日本囲碁ニュース (本因坊戦)

日本の囲碁ニュース・棋戦情報をお伝えします。
日本で行われている囲碁のイベントや棋戦情報を皆様にお伝えします。

囲碁ニュース [ 2022年6月14日 ]

本因坊文裕、前人未到11連覇達成

 本因坊文裕(井山裕太本因坊)に一力遼棋聖が挑戦する第77期本因坊戦七番勝負(毎日新聞社主催)の第4局が6月11、12の両日、福岡県太宰府市の「九州国立博物館」にて行われ、196手まで白番の井山が白番中押し勝ちを収め、4連勝で防衛。自身と、趙治勲25世本因坊の10連覇(1989年から98年)を越え、七大タイトル最多となる前人未到の11連覇を達成した。第4局は、一力が「思いつきだった。その後は勢いで」と振り返る右下の仕掛けから、難戦に突入。「深い知識はなく手探りで打っていた」と語った井山が、黒石を取り込む形で地で先行した。一日目の封じ手のあたりでは「決着の仕方が分かってなくて、形勢判断もできていなかった」と井山。だが、二日目に入り、昼食休憩に入るあたりでは「まずまずなのかな」と形勢に自信を持ったという。一力は「想定していない手を打たれ……いろいろ判断できていなかった」、「中央の数手が雑だった。何か工夫しなければいけなかった」と反省する。その後、左下のコウを解消した時点で、井山は「少し残りそう」と勝ちを意識した。両雄の決戦は、七局目までもつれた名人戦、棋聖戦から一転、誰も予想しなかった4―0というスコアでの決着となった。
 一力はシリーズを通して、「判断ができない局面が続いて、決断が裏目に出ることが多かった。中終盤の内容が悪かったので、この結果は仕方ないと思う」と振り返り、記者団にさらに具体的に問われると「特に2局目は、はっきり勝ちの局面を2回逃した。それも含めて実力」とし、「一年間、井山さんと七番勝負を打ち続ける中で、今回は名人戦より内容はよくなっていたと思うが結果に結びつけられなかったことは残念ですし、4局で終わってしまい、関係者の皆様に申し訳ない気持ちです。総合的にはまだまだ及ばない。いろいろ足りない部分を気づかされたシリーズでした。これを今後に生かしたい」と最後に前を向くコメントを残した。
 井山は「今年に入ってから結果が出ておらず、難しい時期もあった。でも、せっかく本因坊戦という大きな舞台を与えられているのだから、自分なりに精一杯できることをやろうと臨んだ」と振り返り、「苦しい時間がすごく長いシリーズで、内容的には反省点、課題があるのですが、その苦しい中で結果を出せたことはよかった。粘り強く打てたことが結果につながった」と語った。一番印象に残る対局には「開幕局」をあげた。11連覇については、「子供の頃から憧れていた趙治勲先生の10連覇にチャレンジできたことを光栄に思う。趙先生の大きさは、変わるわけではない」と語り、今後について問われると「自分なりに精一杯碁に向き合ってきた。これからも、人と比べるのではなく、自分なりに精一杯向き合い続けたい」と応えた。
 趙からは「井山さんと10連覇で並ぶのは心地よかったです。正直、いつまでも10連覇で並んでいたかったですが、井山さんの記録が11連覇で止まるのも嫌です。僕の記録と比較されて、目の上のたんこぶみたいな感じになるから。できるなら20連覇ぐらいして、はるかかなたに行ってほしい」とエールが贈られた。

囲碁ニュース [ 2022年6月7日 ]

