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中国囲碁ニュース

中国の著名な棋戦情報をお伝えします。

中国からの囲碁ニュースを皆様にお伝えします。

棋声人語 [ 2017年4月7日 ]

第3回Mlily夢百合杯総合予選戦

 2012年(平成24年)から、中国では二年に一回行われる本戦64人が参加する世界囲碁オープン戦が次々と創立された。貴州、江蘇、河北三省の企業の賛助により、百霊杯、夢百合杯、新奥杯などが続々と出てきて、今や中国囲碁界で最重要の棋戦となっている。

 この三棋戦は全て総合予選、64強が参加する本戦、準決勝三番勝負及び決勝五番勝負という形式で行われている。ただし、それぞれには微妙な違いがあり、一番違いがはっきりしているのはMlily夢百合杯である。決勝戦の五番勝負は一週間以内で終わらせ、また予選はアマチュア、欧州、北米の棋士が単独の別グループに分けられ実施されている。そして、今年の第3回では破天荒にもワイルドカード枠を囲碁AIに与えられた。そのことで、色々な議論が巻き起こった。

 もし囲碁AIが人間の棋士の試合に参加したら、人間の棋士ないし試合そのものに衝撃を与えることになるのか。これは今のホットな話題である。だが、囲碁AIがもたらした影響はこれだけでない。囲碁AIによる囲碁の技術革新や棋士の心理に与える影響によってトップ棋士たちが無敵でなくなり、若手の無名棋士たちも、だんだん力をつけるようになっている。3月26日から30日まで北京の中国棋院で行われた第3回夢百合杯総合予選の結果が、人々にそのような印象を強く残したのであった。

 44席の本戦出場枠は中韓勢が占めることとなった。それぞれ中国30人、韓国14人が本戦に入った。そんな中、古力九段(34歳)、謝赫九段(32歳)、時越九段(26歳)、范廷鈺九段(20歳)、元晟溱九段(31歳)、金志錫九段(27歳)、李東勲八段(19歳)など、中韓のトップ棋士たちが次々と予選敗退した。そして10代、特に近年入段したばかりの棋士がたくさん本戦に入った。6月19日に開催される予定の第3回夢百合杯本戦は、AIの参加と新人の台頭で、より熱戦が期待される。

大会会場
夢百合製品のイメージキャラクターである黑嘉嘉七段(22歳)は予選突破できなかった。

去年新奥杯で元老棋士の魅力を見せた方天豊八段(54歳、左)だが 韓国の趙漢乗九段(34歳)に惜敗。
於之瑩五段(19歳)など三名の女流棋士が男子グループに参加したが、一人も勝てなかった。

(記事/写真:楊爍)

棋声人語 [ 2017年3月31日 ]

第8回四維数創杯 中国囲碁竜星戦本戦

試合は中国天元囲碁チャンネルスタジオで撮影された。後ほど日本語に訳され日本の囲碁将棋チャンネルで放送される予定。

 囲碁の棋戦で、一番多く採用されているルールはトーナメントである。16人あるいは32人の選手により本戦4回戦から5回戦で、一人の挑戦者が決められる「実力主義」の方式である。だが、竜星戦は例外である。日本の竜星戦において、パラマストーナメント方式で優勝者と優勝者を除く最多勝ち抜き者が進出するという制度が採用されてから、二十年も経っている。中国の竜星戦も第8回からその方式にルール変更となった。このルールを棋士たちや愛好者も新鮮だと感じているらしい。

 具体的に説明すると、22名の本戦に参加する棋士が二グループに分けられ、そして各グループの11人が段位、ランキング点数により、上位から順番に並べられる。棋士は下位から上位に挑戦していく。勝ったら次の上位者との対局となるが、負けたらアウトだ。各グループの最多勝ち抜き者と最後の一勝をした棋士が四強に入る。22名の棋士の内訳は、40代の棋士2人、30代の棋士4人、20代の棋士8人、10代の棋士4人、そして女流棋士2人と前回の優勝者、準優勝者からなっている。

