中国囲碁ニュース

中国の著名な棋戦情報をお伝えします。
中国からの囲碁ニュースを皆様にお伝えします。

棋声人語 [ 2022年4月27日 ]

新鋭団体戦で中国が優勝

最終戦対局現場。
左から周六段、屠六段、王六段。

 20年ほど行われてきた四都市新鋭対抗戦は、日本の菊池康郎氏(1929-2021)、中国の呉玉林六段(75歳)、韓国の許壮会九段(67歳)により提唱された。だが今は、菊池氏がこの世を去り、呉六段も許九段も引退したため、この棋戦は5年前に中止されることとなった。

 2022年3月3日から5日、韓国棋院は韓国議政府市と協力して新たな国際新鋭対抗戦を創立した。各チームはそれぞれ3名のみの参加となる。四都市戦の8名よりはるかに少ないが、若手棋士にはとっては交流の場が増える。特に現在はコロナの影響によりネット対局が多い中で珍しい取り組みだ。

 近年の国際棋戦で中国チームが負け続けていたため、今回は屠暁宇六段(18歳)、王星昊六段(18歳)、周泓余六段(19歳)の最強メンバーを派遣した。韓国チーム、日本チーム、中国台北チームとの対戦で中国チームは実力を存分に発揮し、全勝という素晴らしい成績で優勝を収めた。

  2位は韓国チームだ。日本チームの福岡航太朗三段(16歳)は試合前に発熱したため、中国台北チームとの第1回戦は棄権負けとなった。結果、日本チームは四位となった。しかし、新星の仲邑菫二段(13歳)が女子世界チャンピオンの周泓余六段との対局で逆転勝ちを収め、今棋戦最大の話題となった。

( 記事/写真:易非 )

棋声人語 [ 2022年4月14日 ]

羋昱廷 七年ぶりに「天元」再挑戦

 天元戦は、中国で最も歴史のある新聞棋戦だ。中国囲碁界では数少ないコロナ感染の影響を受けず続いてきた棋戦でもある。その第36回は2020年2月14日に行われ、計49名の棋士が天元戦に参加した。前回の優勝者辜梓豪九段(24歳)は、挑戦手合いの三番勝負で挑戦者を待ち受ける。残りの48名は全6回のトーナメント戦で一枠しかない挑戦者を奪い合う。

 群雄は天下を争う。中国のトップ棋士たちによる戦いが幕を開けた。LG杯の決勝戦で痛手を負ったばかりの楊鼎新九段(23歳)は出場するや否や、すぐさま范胤八段(24歳)に負けてしまった。一方、あまり注目されていなかった韓一洲八段(24歳)が、もと天元の陳耀燁九段(32歳)、連笑九段(27歳)に連勝した。「強者は常に強者でいる」というのは囲碁界では通用しない。

 中国の第一人者柯潔九段(24歳)は伊凌涛八段(21歳)、李維清九段(21歳)、范廷鈺九段(24歳)、謝科九段(22歳)に勝ち、8年ぶりに天挑戦者決定戦に勝ち進んだ。8年前の柯潔はまだ駆け出しの棋士であった。陳耀燁に挑戦し敗北してから、何年もの間天元戦に出場していない。もう一方では、羋昱廷九段(26歳)が檀嘯九段(28歳)、江維傑九段(30歳)、彭立堯八段(30歳)、柁嘉熹九段(31歳)を負かし、さらに3月2日の挑戦者決定戦では、柯九段を破り挑戦者の座を勝ち取った。

 偶然にも、2014年に柯潔が陳耀燁に挑戦し失敗したが、翌年の2015年にちょうど羋昱廷が天元の挑戦権を手に入れた。しかし、柯潔も羋昱廷も、陳耀燁の天元8連覇のわき役でしかなかった。7年ぶりの天元決勝戦、羋九段は辜九段との対局でどれほどの勝算を持っているだろう。

