日本囲碁ニュース

日本の囲碁ニュース・棋戦情報をお伝えします。
日本で行われている囲碁のイベントや棋戦情報を皆様にお伝えします。

囲碁ニュース [ 2021年7月20日 ]

一力、初防衛に王手

 一力遼碁聖に井山裕太棋聖が挑戦している第46期碁聖戦(新聞囲碁連盟主催)五番勝負の第3局が、7月17日、石川県金沢市の「北國新聞会館」で行われた。井山が先勝し、一力が1勝を返して迎えた本局は、対局前の「一つ勝って精神的にも楽になった。明日は気負わずに自分の力を出し切りたい」(一力)、「第2局はそれなりに粘り強く打てた。明日もこれまでと変わらず自分のベストを尽くし、いいパフォーマンスができるように集中したい」(井山)という落ち着いたコメントからも好調の両者の自信が伺え、好局が期待された。黒番の井山が実利、一力が厚みを築く展開となるが、井山は「序盤、右下の分かれがやや甘かったのかもしれない」と振り返った。その後、白模様に井山が打ち込み、一力の取りかけが始まる。「黒をいじめて他で得をする選択肢もありましたが、黒の大石が生きる手が自分には見えなかったので、終盤の強手を決断した」と局後の一力。そのまま大石を仕留め、138手まで、白番中押し勝ちとなった。対戦成績を2勝1敗とした一力は、初防衛に王手をかけた。敗れた井山は「次局まで少し時間が空くので、気持ちを新たに頑張りたい」、一力は「第4局まで1カ月空くので、いい状態で臨めるように準備したい」とそれぞれ抱負を語った。1勝3敗から勝利した本因坊戦七番勝負のように、井山の逆転はあるのか。一力が一気に防衛を果たすのか。注目の第4局は、8月17日、新潟県新潟市の「新潟グランドホテル」にて行われる。

囲碁ニュース [ 2021年7月13日 ]

本因坊文裕、10連覇達成

 本因坊文裕(井山裕太本因坊)が、10連覇の偉業を達成した。史上タイ記録の10連覇か、50年ぶりの最年少記録達成か、どちらが勝っても大記録となる第76期本因坊戦七番勝負(毎日新聞社主催)の第7局が、7月6、7の両日、山梨県甲府市の「常盤ホテル」で行われ、180手まで、白番の文裕が挑戦者の芝野虎丸王座を中押し勝ちで退けた。二十五世本因坊治勲(趙治勲二十五世本因坊)の大記録に並んだ文裕は、翌日「新聞を見たりして、一つ大きなことを達成できたという実感がわいてきた」と語った。今シリーズは初戦で勝利した後、いずれも大石を取られる内容で3連敗を喫した。「防衛をあきらめた」と文裕は振り返る。だが、「負けた3局はいずれも自分のミスを芝野王座に的確に咎められた内容。自分のパフォーマンスをあげていけば、何とかなる」と気持ちを切り替えたという。第4局の翌日に、非公式戦ながら中国甲級リーグの対局で強敵、謝科九段に勝ったことも自信回復につながった。「第4局の直後であることは伝えてあり、それでもかまわない、力を貸してほしいと言ってくれた。自分のためではなく、誘ってくれたチームに貢献したいという思いが強く、無欲になれた」と井山。決断の一手から戦い抜いて勝ち切った一勝が、今シリーズの流れも変えたようだ。第7局は、右辺の黒模様で、白がシノぐ展開となった。ただシノぐだけでは勝ち切るまで難しいと判断した井山は、手を抜いて地を稼ぎ、「取りにこい」と勝負をかける。「3連敗」の碁が頭をよぎったファンもいただろう。だが、今回は芝野の本気の取りかけもかなわず、井山がシノぎ切り、その後も緩まずに勝負を決めた。芝野は「また勉強し直して、戻って来られるように頑張ります」と語った。記録が並ばれた二十五世本因坊治勲は「僕の10連覇は終着駅になりましたが、井山さん、あなたの10連覇はただの通過駅です。次の停車駅は20連覇ですか?」とエールを贈った。

一力碁聖、一勝を返し、タイに

 第46期碁聖戦(新聞囲碁連盟主催)の第2局が、7月12日、一力遼碁聖の地元、宮城県仙台市の「ホテル佐勘」で行われ、本因坊戦10連覇を達成したばかりの井山裕太棋聖を迎え撃った。「中盤の戦いがいまひとつだった」と井山。優勢を築いた一力が、勝ちを読み切って手堅くヨセ、黒番半目勝ちをおさめ、対戦成績を1勝1敗の五分に戻した。
 井山は「次局は、またコンディションを整えて精一杯やりたい」、一力は「初めての地元仙台での対局で結果を出せてホッとしています。第3局もすぐにあるので、気を引き締めて頑張りたい」とそれぞれ豊富を語った。第3局は、7月17日、石川県金沢市の「北國新聞会館」で行われる。
 一力は、第46期名人戦(朝日新聞社主催)挑戦者決定リーグで、7月8日に許家元十段が羽根直樹九段に2敗目を喫したことで、最終局を待たずに井山名人への挑戦権を獲得している。碁聖戦と合わせ、井山と一力の12番勝負の行方が注目される。