 Aグループでは、劉星七段が若い世代の潮流に立ち向かい、三連勝を果たした。だがその後、李欽誠九段(18歳)の三連勝したため、規定により李九段がAグループの「最多勝ち抜き者」になった。その後、李欽誠は陳耀燁九段(27歳)に敗れ、陳九段は柯潔九段に敗北した。一方、Bグループでは驚きの一幕が上演された。楊鼎新四段(18歳)が二連勝した後、辜梓豪五段(18歳)が8名の強者を相手に勝ち続け、最後まで勝ち抜いた。最終的に4名の10代棋士が四強の枠を全部手に入れることとなった。

第8回四維数創杯 中国囲碁竜星戦 本戦対戦表

A組B組
棋士名勝数棋士名勝数
柯 潔九段1 周睿羊九段 0
陳耀華九段 1 時 越九段 0
柁嘉熹九段 0 芈昱廷九段 0
古 力九段 0 王 檄九段 0
李欽誠九段 3 謝 赫九段 0
周鶴洋九段 0 常 昊九段 0
連 笑七段 0 孫騰宇七段 0
劉 星七段 3 辜梓豪五段 8
童梦成五段 1 鐘文靖五段 0
周賀璽五段 1 李 赫五段 0
於之莹五段 0 楊鼎新四段 2
Bグループでは、辜梓豪が楊鼎新を倒して、勢いよく勝ち進み、最後の一人の周睿羊と対戦した。黒番の周睿羊九段だが、黒49のトビが少々軽率な手で、白50のノゾキから白52と調子で攻められ、白は窮地に陥った。その後、黒59で左辺の黒は生きなければならず、次の白60のツケキリで白優勢がはっきりした。

(記事/写真:楊爍)

棋声人語 [ 2017年3月27日 ]

第16回四川航空杯中国囲碁西南王戦

決勝戦会場、左は檀七段、右は楊五段 (写真提供:sina)

 日本では、日本棋院中部総本部の棋士だけ出場する「王冠戦」や関西棋院の棋士だけが参加できる「関西棋院第一位決定戦」があるが、中国ではこのような地域的な試合は一つしかない。それは四川、貴州、雲南、重慶の四省市チーム選手が出場できる「西南王戦」である。この棋戦は2002年(平成14年)に創立され、2017年に16年目を迎え、四川航空会社の賛助を得た。そのため、棋士が飛行機で四川省成都市に向かう時、空港のアナウンスでわざわざ「西南王戦に出場する棋士のご利用をありがとうございます。」と放送された。

 地域棋戦とはいえ、西南の省市は囲碁チームも多く、トップ棋士もたくさん集まっている。それに加えて、今回は常昊九段(40歳)、時越九段(26歳)、芈昱廷九段(21歳)の三人の世界チャンピオンを特別に招いたので、今回の西南王戦は見どころが満載である。試合は二日間で4回戦のトーナメント方式で行われる。また1手30秒の早碁ルールを採用しているから、番狂わせが起こる可能性も高いといえよう。

 1回戦ではやはりこの間世界チャンピオンになったばかりのスター棋士の唐韋星九段(24歳)が一線から離れている先輩の彭荃七段(33歳)に敗れ、党毅飛九段(22歳)が前回優勝者の楊鼎新五段(18歳)に敗北した。「川江棋童」と呼ばれた古力九段(34歳)も昔の勢いを失い、李翔宇四段(20歳)に倒された。それと比べると、ベテランの常昊九段(40歳)が連勝し四強に入った。準決勝戦では、優勝候補とされる柯潔九段(19歳)が檀啸七段(24歳)に敗れた。
 決勝戦では、また若手に勝利の女神がほほ笑んだ。楊鼎新が檀啸に勝ち、西南王二連覇を果たした。

準決勝で檀啸七段が黒で柯潔九段と対戦。右上で黒17オサエ、白18キリ、ともに効率最大化を求める手段だ。黒35まで眼を作れば、非常に複雑な変化になっている。黒は部分的に両コウで白を取ることができる。中国のプロ棋士たちは何度もネット対局でこのような変化を使って囲碁AIに罠をかけたのだが、今回罠にかかったのは柯九段のようだ。後の進行で抵抗しても全部取られてしまい、局面を逆転しようがなかった。

