日本囲碁ニュース (名人戦)

日本の囲碁ニュース・棋戦情報をお伝えします。
日本で行われている囲碁のイベントや棋戦情報を皆様にお伝えします。

囲碁ニュース [ 2025年10月14日 ]

一力、名人防衛

 第50期名人戦挑戦手合七番勝負(朝日新聞社主催)の第6局が、10月14、15の両日に愛知県田原市の「角上楼」にて打たれ、一力遼名人が、挑戦者の芝野虎丸十段に白番中押し勝ちを収めた。シリーズを4勝2敗とし、名人初防衛を果たした。
 一日目は、左辺の攻防が続き、まず白番の一力がリードを奪うが、芝野が追い上げていった。二日目に、わずかではあるが芝野が逆転する。右辺の黒模様に一力が深々と打ち込む気合いの一手から、芝野の攻めと一力のシノギの勝負がスタートした。検討陣は、攻めながら黒地をつけていき、最後は細かいヨセ勝負になるだろうと予想したが、一力のシノギが素晴らしく、黒模様を大きく荒らして無条件生きとし、勝負に決着をつけた。一力は、「2連覇は自分にとって自信になる結果です」と語りつつ、「シリーズを通して判断が難しい碁が続き、自分自身はまだまだと感じる部分が多かった」と反省も口にし、気を引き締めた。敗れた芝野は「結果に関しては残念で、もう少しいい碁が打てたらという気持ちはあります。(シリーズを通して)形勢判断も含めて、全体的にミスが多かったので、この結果も仕方がない」と語った。
 一力は四冠を堅持し、翌々日の王座戦から五冠を目指す。

囲碁ニュース [ 2025年10月14日 ]

名人戦、芝野が2勝目

 一力遼名人3勝、挑戦者の芝野虎丸十段1勝で迎えた第50期名人戦挑戦手合七番勝負(朝日新聞社主催)の第5局は、10月7、8の両日に、山梨県甲府市の「常盤ホテル」にて打たれた。結果は、芝野が白番中押し勝ちとし、カド番をしのぐ2勝目をあげた。本局も難戦となった。序盤は、黒番の一力が左下の白に切りを入れて左辺の白を攻め、さらに下辺の白模様を荒らして白を分断する積極的な打ち回しを見せてリードを奪う。だが、芝野は左下の弱い白石を中央に進出させながら応戦し、AIの評価値をじわじわ上げていった。互いに弱い石を抱えた難戦の中、一日目が終了。一力は「一日目から想定以上に厳しい展開になってしまった」、芝野は「流れは悪くないと思い、二日目にかなり細かい接戦になると感じていた」と振り返る。二日目、芝野の封じ手は、下辺の黒を右辺から切り離す強手だった。ここから下辺と左下、二つの弱い黒石を攻めながら芝野が逆転を果たす。一力が盛り返して、一時は形勢不明となるも、再び芝野が優勢を築く。白の大石を仕留められそうな局面が訪れるが、ここで芝野は地合い勝負に切り替えた。新聞解説の許家元九段は「大石を取りにいくのはリスクがあり、逃して勝負にいった挑戦者の形勢判断が光りました」と語る。その後は細かいヨセ勝負に突入するが、「名人の勝ちの図は見つからないようです」と許九段。一力も「打っているときに、自分が勝てる展開が見えてきませんでした」と二日目を振り返った。芝野のヨセに隙はなく、逆転の機はないと見て投了を告げた。芝野は「今日勝てて、よかったはよかったです。次局も変わらず集中して打ちたい」、一力は「すぐ次があるので、いい状態で臨みたい」とそれぞれ抱負を語った。第6局は、14日、15日に愛知県田原市の「角上楼」にて打たれる。

囲碁ニュース [ 2025年9月24日 ]

一力名人 防衛にあと1勝

 一力遼棋聖の2勝、挑戦者の芝野虎丸十段の1勝で迎えた第50期名人戦挑戦手合七番勝負(朝日新聞社主催)の第4局が、9月22、23の両日、神奈川県箱根町の「ホテル花月園」にて打たれた。結果は、124手まで、一力が白番中押し勝ちとし、防衛に王手をかけた。二日目の午前11時37分という早い終局だった。一日目の序盤は、一力が、6手目に左辺に珍しいハサミを放ち、左上の攻防でわずかにポイントをあげる。その後、右上の黒模様に入り、黒は隅と中央の白を確保するものの、白は右辺に展開。ここでもわずかに白がポイントをあげた。一力は「形勢は悪くなかったが、まだまだ互角だと思っていた」と振り返る。だが、黒が左下の白模様に入ってからの攻防で一気に白がリードを広げた。左下の黒が心配な形となり、中央にも回られ、一日目で白の勝率は99%を越えた。二日目に入ってからも、芝野は局面を複雑にすべく勝負手を連発して勝機を探るが、一力が的確に冷静に応じて、芝野を早い投了に追い込んだ。芝野は「序盤に少し形勢があやしいと感じていたが、手が進むにつれてはっきりと不利になっていった。本局の内容はまず過ぎたと感じているので、次はいい碁を打てるように努力したいと思います」と語った。一力は、「次局まで間隔は空きますが、来週も重要対局が続きますので、精一杯頑張っていきたいと思います」と気を引き締めた。一力が防衛を決めるのか、芝野が巻き返すのか、第5局は、10月7、8の両日に、山梨県甲府市の「常盤ホテル」にて打たれる。