「ペア碁」の魅力満載!『群舞のペア碁』の単行本第1巻が発売

 2021年1月より双葉社「月刊アクション」に掲載中の漫画、『群舞のペア碁』(高木ユーナ著。公益財団法人日本ペア碁協会協力)の単行本第1巻が、6月24日から全国の書店で発売されている。著者の高木氏は「ペア碁の面白さは、棋力の高さよりも心理戦が鍵になる場面が多い所だと思います。 それはどんな環境の人にとっても共感できる、実は親しみやすい競技だと感じています。(中略)今の時代だからこそ改めて描ける人と人との関り合い や「心」を作品に込めています」と語る。コミュニケーションを取るのが苦手な主人公「群舞」が、「ペア碁」を通して成長していく物語で、二人で打つ「ペア碁」によって心が自由になり、自由な心で囲碁も上達していく様子が魅力的なキャラクターたちと共に描かれていく。監修を担当する藤沢里菜女流四冠は「『群舞のペア碁』を通して、囲碁の魅力を知ってもらいたいですし、これを機に興味が湧いてきたら実際に触れてみてほしい。人間として成長できる競技なので、面白いんじゃないかと思います。いまはアプリを通じて気軽にチャレンジもできるので、ぜひ試してもらいたいです!」と語る。また「囲碁の面白さだけじゃなく、キャラクターがどう成長していくのかが見どころになっている作品です。その中でもやはり一番気になるのは、群舞の成長でしょう。彼がペア碁と出会ったことでどんな風に変わっていくのか、ぜひ見届けてほしいと思います」と魅力を伝えている。

囲碁ニュース [ 2021年7月8日 ]

第15回朝日アマ囲碁名人戦

会場の様子

 第15回朝日アマチュア囲碁名人戦全国大会が7月3日、4日の両日、東京市ヶ谷の日本棋院で行われ、53人の選手が腕を競った。昨年はコロナの影響により開催されなかったため2年ぶりの開催になるのだが、開始前の会場は久しぶりに会う全国の代表たちが近況を語り合う和やかな雰囲気だった。
 アマ名人戦は全国大会の優勝者がアマ名人に挑戦する方式で、現アマ名人は大関稔さんである。今大会では大関さんと二年連続でアマ名人を争った棋聖戦Cリーグで活躍中の栗田佳樹さんが都合で欠場のため大混戦が予想された。
 今大会では10歳の最年少出場者が注目を集めたが1回戦突破はならなかった。さらに今大会はコロナ禍のこともあり、参加を見送った県もあり、招待選手の闇雲翼さんも辞退となった。また、大雨の影響で交通機関のストップにより1回戦に間に合わず不戦敗となる選手も何名か見られた。
 そんな中、ベスト8は30代1人、20代5人、10代2人となり、決勝は世界アマ日本代表経験のある川口飛翔さんと北芝礼さんによる10代対決となった。両者は同年生まれで、今年19歳となる。結果は北芝さんの勝利で、初の一般大会全国優勝となった。北芝さんは7月24日、25日に大関アマ名人との三番勝負を行う。大関さんは「若い力に負けないようにしっかり準備したい」と語っていた。
ベスト4は優勝 北芝礼さん、準優勝 川口飛翔さん、3位 平野翔大さん、4位 星合真吾さんとなった。

囲碁ニュース [ 2021年6月29日 ]

井山、碁聖戦に先勝

 一力遼碁聖に井山裕太棋聖が挑戦する第46期碁聖戦(新聞囲碁連盟主催)の五番勝負が開幕した。一力が初防衛するのか、井山が4期ぶりに奪還を果たすのか、注目の第1局は6月26日、岡山県倉敷市「マービーふれあいセンター」で打たれ、135手まで、井山棋聖が黒番中押し勝ち。4日前に打たれた本因坊戦第5局に続いて、強さを見せつけた。「打ちたい手を打つ」という井山の信念のとおり、本局は中盤の井山の強手から流れを引き寄せた。一力も「黒85のブツカリが予想以上に厳しかった」と敗因を振り返る。その後も井山は妥協せず最強手を選び、攻勢のまま積極的に局面を動かし続けて一力を投了に追い込んだ。局後の井山は「中盤、中央で主導権を握れて打ちやすくなったと思う。まず一つ勝ててよかったです」と目の前の一局一局に集中する意気込みを語り、敗れた一力は3月から続いていた連勝が12でストップしたが、「第2局まで2週間以上あくので、気を取り直してがんばりたい」と気を引き締めた。第2局は、7月12日、一力の故郷でもある宮城県仙台市「ホテル佐勘」で打たれる。この間、6月29、30の両日には本因坊戦第6局が組まれており、井山には大勝負が続く。

囲碁ニュース [ 2021年6月21日 ]

藤沢、女流立葵杯5連覇達成

 第8期会津中央病院・女流立葵杯(一般社団法人温知会協賛)の挑戦手合三番勝負が6月18、19日に福島県会津若松市の「今昔亭」で打たれた。藤沢里菜女流立葵杯が、18日の第1局を白番中押し、19日の第2局を黒番中押しで勝利し、挑戦者の上野愛咲美女流棋聖を退け、5連覇を達成。60歳から名乗ることのできる「名誉」の資格を22歳の若さで獲得した。今期は、挑戦者を決める本戦のベスト4が会津若松市の会場に袴の和装であでやかに登場し、15日準決勝、16日に決勝が打たれた。注目された仲邑菫二段は牛栄子三段に、加藤千笑二段は上野にそれぞれ敗れた。決勝戦は牛三段に悔やまれる失着があり、上野が2年ぶりの挑戦者に勝ち上がった。一日の休養日をとって挑戦手合がスタートするタイトなスケジュールの中、第1局は、「ハンマー」と異名をとる上野のお株を奪う力強さで藤沢が大石を仕留めて決着。第2局は、一般棋戦でも終盤の強さに定評があり、「ヨセの女王」と称される藤沢が、本領を発揮して逆転した。上野は「体力が大丈夫かなと思いましたが、自分の力は出せたかなと思います。会津のおいしいごはんのおかげです」と明るいコメント。藤沢は「苦しくなる展開が多く、内容がいいというわけでもない。まだまだ今後の課題があると思います」と気を引き締めつつ、「5連覇のことはまったく意識していませんでした」と笑顔を見せた。

