日本囲碁ニュース (十段戦)
日本の囲碁ニュース・棋戦情報をお伝えします。
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囲碁ニュース [ 2023年4月25日 ]
芝野、十段位奪還

許家元十段の1勝、挑戦者の芝野虎丸名人の2勝で迎えた大和ハウス杯第61期十段戦五番勝負(産経新聞社主催)の第4局が、4月20日、東京都千代田区の日本棋院本院で行われた。近年の若手対局の傾向どおり、序盤は早いペースで進み、形勢は互角だった。白番の許の積極的な手を芝野が冷静にかわした直後、許が右下で利かそうとした手が失着だったようだ。手を抜いて左下の大場に向かった芝野が一気にリードを奪った。中央の大場にも回り、右下がコウになるものの、コウが決着した時点では黒勝勢だという。その後、ほとんどつけ入る隙を与えぬ打ち回しで、225手まで、許を投了に追い込み、芝野が3期ぶりに十段に復位した。敗れた許は「全力は尽くしたとは思います。フルセットまではいきたかった」と言葉少なに語った。名人とあわせ二冠となった芝野は「第2局、第3局は苦しい碁だった。本局は運がよかった」とシリーズを振り返り、「これからもたくさんタイトルを獲りたい気持ちはあります。まだまだ強くならないといけないなと思う」と抱負を語った。さらに、昨年名人を奪還した時から、「『次に無冠になったらやめてやる』というくらいの気持ちでやっています」と、自信と力強い決意を明かした。
囲碁ニュース [ 2023年4月12日 ]
芝野、十段奪還にリーチ

許家元十段に芝野虎丸名人が挑戦している大和ハウス杯第61期十段戦五番勝負(産経新聞社主催)の第3局が、4月6日、長野県大町市の「ANAホリデイ・インリゾート信濃大町くろよん」で行われた。芝野先勝に続き、3月23日に打たれた第2局で許が1勝を返して、本局から「三番勝負」となる。序盤は互いに研究が深く、早いペースで進行した。中盤から白番の芝野が右辺の黒模様に仕掛けていき、激しい攻防に突入する。許が右上を華麗にサバいて右辺に大きな黒地を形勢したかと思われたが、芝野は虎視眈々と中央の黒の大石を狙っていた。許が悔やんだ薄い一手を機に、芝野が襲いかかりペースを握った。中央の黒の大石はコウになり、結局、中央と下辺の大フリカワリとなるものの、その後に白が右辺をセキにして、白の地合いでのリードがはっきりした。246手まで、芝野が白番中押し勝ちとなった。局後の許は「中央の黒はシノげそうだと感じていたのですが、思っていたよりも危なかった」と振り返った。芝野は「白のチャンスが多そうな碁でしたが、読み切れていたわけではなく、終盤で正しく打てていないところが多かったので、そこを修正し、集中して次に臨みたい」と語った。許が再び星を戻すのか、芝野のタイトル奪還となるのか。注目の第4局は、4月20日、東京都千代田区の日本棋院東京本院にて行なわれる。
囲碁ニュース [ 2023年3月7日 ]
十段戦開幕。芝野先勝

3連覇を期す許家元十段に、芝野虎丸名人が挑戦する大和ハウス杯第61期十段戦五番勝負(産経新聞社主催)が開幕した。両者の対戦成績は許から見て12勝13敗とほぼ拮抗している。注目の第1局は、3月7日に、大阪府東大阪市の「大阪商業大学」にて打たれた。じっくり腰を落とした立ち上がりから、黒番の許が左辺の白模様を荒らしてリードを奪った。だが、中央の白を攻めつつ厚みを築く間に、芝野が右辺の大場に連打して形勢は逆転。許は下辺の白に迫り、判断が難しい局面となる。芝野は一度をコウを譲るが、白はまだ死にきっておらず、許が二度目のコウを仕掛けた際、誘いに乗らずに半分捨てたのが好判断だった。その後は、勝負手を繰り出し猛追する許に、芝野が冷静に応じて逃げ切った。266手まで、白番中押し勝ちとし、十段奪還に向けて好発進だ。芝野が連勝し王手をかけるのか、許が巻き返すのか。第2局は、3月23日に、滋賀県長浜市の「Hotel & Resorts NAGAHAMA」にて行われる。ちなみに、芝野は本局の翌日、棋聖戦第6局の対局地、熱海に向かった。かなりハードなスケジュールだったが、過去に張栩九段や井山裕太三冠も乗り越えてきた、トップ棋士の宿命でもある。
囲碁ニュース [ 2023年2月7日 ]
囲碁ニュース [ 2023年1月31日 ]
大激戦を制し、芝野が十段戦挑戦者に
許家元十段への挑戦権をかけた激戦に次ぐ激戦についに決着がついた。第61期大和ハウス杯十段戦(産経新聞社主催)の挑戦者決定戦が、1月30日、東京都千代田区の日本棋院で打たれた。芝野虎丸名人は、準決勝で相性のよい余正麒八段を破り、本因坊文裕(井山裕太本因坊)は総手数364手で整地をすると盤上が全て埋め尽くされるという大激戦の末に一力遼棋聖を降して、それぞれ決勝に勝ち上がってきた。棋聖と名人を失冠し序列3位となった井山は、一力戦に続いての上京。ネットで観戦できる時代になってから対局場での観戦棋士が減る傾向にある中、井山人気からだろう、報道陣だけでなく大勢の棋士が日本棋院に集まり決戦を見守った。序盤は黒番の井山が実利を先行し優勢を築いたかに見えたが、右辺一帯の白模様がまとまると、検討陣は「白持ち」。AIの勝率も「白90%」を越える数字を示した。だが、芝野の上辺の荒らしに井山が抵抗し、難解な「二段コウ」に。AⅠの数字は乱高下し、一時は「黒99%」を示した。互いに秒読みの中、最後に抜け出した芝野が白番3目半勝ちを収めた。芝野は「終盤はずっと負けを覚悟していた。勝てたと思ったのは本当に最後の最後」と熱戦を振り返った。3連覇を目指す許と三期ぶりの復位を期す芝野の五番勝負は、3月下旬に開幕の予定だ。