日本囲碁ニュース (十段戦)
日本の囲碁ニュース・棋戦情報をお伝えします。
日本で行われている囲碁のイベントや棋戦情報を皆様にお伝えします。
囲碁ニュース [ 2024年5月7日 ]
井山、十段位を6期ぶりに奪還
第62期大和ハウス杯十段戦(大和ハウス工業株式会社特別協賛。産経新聞社主催)五番勝負の最終局が、4月30日、千代田区の日本棋院東京本院で打たれ、挑戦者の井山裕太王座が、芝野虎丸十段に白番中押し勝ちをおさめ、6期ぶり6回目の十段位を獲得した。序盤、右上で珍しい進行となる。これを、井山は局後「少し考えたことがあって、やってみようかなくらいのことだったのですが、後の黒からのサガリが厳しく、どちらかというと、白の対処が難しい碁になってしまった」と振り返った。中盤以降も険しい戦いが続き、黒番の芝野の優勢な時間が続いたが、井山の「下辺を減らしにいかないと自信がなかった」という「勝負手気味」の手が奏功する。芝野は「下辺に入ってこられて、攻めが続かず、損をしたかっこうになったので、そこではっきりダメにした」と振り返った。その後、大きなコウ争いで、コウダテの尽きた芝野がコウを解消するが、右上を連打して白の大石を生還させつつ黒石を取り、勝敗が決した。井山は王座、碁聖に十段を加えて三冠となり、七大タイトル獲得を歴代1位の「通算60期」の大台に乗せた。局後の井山は、「(その記録は)全く知りませんでしたし、意識も全くありませんでした。一つ一つ積み重ねてこられてよかったなと思います」と静かに語った。
囲碁ニュース [ 2024年4月16日 ]
井山タイに戻し、十段戦最終局へ
2勝1敗で迎えた第62期大和ハウス杯十段戦(大和ハウス工業株式会社特別協賛。産経新聞社主催)の五番勝負は、第4局が4月15日に大阪市の日本棋院関西総本部にて打たれた。ここまで芝野虎丸十段の2勝1敗。挑戦者の井山裕太王座にはあとがない。序盤を井山は「右下が…全く研究不足で、経験がなかった。後退させられているようでは、はっきりおかしくしたのかなと思った」と振り返る。左上でも黒番の芝野がポイントをあげ、わずかながらも黒リードの局面が続いた。だが、その後の左辺の攻防で井山が逆転する。井山は「その前からすると少し得をしたと思った。感触としては悪くないのかなと思っていた」、芝野は「左辺は黒が渡ったあたりでは難しいと思っていまして、でも簡単につながられてしまったので、そこで形勢ははっきりおかしくしていたような気がします」と振り返る。本局は、その後にクライマックスが待っていた。一見、手があるようには思えない右辺に、井山が手をつけていく。「はっきり読み切れていたわけではないのですが、少し得できれば地合いでいけそうかなと思い」と井山。芝野は「右辺が大きくまとまれば、それなりに細かいかなと思っていたんですけど、(手をつけられて)あまりいい打ち方が見えなかったので、形勢としては苦しかったのかなと思います」と脱帽する。見事に右下の黒を仕留めて芝野を投了に追い込み、決着は最終局に持ち込まれた。芝野は「いつもと変わらず、集中していきたい」、井山は「とにかく、自分なりに悔いのないようにコンディションを整えて臨みたい」と語る。第5局は、4月30日、千代田区の日本棋院東京本院で打たれる。
囲碁ニュース [ 2024年4月9日 ]
芝野が十段戦2勝目
