傾いた。その後、上野は猛追するものの、最後は逆に藤沢が黒の大石を仕留め、白番中押し勝ちを収めた。藤沢は「(左下の戦いを終えても)自信はなかった。一手一手難しかった。(勝ちを意識したのは)最後のほうです。コウになってコウ材が多そうなので」、上野は「(左辺の戦いは)警戒してなさすぎて、そのあともよくわからなくて…ずっと悪そうな感じでした。最後のあたりは、もう少しがんばる手はあった気がして、一瞬で切れてしまったので、そこは反省です」とそれぞれ一局を振り返った。次局に向け、上野は「序盤でもうちょっと楽しい感じにできたらなと思います」と笑い、藤沢は「体調を整えて精一杯やりたいと思います」と静かに語った。上野が巻き返すのか、藤沢の復位がなるか、第2局は日をあけず17日に、同じく日本棋院東京本院で打たれる。

囲碁ニュース [ 2024年4月9日 ]

テイケイ杯俊英戦、芝野が先勝

 第3回テイケイグループ杯俊英戦(テイケイ株式会社ほかテイケイグループ各社協賛)の決勝三番勝負第1局が、4月6日に東京都千代田区の「竜星スタジオ」で打たれた。25歳以下の棋士が参加し、昨年末のリーグ戦を制した芝野虎丸名人と関航太郎九段の対決だ。本棋戦は優勝した棋士(第1回は許家元九段、第2回は一力遼棋聖が優勝)は次期以降出場できない。決戦前の芝野は「2年連続準優勝なので、そろそろ卒業したい」、関は「今回出場している中で一番厳しい相手だと思うので、精一杯ぶつかっていきたい」と語った。序盤、右下の折衝で黒番の関がポイントをあげるが、直後の下辺の攻防で芝野が盛り返す。その後、黒の勢力圏の左辺で白の苦しめの戦いが始まる。この攻防の中、黒が大きなチャンスを逃し、白に連絡されて逆転。その後も芝野の打ち回しが冴え、一度は白の勝勢となる。だが、秒読みの中、芝野の足並みが乱れ始め、右上の攻防で逆転を許す。ただ、ここで関がチャンスを逃し、半目を争うヨセ勝負に突入した。形勢が揺れ動いた熱戦は、最後にヨセを制した芝野の2目半勝ちとなった。第2局は、5月4日、同じく「竜星スタジオ」にて打たれる。

囲碁ニュース [ 2024年4月8日 ]

ジュニア本因坊戦

 中学生以下の日本一を決めるクレスコ杯第27回ジュニア本因坊戦全国大会が3月16日、17日の両日、東京千代田区の毎日新聞東京本社で開催された。ジュニア本因坊戦は、小中学生にわかれず同じ舞台で行われる。今大会は各県の代表ではなく、各地区ごとの代表32名が5回戦のスイス方式を行う。
昨年、小学生で優勝した前回覇者・長尾想太くん(北信越代表)や前々回の優勝者・樋口駿くん(九州代表)が次々に敗れる中、全勝決戦に進出したのは角優輝くん(九州代表)と刈谷研くん(関東代表)の2人。結果は角くんの優勝となった。
角くんはこれまで少年少女中学生2位や子供チャンピオン戦3位など、好成績を残すものの優勝はなかった。今回は嬉しい初優勝となった。
今回よりスポンサーがクレスコに変更になり、クレスコの社員であるアマ名人・本因坊の大関稔さんが子供たちに指導碁を行うという場面も見られた。

ボンド杯こども囲碁大会

 毎年ジュニア本因坊戦と同時期に行われるのが、ボンド杯全日本こども囲碁大会(第27回)である。ジュニア本因坊戦から1週間後の3月23日、24日に京都府京都市聖護院御殿荘で行われた。こちらは小学生の部、中学生の部とわかれている。地区大会を勝ち抜いた各24名、計48名が集まった。
小学生の部を制したのは3年生の小川蓮くん(東日本代表)。小川くんは昨年12月のこども棋聖戦低学年の部も優勝しており、こども大会2冠となった。
中学生の部は昨年夏の少年少女囲碁大会中学生の部で準優勝だった小林高誠くん(東日本代表)。
毎年この時期はこども大会が充実しており、2週続けての全国大会出場者も数多く見られた。

囲碁ニュース [ 2024年3月26日 ]