文裕、本因坊戦11連覇に王手

 第77期本因坊戦七番勝負(毎日新聞社主催)の第3局が、6月1、2の両日、長野県高山村の「藤井荘」にて行われ、本因坊文裕(井山裕太本因坊)が、挑戦者の一力遼棋聖に259手まで黒番中押し勝ちを収めた。昨年の名人戦、今年の棋聖戦の七番勝負同様、今シリーズも最終局にまでもつれる展開が予想されていたが、内容的には肉薄しながらも、結果としてはここまで井山の三連勝という一方的な流れ。三局共に中盤から終盤の集中力で上回っている感のある井山は、前人未到の11連覇に王手をかけた。本局一日目、序盤から、「やりすぎだったか」と井山が振り返る右下の仕掛けから、激しく難解な戦いに突入した。互いに最強手を繰り出し、激しさを増すなか、井山の最強手を咎めた白のキリが厳しく、中央に厚みを築いた一力がややリードを奪った。「ポン抜かれるのを軽視していた」と井山は反省し、「はっきり苦しいと思っていた」と言う。だが、二日目、劣勢を意識していた井山は「迷うこともなく、どんどん積極的に行くしかない」と臨む。一力が上辺を白地に塗り替えた時点では白優勢は盤石かと思われたが、その直後に白を取り込む形で中央を黒模様にする構想が勝り「勝負形」(井山)に。その後、一力の緩手もあったようで、井山の逆転勝利となった。一力は「大ヨセで見えていない手があった。いろいろ計算できていなかった」と言葉少なに振り返り、「もう少し内容のいい碁を打てるように…」と語尾が聞き取れないほどの小さな声で抱負を語った。井山は「これまで通り、自分なりにコンディションを整えて、精一杯やりたいと思います」と淡々と語った。一力の巻き返しはなるのか。注目の第4局は、6月11、12の両日、福岡県太宰府市の「九州国立博物館」にて行われる。

囲碁ニュース [ 2022年5月31日 ]

文裕、逆転で二連勝

 「歴史的な名局」と称された第1局の余韻が2週間経ってもまだ消えぬ5月24、25の両日、第77期本因坊戦七番勝負(毎日新聞社主催)の第2局が、埼玉県熊谷市の熊谷ラグビー場特別室で打たれた。本因坊文裕(井山裕太本因坊)は、対局前日、半目勝利した第1局を「終局時間も遅く、手数も長い碁を戦い抜くことができたのは収穫だった」と改めて振り返り、本局まで対局はなく「しっかり準備できた」と話した。挑戦者の一力遼棋聖は、この2週間に大勝負を2局こなし、いずれも勝利する充実ぶり。両者共に、囲碁界初の「ラグビー場」での対局を「楽しみ」と笑顔を見せ対局に臨んだ。一日目、右上から右辺へと戦いが広がり、白番の井山の実利対、一力の模様という骨格が出来上がる。やや打ちやすそうな黒が、上辺の白に攻勢をかけ、白がどう凌ぐかという局面で、井山が封じた。二日目、「封じた時から中央で戦うつもりでした」と井山は振り返り、中央に味をつけてから上辺の生きに向かうが、中央で一力の厳しいキリが入り、険しく難解な局面へと進んだ。「厳しくこられるのを想定していなかった」と井山。左辺で一本取り、大場に先着した一力が優勢となった。その後、黒に緩着があり差がつまるものの、黒優勢のまま大ヨセを迎え、このままゴールに向かうかと思われた。だが、「受けると利かされな気がして」と、一力が左下で手を抜き、逆に右下を利かしにいったのが敗着。この一瞬の隙を捉えた井山が左下に連打し暴利を得て逆転。その後の右下の攻防は、YouTubeで解説していた平田智也七段が「井山マジック」と呼ぶ変化をたどった。左下の損を回収することはかなわず、一力が無念の投了を告げた。「右下隅がコウになっていけるかと思いました。次もしっかり準備して臨みたい」と井山。動揺を隠せぬ様子だった一力が、次局までにどう立て直すかが注目だ。第3局は、6月1、2の両日、長野県高山村の「藤井荘」にて行われる。

囲碁ニュース [ 2022年5月12日 ]

