日本囲碁ニュース (棋聖戦)
日本の囲碁ニュース・棋戦情報をお伝えします。
日本で行われている囲碁のイベントや棋戦情報を皆様にお伝えします。
囲碁ニュース [ 2025年3月11日 ]
棋聖戦、最終局へ

一力遼棋聖の2勝3敗で迎えた第49期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)の第6局が、3月6、7の両日、神奈川県箱根町の「ホテル花月園」にて打たれた。黒番の井山が優勢の時間が長かったが、手所で勝ちを逃し、一力が的確に咎めて劇的な逆転勝ちを収めた。本局は、両者の気合いがぶつかり合う難戦となった。序盤から井山が積極的に仕掛け、互いに難しい手を選択していく。一日目は形勢が揺れた。二日目は、各所に確定していない形を残しつつ、判断の難しい混戦の中、井山が抜け出し優勢を築く。一力は「白としてはかなり大変な形勢だと思っていた」と振り返る。だが、その後の右下の攻防で粘り強く打ち、井山は「少しいけそうなのかなと思っていたのですが、出来上がりは少し甘かった」と反省。その後、下辺で事件が起きた。左下隅の黒を生き、さらに下辺と左辺のどちらかの黒も生きる道があったようだ。この図を逃し、下辺も左辺も取られて逆転を許す。左辺と左下隅を振り替わったが形勢は動かず、白番の一力が2目半勝ちとなった。カド番の状況を2連勝でこらえ、最終局に持ち込んだ一力は「ひとまず、ここまでこられたのはよかったです。すぐ来週ありますので、しっかり準備してがんばりたい」、井山は「気持ちと体調を整えて精一杯臨みたいと思います」と語った。最終局となる第7局は、3月12、13の両日、山梨県甲府市の「常盤ホテル」にて打たれる。
囲碁ニュース [ 2025年2月28日 ]
一力棋聖が2勝目。カド番をしのぐ

一力遼棋聖1勝、挑戦者の井山裕太王座3勝で迎えた第49期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)の第5局が、2月26、27の両日、千葉県勝浦市の「三日月シーパークホテル勝浦」にて打たれた。カド番に追い詰められた一力は「こうなったら、とにかく一局一局勝っていくしかないので、今の自分にできるベストを出せるように頑張ります」と臨んだ。一日目は、黒番の一力が積極的に仕掛け、下辺でポイントを上げると、井山が左辺の折衝で盛り返し、いい勝負が続いた。だが、井山が左辺のコウを解消して黒に右辺の連打を許してから、流れが一力に傾いていく。二日目、井山の封じ手に対し、一力は右辺を受けずに中央を補強して力を蓄えると、読みの入った強手から右下の白を攻め、各所で得をして一気に優勢を築いた。新聞解説の芝野虎丸九段は「白が絶望的な形勢」と評し、立会いの張栩九段も「早い終局もあるかもしれない」と語った。だが、ここから井山が驚異的な粘りを見せ、右上隅の勝負手から半目勝負に持ち込む。難解なヨセの中、井山にも勝機があったようだが、一力が逃げ切って1目半勝ちを収めた。1勝を返した一力は「カド番である状況は変わらないので、引き続き頑張ります」、井山は「次局も精一杯準備したい」とそれぞれ抱負を語った。井山が勝って決着をつけるのか、一力が勝って最終局に持ち込むのか。第6局は3月6、7の両日、神奈川県箱根町の「ホテル花月園」にて打たれる。
囲碁ニュース [ 2025年2月18日 ]
井山、棋聖復冠に王手