本因坊文裕(井山裕太本因坊)、踏み留まる

 3連勝して勢いに乗る挑戦者の芝野虎丸王座が一気に奪還を決めるのか、本因坊文裕が1勝を返して10連覇に望みをつなぐのか――注目の第76期本因坊戦七番勝負(毎日新聞社主催)の第5局が、6月21、22の両日、長野県松本市の「松本ホテル花月」で打たれた。結果は、218手まで、井山が白番中押し勝ちし、対戦成績を2勝3敗と戻した。本シリーズは、初戦で井山が勝利した後、第2局から、6月10、11日に福岡県北九州市の「アートホテル小倉ニュータガワ」で打たれた第4局まで、芝野が3局続けて井山の大石を取っての中押し勝ち。内容的にも、井山の不調が心配されて迎えた第5局だった。だが、白番の井山がやや打ちやすい形勢で一日目を終え、二日目、右辺でコウが始まり難戦となり一時は芝野が盛り返したが、「上辺で仕掛けていった手からおかしくした」と芝野。芝野の追い上げを振り切っての力強い勝利だった。井山は「上辺をそれなりに取り込めて、よくなったと思ったが、勝ちが分かったのは右辺の決着がついたあたりでした」と振り返る。解説の山下敬吾九段は「本局は本因坊にほとんど悪いところがなく、本来の強さが戻った感じがした」とコメントし、シリーズから目が離せなくなってきた。敗れた芝野は「シリーズの成績のことは気にせずに、集中して打てたらいいかなと思います」、井山は「前局まではまず過ぎたので、一つ返せたことはすごく自分としては大きいですけど、まだまだ厳しい状況ですので、また自分なりに準備して、自分の打ちたい手というか、自分なりの碁が打てればと思います」とそれぞれ抱負を語った。第6局は、29、30の両日、三重県鳥羽市の「戸田家」にて行われる。

囲碁ニュース [ 2021年6月18日 ]

世界アマチュア囲碁選手権戦

 第41回世界アマチュア囲碁選手権戦が6月4日~9日の6日間、ロシアのウラジオストクで開催された。コロナウイルスのため昨年は開催されず、今年も開催はどうなるのかという声も聞かれたが、開催地で参加する選手と自国からオンラインで出場する選手が57か国・地域から世界一を競った。
 日本代表は森川舜弐さんで市ヶ谷の日本棋院からオンラインで参加した。森川さんは日本棋院中部総部での院生経験がある25歳。プロ入りにあと一歩まで迫った実力者。日本代表を決める決勝ではアマ名人・アマ本因坊の大関稔さんを破っている。
 日本の森川さんは2連勝と好スタートを切ったが、3戦目にポーランド、4戦目にフランスに敗れ4勝2敗で10位となった。優勝争いは5勝1敗で4人が並び、中国の馬天放さんがポイントで上回り優勝となった。
 今回特筆すべきはヨーロッパの国の躍進である。特にポーランドは日本の森川さんのみではなく、優勝した中国の馬さんにも勝利している。しかしそのポーランドの選手もチェコに敗れている。日中韓台の四強と言われた時代は過去のものとなりつつあるようだ。AIの登場によりプロのいない国でも学ぶことができ、世界の実力差はどんどん無くなっているように感じられる。
 今回の世界アマ選手権は無事に終了となったが、来年以降の開催はどうなっていくのであろうか。まだまだコロナの影響は世界各地で続いている。世界のレベルも上がってきており、これからが楽しみというときに不安ではあるが、またオンラインなどではなく、世界の強豪が集結して腕を競えるよう願っている。

囲碁ニュース [ 2021年6月8日 ]

絶好調の一力、世界戦でベスト8へ

 韓国13名、中国7名、日本3名、中華台北1名が出場する世界戦「第26回LG杯朝鮮日報棋王戦」が、前年に続いてネット対局で開催され、5月31日に1回戦、6月2日に2回戦が打たれた。日本からはシード枠の一力遼九段、許家元九段と予選を勝ち抜いた伊田篤史八段の3名が出場し、組み合わせ抽選の結果、許と伊田は1回戦から、一力は2回戦から参戦。許と伊田は共に、韓国の強豪に敗れたが、一力は中華台北の新鋭、陳祈睿七段に146手まで白番中押し勝ちを収め、ベスト8に駒を進めた。一力は昨年あたりから世界戦でも結果を残し、世界のトップ棋士たちの中でも存在感を増している。本局でも、布石で研究の新手を放って優勢を築くと、中盤でも読みの入った鋭い打ち回しで、追い上げを許さず打ち進めた。その後、一力に緩着があり、相手にチャンスを与えた局面が一瞬あったようだが、ほぼ完勝に近い充実した内容の一局だった。昨年1回戦負けの雪辱を果たした一力は、「打っている時は余裕はありませんでした」と振り返りつつも、「打ちたい手を打てました」と笑顔でインタビューに応えた。準々決勝は、11月7、8日に行われ、一力は韓国の申真諝九段と対戦する。
絶好調の一力は、国内戦でも活躍しており、6月7日には名人リーグ戦(朝日新聞社主催)で勝利して単独トップをキープし、3月18日からの連勝も10に伸ばした。

囲碁ニュース [ 2021年6月3日 ]

