ヨーロッパ囲碁ニュース

ヨーロッパの囲碁ニュース・棋戦情報をお伝えします。

囲碁ニュース [ 2020年4月3日 ]

欧州青少年選手権、クロアチアで開催

3月11-14日にかけて、クロアチア・ザグレブ郊外の保養地ストゥビチュケ・トプリツェにおいて欧州青少年選手権が開催された。クロアチアは数年来、ダミール・メダック氏のイニシアチブの元で積極的な囲碁普及活動を行っている。イタリアにおいて新型コロナウイルスの感染拡大が問題となり始めた時期だったが、なんとか開催にこぎつけた。全体では162人が参加し、例年と比べても大規模な大会となった。このうち、イタリアなど一部国の選手は、インターネットを通じて参加し、不正防止のためにビデオでの撮影を義務付ける、といった措置がとられた。

会場の様子。(欧州囲碁連盟、クロアチア囲碁連盟、以下同)
クロアチア・チームはユニフォームを揃えて大会に参加。

6回戦の結果は以下の通り。

12歳未満(参加者:64人)
順位 名前 段位 勝敗
1 フセヴォロド・オフシェンコ 2d ウクライナ 5-1
2 アスカル・フサイノフ 3d ロシア 5-1
3 エゴール・ラヴロフ 2d ロシア 4-2
4 アルトゥール・ギマディエフ 1d ロシア 4-2
5 ルスラン・タラソフ 1d ロシア 4-2

先日、ルーマニアの冬季囲碁フェスティバルで大活躍したオフシェンコ2dが2連覇を果たした。フサイノフ3dは最終戦でオフシェンコ2dに勝利、同率ながら2位に終わった。2位以下をロシア勢が占めるのは例年の構図である。

16歳未満(参加者:61人)
順位 名前 段位 勝敗
1 リンヴ・トゥ 4d フランス 5-1
2 アレクサンドル・ムロムチェフ 2d ロシア 5-1
3 ダヴィデ・ベルナディス 2d イタリア 4-2
4 ラフマート・デメンシン 2d ロシア 4-2
5 アルテミー・ピシュシャルニコフ 2d ロシア 4-2

フランスのトゥ4dが優勝した。フランスの選手が青少年選手権で優勝するのは2003年以来。ロシアのムロムチェフ2dが同率で2位。またイタリアのベルナディス2dが3位に入賞したのが注目される。

20歳未満(参加者:37人)
順位 名前 段位 勝敗
1 アントン・シェルニフ 6d ロシア 6-0
2 シナン・ジェポフ 5d ブルガリア 5-1
3 エリアン=ヨアン・グリゴリウ 6d ルーマニア 4-2
4 ギヨーム・ウジエ 3d フランス 4-2
5 メジン・サフヴァ 2d ロシア 4-2

ロシアの強豪シェルニフ6dが全勝優勝、これにブルガリアのジェポフ5d、ルーマニアのグリゴリウ6dが続いた。

各部門の優勝者。左から、U12のオフシェンコ2d、U16のトゥ4d、U20のシェルニフ6d。
参加者マップ。欧州45都市から参加があった。
開会式にて。第6回となる、インターネット青少年国別対抗戦の表彰式が行われた。第1-5回はロシアが優勝していたが、今回はドイツが全勝優勝を果たした。大会には16カ国が参加した。
グループ写真。

新型コロナウイルス禍:インターネットでの大会が盛況

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が3月以降欧州で激化、大会が相次いでキャンセルとなっているほか、外出制限でクラブ活動もままならない中で、囲碁界はインターネット上での活動に軸足を移している。

▽コロナカップ
チェコのルカシュ・ポドペラ7dが音頭をとって、インターネット上での大会を開催している。その名も、「コロナカップ」。欧州らしいユーモアである。イエナ囲碁スクール、チェコ囲碁協会が協賛し、参加者は、なんと360人に達した。時間設定は45分+秒読みという早碁である。
対局は3月最終週に始まっており、5回戦または6回戦で、5月頭までにすべての対局を打ち切る予定。さながら、オンラインの囲碁コングレスといった活況を呈している。

主催者のポドペラ7d。(写真:Adriana Tomsu)