第49期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)の第4局が、2月12、13の両日、静岡県熱海市の「熱海後楽園ホテル」にて打たれた。ここまでの戦績は一力遼棋聖が1勝、挑戦者の井山裕太王座が2勝。一力が勝って星をタイに戻すのか、井山が勝って復冠に王手をかけるのか――シリーズの流れを決める一戦に注目が集まった。
一日目は、黒番の井山が左辺で厳しい手を放ちペースをつかむ。だが、「やれていると思っていたが、少しぬるい手が続いて黒も薄くなってしまった」と井山。一力も「苦しかったが、封じ手あたりまでには少し戻したかなと思っていた」と振り返った。二日目に入ると局面は難解を極め、AIの勝率も乱高下する大激戦となる。井山は左下の白の大石を召し取るが、振り替わりとなった上辺の黒の大石の死活に誤算があったようだ。無条件死にとなり首を傾げ、局後も「上辺が全部取られてダメにしたのかなと思った」と語った。一力優勢のままヨセに入り、このまま逃げ切るかと思われたとき、井山の惑わせる一手が一力のミスを誘った。YouTube解説の蘇陽国九段は「白が5目ほど損をして逆転。黒が1目半ほどよくなりました」と解説する。その後、一力が勝負手を放つが井山が冷静に対応して差が広がり、井山が黒番4目半勝ちを収めた。大きな3勝目を掴んだ井山は第5局に向け「いいコンディションで臨めるよう準備していきたい」、カド番に追い詰められた一力は「本局は終盤で乱れてしまったので、次局は最後まで集中して打てるよう頑張りたい」とそれぞれコメントを残した。第5局は2月26、27の両日、千葉県勝浦市の「三日月シーパークホテル勝浦」にて打たれる。
囲碁ニュース [ 2025年2月10日 ]
棋聖戦、井山が2勝目

一力遼棋聖に井山裕太王座が挑戦する第49期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)は、1月25、26の両日に栃木県日光市の「日光千姫物語」にて打たれた第2局に続き、第3局が、2月5、6の両日、一力の故郷である宮城県仙台市の「宮城県知事公館」にて打たれた。第2局は、井山優勢の時間が長かったものの、粘り抜いた一力が逆転勝利し1勝1敗のタイに。第3局も井山が左上の攻防でわずかにリードを奪う展開となった。2日目に入り、劣勢を意識した一力が中央の弱い黒石を動き出し、局面は険しさを増した。「判断がつかないまま打っていた。逃げられてみると白もどう対応してよいかよくわからなかった」と井山は振り返る。黒の中央の大石に対して、決定的なチャンスがあったようだが、井山がこれを逃し、一力が大石を生きて形勢を盛り返す。だが、大石を生かして右上の三々に向かった井山の判断も誤りではなかった。「三々に対して、もっと違う受け方があったか……実戦はまずかった」と一力。三々からの攻防の中、右辺の黒を取って井山が勝負を決め、一力を投了に追い込んだ。2勝1敗とした井山は「引き続き、コンディションに気をつけて、自分なりにベストを尽くしたいと思います」、敗れた一力は「ちょっと判断が難しい展開が多くて……もう少し内容のいい碁を打てるように頑張りたいと思います」とそれぞれ抱負を語った。第4局は、2月12、13の両日、静岡県熱海市の「熱海後楽園ホテル」にて打たれる。
囲碁ニュース [ 2025年1月21日 ]
棋聖戦、井山先勝

一力遼棋聖に井山裕太王座が挑戦する第49期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)が開幕した。昨年、一力は棋聖、天元、本因坊に名人を加え、井山は王座、碁聖に十段を加えた。「四冠」対「三冠」の頂上決戦は、史上初。文字通り二強による第1局は、1月16、17の両日、東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で打たれ、超難解な激戦を制して、井山が白番中押し勝ちを収めた。本局はまず、右上の攻防が見所となった。右辺と上辺の振り替わりとなるも、井山が捨てたかに見せた右辺の白石を動き出し、一力が封じて一日目を終える。二日目には戦いが全局に広がり、互いに弱い石をいくつも抱えながら、攻めかシノギかを探り合い、焦点が絞りづらい展開。一力が右辺の白を取り、上辺の黒をシノぐものの、地合いでは白がリードしており、右下と中央の弱い白のシノギ勝負となる。井山は、右辺の白の生還を見ながら右下をシノいで勝勢を築くが、中央で二度生きるチャンスを逃し、一気に差が詰まる。だが、ヨセで再びリードを広げ、一力を投了に追い込んだ。井山は、「黒地が大き過ぎるので右辺を動き出すしかなかったが、白も全局的に薄く成算はなかった。上辺の攻防も、どう決着するか全く先が見えず一手一手打っていくしかなく、判断はついていかなかった」、一力は「一日目から、お互いに確定していないところがあって、どういう方針でいけばいいかあまり分かっていなかった。二日目も少し難しくなったかなと思ったが、いろいろ正しく想定できていなかった」と難戦を振り返り、「引き続き、自分なりに精一杯準備して臨みたいと思います」(井山)、「またすぐ来週ありますので、しっかり切り替えてやっていきたいと思います」(一力)と、それぞれ次局への抱負を述べた。第2局は、1月25、26の両日に栃木県日光市の「日光千姫物語」で打たれる。