上野愛咲美・芝野虎丸ペアが優勝

 「プロ棋士ペア碁選手権2024」が3月17日に東京都世田谷区の二子玉川エクセルホテル東急、及び二子玉川ライズ スタジオ&ホールにて行われた。第30回を迎える今年は、男女それぞれ賞金ランキング上位4名が本戦にエントリーされ、本戦決勝戦に勝利したペアが前年優勝の鈴木歩七段・山下敬吾九段ペアと優勝決定戦を行うという形がとられた。抽選により、謝依旻七段・一力遼棋聖ペア、上野愛咲美・芝野虎丸名人ペア、藤沢里菜女流本因坊・井山裕太王座ペア、そして牛栄子扇興杯・余正麒八段ペアという豪華な4ペアが実現。対局をすぐ近くで観戦できる人気の趣向に多くのファンが碁盤を囲み、羽根直樹九段解説、吉原由香里六段聞き手による大盤解説会場も、用意された約300席が朝9時の開場と共にアッという間に埋まり、立ち見のファンでも埋め尽くされる盛況ぶりだった。熱戦に次ぐ熱戦で本戦を制したのは、「虎ルックです」と衣裳を黄色と黒で揃えた上野・芝野ペア。勢いにのり、昨年優勝の鈴木・山下ペアも退け、両者共に初優勝を果たした。上野は「ペア碁の極意を学んできたので」とうれしそうに勝因を語ったが、「極意とは?」と尋ねられ「ペア――虎丸先生ならどう打つかを考えることです」。これに芝野が「極意というより…それは基本だと思うのですが」と応じて、報道陣の笑いを誘っていた。

囲碁ニュース [ 2024年3月22日 ]

女流アマ 内田さん2度目のV

 3月16日、17日の両日、東京市ヶ谷の日本棋院にて第66回女流アマチュア囲碁選手権が行われ、96名の選手が全国大会に参加した。最年少は8歳、最年長は85歳である。
16のブロックにわかれ、決勝トーナメント進出をかけて争った。各ブロック実績のある選手が順当に勝ち上がっていく中、大学生の井上結菜さん(島根)が女子学生本因坊などで優勝経験のある辻萌夏さん(東京・千葉)を破り決勝トーナメントに進出した。井上さんの枠抜けは初めてである。トーナメント1回戦では、2回の優勝経験がある吉田美穂さん(シード)を破り、ベスト8に進出したが、3年前の優勝者内田祐里さん(シード)に敗れ、ベスト8敗退となった。もう一つの波乱は前回優勝の大澤摩耶さん(シード)が山下聖子さん(静岡)に敗れ予選敗退となった。
準決勝は内田さんと村瀬なつさん(東京・千葉)、藤原彰子さん(東京・千葉)と宇根川万里江さん(東京・千葉)となった。内田さん、藤原さんは20代であるが優勝経験者。村瀬さん、宇根川さんは準優勝経験やベスト4経験は多いが優勝はまだない。
内田さんと村瀬さんは岩田一九段門下の姉妹弟子で現在は岩田会においてともに指導者の立場になっている。両者は3年前の決勝で対戦しており、そのときは後輩の内田さんが先輩に勝利し初優勝となった。一方の藤原さんと宇根川さんは早稲田大学の先輩後輩で、こちらも後輩の藤原さんが勝利した。
決勝は優勝経験者同士の対決となり、内田さんが見事勝利し3年ぶり2度目の優勝を果たした。

囲碁ニュース [ 2024年2月26日 ]

世界学生囲碁王座戦 中国が優勝

 第22回世界学生囲碁王座戦が2月21、22日に東京市ヶ谷の日本棋院本院で開催された。学生の世界一を決める大会で12ヶ国・地域から16名の選手が出場した。3年ぶりに開催された昨年は中国選手がオンラインでの参加であったが、今年は選手全員が会場に集まった。
 日本・中国・韓国・中華台北は、それぞれ男女1名ずつ2名の選手が参加。日本からは川口飛翔さん(東京大学)、女子枠で大宮七虹さん(東北大学)が出場した。
 1日目は川口さん、劉嘉琪さん(中国)、金大輝さん(韓国)、デニス・ドブラニシュさん(ルーマニア)の4名が連勝。3回戦では金さんがデニスさんを、劉さんが川口さんを破り優勝決定戦に進出。優勝決定戦では黒の金さんが白の劉さんの大石を攻め、白が生きるかどうかの難しい局面で、金さんが着手後に時計を押すのが間に合わず時間切れという突然の幕切れとなった。優勝した劉さんは「難しい局面だったが、このまま打ち続けても最後は勝てると思って打っていた」と自信があったようだ。
 日本の川口さんは3回戦で敗れたものの4回戦では中華台北の選手に勝利し、スイス方式により2位となった。川口さんは2年連続の2位である。「3回戦は最後まで形勢が良く、突然のポカで一気に逆転されてしまった」と悔いの残る負け方であった。「井山先生(井山裕太王座)との記念対局でも同じような負け方だったので、途中集中を切らさない訓練が必要」と語った。
 女子枠の大宮さんは15位となった。

囲碁ニュース [ 2024年2月13日 ]