図1:試合の前3回はネット対局を採用した。
図1:試合の前3回はネット対局を採用した。
図2:挑戦者決定戦現場。
図2:挑戦者決定戦現場。
図3:羋昱廷九段。
図3:羋昱廷九段。
図4:柯潔九段。
図4:柯潔九段。

( 記事/写真:易非 )

棋声人語 [ 2022年3月22日 ]

LG杯と農心杯で中国が敗北

 毎年の旧暦正月前後は、韓国が主催する二つの世界棋戦――LG杯世界棋王戦と農心杯世界団体戦――の優勝者が決まる時期である。2022年も例外ではない。2月7、9日に第26回LG杯の決勝戦が中国の楊鼎新九段と韓国の申真諝九段の間で繰り広げられた。そして、2月21日―26日に第23回農心杯の第3段階が引き続きネットで行われた。

 去年の今頃は、柯潔九段(24歳)がLG杯の決勝戦で申旻埈九段(23歳)に逆転されていた。また、農心杯では主将戦で申真諝九段(21歳)に敗れた。1年が過ぎた今、今回のLG杯決勝戦に入ったのは楊鼎新九段(23歳)だ。農心杯で陣営を守るのは羋昱廷九段(26歳)と柯潔九段だ。一方、迎え撃つのはたった一人の韓国棋士、申真諝九段だ。

 コロナが発生して以来、申真諝九段は確実に実力を上げてきている。勝率、状況判断力、対局に臨む姿勢、どれをとっても韓国の第一人者としてふさわしい。数で見れば中国棋士のほうが多い。申真諝九段の無敵ぶりは、まるで20年前の李昌鎬九段(45歳)が再臨したようだ。昔の囲碁ファンにとってもあの時の光景が蘇る。

 LG杯では、楊鼎新九段は万全の状態で試合に臨んだ。決勝戦の1局目では、好調な出だしとなったが、ちょっとしたミスであっという間に逆転されてしまった。2局目でもチャンスをつかむことなく、0:2で負けてしまった。一方、農心杯では、申真諝九段はかつての李昌鎬九段の無双をそのまま再現した。韓国チームは、申真諝九段しか残っていない状況で、羋昱廷九段、余正麒八段(26歳)、柯潔九段、一力遼九段(24歳)に連勝し、たった一人で韓国チームを守った。

図1:2019年のLG杯で世界チャンピオンの夢をかなえた楊鼎新九段。2022年のLG杯では準優勝に甘んじた。
図1:2019年のLG杯で世界チャンピオンの夢をかなえた楊鼎新九段。2022年のLG杯では準優勝に甘んじた。
図2:羋昱廷九段と申真諝九段の対局では、またもやタイムオーバーの事故が起きた。2時間の交渉の末、中韓双方の話し合いは膠着状態となった。そこで、韓国棋院は第三者の日本棋院に判決を依頼した。日本棋院は、翌日の再試合を提案した。結果は、申九段が勝利を収めた。
図2:羋昱廷九段と申真諝九段の対局では、またもやタイムオーバーの事故が起きた。2時間の交渉の末、中韓双方の話し合いは膠着状態となった。そこで、韓国棋院は第三者の日本棋院に判決を依頼した。日本棋院は、翌日の再試合を提案した。結果は、申九段が勝利を収めた。
図3:申九段に敗れた柯潔九段は、申九段に敬意を表し、「(コミ無しで)どの棋士に先手を譲っても大丈夫だ」と評価した。
図3:申九段に敗れた柯潔九段は、申九段に敬意を表し、「(コミ無しで)どの棋士に先手を譲っても大丈夫だ」と評価した。

( 記事/写真:易非 )

棋声人語 [ 2022年3月11日 ]

杭州の二大英雄、囲碁甲級リーグ戦で激突

 2021華為携帯杯中国囲碁甲級リーグ戦のポストシーズンは、コロナの影響で2021年11月から2022年の1月に延期となった。次年度に跨った囲碁甲級リーグ戦は史上初。ポストシーズンでは、浙江省杭州市の二チームはどちらも勝ち進んだため、決勝戦で激突した。決勝戦では、蘇泊爾杭州チームの主将、申真諝九段(21歳)が龍元明城杭州チームの丁浩九段(21歳)に勝利したことにより、蘇泊爾杭州チームの囲碁甲級リーグ戦5度目の優勝が実現した。