▽欧州プロ・オンラインリーグ
欧州囲碁連盟(EGF)のプロが、リーグ戦方式で対局するオンライン大会が3月末から始まった。参加するのはイリヤ・シクシン3p、パヴォル・リジー2p、アルテム・カチャノフスキー2p、アリ・ジャバリン2p、アンドリー・クラヴェッツ1p、タンギー・ルカルヴェ1pの6人。マテウシュ・スルマ2pは、めでたく父親となったばかりで忙しいため参加を見合わせた。考慮時間は10分+1手30秒の秒読みという早碁。各組み合わせでは、お互い手番を入れ替え、黒番、白番と2局対局する。毎週対局が組まれ、Twitch(アマゾンのゲームストリーミングプラットフォーム)を通じた中継もなされる。

▽欧州・中国オンライン対抗戦

EGFと中国囲碁協会の協力で実現したチーム対抗戦。いわゆる農心杯システムの勝ち抜き戦である。お互いのチームは10人から構成され、欧州からはアリアーヌ・ウジエ4d、バンジャマン・ドレアン=ゲナイジア6d(フランス)、アントン・シェルニフ6d(ロシア)、クリスティアン・ポップ7d(ルーマニア)、ルカシュ・ポドペラ7d(チェコ)、アレクサンドル・ディナーシュタイン3p(ロシア)、アリ・ジャバリン2p(イスラエル)、スタニスワフ・フレイラック7d(ポーランド)、アルテム・カチャノフスキー2p(ウクライナ)、マテウシュ・スルマ2p(ポーランド)が参加する。中国側も、世界アマ優勝経験者である胡煜清7d、白宝祥7d、王琛7dなど強力なメンバーを揃えている。4月2日時点では、1勝1敗となっている。

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2020年3月16日 ]

新型コロナウイルス感染拡大の影響、欧州囲碁界にも波及

新型コロナウイルスの感染拡大が、3月半ばに入り欧州囲碁界にも具体的な悪影響を及ぼし始めた。
欧州囲碁協会(EGF)は3月初頭、サイトを通じて、以下のような発表を行った。

  • ・3月12-14日にクロアチアで予定される欧州青少年選手権は、開催する。
  • ・今夏ウクライナの欧州囲碁コングレスの枠内で行われる欧州選手権も開催する。
  • ・また夏までのEGF関連行事もすべて予定通り開催する。

すなわちすべて予定通り開催、ということで、実際クロアチアでの欧州青少年選手権は、160人を超える参加者を集め盛大に開催された。こちらについては後日別記事で報告するが、イタリアなどリスクのある複数国の選手は、オンラインの囲碁サーバーを通じて大会に参加。不正行為防止のため、対局姿のビデオを主催者に送ることが義務付けられた。

しかし、スペイン、フランス、ドイツといった国を中心に感染者数が急速に増加し、非常事態宣言を発したり入国規制などを導入する国が続出する中で、EGFは数日で方針転換を余儀なくされた。14-15日にかけての週末には各地で大会中止・延期の決定が相次いだ。EGF関連の大会では、3月19-22日にオーストリア・ウィーンで予定されていた欧州プロ選手権、4月4-5日にセルビア・ニシュで予定されていた欧州ペア碁選手権、また4月11-13日にフランス・パリで予定されていたグランドスラム予選会が延期となった。このほか、ポーランド、スロバキア、スイス、フランス、ドイツなどでも相次いで大会中止・延期が発表されている。

フランスでは12日から14日にかけて、政府が一連の感染拡大防止策を発表し、学校、大学などの教育機関に加え、レストラン、カフェなど生活に必須ではないと見なされる施設が閉鎖されることとなった。これを受けて、仏最大の大会の一つであるパリ大会(4月11-13日)が中止を発表。またレストランやカフェに夜集まることの多い囲碁クラブも、集会場所を失うこととなった。

欧州囲碁協会のサイト。中止または延期になったイベントに横線が引かれ、痛々しい。

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2020年3月2日 ]

ヴァレリー・シクシン氏が死去

ロシア囲碁界の長老、ヴァレリー・シクシン氏が2月18日に亡くなった。71歳だった。シクシン氏はスヴェトラナ・シクシナ3p、イリヤ・シクシン3pの父親。シクシン氏はエンジニアだった1970年代に職場で囲碁に出会った。その後1990年代に入り、囲碁指導に専念するために離職。二人の子供のほか、カザンにおいて、このほかにもアレクサンドル・ディナーシュタイン3pなど数々の強豪を育てた。