芝野、本因坊戦2連勝

 本因坊文裕(井山裕太本因坊)が初戦を制してスタートした、第76期本因坊戦七番勝負(毎日新聞社主催)は、第2局、第3局をいずれも挑戦者の芝野虎丸王座が大石を取って中押し勝ち。スコアを2-1とリードした。
 5月24、25の両日、秋田県能代市の「旧料亭金勇」で打たれた第2局は、井山が「一日目からいくつか後悔の手があった」と振り返る。二日目に入り、「どちらかが大きく死んで直ぐに終わってしまうのではと心配なくらい、両者踏み込んでいる」(三村智保九段)などの評からもわかる険しい戦いは、井山の黒の大石が死んで決着。二日制の対局では珍しい、午前中の終局となった。
 1勝1敗で迎えた第3局は、6月1、2の両日、大阪府守口市の「ホテル・アゴーラ大阪守口」で行われた。序盤から井山が積極的に仕掛け、芝野が冷静に対応していく展開。二日目に入ると、井山は各所の形を決めた後、黒模様の中の白石のシノギに向かった。芝野は、生きられては地合いで足りないと判断し、大石を取りにいく。息詰まる「攻めとシノギ」の接近戦が延々と続き、ついに井山が投了を告げた。芝野は「1日目に打ちにくくしたと思った」そうだが、「右辺での白の眼がなくなった時に正しく打てていると思った」と自信をのぞかせる。「次も集中して打ちたい」と語った。敗れた井山は、「形はやれると思っていたが、進んでみてはっきりとシノギが見えなくなった」と脱帽した様子。「次はしっかりとコンディションを整えて臨みたい」と心機一転を誓った。
 井山がシリーズの成績をタイに戻すのか、芝野が一気に王手をかけるのか。第4局は、10、11の両日、北九州市の「アートホテル小倉ニュータガワ」で行われる。

囲碁ニュース [ 2021年5月28日 ]

アマ名人戦各地で予選

第14回朝日アマチュア名人戦の予選が全国の各都道府県で行われている。昨年はコロナウイルスの影響により囲碁大会が行われなかったため、参加者たちにとっては待ち望んだ大会となった。しかし、地域によっては従来の参加者よりも少なく、緊急事態宣言により開催日程を全国大会ギリギリまでに延ばすなどしている県もある。
そんな中でも各県では実力者が勝ち上がり代表が決まっている。久々の大会ということもありTwitterなどのSNSでは各県の情報が大いに発信されている。東京大会では参加者同士でお互いの近況を確認し合う姿や、無事を確認する様子が見られた。
東京大会では小学四年生の山際庸平くんが代表まであと2つに迫るなど子供たちの活躍も目立ったが、逆に40代、50代の活躍も目についた。東京だけでなく、近年では20代、30代の躍進があっただけにベテランたちの巻き返しも見られるだろう。
コロナウイルスがこの一年に与えた影響は各世代に大きく表れているようである。大会があれば姿を見せたていた常連でも60代以上では参加を見合わせたり、20代、30代でも仕事の影響により参加困難なため出場を見合わせたという話も聞く。
アマ名人戦の全国大会は7月初めに行わる。アマ名人戦の後にはアマチュア本因坊戦も各地で予選が始まろうとしている。すでに中止も決めた大会もあるが、今回のアマ名人戦が囲碁大会復活の幕開けになることを願うばかりである。

囲碁ニュース [ 2021年5月18日 ]

仲邑菫二段、13連勝中

 「強い先生とたくさん打ちたい」と日本棋院東京本院に移籍した仲邑菫二段の勢いが止まらない。今年、12歳という最年少記録で二段昇段を果たしたばかりだが、「二度目の10連勝」の見出しが驚きと共に紙面やネットを飾った後も、自身の連勝記録を伸ばし続け、5月13日には実力者の堀本満成五段に黒番5目半勝ちし、連勝を「13」とした。現在24勝2敗という驚異的な成績で、全棋士中、勝率トップ。勝ち星ランキングも2位の上野愛咲美女流棋聖の「21勝」に「3勝」の差をあけてトップに立っている。強敵を倒しての棋聖戦Cリーグ入りの他、藤沢里菜女流本因坊への挑戦権をかけた本戦トーナメント戦も、5月9日、牛栄子三段に一度は逆転を許しながら終盤に再逆転する力強さを見せ、ベスト8に勝ち上がっている。今後、どこまで勝ち上がっていくか、国内のみならず、国外の囲碁ファンの注目も集まっている。13連勝した局後のインタビューには「ずっと細かい碁だと思っていました。終盤中央に黒地ができたあたりで優勢を意識しました。次も良い碁が打てるようにがんばります」と答えた仲邑。次局は20日に、本格派の小松英樹九段と名人戦予選Cの決勝戦が予定されている。

囲碁ニュース [ 2021年5月13日 ]

本因坊文裕が初戦を制す

 第76期本因坊戦七番勝負(毎日新聞社主催)が開幕した。本因坊文裕(井山裕太本因坊)の10連覇なるか。挑戦者の芝野虎丸王座がこれを阻止するか。注目の第1局は5月11、12の両日、群馬県高崎市の「旧井上房一郎邸」で行われ、184手まで、井山本因坊が白番中押し勝ちを収めた。互いに模様を張り合い、荒らし合う進行となった本局は、やや井山優勢から芝野が盛り返し、一日目が終わるころには互角の形勢。二日目に入ってからも石の張った好勝負が展開された。井山は「右辺の黒地を荒らしてまずまずかなと思った」、芝野は「右辺を荒らされたとき、厳しい手を選ばないといけなかった」と振り返る。現地大盤解説をつとめた本木克弥八段は、下辺の攻防で井山から見て先手ゼキにした時点で黒が優勢に立ったという。その後、芝野が目一杯に囲ったが、持ち時間を残していた井山が絶妙な打ち回しで黒地に手をつけ、成功させて、芝野を投了に追い込んだ。井山の読みの鋭さが印象に残る一局となった。井山は「始まったばかり。次もしっかり準備して悔いのないよう戦いたい」、芝野は「切り替えて次も集中して打ちたい」と話した。第2局は5月24、25の両日、秋田県能代市の「旧料亭金勇」で行われる。

囲碁ニュース [ 2021年5月6日 ]