上野梨紗女流棋聖誕生

仲邑菫女流棋聖の1勝、挑戦者の上野梨紗二段の1勝で迎えた第27期ドコモ杯女流棋聖戦挑戦手合三番勝負(株式会社NTTドコモ協賛)の最終局が、2月5日、千代田区の日本棋院東京本院にて打たれた。多くの報道陣が見守る中、上野が黒番中押し勝ちを収め、初タイトルを獲得した。序盤は互いの個性を出しながら互角に進んだが、中盤に入り、右辺の折衝で黒がややポイントをあげリードを奪う。勝負強い仲邑が難しい局面に持っていくものの、上野も緩まず最強手を繰り出し続け、「左辺のワリコミを打て(優勢が)はっきりしたかなと思いました」と振り返る。その後の左辺のコウ争いで戦果をあげてリードが広がり、仲邑が無念の投了を告げた。終局後はしばらく言葉が出ず悔しさを噛みしめていた仲邑だが、記者会見では「強くなるチャンスだと思います」と前を向いた。上野は「第1局の内容をみたら、ちょっと厳しいかなと思っていました。勝ったことのない(第1局を終えて、対仲邑戦は7戦全敗)菫ちゃんが相手で、ずっと自信がなかったのですが、タイトルを獲ることができて、ビックリしているのと、嬉しい気持ちです」と満面の笑みで喜びを語った。また、「姉(上野愛咲美新人王・女流名人・女流立葵杯)から、形勢がいいときはもっと厳しく打てとアドバイスを受けていた」、「昨年から一番勉強できていると思うので、それが結果についてきてうれしい」と成長の理由を明かし、「世界戦で活躍できるように、努力していきたい」と抱負を語った。

囲碁ニュース [ 2024年1月30日 ]

女流棋聖戦、最終局へ

 14歳の仲邑菫女流棋聖に17歳の上野梨紗が挑戦――初の10代同士、史上最年少タイトル戦として注目を集める第27期ドコモ杯女流棋聖戦挑戦手合三番勝負(株式会社NTTドコモ協賛)が開幕した。仲邑は、韓国棋院への移籍が決まっており、日本での最後のタイトル戦としても注目が集まっている。1月18日に神奈川県平塚市の「ホテルサンライズガーデン」で打たれた第1局は、互いに譲らぬ展開から仲邑の読みが上回りリードを奪うと、その後も隙を見せぬ最強手を選び続けて圧倒し、白番中押し勝ちとした。25日に千代田区の日本棋院東京本院にて打たれた第2局は上野が見せた。布石は黒番の仲邑がややリードを奪うが、その後、右下と上辺の折衝で上野がポイントを重ね、左辺の黒模様の消しに向かう。劣勢を意識した仲邑がこの白を取りに向かうが、上野は周囲の黒の薄みを突き、逆に黒を取ってリードを広げ、白番中押し勝ち。1勝1敗として、勝負は最終局に持ち越された。上野は「菫ちゃんには初めて勝てた。いいところなく終わるのが嫌だったので、一つ返せてホッとしている」と笑顔を見せた。敗れた仲邑は「悪そうな手を連発してしまった。次は反省点を生かしたい。(敗戦は)仕方ないと思っている。むしろもう一局打てるので、すごく楽しみにしている」と語った。第3局は、2月5日、千代田区の日本棋院東京本院にて打たれる。

囲碁ニュース [ 2024年1月29日 ]

ジャンボ囲碁十五人団体戦

 1月28日、日本棋院東京本院で「第51回ジャンボ囲碁十五人団体戦」が開催された。1チーム15名という大型の団体戦で、愛好会、研究会、碁会所ごとと様々なチームが参加している。今回は27チームがAクラス15チーム、Bクラス12チームの2つのクラスに分かれて4回戦の熱戦を繰り広げた。
 Aクラスは昨年優勝の大熊義塾と2位のバトリアヌス帝国による全勝決戦となった。大熊義塾はアマ名人本因坊の大関稔さんが主将を務め、副将にも世界アマ日本代表経験のある森川舜弐さんという布陣。対するバトリアヌス帝国は学生囲碁界の覇者川口飛翔さんに棋聖戦Cリーグ経験のある栗田佳樹さんという顔ぶれ。現在のアマチュア囲碁界を代表するメンバーを擁したチーム同士の決勝は8-7で大熊義塾が制し2連覇となった。バトリアヌス帝国は2大会ぶりの優勝はならなかった。
 Bクラスは団碁汁おかわりと囲碁将棋喫茶樹林による全勝決戦となった。団碁汁は何年も参加している強豪チームで、Aクラスにもチームを出しておりそちらは平岡聡さんが主将を務めている。囲碁将棋喫茶樹林は新橋にある囲碁将棋ができ食事もできる場所として人気がある。主将は囲碁インストラクターで東京都代表経験多数の井場悠史さんが勤める。結果は9-6で団碁汁おかわりの優勝となった。
 ジャンボ大会は年に一度の大型団体戦として毎年多くのチームが参加し、32チームの定員がすぐに埋まるという人気大会であったが、昨年コロナ後3年ぶりに再開されてが、この2年は定員に達していない。コロナによる中断で大人数の団体の集まりが制限されていたことにより活動再開が難しい団体が多いということであろうか。

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