(記事:楊爍)

棋声人語 [ 2017年3月21日 ]

第29回嫘祖杯名人戦

対局現場(写真提供:sina)

 中国四川省綿陽市塩亭県は「嫘祖の故郷」とされている。塩亭は古代の軒轅黄帝の妃である嫘祖が生まれた場所と言われ、毎年の春には、ここで盛大な先祖祭が行われる。  2017年の3月の初め、「嫘祖古里先祖祭」には初めて囲碁の要素が入ってきた。『人民日報』が主催する中国囲碁名人戦に、今回から塩亭県政府が賛助するようになった。そして、挑戦手合三番勝負が先祖祭の期間に塩亭県で行われた。嫘祖は養蚕の発明者で、それから中国でシルクが使われるようになったと言われている。それに、囲碁も古代の王尧帝が発明したと言われているので、これらの伝説は今回の名人戦に文化的な話題をももたらしてくれた。

 本戦五回戦を経て、三か月前に挑戦権を勝ち取ったのは周睿羊九段(25歳)、その時彼は囲碁AIの打ち方を模倣し、いい成績を収めていた。だが、周九段の連勝はそれからすぐ止められてしまった。天元戦挑戦者決定戦では連笑八段(22歳)に負け、LG杯決勝戦では党毅飛九段(22歳)にも負けてしまった。今回の塩亭では、前回の名人戦優勝者である連笑八段とまた対戦することになり、周九段が感じているストレスは相当だっただろう。

 三番勝負の第一局は、連名人がまず一勝をあげた。そして第二局だが、その対局が行われた日(3月8日)はちょうど周挑戦者の25歳の誕生日だった。彼は誕生日に勝ち、勝負の決着を決勝局まで伸ばした。しかし、3月9日の第三局では、周挑戦者は簡単に収束させれば勝利を収めるのに、狐につかまれたように相手の大石と攻めあって、コウ争い持ち込まれてしまった。コウ自体には勝ったが、結局勝負には負けた。これで、連笑八段はタイトルを守って、名人二連覇を達成した。

第3局で周九段が白番。白は上辺の白には1眼があるので、黒との戦いが有利だと判断していたが、実はそれは重大な誤算だった。コウになり、黒219に打たれた時、白220と一手詰めて本コウにならなければならなかった。結局、後に黒Aのサガリに対して、コウを解消するしかなかったので、続いて黒Bとコスんで渡られ、右辺の大石が憤死することとなった。

(記事:楊爍)

棋声人語 [ 2017年3月13日 ]

2016-2017都市囲碁リーグ戦

大会現場

 近年、中国経済の発展スピードがだんだん緩やかになっている。中国政府は新しい経済の成長点を体育・文化産業に移そうとしている。囲碁においては、2015年に創立された都市囲碁リーグ戦がこのような政策の産物である。この棋戦を創設したのは広西華藍グループの理事長雷翔(59歳)である。彼は囲碁の大ファンで、長い間中国囲碁甲級リーグの構成チームを賛助したこともある。

 都市囲碁リーグ戦は中国囲碁協会ではなく、新しくできた囲碁都市連盟により行われ、各参戦チームが連盟に出資をしている。試合はプロとアマの連合チームで、パソコンで対戦する。各局は序盤(1-60手)、中盤(61-141手)、ヨセ(142-終了まで)の三節に分れ、各節に必ず棋士一人が出場する。そして、一人で何十手を打つというリレー式で試合を進める。また各チームのコーチにはタイムやチェンジの権利がある。各節の間の休憩時間にはチアガールのショーもある。これは囲碁の試合として新しい形式である。

 都市囲碁リーグ戦やその試合規則に関しての論議はいつまでも絶えず、将来どのようになっていくのだろうかと色々と推測されている。2016年に行われた第2回は2017年の2月25日、26日に中国の上海で閉幕し、海外のソウルチームが、都市囲碁リーグ戦の発祥地――広西省の北海チームに勝って優勝した。ソウルチームは申真谞六段(17歳)、申旻埈五段(18歳)などの韓国トップ若手棋士で組まれた。ちなみに北海チームのコーチは中国の元第一人者の時越九段(25歳)であった。そしてこの二日間、主催者は全国各地の囲碁愛好者たちを招いて、チームを組ませ「百団大戦」が行われた。それには千人以上が参加したと言われる。