井山、碁聖戦挑戦者に

 一力遼碁聖への挑戦をかけた第46期碁聖戦(新聞囲碁連盟主催)の挑戦者決定戦が5月6日に打たれ、井山裕太棋聖が、伊田篤史八段に211手まで黒番中押し勝ち。失冠した2018年以来3期ぶりに碁聖戦のタイトルマッチに名乗りをあげた。序盤、井山が好手を放ち流れを引き寄せるが、中盤に伊田が一流の力強さを発揮して井山の大石を取りかけに向かい、盤上は壮絶な様相に。一時は検討陣から「黒が絶対絶命」の声も聞かれたが、井山が妙手を繰り出しシノいで勝負を決めた。井山は、すでに「名誉碁聖」の資格を有する棋戦で7期目を期す。迎え撃つ一力碁聖は、「井山さんが本命だと思っていました。こちらがタイトルを持っている状態でのタイトル戦は初めてですが、井山さんと打つときは常に挑戦者だと思っているので、挑戦者の気持ちで臨みたい」と語った。 5番勝負の第1局は、6月26日、岡山県倉敷市で行われる。

仲邑菫二段、棋聖戦Cリーグ入り/女流棋士3名の活躍に期待

 5月6日、棋聖戦のCリーグ入りをかけた予選、FT(ファーストトーナメント)の決勝に臨んだ仲邑菫二段が、鳥居裕太三段に勝利した。序盤はリードを奪われていたが、鳥居の疑問手を捉えて一気に逆転すると、「仲邑さんの特徴は最終盤の強さ」と芝野虎丸王座に評される盤石さでゴールに向かった。12歳2か月でのCリーグ入りは、もちろん最年少記録となる。また、仲邑はこの勝利で22勝2敗とし、勝ち星も勝率も日本棋院の全棋士の中でトップ。連勝も11に伸ばし、勢いが止まらない。打つ度に強くなっていく印象の仲邑から目が離せない。
今期のFTは決勝には4名の女流棋士が勝ち上がっていた。まず、4月22日に、謝依旻六段が、今年負けなしの9連勝中と絶好調の常石隆志四段に逆転半目勝ちして3期目のCリーグ入りを決め、4月29日には藤沢里菜女流本因坊が初のCリーグ入りを決めた。もう一人、期待されていた上野愛咲美女流棋聖は、5月3日に、福岡航太朗初段に半目敗れ、3期連続のCリーグ入りを逃した。仲邑を含め、3名の女流棋士のCリーグでの活躍が期待される。15歳4カ月でCリーグ入りを果たした福岡初段は、わずか3日で最年少記録を塗り替えられてしまったが、当初から「今年の目標はCリーグ入り」と語っており、やはり活躍が期待される。

藤沢、早碁オープン戦で女流棋士初の本戦入り

 5月6日、第28期阿含・桐山杯 全日本早碁オープン戦(阿含宗特別協賛)の最終予選決勝が打たれ、藤沢里菜女流本因坊が、王銘琬九段を破って本戦入りを決めた。同棋戦は、本戦入りが16名。ここに女流棋士が勝ち上がったのは初めてとなる。棋聖戦Cリーグ入りに続いての快挙に、藤沢は「うれしいです。本戦で一局でも多く打つのが目標です」と笑顔で語った。

囲碁ニュース [ 2021年4月29日 ]

許家元十段、誕生

 芝野虎丸十段の2勝、挑戦者の許家元八段の2勝で迎えた大和ハウス杯第59期十段戦五番勝負(産経新聞社主催)の第五局が、4月28日に東京都千代田区の日本棋院で打たれた。激戦の末、195手まで、許八段が黒番中押し勝ちを収め、2018年の碁聖以来二度目の七大タイトルを獲得した。序盤早々、左上で難しい戦いに突入しながら、両者ほとんど使わず猛スピードで進みギャラリーを賑わせた。この戦いが収束した局面を、黒番の許は「少し後悔の手があり、そんなには自信がなかった」、芝野は「途中で研究にない手を打たれたが、一応白も打てるのではないかな」とそれぞれ振り返る。その後、形勢は揺れ動き、中盤に許が仕掛けて再び激しい戦いとなる中、今度は許の強手が決まり、勝敗を決した。敗れた芝野は「5局とも難しい碁ばかりだったが、全体的に勝負所でのミスが増えてしまっていたので、そこらへんをもっと鍛えていかないといけないと思いました」とシリーズを振り返り、「防衛できなくて残念です。またタイトル戦で打てるようにがんばりたい」と再起を誓った。許は、「どの碁も苦しい場面が多かったのですが、一応最後まで粘り強く打てたのはよかったかなと思います。(ライバルでもある芝野には)圧され気味でしたので、今回勝ち切れたのは本当に運がよかったと思います」と振り返り、「まだ実感がわきませんが、十段を獲れたことは素直にうれしいです」と笑顔で喜びを語った。

囲碁ニュース [ 2021年4月21日 ]

藤沢、女流名人戦4連覇

 藤沢里菜女流名人に上野愛咲美女流棋聖が挑戦する女流2強の決戦――第32期博多・カマチ杯女流名人戦三番勝負(一般社団法人巨樹の会特別称賛)の第1局、第2局が、それぞれ4月14日、16日に東京都千代田区の日本棋院本院で行われ、藤沢が2連勝で防衛を果たした。第1局は、白番の上野が実利でリードを奪い、はっきり優勢を築く。黒模様を荒らしに入った左辺の攻防で「死活を間違えて(形勢が)あやしくなってしまった」と上野。「間違えたので仕方ない」とサバサバした様子でもあった。その後、上辺の大ヨセで黒が得をし「やっと細かくなった」と藤沢。以降をしっかりまとめて黒番1目半勝ちとした。第2局も上野がペースを掴んだが、一手の緩みを藤沢が捉えて微細な形勢に。その後藤沢の好手がありリードを奪うと正確な打ち回しで上野を投了に追い込んだ。4連覇を達成した藤沢は「2年ぶりに女流名人戦を開催していただき感謝しています」とまず謝意を伝え、「厳しい勝負ばかりで、連覇は運がよいと思う」と謙虚なコメントを残した。上野は「2局とも、序盤はまあまあだなと思っていたのですが、逆転されてしまい……里菜先生は強かったです」とコメント。後日の藤沢は「特に1局目は、悪い時間が長かった。(中1日でのタイトなスケジュールについては)とくに疲れはなかったですが、でももし2局目に負けていたら、確かに疲れが出たかもしれませんね」と激戦を笑顔で振り返った。

