日本囲碁ニュース (本因坊戦)
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囲碁ニュース [ 2025年6月17日 ]
本因坊戦、最終局へ

一力遼本因坊の2勝、挑戦者の芝野虎丸十段の1勝で迎えた第80期本因坊戦五番勝負(毎日新聞社主催)の第4局が、6月18日、三重県鳥羽市の「戸田家」で打たれた。前局で1勝を返した芝野は、本局も一力に読み勝ち、白番中押し勝ちを収めた。序盤の右辺の攻防は「経験のないかっこう」(芝野)となるが、一力は「あまりよくなかった気がする」と振り返る。黒の種石を取る結果となり、白がややポイントをあげたようだ。勝負所は、その後の左下の攻防だった。一力は「取りにいく図を考えていた」という。一力の攻めを芝野がかわし、次いで一力の選んだ強手に、芝野のカウンターが決まり、黒地を白地に塗り替え白が優勢を築いた。芝野は「不確定要素が多くて、そんなにはっきりではなかったですが、少しよくなったのかなと感じていた」、一力は「よくなるまでは大変かなと思っていた」とそれぞれ振り返った。続く左辺の攻めも、白がしのぎ切り、以降も逆転の隙を与えずに芝野が寄り切った。連敗後に連勝してスコアをタイに戻した芝野は「ここまでこれてよかったという思いです。(最終局も)変わらずに戦えたらなと思います」、一力は「この碁は読みが正しくなかったと思うので、最終局は悔いのないように打ちたい」と抱負を語った。大注目の第5局は、7月2日に、神奈川県箱根町の「ホテル花月園」にて打たれる。
囲碁ニュース [ 2025年6月10日 ]
本因坊戦、芝野が1勝を返す

一力遼本因坊に芝野虎丸十段が挑戦する本因坊戦五番勝負(毎日新聞社主催)の第3局が、6月6日、大阪府守口市の「ホテル アゴーラ 大阪守口」にて打たれた。5月25日に秋田県能代市「旧料亭金勇」で打たれた第2局は、中盤、芝野の一手の緩着を捉えた一力が優勢を築き、その後も緩まずに難解な戦いの碁を制した。一力が二連勝と勢いに乗ったが、シリーズは最後までわからない。本局は、黒番の芝野が少しずつポイントをあげながら完勝に近い内容で中押し勝ちを収めた。序盤、左下の三々定石が難解な変化へと突入した。芝野は「知識があまりない形で黒のほうが打ちづらい感じがしていた」と振り返る。だが、一力も「(下辺の)地を取る打ち方を選んだが、中央の戦いを重視するほうがよかったかもしれない」と反省。芝野が中央の戦いに誘い入れ、「白3子を取り込んだあたりでは、流れとしては悪くない」と手応えを掴んだようだ。右上隅で一力の緩着もあり、上辺の黒地をまとめて黒が優勢を築くと、そのまま押し切った。1勝を返した芝野は「分からないことが多かったが、自分なりに集中して打てたので、そこはよかった。(カド番という)苦しい状況に変わりはなく、第4局もまた集中して打てたら」、一力は「この碁はあまり内容的によくなかった気がするので、次は内容をよくしたい」とそれぞれ言葉少なに抱負を語った。第4局は、6月18日に、三重県鳥羽市の「戸田家」にて打たれる。
囲碁ニュース [ 2025年5月15日 ]
本因坊戦開幕。一力先勝

三連覇を目指す一力遼本因坊に、初の本因坊位奪取を期す芝野虎丸十段が挑戦する、第80期本因坊戦五番勝負(毎日新聞社主催)が開幕した。第1局は、5月14日、山梨県甲府市の「常盤ホテル」にて打たれ、152手まで、一力が白番中押し勝ちを収めた。「前例のない形」、「経験のない形」と両者が振り返った序盤では、一力がリードを奪った。黒は、左辺の白模様に入っていったが「黒があまりいい格好ではないので、苦しくしてしまっているように感じていた」と芝野。だが、昼食休憩後、左辺から逃げ出していった黒が中央で戦いを仕掛け、険しい応酬からコウになる。白が左上を取り、黒が中央の白の大石を取ったフリカワリにより、「ほぼ互角」まで芝野が挽回。勝負は右辺の黒模様がどのくらいまとまるかが焦点となった。「右辺の囲い方が難しく、どの図も自信が持てなかった」という芝野は、侵入してきた白を取りに向かったが、この判断が疑問だったようだ。一力が逆に黒の薄みを突きながらシノぎきり、勝負を決めた。白星スタートとなった一力は、「しっかりコンディションを整えて勝負したい」、芝野は「本局はあまりいい内容の碁ではなかった。次はしっかり準備してがんばりたい」とそれぞれ二局目に向けて抱負を語った。第2局は、5月25日に、秋田県能代市の「旧料亭金勇」にて打たれる。
囲碁ニュース [ 2025年4月8日 ]
芝野、本因坊戦挑戦者に
第80期本因坊戦(毎日新聞社主催)の挑戦者決定戦が、4月7日、千代田区の日本棋院東京本院で打たれ、芝野虎丸十段が、孫喆七段に黒番中押し勝ちを収め、4期ぶり(3回目)に挑戦者に名乗りをあげた。本局は、序盤は孫が打ち回した。下辺の折衝で少しずつポイントをあげると、芝野の猛攻をかわしつつ、右辺の黒模様を荒らしながらシノいで優勢を築いた。さらに左下の黒を攻める展開となり、AIの勝率は「白99%」の評価が続いた。芝野も「しのがれた時点でまずい展開になっている。他の打ち方をしなければいけなかった」と振り返る。だが、左辺で白が出切りを打ったあたりから流れが変わる。孫は「感覚的には正しく打てばやれそうだと思ったのですが、実戦は仕掛け方がまずかった」と反省。その後は、芝野が的確に打ち回し、孫を投了に追い込んだ。無念の敗戦となった孫は「ここまで進んでこれたのは初めてですし、自分なりに頑張ったのかなと思うのですが、この碁には悔いが残ります。(来期は)また、一から……」と言葉少なにコメントを残した。芝野は、今年に入り、国内戦では負けなしの15勝1敗。局後は、「本因坊戦は苦しい碁が多かったので、挑戦者になれてよかった。(七番勝負に向けては)また準備して臨みたい」と意気込みを語った。