サンクトペテルブルクで中国総領事杯が開催

ロシアでは2月23日が「祖国防衛の日」の祝日となっている。今年はこの日が日曜日にあたったため、それに続く月曜日が振替休日となった。この連休を利用して、サンクトペテルブルクでは、第11回目となる中国総領事杯に加え、ペア碁選手権、女流選手権といった一連の大会が開かれた。メインとなる中国総領事杯には133人が参加した。ロシアは昨年以来、大規模な大会を国外の強豪にも開放するようになってきており、今回も金栄三8d、金成進8d(共にドイツ在住)、アルテム・カチャノフスキー2p(ウクライナ)、ルカシュ・ポドペラ7d(チェコ)などが参加した。

会場の様子。(写真:ミハイル・クリロフ、ロシア囲碁連盟、以下同)
金永三8dとカチャノフスキー2pの対局。

6回戦の結果、全勝のない混戦となり、金栄三8d、金成進8dとイリヤ・シクシン3pが1敗で並んだが、規定の結果優勝はベルリンで囲碁指導をしている金成進8dとなった。2位は金栄三8d、3位はシクシン3pだった。これにカチャノフスキー2p、アレクサンドル・ディナーシュタイン3p、ポドペラ7dが続いた。

中央が優勝した金成進8d。シクシン3pとの検討。この碁はシクシン3pが勝利。
ロシア女流選手権を制したブルダコヴァ6d。ライバルのコヴァレヴァ5d、若手のシャルネヴァ4dなどを抑えて優勝した。女流選手権の参加者は16人。
ペア碁選手権の様子。27ペアが参加して盛況だった。
ペア碁選手権に優勝したファズルジャノヴァ/ディナーシュタイン・ペア。

ルーマニアで冬季囲碁フェスティバルが開催

ルーマニア北部ヴァトラドルネイにおいて、2月中旬に冬季囲碁フェスティバルが開かれた。このフェスティバルは、同地出身のツァラヌ・カタリン5pが主導して数年来開いているもの。欧州若者向けの大会ツアーである「Seygo Tour」大会に加え、ペア碁大会、メイン大会であるVaDo Cupといった大会が開かれた。全部で100人を大きく超える参加者があった。

囲碁フェスティバルの横断幕。(写真:欧州囲碁連盟、以下同)
本大会ではウクライナの若手、フセヴォロド・オフシェンコ2d(11)が大活躍。Seygo Tour大会ではルーマニアのグリゴリウ6dを初戦で破って全勝優勝を収めたほか、VaDo Cupでもオーストリアのヴィクトール・リン6dを破って8位に食い込んだ。新スター誕生である。
ペア碁大会優勝のグリゴリウ6d(ルーマニア)/メダック2d(クロアチア)ペア。
VaDoカップ優勝の金栄三8d。

メイン大会のVado Cupでは、6回戦の結果ドイツ在住の金栄三8dが全勝優勝を収めた。2位はドミニク・ボヴィズ6d(ハンガリー)、3位はアルテム・カチャノフスキー2p(ウクライナ)、4位はコルネル・ブルゾ7d(ルーマニア)、5位はニコラ・ミティッチ7d(セルビア)だった。

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2020年2月18日 ]

グルノーブル国際囲碁大会が開催

仏グルノーブルにおいて国際囲碁大会が2月1-2日にかけて開催された。グルノーブルは現在フランス国内で最も活力のあるクラブ。ベテランのドミニク・コルニュエジョルス会長およびグルノーブル在住で仏囲碁協会指導員を務める黄仁聖8dなどのイニシアチブにより、3年前から国際囲碁大会を開催している。

会場の様子。(写真:Olivier Dulac、以下同)

3度目となる今回の大会の参加者数は欧州各国から強豪が集まったほか、中国からの訪問団もあり157人と過去最高を記録した。特にトップグループの「エリー杯」には、中国棋院の呉天2pを含め、6d以上が13人参加した。

大会のトップグループ「エリー杯」のスポンサーである黄仁聖8dによるライブコメント。
エリー杯の決勝、呉天2pとシクシン3pとの対局。

決勝は呉2pとロシアのイリヤ・シクシン3pとの間で争われ、呉2pが中押し勝ちを収めて優勝した。3位には第1回、2回目の優勝者である呉治民8d、4位にはフランスのバンジャマン・ドレアン=ゲナイジア6dが入賞した。