 表彰式では国家体育総局の新副局長で囲碁担当の趙勇(54歳)が都市囲碁リーグ戦を褒め称え、そして中国囲碁協会は改革をおこしなければならない、行政から離れて、マーケットに入るべきだと宣言し、それに都市囲碁リーグ戦の関係者たちは奮い立った。

(記事:楊爍 写真提供:囲碁天地)

棋声人語 [ 2017年3月2日 ]

第18回農心杯世界囲碁最強戦

優勝した中国チーム。左から連笑、柁嘉熹、范蘊若、柯潔

 第18回農心杯世界囲碁最強戦は例年とは異なった試合展開であった。例年なら、中日韓三国の成績がいつも均衡状態で、とくに中国と韓国の間では、最後にならないと、勝負の行方がなかなか決まらないことが多い。

 だが、今期は中国の先鋒である范廷鈺九段(20歳)が出場した時から、例年と違った展開を見せた。彼は日本チームの先鋒である一力遼七段(19歳)を負かしたあと、六名の日韓トップ棋士に勝ち続けた。勝った相手の中には農心杯で連勝をしたことのある韓国の李東勲八段(18歳)、姜東潤九段(27歳)、金志錫九段(27歳)だけでなく、日本の強豪である張栩九段(37歳)、河野臨九段(36歳)、村川大介八段(26歳)も含まれており、農心杯史上最多連勝記録を塗り換えた。

 2016年11月韓国の釜山で行われた第9局では、韓国チームの主将朴廷桓九段(24歳)が范廷鈺九段の八連勝を全力で阻止した。韓国チームを一勝も取れず三国の中で最下位になるという最悪な局面から救い出した。そして2017年2月21日、第10局が中国の上海で開かれた。朴廷桓は、続いて日本チームの主将井山裕太九段(27歳)を破った。しかし、朴廷桓の前には、中国の范蘊若五段(21歳)、連笑七段(22歳)、柁嘉熹九段(24歳)、柯潔九段(19歳)の四名の強敵が控えている。試合は范廷鈺九段の七連勝のあと、勝負の行方はほぼ決まっているようであった。

 2月22日、長くて平凡なヨセ戦の後、朴廷桓九段はやはり大きなプレッシャーに負け、後半では最適な手順を打ち出すことができず一目半の差で敗北してしまった。今回、中国チームは農心杯四連覇を果たしただけでなく、出場した棋士が二人だけで、そして一人しか負けていないという素晴らしい実績を残した。

朴廷桓九段が黒で范蘊若五段と対戦。ヨセの段階に入ると、白は左上で手抜きしかなかったが、黒177、179の次に黒181と抜きしたのが驚きであった。もし黒がAとハネて、白Bのアタリ、という手順を利かしてから、また181くらいに戻したら、黒が有望となる。実戦白184と一手で欠陥を守られて、勝運が朴の指先から逃げてしまった。

(記事:楊爍 写真提供:sina)



第14回倡棋杯予選戦

 倡棋杯は上海応昌期囲碁教育基金会が主催する伝統的棋戦である。本戦には計30人が出場し、シード選手と予選から本戦進出の選手以外、特別招待の中華台北の棋士一人と女流棋士一人がその中に含まれる。だが、この特別枠以外で倡棋杯が始まって以来、女流棋士が本戦に入ったことはなく、最終予選の段階で1局勝ったことさえなかった。

 2017年の第14回倡棋杯でその状況は変わった。今年、直接特別枠で本戦に入った女流棋士は李赫五段(25歳)である。女子ランキング一位の於之瑩五段(19歳)は予選から冦政岩二段(18歳)、馬光子三段(20歳)、趙中暄二段(17歳)の三名の年が近い男子棋士に勝ち、最終予選に入った。そして、最終予選一回戦で元倡棋杯準優勝者である劉星七段(32歳)に勝利した。於之瑩五段が今回の棋戦で一歩一歩本戦に向けて前進する様子は愛好者たちの話題になっていた。