 今回の中国囲碁甲級リーグ戦は4段階に分けられた。すべての対局は浙江省湖州市長興県で行われた。3段階合計15試合のレギュラーシーズンが終わると、1-8位が優勝争いを、9-16位が降格をかけた戦いを繰り広げた。1ポイントでも雲泥の差となる。1ポイントで優勝圏内ということもあれば、1ポイント足りないことで甲級リーグから降格する可能性もある。今回の幸運なチームは8位の山東チームだろう。一方で9位の重慶チームは不運な結果となった。8位の山東チームも9位の重慶チームも優勝にも降格にも程遠い。乙級に降格したのは、去年乙級から甲級に上がった北京棋院チームと洛陽チームだ。ほかの囲碁甲級リーグの強豪にあと一歩届かなかった。

 前回の優勝チームである江西チームは、4強戦で龍元明城杭州チームに敗れた。また、予想外にも柯潔九段(24歳)が率いる民生クレジットカード北京チームも江蘇チームに敗れた。レギュラーシーズン1位の成都チームは、優勝を期待されたが、もっとも活躍を期待されていた助人選手の朴廷恒九段(29歳)が最重要局面で、龍元明城杭州チームの金禹丞四段(17歳)と丁浩九段に敗北してしまった。成都チームはまたもや決勝戦まであと一歩のところで敗退してしまった。

 1月20日に決勝戦が行われた。蘇泊爾杭州チームが5:3で勝利した様は、まるで2019年の杭州地元チームの対決を再現したようだ。まさしく囲碁甲級リーグ戦の新世代王者である。優勝賞金は100万元(約1920万円)だ。

図1:ポストシーズンの対局現場。
図1:ポストシーズンの対局現場。
図2:試合後の記者会見。
図2:試合後の記者会見。
図3:日本からの助人選手一力遼九段(24歳)は降格がかかった戦いで、中国の主将柁嘉熹九段(31歳)に勝ったが、チームメンバーの敗北で彼がいる洛陽チームは降格になった。
図3:日本からの助人選手一力遼九段(24歳)は降格がかかった戦いで、中国の主将柁嘉熹九段(31歳)に勝ったが、チームメンバーの敗北で彼がいる洛陽チームは降格になった。
図4:蘇泊爾杭州チームのスポンサー蘇顕沢(53歳)が、チームメンバーの連笑九段(27歳)の検討に注視している。
図4:蘇泊爾杭州チームのスポンサー蘇顕沢(53歳)が、チームメンバーの連笑九段(27歳)の検討に注視している。

( 記事/写真:易非 )

棋声人語 [ 2022年3月2日 ]

羋昱廷九段 棋王戦優勝により2022年開幕

 2003に創立された威孚房開杯中国囲碁争覇戦は伝統的な棋戦だ。2020年、新型コロナにより1年間中止となったが、2021年7月に再開され第17回が行われた。優勝賞金は15万元、準優勝賞金は6万元(約270万円、11万円)である。

 北京、杭州にてオンラインで8強が決まった後、コロナの影響で第17回威孚房開杯は何度も延期された。2022年1月5日、ついに江蘇省の無錫市で本戦が行われた。7日間にわたる戦いは無事閉幕した。本戦の5ヶ月ほど前に范胤八段(24歳)、廖元赫八段(22歳)に勝利した羋昱廷九段(25歳)は、8強戦で最も勢いのある丁浩九段(22歳)に勝利した。「大棋士戦」での仇を打ち、棋王戦の最難関を突破した。