令和三羽ガラス対決、十段戦は最終局へ

 芝野虎丸十段に許家元八段が挑戦する大和ハウス杯第59期十段戦五番勝負(産経新聞社主催)は、第3局が4月8日に長野県大町市で打たれ、許が337手に及ぶ死闘を制した。続く第4局は、20日、東京都千代田区の日本棋院本院で行われ、149手まで芝野が黒番中押し勝ち。スコアを2対2のタイに戻した。第3局は、コウ争いが次々と発生する凄まじい戦いの碁だった。優勢の許を追い、芝野が勝負手を連打し、混戦へと突入していった。対照的に、第4局は穏やかに流れていった。中盤に白番の許の疑問手を咎めた芝野が中央の白を取り込み優勢を築くと、その後も力強く打ち回して許を寄せ付けなかった。芝野は「大変な内容の碁が続いていますが、最終局も集中して打ちたい」。敗れた許は「泣いても笑っても最後なので、全力を尽くしたい」と、それぞれ最終局への抱負を語った。防衛か奪取か。第5局は今月28日に日本棋院本院で行われる。

囲碁ニュース [ 2021年4月12日 ]

ジュニア本因坊戦

 第24回花まる学習会杯ジュニア本因坊戦全国大会が3月20日、21日に東京千代田区の神田神保町に行われた。各地区の代表32名で行われる予定であったが、コロナウイルスの影響により3名が欠席となった。例年では選手の子供たちだけでなく、保護者の熱気もすごいが、今年はコロナ対策により会場は子供たちのみとなった。
 ジュニア本因坊戦は他の子供大会とは異なり小学生と中学生が同じ舞台で戦う。そのため中学生が勝ち上がることが多いが、今回は國松聡さん(熊本・小6)が3位、高地祐希さん(東京・小5)が5位と2名の小学生が入賞した。
 2日間の熱戦は5回戦行われ、神奈川代表の竹内怜櫂(れいる)さん中学1年生が初優勝を果たした。

こどもチャンピオン戦

 第24回ボンド杯全日本こども囲碁チャンピオン戦全国大会が3月30日、31日に京都府京都市の聖護院御殿荘で行われ、小学生、中学生各24名ずつが腕を競った。
 今大会では3コウ無勝負が発生し打ち直しとなる珍しい出来事が起こった。
 小学生の部は米津玲吾さん(東日本・小3)が優勝した。米津さんは故・梶原武雄九段の曾孫にあたり、将来有望な一人である。
 中学生の部は安田勝哉(東日本・中3)が優勝した。安田さんは藤澤一就八段門下の元院生である。昨年優勝の吉藤真成さんは5位、昨年準優勝の田浩人さんは2年続けての準優勝となった。
 子供たちにとって年度末の2つの大会は大きな励みとなるであろう。

囲碁ニュース [ 2021年4月6日 ]

芝野、2年連続の本因坊挑戦者

 10連覇を期す本因坊文裕(井山裕太本因坊)への挑戦権をかけた第76期本因坊戦リーグ(毎日新聞社主催)は、4月2日に最終一斉対局が打たれた。4名が可能性を残していたが、1敗で単独トップだった芝野虎丸王座が羽根直樹九段を破り、2年連続の挑戦権を獲得した。最終戦績で2敗の許家元八段、一力遼天元と3敗の羽根が残留。今期リーグ入りを果たした黄翊祖九段、鶴山淳志八段、佐田篤史七段、大西竜平七段の4名が陥落となった。
 注目の芝野・羽根戦は、序盤、左下で、羽根の様子伺いの一手に芝野が最強手で応じて険しい攻防に突入し、早くも勝負所を迎えた。羽根は「攻め合いでひどい読み違い、錯覚があった」と振り返る。芝野はここで読み勝ち、さらに右下も大きく取り込んで、羽根を投了に追い込んだ。97手まで、黒番芝野の中押し勝ち。過去は芝野から見て2勝6敗と苦手にしていたが、気合いのこもった積極策が実を結んだ。リーグを振り返り、「令和三羽ガラス」の許に敗れた後、一力に勝って、挑戦者を意識するようになったという。「井山先生には、昨年本因坊戦と名人戦でやられているので(いずれも、1勝4敗)、リベンジしたい気持ちはありますが、結果にはこだわらずに臨みたい」と抱負を語った。趙治勲名誉名人と並ぶ、井山の10連覇がなるか、芝野のリベンジがかなうのか。注目の七番勝負は、5月11日に群馬県高崎市にて開幕する。

囲碁ニュース [ 2021年4月2日 ]

芝野、1勝を返す

 芝野虎丸十段に、挑戦者の許家元八段が先勝して迎えた「大和ハウス杯 第59期十段戦」(産経新聞社主催)の第2局が、3月24日、滋賀県長浜市の「Hotel & Resorts NAGAHAMA」にて行なわれた。黒番の芝野が3手目に、白番の許が10手目にそれぞれ三々に入る立ち上がりから、序盤は互角の折衝が続いた。だが、許に後悔の一手があり、左下の白石が黒からの「花見コウ」となる。さらにもう一手、許に悔やむ手が出ると、芝野が鋭い読みで右辺の白もコウに。このコウ争いに勝って、勝負も決したようだ。157手まで、芝野が中押し勝ちを収め、1勝を返した。芝野は「(時間を残すように)早く打とうと心がけました。一つ勝てたので安心しています。大変な相手なので、第3局もしっかり準備して集中して臨みたい」と語り、許も「今日の敗戦は気にせず、いつもどおり全力で臨みたい」と次局への闘志を見せた。第3局は4月8日、長野県大町市の「ANAホリデイ・インリゾート信濃大町くろよん」で行われる。