 2月22日に終わった最終予選決勝戦では、於之瑩五段は囲碁甲級リーグのメインメンバーの許嘉陽五段(17歳)に負け、残念ながら前へは進めなかった。だが、彼女は今回の棋戦で女流棋士の新記録を作り出した。昨年2016年の倡棋杯では特別枠で本戦に入った於之瑩だが、その時は元世界チャンピオン江維傑九段(25歳)に勝った。今年の李赫五段はどんな活躍を見せてくれるのか。第14回倡棋杯本戦は4月19日に行われる予定である。

対局会場
於之瑩五段(右)が劉星七段に勝利した

於之瑩が白番で劉星と対戦した。 白が穏やかな打ち方で、形勢はまだいい勝負だが、於之瑩が自信満々でしっかり局面を把握していた。白152のツケに対して、黒が普通に応じれば僅差で負けること避けられないので、153と割り込んで頑張ろうとしたが、白154から158まで、白の突入を阻止できなかったので、黒は投了した。

(記事:楊爍 写真提供:sina)

棋声人語 [ 2017年2月14日 ]

新世界チャンピオン 党毅飛九段

党毅飛九段 (写真提供:sina)

 2012年(平成24年)、当時の世界棋界はまだ古力九段(34歳)、李世乭九段(33歳)の二人が君臨する時代であった。だが、第4回BCカード杯世界囲碁オープン戦で、1994年生まれ、当時18歳だったある少年が先輩たちを負かした。彼は李世乭九段、朴永訓九段(31歳)などの名将に勝ち続け、決勝戦まで進出し、そこから中国で「10代」、「20代」棋士が棋界の中心となる時代が幕を開けた。

 その少年は中国山西省出身、今四川チームに在籍している党毅飛である。だが、運命があっという間に変わってしまった。第4回BCカード杯決勝戦で韓国の白洪淅九段(30歳)に負けて以来、党毅飛は四年にもわたる低迷期に陥った。中国の同期ないし後輩の棋士たちが次々と優勝していく中、党毅飛は世界棋戦の準決勝戦に入ることさえなかった。

 2016年(平成28年)、党毅飛は誰にも期待されていない状態であったが、第21回LG杯で連戦連勝、何百名のプロ棋士も参加した国際予選を突破し、本戦では中華台北、日本、韓国の新鋭たち、林君諺七段(19歳)、一力遼七段(19歳)、申真谞六段(17歳)に連勝し、中国のベテラン棋士の陳耀燁九段(27歳)にも勝ち、再び世界棋戦の決勝に進出した。そして中国の昇段ルールで、二回世界棋戦の決勝戦に入ったことにより四段から九段に昇段した。

 2月6日、8日、決勝の三番勝負が韓国の華城市で行われた。今回も期待されていなかったが、党毅飛九段は逆境の中で周睿羊九段(25歳)に二局勝って、五年ぶりに悲願を達成し、堂々たる世界チャンピオンとなった。

第21回LG杯決勝戦の二局目、黒の周睿羊九段はもう優勢であったので、白の左上の石を無理にコウにしなくても良い。他のところで利益をとれば勝ちになる状況だった。だが、コウを争っている時に、黒153のアタリが大きなミスだった。(Aのキリでコウを続けるべきだった)。 実戦では、白Bのところを抜かれ、黒上辺の地が大きく損じし、コウ争いも勝てなかった。結局、党毅飛九段に一目半で逆転された。

(記事:楊爍 写真提供:sina)

棋声人語 [ 2017年2月10日 ]

第5回CCTV賀歳杯日中韓新春争覇戦

対局現場

 年に一度の春節休みに、外で一年も働いていた人々も家に戻り、一家団欒を楽しむ。旧正月二日から四日の午後までの間、テレビをつけて、トップ棋士の戦いを楽しみながら、囲碁を教えてくれた父親と昔話でもする。なんという温かい時間だろう。2017年1月29日から31日の中国では、このような光景がいろんなところで見られる。