囲碁ニュース [ 2025年9月17日 ]

芝野、1勝を返す

 一力遼名人の2連勝で迎えた第50期名人戦挑戦手合七番勝負(朝日新聞社主催)の第3局が、9月11、12日に三重県鳥羽市の「戸田家」にて打たれ、142手まで、挑戦者の芝野虎丸十段が白番中押し勝ちを収めた。一日目は、黒番の一力が上辺に向かい小目を打つ立ち上がりから、芝野が右上を黒に大きく囲わせて右下に巨大な白模様を築いた。まず、ここに一力が踏み込み、鮮やかなサバキで下辺を荒らしてポイントをあげた。続いて芝野が上辺と右上に手をつけ、連携させたシノギを目指す。この攻防の読みが勝敗を分けた。「取れる」と読んだ一力は、本気の取りかけに向かったが、芝野のシノギの妙手があり白が生きる。40目近い黒地が全て消え、AIが示す白の勝率は99%となった。二日目に入り、勝機を探る一力に対し、芝野は2時間23分の大長考で負けない道を選択し、一力を投了に追い込んだ。読み勝った芝野は「右上の折衝で得をした格好でしたので、形勢は悪くないと思いましたが、はっきり自信を持てたのは2日目の最後のほうでした」と謙虚に振り返り、一力は「持ち時間が8時間ある碁で、こういうミス(右上の見落とし)をしているようではダメかなと思います」と唇をかんだ。1勝を返した芝野は「状況はあまり変わらないので、次も修正して打てたらと思います」、一力は「もう少しいい碁を打てるように準備してきます」とそれぞれ次局への抱負を語った。第4局は、9月22、23の両日、神奈川県箱根町の「ホテル花月園」にて打たれる。

囲碁ニュース [ 2025年9月10日 ]

一力名人、開幕2連勝

 一力遼名人に芝野虎丸十段が挑戦する第50期名人戦の挑戦手合七番勝負(朝日新聞社主催)が、8月26日に開幕した。第1局は、26、27の両日、鹿児島県鹿児島市の「城山ホテル鹿児島」で打たれ、一力が大逆転で黒番中押し勝ちを収めた。続く第2局は、9月3、4の両日に、長野県高山村の「藤井荘」で打たれ、序盤からレベルの高い攻防に突入した。まず黒番の芝野が、足早に左下の両ガカリから下辺の開きに回ってポイントをあげる。だが、その後の下辺の攻防で一力が盛り返して逆転。下辺と左下をしのいだ後に、中央の白を逃げ出したのが、黒を分断していく一力の積極的な手だった。中央の攻防の中、127手目を芝野が封じた。一日目の126手は、名人戦最長手数記録となる。二日目、中央の白がしのぎ形となったところで、一力はさらに左辺側の中央の白を動き出す。最強手を求める一力らしい打ち回しだったが、長考を重ねながらじわじわと芝野が追い上げ、ついに逆転する。とはいえ、差はわずか。右上の黒模様がどのくらいまとまるかが、最後の勝負所となった。一力はコウ残りだった下辺に一手入れて生き、右上を一手守らせてから打ち込んで勝負に出た。碁盤のほぼ4分の1を占める大きな詰碁は、黒取り番の本コウとなる。結果としては、ここを手にした一力が勝利を引き寄せた。白が右辺の黒を取り、黒が左下の白を取るフリカワリからヨセ合い、316手まで、一力が白番1目半勝ちとした。一力は開幕2連勝。この勢いのまま一気に走り抜けるのか。芝野が巻き返すのか。第3局は、9月11、12の両日、三重県鳥羽市の「戸田家」にて打たれる。

囲碁ニュース [ 2025年7月29日 ]

名人戦挑戦者は芝野

 一力遼名人への挑戦者を決める名人戦挑戦者決定リーグ戦(朝日新聞社主催)は、7月21日に最終一斉対局が打たれ、芝野虎丸九段、井山裕太王座、許家元九段、福岡航太朗七段が6勝2敗で並ぶ結果となった。3日後の24日、規定による上位2名のプレーオフが千代田区日本棋院東京本院で打たれ、芝野が井山に白番中押し勝ちし、挑戦者に名乗りをあげた。井山はリーグ戦6連勝から、2連敗で失速。逆に芝野は「2差あったので、(プレーオフは)ないと思っていた」と振り返ったチャンスを、見事に結果につなげた。
 本局は、大一番にふさわしく、内容の濃い接戦となった。10手目に白番の芝野が上辺で意欲的なツケを放ち、研究の成果をあげたかと思いきや、井山が上辺の白を厳しく攻めて盛り返す。その後も、左下の攻防で白がリード、左下の攻防で黒が逆転…と形勢が揺れ動きながら、互角の勝負が続いていった。右辺の折衝でわずかに白が抜け出し、細かいヨセ勝負に突入した。だが、芝野は隙のない打ち回しで黒に逆転の機を与えず、逆に差を広げて、井山を投了に追い込んだ。井山は「最近の不調が対局にあらわれてしまった」と言葉少なに振り返り、芝野は「うれしいです。これから対局が多く大変ですが、挑戦手合もがんばりたい」と抱負を語った。一力が2連覇を目指し、芝野が奪還を期す挑戦手合七番勝負は、8月に開幕する。

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