芝野虎丸十段が先勝し、挑戦者の井山裕太王座がタイにして迎えた第62期大和ハウス杯十段戦(大和ハウス工業株式会社特別協賛。産経新聞社主催)の五番勝負第3局が、4月4日、長野県大町市の「ANAホリデイ・インリゾート信濃大町くろよん」で打たれた。中盤までのリードを守り切った芝野が白番中押し勝ちを収め、防衛まであと1勝とした。芝野は「序盤から経験のない形で判断できずに打っていた」と振り返る。その後、井山が下辺の白の攻めに向かったのに対し、芝野は手を抜いて先に左辺の黒を攻め、先手を取って下辺の守りに向かう。このあたりから、やや流れが白に傾いたようだ。中盤戦に入り「中央のポン抜きを打てたあたりで、少しよくなったかなと思いました」と芝野。井山も「ポン抜かれる前で、少し丁寧に打たなければいけなかった」と振り返った。後半、井山は追い上げを見せたものの、足りないと判断して投了を告げた。次局に向け、芝野は「結果はあまり気にせず、精一杯頑張りたい」、井山は「よいコンディションを作れるように精一杯やりたいと思います」とそれぞれ抱負を語った。第4局は、4月15日に、大阪市の日本棋院関西総本部にて打たれる。
囲碁ニュース [ 2024年3月26日 ]
十段戦は、1勝1敗に
芝野虎丸十段が先勝して迎えた第62期大和ハウス杯十段戦(大和ハウス工業株式会社特別協賛)の五番勝負は、第2局が千代田区の日本棋院東京本院にて3月25日に打たれ、挑戦者の井山裕太王座が白番中押し勝ちを収めた。両者が「経験のない形」と語った序盤は互角に進行したが、黒番の芝野が左下に向かった手に、井山が手抜いて中央の石を動いたあたりで形勢が白に傾いた。「判断が難しい部分もあった」と芝野は振り返る。直後の芝野の攻めを、井山がコウに持ち込み、逆に黒5子を取って下辺が治まる。この時点で「地合いではがんばっているかなと思った」と井山。一方芝野は、「中央の白の大石がどのくらい強いのかがよくわかってなかったので、(形勢は)難しいかなと思っていた」と言う。だが、その白の大石に襲いかかったものの「結局あっさり逃げられてしまったので、もうそのあたりでダメにしてしまったかなと思います」と芝野。優勢を広げた井山は、その後も最強手を選び、上辺を手にして芝野を投了に追い込んだ。芝野は、3月16日に北京から帰国し、翌17日に「プロ棋士ペア碁選手権2024」で優勝。翌18日に再び北京入りし、「春蘭杯世界囲碁選手権」で世界タイトル経験者2名を破り準々決勝に進出(準々決勝戦は12月の予定)という活躍を見せていた。ハードスケジュールの疲労もあったと思われるが、本局は井山の快勝だった。1勝1敗のタイに戻した井山は「すぐに次がありますので、自分なりにコンディションを整えて臨めればと思います」、芝野は「本局は内容があまりよくなかったですけど、また切り替えて、また次も集中して打てたらと思います」と抱負を語った。第3局は、4月4日、長野県大町市の「ANAホリデイ・インリゾート信濃大町くろよん」にて打たれる。
囲碁ニュース [ 2024年2月28日 ]
十段戦開幕。芝野が先勝
芝野虎丸十段に井山裕太王座が挑戦する第62期大和ハウス杯十段戦(大和ハウス工業株式会社特別協賛)の五番勝負が開幕した。芝野は連覇(通算3期目)、井山は復冠(通算6期目)を期してのシリーズとなる。両者はそれぞれ「一日制の番碁で顔を合わせるのは久しぶりなので、どんな碁になるか楽しみ」と語り、芝野は「結果を出し、相性のいい棋戦にしたい」、5年ぶりに十段戦登場の井山は「AIによっていろいろなことが変わってきています。どこで自分らしさを出すかがポイントになる」とシリーズの抱負を語った。第1局は、2月27日に大阪府の「大阪商業大学」で打たれた。序盤、左下の折衝を終え、芝野は「苦しいと思っていた」と振り返る。だが、その後、井山の最強手に芝野が的確に応じて流れが変わる。井山も「分断していったのが、無理気味だった」と振り返った。井山の攻めは続かず、「中央の白をしのげば、形勢は悪くないかなと思っていた」と芝野。逆に中央の黒が攻めの対象となる。井山は実利を取りシノギ勝負に出たが、上辺の黒と絡まれ、芝野が上辺を仕留めて井山を投了に追い込んだ。井山は29日からの棋聖戦第5局(読売新聞社主催)が控える過密日程ゆえ、体調管理も大事になりそうだ。十段戦第2局は、千代田区の日本棋院東京本院にて3月25日に打たれる。