 準決勝、決勝は順調に勝ち進んだ。童夢成八段(25歳)、楊楷文八段(24歳)に勝ち、羋九段は初の威孚房開杯優勝を経験した。羋九段にとって今期の優勝は長い道のりとなった。棋王に挑戦するのはこれで3度目だ。2016年、2019年と2度も準優勝に甘んじて、今期ついに悲願の優勝を収めた。さらに、羋九段は江蘇省出身の棋士として、地元での優勝にも貢献した。

図1:羋昱廷九段が優勝カップを捧げる。
図1:羋昱廷九段が優勝カップを捧げる。
図2:決勝戦会場。
図2:決勝戦会場。

( 記事:易非 / 写真提供:sinaサイト )

棋声人語 [ 2022年2月28日 ]

「大棋士」丁浩九段 2021年を終わらせる

 2021年の年末、広東省深圳市で新しい棋戦が誕生した。中国囲碁協会はこの棋戦を「大棋士戦」と名付けた。コロナ感染の影響で、第1回大棋士戦に参加するのはランク上位の32名の棋士だけだ。棋戦は12月24日から30日の短い期間で行われた。棋戦の1回戦、2回戦は北京、広州にてオンライン・オフライン両方で行われた。8強戦からは深圳で行われる。優勝賞金は50万元、準優勝賞金は20万元(約900万円、360万円)である。

 丁浩九段(22歳)は2021年後半から、突如頭角を現した。2000年生まれの「七小龍」の中でも特に活躍しており、倡棋杯、国手戦と立て続けにタイトルを獲得した。第1回大棋士戦で丁九段は伊凌濤八段(22歳)、党毅飛九段(27歳)、戎毅八段(27歳)、彭立堯八段(29歳)に連勝し、決勝戦へと勝ち進んだ。

 2021年ではもう一人注目すべき棋士がいる。天元戦・阿含・桐山杯・竜星戦の「三冠王」である辜梓豪九段(23歳)だ。2021年最後の棋戦である「大棋士戦」では、辜九段は謝爾豪九段(23歳)、趙晨宇九段(22歳)、童夢成八段(25歳)と羋昱廷九段(25歳)を打ち破り、「大棋士」というタイトル獲得まであと一歩のところまで来ていた。

 決勝戦は丁九段の完勝で幕を閉じた。丁九段は2021年中国囲碁界の「三冠王」となり、辜九段と同数のタイトルを獲得した。柯潔九段(24歳)は2021年では棋聖戦とCCTV杯で優勝したが、大棋士戦では1回戦で、陳耀燁九段(32歳)に負けてしまった。

図1:決勝戦会場。
図1:決勝戦会場。
図2:丁浩九段。
図2:丁浩九段。
図3:辜梓豪九段。
図3:辜梓豪九段。
図4:試合後インタビューを受ける丁九段。
図4:試合後インタビューを受ける丁九段。

( 記事/写真:易非 )

棋声人語 [ 2022年2月18日 ]

江蘇チームが女子囲碁甲級リーグで九年八冠

最終戦対局現場。
最終戦対局現場。

 第9回中信置業杯中国女子囲碁甲級リーグの第1―6回戦が2021年5月に上海で行われた。後の14回戦は10月に江蘇省の南京市で行われる予定であったが、南京空港で発生したコロナ感染の影響により、第7―14回戦はネットで行われた。第15-18回戦は12月24日から27日にわたり、広東省韶関市で行われた。

 第7回まで連続優勝を収めた江蘇女子チームは第8回で敗退してしまったため、今期は特にチーム一丸となって奮闘していた。エースの於之瑩六段(24歳)、王晨星五段(30歳)は順調に勝ち星をあげ、第三将の若き李思璇二段(15歳)も著しい成長ぶりを見せた。江蘇チームは第17回戦で優勝が確実となり、「八冠王」となった。

 江蘇チームを追いかけるのは準優勝の上海チームだ。芮乃偉九段(58歳)、唐奕四段(33歳)はこの年齢で実力を保っているのは容易なことではない。また唐嘉雯四段(17歳)の台頭も上海チームの成績に貢献した。