 「賀歳杯」は中国中央テレビ(CCTV)スポーツチャンネルが2013年に創設した棋戦である。初年度は中国囲碁甲級リーグのMVP棋士と最優秀主将を招いて、オープン戦を開催した。2014年からは中日韓から一人ずつ招待し、三日間にわたる試合を行うようになっている。優勝賞金は80万元(約1300万円)。今の棋界では間違いなく相当な額と言えるだろう。

 今年、日本囲碁界の王者である井山裕太九段(27歳)がやっとスケジュールの苦境から脱出し、初めて賀歳杯に参加した。中国の柯潔九段(19歳)と韓国の朴廷桓九段(24歳)もそれぞれの国のランキング1位である。2017年は旧暦の酉年なので、主催側が抽選を「金卵を叩く」という趣向で行った。棋士たちが槌で叩くと、金卵がパッと割れた。

 1局目では、井山裕太が中国のファンたちに日本一の実力を見せ、柯潔を破った。だが、ホームグラウンドの柯潔は、次に朴廷桓に逆転勝ちし、決勝戦では1局目の雪辱を果たし井山裕太に勝利、2年連続で優勝した。2014年以来、賀歳杯の優勝者は時越九段(26歳)、柁嘉熹九段(26歳)、柯潔九段と、全員が中国棋士であり、春節の間、そのことでも中国の囲碁愛好者たちは喜んでいた。

決勝戦では、井山裕太九段が黒番で、柯潔九段と対戦。黒59のケイマは一見白の大石を封鎖しているように見えるが、白60から62の両ツケの手筋が発動し、白66まで逆に黒を切断した。混乱している中でチャンスを見つけだすのが柯潔九段の強さだ。

(記事:楊爍 写真提供:sina)

棋声人語 [ 2017年1月26日 ]

第31期同里杯天元戦

挑戦者決定戦の対局風景

 中国の最も歴史の長いタイトル戦である天元戦は、2016年1月13日から22日にかけて、北京の中国棋院で第31回の本戦が行われた。中国の旧暦新年を迎える前に開催される最後の試合として、毎年の恒例になっている。

 ただ以前と比べ今年違ったのは、僅かに残された二つの新聞棋戦――名人戦と天元戦が相次いでこの時期に行われたことだ。名人戦で挑戦権を奪い取ったのは周睿羊九段(25歳)である。彼は囲碁の人工知能Master(即ちAlphaGo)が60勝0敗で人間のトップ棋士を勝った後、人間棋士の中で碁の打ち方が一番深くその影響を受けた人とされていて、「人間AlphaGo」、「アルファ羊」というあだ名までつけられている。名人戦で挑戦権を手に入れた周睿羊は、天元戦においても党毅飛九段(22歳)、安冬旭六段(24歳)、毛睿龍五段(26歳)、古力九段(33歳)を続々と倒し、挑戦者決定戦に進出した。

 面白いことに、周睿羊が天元戦本戦の最後の一局で対戦したのは、ちょうど名人戦で挑戦する連笑名人(23歳)であった。連笑は、2016年に公布された新しい中国昇段規則に恵まれて、1月16日に行われた天元戦十六強戦で範胤五段(19歳)に勝ち、中国囲碁界では11年ぶりの新八段になった。さて挑戦者決定戦だが、周睿羊は再び「Master序盤」を使ったが、局部で連笑に待ち伏せ攻撃されたため、2016年11月21日から続いていた11連勝は終わることとなった。

 連笑八段は今年の4月に江蘇省呉江市同里鎮にて、陳耀燁天元(27歳)に挑戦する予定。ちなみに陳天元は現在八連覇を成し遂げている。

挑戦者決定戦は周睿羊九段が黒番。黒5にカカった後、黒7と二間にヒラくのは「Master」流である。連笑八段は白14、16で激戦を誘って、白22のサガリが強い一手であった。その後難しい戦いを経て、右下黒の3子がなんと全て殺されてしまい、早々の損で黒の敗北となった。

(記事:楊爍 写真提供:sina)

棋声人語 [ 2017年1月18日 ]