日曜日に開催された子供向けの大会。
成績優秀者。左から呉2p、シクシン3p、呉8d、ドレアン=ゲナイジア6d、オスカル・ヴァスケス6d(5位)、アリ・ジャバリン2p(6位)、黄8d、金成進8d(8位)、コルニュエジョルス会長。
大会に先立って、一週間にわたる「囲碁スキー合宿」がグルノーブルから1時間ほどのスキー場で開かれた。
合宿における対局の様子。

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2020年1月27日 ]

欧州グランプリファイナル、スルマ2pが優勝

欧州グランプリファイナル大会が1月16-19日にスウェーデンのレクサンドにおいて開催された。グランプリファイナル大会は、2019年に欧州グランプリを構成した15大会における成績優秀者16人が参加する大会である。まず4人ずつのリーグ戦で決勝ステージ進出者を決定。以降はノックアウト方式で優勝を争う。

予選リーグの結果は以下の通り。

Aグループ
順位 名前 段位 勝敗
1 ニコラ・ミティッチ 7d セルビア 2-1
2 マテウシュ・スルマ 2p ポーランド 2-1
3 ルカシュ・ポドペラ 7d チェコ 2-1
4 ドミニク・ボビーズ 6d ハンガリー 0-3

2勝1敗で3者が並ぶ激戦となったAグループ。ニコラ・ミティッチ7dとスルマ2pが枠抜けした一方、ポドペラ7dが涙をのんだ。ミティッチ7dはスルマ2pを破った星が光る。

Bグループ
順位 名前 段位 勝敗
1 イリヤ・シクシン 3p ロシア 3-0
2 バンジャマン・ドレアンゲナイジア 6d フランス 2-1
3 オスカル・ヴァスケス 6d スペイン 1-2
4 コルネル・ブルゾ 7d ルーマニア 0-3

シクシン3pが圧倒した。もう一人の枠抜けは、フランスのドレアンゲナイジア6d。最終戦でヴァスケス6dとの接戦を制した。

Cグループ
順位 名前 段位 勝敗
1 アンドリー・クラヴェッツ 1p ウクライナ 2-1
2 アルテム・カチャノフスキー 2p ウクライナ 2-1
3 アリ・ジャバリン 2p イスラエル 2-1
4 デュシャン・ミティッチ 7d セルビア 0-3

3人のプロが入ったCグループも激戦となった。2勝1敗で3人のプロが並んだが、クラヴェッツ、カチャノフスキーのウクライナ勢が枠抜けした。

Dグループ
順位 名前 段位 勝敗
1 ダニエル・フー 5d 英国 2-1
2 スタニスワフ・フレイラック 7d ポーランド 2-1
3 パヴォル・リジー 2p スロヴァキア 1-2
4 タンギー・ルカルヴェ 1p フランス 1-2

最も番狂わせとなったのがDグループ。リジー、ルカルヴェの両プロが脱落し、先日ロンドン大会で優勝した新鋭のフー5dが1位、ポーランドのフレイラック7dが2位通過した。

決勝トーナメント1回戦では、フレイラック7dが激しい戦いの末に昨年の覇者シクシン3pに半目勝ちを収めた。また、今大会の台風の目となったフー5dはドレアンゲナイジア6dを破った。準決勝ではスルマ、フレイラックのポーランド2強が対決、こちらはスルマ2pが貫禄を見せ、フー5dを止めたカチャノフスキー2pとの決勝に臨んだ。

フレイラック7d(右)はシクシン3pを破った。(写真:欧州囲碁連盟)
スルマ2p(左)対カチャノフスキー2pによる決勝の様子

決勝は、スルマ2pが序盤から優勢に打ち進め、中押勝を収めた。「予選ステージ第1局目で(ミティッチ7dに)負けたときはもうだめかと思ったが、尻上がりに調子が良くなった。決勝はプレッシャーなく打てた」と語った。

決勝トーナメントの結果は以下の通り。

ニコラ・ミティッチ カチャノフスキー カチャノフスキー スルマ
カチャノフスキー
ドレアンゲナイジア フー
フー
スルマ スルマ スルマ
クラヴェッツ
シクシン フレイラック
フレイラック
検討の様子。左からシクシン3p、クラヴェッツ1p、フー5d、ヴァスケス6d。

[ 記事:野口基樹 ]

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