一力、2年ぶり2度目のNHK杯優勝

 第68回NHK杯テレビ囲碁トーナメント(日本放送協会主催)の決勝戦が3月21日に放映され、一力遼天元・碁聖が2年ぶり2度目の優勝杯を手にした。決勝の舞台にあがった一力と余正麒八段は、共に昨年8割を超える勝率で、好調同士の大一番となった。黒番の一力が高い中国流を敷いてスタート。右下で余が戦いを仕掛けた攻防は、黒が白を取り込んで大きな地を確保してややリードを奪い、これに白が厚みを築いて対抗した。中盤、右下の白を生還させて余が盛り返し、一力が「やり過ぎて負けを覚悟した場面もあった」、余が「途中からそれなりに手応えがあった」と振り返る熱戦となった。だが、左辺の白模様を荒らし、さらに上辺の白地を荒らす絶妙なツケが放たれて勝敗が決着。233手まで、黒の中押し勝ちとなった。昨年、反省の内容で準優勝だった一力は「全体を通して自分らしく打てた」と決勝戦を振り返り、「優勝できてホッとしている」と笑顔。「来期も楽しんでいただける碁をお見せできたらと思っています」と早碁の王者らしいコメントを残した。敗れた余も、「初めての決勝戦でしたが、思ったより緊張しなかった。残念な結果になりましたが、非常に貴重な経験にもなりましたし、またがんばりたいと思います」と局後には笑顔を見せていた。

囲碁ニュース [ 2021年3月19日 ]

女流アマ 内田祐里さん初優勝

決勝戦 優勝の内田さん(右)

決勝戦 優勝の内田さん(右)

 3月13日、14日の両日、東京市ヶ谷の日本棋院において第63回女流アマチュア囲碁選手権全国大会が行われ内田祐里さん(埼玉)が初優勝を果たした。内田さんは今年度までプロ棋士採用試験を受けており、大会の実績は無かったが注目の選手の一人だった。準々決勝では優勝経験のある実力者藤原彰子さんに粘り勝ちすると、準決勝、決勝と力強い碁で制した。
 ベスト8には内田さんをはじめ、松本実優さん、加藤優希さんというプロ試験受験者の活躍が目立った。その他に前回優勝者の吉田美穂さんをはじめとする本大会は上位入賞常連者が勝ち上がっており、上位常連対若手という構図になった。
 プロ試験を終えたばかりの若手の活躍が目覚ましいとされたが、準々決勝では村瀬なつさんが松本さんを降し実力を示した。準決勝は内田さんと加藤さんというプロ試験で競い合った同士、宇根川万里江さんと村瀬さんという過去入賞経験もある実力者という組み合わせとなり、決勝は内田さんと村瀬さんの組み合わせになった。両者は岩田一九段門下の姉妹弟子で、内田さんは岩田教室に通い始めた当初、村瀬さんに教わったことがあるそうだ。
 今回の大会は緊急事態宣言の中ということもあり、辞退者が続出した。特に関東から離れる地方の選手は参加を辞退し、関東からの繰り上りが多くなった。さらに会場は感染症対策により、選手以外の姿はほとんど見られなかった。全国大会では応援や久々に地方選手と会えるために会場を訪れる人々が多いが、今回は寂しい光景となった。競技の場としてだけでなく、交流の場としても復活するよう願うばかりである。

囲碁ニュース [ 2021年3月16日 ]

上野、プレーオフ制して挑戦者に

 藤沢里菜女流名人への挑戦者が決定した。第32期博多・カマチ杯女流名人戦のリーグ戦は、全勝だった鈴木歩七段が3月4日に打たれた最終局で謝依旻六段に敗れ、上野愛咲美女流棋聖が11日に打たれた最終局で一敗を守って終了。一敗で並んだ鈴木、上野の両者が、15日のプレーオフに臨んだ。本戦では鈴木に敗れている上野は、布石に反省点があったとし「布石が課題」と語っていた。その布石で、黒番の上野が最近では珍しい二間高バサミを打ち下ろすと、鈴木は「研究しているに違いない」とばかり、旧来の定石を選択。上野は「研究していたのですが、さっそくはずされてしまって」と笑う。でも、「布石の研究をよくしたので、安心して打てた」と本局を振り返る。その後の右上の攻防で、白の薄みを狙う上野らしい力強い手が奏功し、白石を取り込んで地合いでリードを奪った。その後、上辺の黒への攻めを見られるが、進出して左辺でさばき、白に逆転のスキを与えなかった。敗れた鈴木は、「序盤で誤算があり、そこから流れを崩し、いいところなく、うまく打たれてしまって。完敗だったと思います」と脱帽し、「残留を目指していたので、2位はよい結果。来期もこの順位を生かせるようにがんばりたい」と語った。上野は、リーグ戦で一敗した時点で挑戦者はあきらめていたそうで、「挑戦できるだけでめちゃくちゃうれしいです」と笑顔。「里菜先生は、自分より実力が上だと思っています。でも、サラッと負けて後悔しないようにがんばりたい」と抱負を語った。昨年の女流本因坊戦五番勝負以来となる藤沢と上野のタイトル戦――三番勝負は、4月14、16、19日の短期決戦となる。