第29期嫘祖杯名人戦

挑戦者決定戦は人民日報インタネット部本部で行われた

 『人民日報』が主催する第29期中国囲碁名人戦が、2016年12月24日に北京にて開幕した。32名の棋士が5回戦を戦い、前回の優勝者連笑七段(22歳)への挑戦者が選ばれる。そして、今回の名人戦決勝手合は三番勝負で行われる。

 5回戦によるトーナメント本戦は年を越して行われた。2016年12月24日、26日に第1回戦と第2回戦、2017年1月6日、10日、12日は第3~5回戦が行われた。ちょうど冬で流行病が多発する時期ということもあり、范廷鈺九段(20歳)、柯潔九段(19歳)が水疱瘡と腸閉塞にかかり、それぞれ第1回戦、第3回戦で不戦敗による敗退となった。

 そして名人戦が行われている間、世界囲碁界で大きな出来事が起こった。グーグル傘下のDeepMind社によって開発された囲碁の人工知能「AlphaGo」の改良版が「Master」というハンドルネームを使い、中日韓三国のトップ棋士と対戦し、60戦全勝を収めた。「Master」の布石の打ち方は人とずいぶん違っているが、成績があまりにも優秀なので、人々もだんだんその打ち方を学び始め、また、プロの中でも流行布石を大きく変えることになった。1月10日、12日の準決勝と挑戦者決定戦の対局は明らかに「Master」に影響されていた。

 最後に挑戦権を手にしたのは周睿羊九段で、2017年3月の始めに賛助してくれる四川省塩亭県で連笑七段との挑戦手合をたたかう行う予定である。

周九段が黒で芈九段と対戦、黒5、白6の大ゲイマシマリ、白8の二間ビラキ、白12のカタツキ、これらは標準的なMasterの打ち方だった。

(記事:楊爍 写真提供:sina)



2016利民杯世界星鋭最強戦総決勝戦

芈九段がトロフィーを手にした。

 中国棋院杭州分院が主催する利民杯世界星鋭最強戦は20歳以下の棋士が参戦する舞台である。だが、中国では20歳以下の棋士の実力が猛スピードで向上しており、芈昱廷九段(20歳)、范廷鈺九段(20歳)、柯潔九段(19歳)は皆世界チャンピオンである。それ故に、この棋戦はただの新鋭戦という意味だけでなくなっている。特に彼らが出場する本戦は、世界最高レベルの棋士が集まっているようにも見える。

 芈九段、范九段、柯九段が出場するゆえ、本戦の日時がなかなか決まらない。いろいろ調整した結果、2016年12月31日から2017年1月4日にかけて、行われることになり、「年越し戦」になった。本戦に参加する32名の棋士は、中国18人、韓国8人、日本3人、中華台北1人、ヨーロッパ1人、北米1人である。半分は各国・地域の指定シード選手で、半分は2回行われた選抜戦で勝ち抜いた選手である。

 いくら世界チャンピオンとはいえ、新鋭戦では相手を震え上がらせるという効果はなかったようだった。「生まれたばかりの子牛は虎をも恐れない」というが、范廷鈺九段、柯潔九段が第2回戦で卞相壹六段(18歳)、申旻埈五段(17歳)に敗れた。ちなみに、前回、前々回の星鋭戦優勝者も一番有名だとはいえない童夢成六段(20歳)と辜梓豪五段(18歳)だった。

 そんな中、今回は芈昱廷九段が世界チャンピオン経験者としてのプライドを守り切った。彼は難儀しながらも中国の廖元赫五段(16歳)、日本の芝野虎丸三段(17歳)、韓国の偰玹准三段(17歳)、中国の黄雲嵩六段(19歳)を負かし、決勝戦では四つ年下の韓国の申真諝六段(16歳)に勝利を収めた。2017年1月8日は芈昱廷九段の誕生日で、彼は1つをとる寸前に初めて星鋭戦のチャンピオントロフィーを手にした。

芈昱廷九段は今回の試合を振り返って、まず第2回戦の芝野虎丸三段との対局に言及した。黒137下ツケの時に、芝野三段がAのところに打っていたら、黒の大石が生きられないと言った。だが、実戦では白138が守っただけ、黒が危うく逃げた。運がいい一局としか言えない。

(記事/撮影:楊爍)

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