本因坊戦、歴史的名局で開幕

 本因坊文裕(井山裕太本因坊)に、一力遼棋聖が挑戦する第77期本因坊戦七番勝負(毎日新聞社主催)が開幕した。第1局は、石川県金沢市の「金渓閣」で5月10、11の両日に打たれ、本因坊戦七番勝負史上最多の357手までの大熱戦を、井山が黒番半目勝ちとし、11連覇へ向けて好スタートをきった。一日目の立ち上がりから、布石はなく戦いに突入し、両対局者も「そもそもよくわからない」(井山)、「手さぐりの状態」(一力)と振り返る展開となる。井山が「左下が生還したが、全局的に薄く、今一つかなと思っていた」という状態で一力が封じた。二日目も「一手先も見えない戦いが続いた」と井山。日本棋院公式YouTubeで解説をつとめた立合の羽根直樹九段と「幽玄の間」の解説も兼任していた高尾紳路九段も、「どこまでいっても難しい」と驚きをまじえながら見守っていた。一日目、二日目の午前あたりまではAIの評価は白番の一力を優勢としていたが、井山の反撃で逆転する。「中央から右下の黒に食いつける展開になって少し盛り返した」と井山。一力は、「中盤、方針が定まらず、かなりちぐはぐになってしまった」と反省する。AIの評価が80%代で井山優勢を示しても、羽根・高尾両解説者は「互角」の評価だった。終盤、上辺で白の切りが入った瞬間に、白の評価が90%代に高まる。井山は、この切りを「見えていなかった」と振り返った。対局中も首を傾げ、身体をよじる様子が映し出され、白勝ちが想像された。だが、ここから起死回生の一手をひねり出す精神力はさすが。高尾九段は「勝着」と呼び、井山も「一応、コウになって、それなりに難しくなった」と手応えを持ったようだ。だが、その後もコウ争いの場を何回も移しながらの難戦が延々と続く、まさに頂上決戦の名にふさわしい大熱戦となった。高尾九段は「歴史的大熱戦」、「歴史的名局」とし、井山が半コウをついで半目勝利した終局時には「両者に拍手を送りたい」と賛辞を送った。第2局に向け、井山は「自分なりにコンディションを整え、精一杯やりたいと思います」、一力は「もう少しいい内容の碁を打てるようにがんばります」と語った。その第2局は、5月24、25の両日、埼玉県熊谷市の「熊谷ラグビー場」にて行われる。

囲碁ニュース [ 2022年4月5日 ]

一力が本因坊挑戦者に

 本因坊文裕(井山裕太本因坊)への挑戦権をかけた第77期本因坊戦リーグ(毎日新聞社主催)の最終一斉対局が3月31日に打たれ、全勝の余正麒八段は芝野虎丸九段に敗れ、一力遼棋聖は佐田篤史七段に勝ち一敗で並んだ。両者のプレーオフは4月4日に打たれ、一力が白番中押し勝ちを収めた。序盤から一力がポイントをあげて優勢を築き、そのままつけ入る隙を与えぬ快勝。余はつらそうに投了を告げた。余は「リーグ全体を通しては自分なりに頑張れました」と語ったが、一力、許家元十段の強敵を降しながら、最終局で半目負け。プレーオフでは力を出し切れない無念の敗退となった。一力は、これまで本因坊リーグでは一つの黒星に泣くことが多く、「三大タイトルのリーグは、全勝しなければ挑戦者になれない」と語るようになっていた。昨年の名人戦リーグ、棋聖戦Sリーグはいずれも全勝で挑戦権を獲得。それゆえ「リーグ戦で1敗したときは、挑戦は厳しいかなと思っていた」と振り返る。「プレーオフまできて、そのチャンスをものにすることができ、ホッとしています」と静かに喜びを語った。一力の本因坊戦挑戦は初。また、名人戦、棋聖戦、本因坊戦と連続して三大タイトルで同一カードが組まれるのは史上初。井山の11連覇が成るか、一力がこれを阻み世代交代をすすめるのか。両者の七番勝負は、5月10、11日に、石川県金沢市の「金渓閣」にて開幕する。

バックナンバー