 杭州チームは期待のホープとされる三人組、周泓余六段(19歳)、方若曦五段(19歳)、呉依銘二段(15歳)と若手棋士が揃っている。今回は三位だったが、将来が期待される。また、陸敏全六段(22歳)が率いる厦門チームは四位で、前回ダークホースとして優勝した浙江チームは五位となった。

 降格争いをしている広東チームは、悔しくも山西チームとともに降格となった。山西チームの助っ人である呉侑珍九段(23歳)が9局全勝しても周泓余六段が山西チームを離れた今、呉九段と力を合わせる相手がいなくなり、今期は降格となってしまった。

( 記事:易非 / 写真提供:sinaサイト )

棋声人語 [ 2022年2月15日 ]

辜梓豪九段、三度目の竜星戦で悲願の優勝

 第12回中国竜星戦は浙江省杭州市で予選を行う予定であったが、新型コロナの影響で2021年の8月の末から9月の初めに延期された。対局形式もネット対戦に変更された。予選では、段嶸七段(49歳)が仇丹雲二段(42歳)、呉新宇六段(48歳)夫婦に連勝し、オーバー40のグループから再び本戦に入った。また、芮廼偉九段(58歳)が王磊八段(44歳)に敗れた後、夫の江鋳久九段(59歳)が仇討ちの形で王八段に勝利した。実に興味深い対戦であった。

 本戦は9月から10月にかけ、北京のスタジオで行われた。Aグルーブの孫騰宇七段(28歳)は、感染政策のため北京へ行くことができず棄権せざるを得ない状況となった。同じグループの廖元赫八段(21歳)は、3連勝をもって準決勝へ勝ち進んだ。準決勝では辜梓豪九段(23歳)が最後の関門として立ちはだかった。Bグループの陳豪鑫五段(17歳)は4連勝し、羋昱廷九段(25歳)も同グループの決勝戦で前回の優勝者柯潔九段(24歳)に勝利した。

 準決勝戦では羋九段、辜九段はそれぞれ廖八段、陳五段に勝利した。羋九段は、2016年の第7回竜星戦の優勝経験者だ。辜九段は第8回、第10回の竜星戦の予選を勝ち進めたが、二度も準決勝戦での敗北を経験している。三度目にしてついに決勝戦へと駒を進めた。

 12月19日から21日にかけ、決勝戦の三番勝負が始まった。早碁は勝率が揺れ動く。1勝1敗の後、第3局目では辜九段が羋九段の26目の大石を取り中押し勝ちを収めた。2021年、辜九段は日本主催の二つの早碁棋戦、阿含・桐山杯と竜星戦で優勝した。両棋戦の優勝賞金はともに20万元(約360万円)だ。両棋戦とも決勝局は激しい戦いが繰り広げられた。見ごたえのある対局は、囲碁ファンを虜にした。

図1:決勝戦会場。
図1:決勝戦会場。
図2:優勝した辜九段。
図2:優勝した辜九段。
図3:竜星戦で3度優勝した柯潔九段は今回幸運に恵まれなかった。
図3:竜星戦で3度優勝した柯潔九段は今回幸運に恵まれなかった。
図4:江鋳久九段は2021年に中国囲碁界に復帰し、初の竜星戦出場となった。
図4:江鋳久九段は2021年に中国囲碁界に復帰し、初の竜星戦出場となった。

( 記事:易非 / 写真提供:sinaサイト )

棋声人語 [ 2022年2月2日 ]

辜梓豪九段、阿含・桐山杯で二度優勝

 中国の第22回阿含・桐山杯は何度もコロナの影響を受けたが、2021年9月に四川省成都市で予選が行われた。本戦の16強が決まり、11月にネットで本戦の前三回戦が行われた。中国の第一人者である柯潔九段(24歳)は、一回戦で趙晨宇八段(22歳)に敗れた。前回の優勝、準優勝の范廷鈺九段(25歳)と柁嘉熹九段(30歳)も8強戦でそれぞれ黄雲嵩八段(23歳)と辜梓豪九段(23歳)に敗れた。前回とはいえ、最後の阿含・桐山杯はコロナ発生前の2019年のことだ。

 辜梓豪九段は柁九段に勝利の後、九段になったばかりの趙晨宇と対戦する準決勝戦では逆転勝ちを収めた。2018年の第20回に続き決勝戦入りした。一方、目に見える成果をあげていなかった黄雲嵩八段は唐韋星九段(28歳)、范廷鈺九段と楊鼎新九段(23歳)の3人の世界チャンピオンに連勝し、決勝戦入りを果たした。黄八段の絶頂期は2015年の阿含・桐山杯優勝だろう。今回は古巣にもどっての挑戦となった。

 決勝戦は12月6日に四川省成都市の武侯祠で行われた。ここは三国史で有名な丞相諸葛亮を記念するための観光スポットである。黄雲嵩八段のハンドルネームは「軍師孔明」だが、この武侯祠では幸運に恵まれなかった。試合はたったの1時間で終了した。41子もある大石が殺されたのだ。辜梓豪九段の猛攻に耐え切れなかった。阿含・桐山杯で2度優勝した辜九段は、12月8日のネット対局で日本の阿含・桐山杯優勝者である許家元九段に勝利した。中国チームはまたもや勝利を手に入れた。

図1:決勝戦現場。
図1:決勝戦現場。
図2:聶衛平九段(69歳)、張璇八段(53歳)は武侯祠の会場で解説。
図2:聶衛平九段(69歳)、張璇八段(53歳)は武侯祠の会場で解説。
図3:対局場近くの「惜字塔」は清の時代に建てられた。
図3:対局場近くの「惜字塔」は清の時代に建てられた。
図4:武侯祠の一角。
図4:武侯祠の一角。

( 記事/写真:易非 )

棋声人語 [ 2022年1月30日 ]

丁浩九段、柯潔九段に勝ち国手になる

決勝戦現場。
決勝戦現場。

 国手戦は中国が2021年に新しく創立したタイトル戦である。20世紀の1980年代では同じ名称の棋戦もあったが、挑戦手合いのルールを採用するのは初の試みだ。

 コロナの影響で、2021年第1回中国囲碁国手戦の参加者は32名に限られた。10月と12月の各予選はすべて河南省開封市で行われた。開封は昔、「汴梁」と呼ばれ、北宋王朝の首都であった。中国囲碁史上初の棋譜集『忘憂清楽集』が編成された場所でもある。開封は囲碁とは深いゆかりがあるようだ。

 国手戦の優勝賞金は40万元(約720万円)だ。中国の第一人者である柯潔九段(24歳)に期待が集まる。柯九段は宿敵の唐韋星九段(28歳)、謝科九段(21歳)、陶欣然九段(27歳)、囲碁甲級リーグ戦のチームメンバーである范胤八段(24歳)に勝ち、決勝戦入りした。

 今回の国手戦は丁浩九段(21歳)が柯潔九段に挑む注目の戦いとなった。彼は陳耀燁九段(32歳)、柁嘉熹九段(30歳)、檀嘯九段(20歳)、芈昱廷九段(25歳)という4人の世界チャンピオンに勝ち、決勝戦に入った。柁九段に勝利した時点で九段に昇段した。12月12日、丁九段は決勝戦で柯潔九段に完勝し、「丁国手」と呼ばれるようになった。次の第二期国手戦では、玉座に座って挑戦者を待つことになる。

( 記事:易非 / 写真提供:sinaサイト )

棋声人語 [ 2022年1月25日 ]

柯潔九段、CCTV杯で初優勝

決勝戦現場。
決勝戦現場。

 テレビ早碁戦は20世紀後半において中日韓で大いに盛り上がっていた。テレビを通じて、東アジアで囲碁が普及した。テレビの前で生放送の囲碁番組を見ることは、当時の多くのファンにとって小さい頃からの楽しみの一つであった。

 時代が変わり、テレビで囲碁を見る機会が次第に減少した。同時に、テレビ早碁戦もにも影響が及んだ。2020年、三国の早碁戦の優勝者と準優勝者が出場するアジアテレビ早碁戦が中止を宣告した。また2021年、韓国KBS杯は8名の招待制となり規模を縮小した。中国CCTV杯も中国中央テレビの生放送の機会を得られず、持ち時間を農心杯三国囲碁トーナメント戦と同じ1時間に増加しただけだ。

 幸い、中国CCTV杯は地方政府(浙江省平湖市)の支持を得た。平湖市は清の囲碁名手である范西屏と施襄夏が対局した「当湖十局」を記念に、囲碁をテーマにした公園を建設した。2021年のCCTV杯の決勝戦は12月5日にこの公園の楼閣で行われた。

 以前まで早碁とあまり相性が良くなく、一度だけ4強に入ったことのある柯潔九段(24歳)にかつての面影はなかった。柯九段は、江維傑九段(30歳)、謝爾豪九段(23歳)、張涛七段(30歳)、彭立堯八段(29歳)、党毅飛九段(27歳)のトップ棋士5人相手に連勝し、初優勝を果たした。中国CCTV杯の優勝賞金は30万元(約530万円)である。

( 記事:易非 / 写真提供:sinaサイト )

棋声人語 [ 2022年1月21日 ]

崔精九段、宿敵に勝ち呉清源杯で二度優勝

 第4回呉清源杯世界女子囲碁戦の決勝戦が11月30日から12月4日にかけて行われた。3名の中国棋士は中国福建省福州市で、韓国棋士の崔精九段(25歳)は韓国ソウルでネットを通して対戦した。準決勝戦で崔九段は中国の新鋭棋士である方若曦五段(19歳)に完勝した。8強戦の後、方五段は「今は彼女に及ばないが、四ヶ月後はそうとは限らない」と意気盛んに宣言したが、シナリオ通りの結果とはならなかった。

 準決勝戦のもう一局は、前回の呉清源杯を再現した。於之瑩六段(24歳)が後半で王晨星五段(30歳)に逆転し、今局をもって七段へと昇段した。2年連続で決勝戦に勝ち上がった於七段の相手は、後輩の周泓余六段(19歳)から強敵である崔九段に変わった。今対戦は、女流囲碁界の天下を争う2人の女王が初めて対戦する三番勝負ということもあり、瞬く間に注目を浴びた。

 しかし、決勝戦の流れも前大会同様、於七段を苦しませるものとなった。1局目は崔九段の攻撃を逆手にとった於七段の勝ちとなり、優勝まであと一歩となった。しかし2局目、3局目ともに石が複雑に絡み合う中盤で、崔九段の猛攻に耐えられず潰れてしまった。於七段は、再び優勝とすれ違うこととなった。

 呉清源杯の優勝賞金は50万元、準優勝は20万元(約890万円、350万円)である。近年では最も賞金の高い女流棋戦だ。2021年の囲碁界では、Senko杯、呉清源杯の二つの女流棋戦が行われたが、於七段が一冠、崔九段が一冠となった。この2人が争覇する局面はまだまだ続くだろう。

図1:準決勝戦では3名の中国棋士がいたが、結局優勝できるのはたったの1人だ。
図1:準決勝戦では3名の中国棋士がいたが、結局優勝できるのはたったの1人だ。
図2:王晨星五段の夫である劉星七段(37歳)と4歳の息子も現場に来ていた。彼女の対局棋譜を並べている。
図2:王晨星五段の夫である劉星七段(37歳)と4歳の息子も現場に来ていた。彼女の対局棋譜を並べている。
図3:決勝戦現場。
図3:決勝戦現場。
図4:決勝戦会場である呉清源囲碁会館。
図4:決勝戦会場である呉清源囲碁会館。

( 記事/写真:易非 )

棋声人語 [ 2022年1月18日 ]

新初段争覇戦、2年ぶりに開催

 曹大元九段(59歳)が創立した元十九杯中国囲碁新初段争覇戦は、2019年に北京で第1回が行われた。その後、2020年のコロナ禍で一時中止になったが、2021年に再開した。10月20日から24日にかけて、この2年間で新たに初段になった棋士たちを集め、上海で第2回を開催した。参加者は63名に達した。

 試合はトーナメント戦で、2020年入段グループと、2021年入段グループの2グループに分けられた。そして、2グループの優勝者が総決勝戦で戦う。2020年に入段した棋士たちは、やはり1年間鍛えてきたせいか、実力の差がうかがえる。総決勝戦では、2020年グループの優勝者である張柏清二段(17歳)が2021年グループの優勝者である韓瑾睿初段(23歳)を打ち破った。

 2020年に入段した棋士の中で、葉長欣二段(14歳)、許一笛初段(14歳)、肖澤彬初段(15歳)はすでに2021年の中国囲碁甲級リーグ戦に参加していたが、誰も優勝していない。女流棋士の中で最も成績が良いのは、厳惜驀初段(14歳)だ。彼女は2020年グループでベスト8に入った。

 ちなみに、「元十九」の「元」は創立者曹大元九段を指す。また、「十九」は19路盤をさす。今回の優勝賞金は7万元、準優勝は3万元である(約125万円、53万円)。

図1:対局現場。
図1:対局現場。
図2:中国最年少プロ棋士、陳家瑞初段(11歳)。
図2:中国最年少プロ棋士、陳家瑞初段(11歳)。
図3:2021年グループの優勝者、韓瑾睿初段。
図3:2021年グループの優勝者、韓瑾睿初段。
図4:2020年グループ優勝、総合優勝張柏清二段。
図4:2020年グループ優勝、総合優勝張柏清二段。

( 記事/写真:易非 )

棋声人語 [ 2022年1月5日 ]

聶衛平杯、日本チームが大活躍

中国チームの記念写真:左から屠暁宇六段(18歳)、古力九段、聶衛平九段。右二常昊九段、右一張璇八段(53歳)。
中国チームの記念写真:左から屠暁宇六段(18歳)、古力九段、聶衛平九段。右二常昊九段、右一張璇八段(53歳)。

 聶衛平杯は、四川省囲碁協会が聶衛平九段(69歳)への敬意を表すために開催した棋戦である。2019年の第1回は、8名の棋士による招待棋戦だった。棋戦冠名者の聶九段は武宮正樹九段(70歳)、劉昌赫九段(55歳)に連勝したが、決勝戦で小林光一九段(69歳)に敗れた。第2回は、三国からそれぞれ四人が参戦する団体戦となった。聶九段は門下の常昊九段(45歳)、古力九段(38歳)と少女棋士の呉依銘を率いて出場したが、無念ながらまたもや準優勝となった。優勝チームは曹薰鉉九段(68歳)、李昌鎬九段(46歳)、尹畯相九段(34歳)、鄭有珍初段(15歳)からなっている韓国チームだ。

 2021年の第3回聶衛平杯は10月30日から11月1日にかけてネットで行われた。中国棋士は、四川省成都市で対局をしていた。今棋戦も団体戦の形式を採用したが、聶九段、常九段、古九段に加えて、女子元老、男子新鋭と新たに二名増やし、5名対抗戦とした。

 三回戦の戦いを経て、結果から判断する限り、ルールの変更は日本チームにとって最も有利となった。新たに出場した青木喜久代八段(53歳)と福岡航太朗二段(15歳)は、4局全勝し、武宮九段は宿敵の聶九段と曹九段に連勝した。そして、常昊九段を負かしたことのある山下敬吾九段(43歳)もチームに入っていた。長い間国際棋戦で日の目を見なかった日本チームは、ついに4:1で中国チーム、韓国チームに勝ち、大活躍した。

 韓国は2位、中国は3位だ。それぞれの賞金は45万元、25万元、20万元(約800万円、450万円、350万円)である。

( 記事:易非 / 写真提供:sinaサイト )

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