仲邑、史上最年少の二段

 3月15日、仲邑菫初段が、「第28期阿含・桐山杯」の予選で松原大成六段に勝利。女流棋戦を除く公式戦で通算30勝をあげ、昇段規定により16日付で二段に昇段した。12歳0カ月での二段昇段は、趙治勲名誉名人が持っていた12歳3カ月の最年少記録を52年ぶりに更新する快挙だ。仲邑は、今年1月、日本棋院関西総本部から東京本院に移籍した。環境の変化がプロとしての自覚もうながした様子で、1月以来、自己最多の10連勝と戦績も見事。昇段については「目標にしていました。小学生のうちに二段になれて嬉しいです」と話し、記者団に今後の抱負を尋ねられると「(4月に中学生になってからも)強くなれるようにがんばりたいです」と入段当時よりはきはきとした口調で受け答えしていた。

囲碁ニュース [ 2021年3月9日 ]

井山、棋聖9連覇達成

 井山裕太棋聖が棋聖戦史上初の9連覇を達成した。第45期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)の第5局が、3月4、5の両日、新潟県南魚沼市の「ryugon」で行われ、152手まで、井山が白番中押し勝ち。シリーズの戦績を4勝1敗とし、河野臨九段の挑戦を退けた。9連覇は、小林光一名誉棋聖の8連覇を抜き単独トップの新記録。名人、本因坊と合わせた三大タイトルを同時に有する「大三冠」を保持すると共に、七大タイトル獲得数に、「1」を積み「50」とした。第5局は、共に徹底した研究を伺わせる立ち上がりから、井山が先に左辺に打ち込む積極策に出た。対して河野のコウ材づくりが機敏で、1日目を終える局面を井山は「白がはっきり大変でした」と振り返る。形勢を悲観していた井山は、2日目に入ると強手を次々と繰り出す迫力を見せる。石の張った左下の折衝の中、河野が101手目に予想だにしない大技を仕掛け、左下の白7子を取り込んだ。大技は成功したかに思われたが、その結果中央の白を厚くして黒が後手を引き、白126と上辺に構えられると、巨大な白の地模様が現れ、黒が勝つのが大変な状況となっていた。黒101で普通に進めていればまだまだ互角の形勢だったという。結果的には大仕掛けの決行が裏目に出てしまった。上辺を荒らしに向かうも、的確に応じられ、白152を見て河野が投了を告げた。シリーズを通して「形勢判断の精度に差があった」と対局直後の河野。一夜明け、自身のSNSでは「力が及びませんでした。また頑張ります!」と再起を誓った。井山は「自分にとって非常に意味のあること」と今シリーズを振り返り、9連覇を「一局一局、ギリギリの勝負のなかでよくここまで積み重ねられたという思い。もちろん非常に嬉しいことですが、これからの方が大事かなと思っています」と語った。シリーズ中に第一子が誕生したことを尋ねられ、「『しっかりしなければ』と意識すると結果が欲しくなるので、意識しないようにと思っていました」と笑顔を見せたという。大棋士・井山の語る「これから」に注目していきたい。

囲碁ニュース [ 2021年3月3日 ]

形勢二転三転。十段戦初戦は許の勝利

 芝野虎丸十段に許家元八段が挑戦する「大和ハウス杯 第59期十段戦」(産経新聞社主催)が開幕し、第1局が、3月2日、大阪府東大阪市の「大阪商業大学」にて行われた。一力遼天元と共に「令和三羽ガラス」と呼ばれ期待を集める両者は、昨年の王座戦以来、二度目の挑戦手合対決となる。王座戦では芝野が3―1で防衛を果たしたが、今年に入り、名人戦と本因坊戦のリーグ対局ではいずれも許の勝ち。その後の棋聖戦Aリーグでは芝野が勝つなど、両者の戦績は拮抗している。序盤は互角に進み、右辺で許が最強手で仕掛けて碁が動き出した。対して芝野が繰り出した一手を、新聞解説の村川大介九段は「全く想像のつかない手。相手の受け方を見てその後の打ち方を決めようという高度な手」と評し、その後に芝野がリードを奪う。許も「右下でうまく形を決められ、(形勢は)大変かなと思った」と振り返った。だが、その後の難解な折衝の中、許がポイントを重ねて盛り返し、逆にリードを奪った。黒番の許の優勢の時間は長かったが、YouTubeでライブ配信された解説では、一力遼天元が「難しい局面なので、まだまだ形勢は揺れ動きそう」と予想し、実戦もその言葉どおりに進んでいった。優勢を意識し、手堅く打ち進めた許が「真ん中の打ち方がぬるかった気がする」と反省。この機を捉えて芝野が再度逆転し、検討陣からは「白番の芝野十段が半目か1目半勝ち」という結論も出された。ところが、先に秒読みに突入した芝野は「判断ができずに打っていた」と悔やむ。味の悪い左上を放置して、大きなヨセの手を選択。今度はこの瞬間を捉えた許が左上で逆転打を放って再々逆転を果たすところとなった。205手まで、許の黒番中押し勝ち。許は「一局勝ててよかった。次も厳しい戦いになると思うが、最高のパフォーマンスをしたい」、敗れた芝野は、少し考えた後に「しっかり準備して集中して打ちたい」と、それぞれ次局への抱負を語った。第2局は、24日、滋賀県長浜市の「Hotel & Resorts NAGAHAMA」にて行なわれる。

囲碁ニュース [ 2021年2月26日 ]

囲碁大会再開の兆し

 新型コロナウイルスの影響により2020年は多くの囲碁大会やイベントが中止となった。2021年はどうなっていくのであろうか。まず、緊急事態宣言の発令による関係もあり打ち初め式は行われず、宝酒造杯各段チャンピオン戦も年内の中止を決めるなど、まだまだ再開はされないのかと思われた。
 しかし、2月に入り例年日本棋院で行われていたジャンボ囲碁団体戦こそ行われなかったものの、ジュニア本因坊戦、子どもチャンピオン戦といった二つの子供大会は予選が開催され、3月の全国大会も開催予定である。また、女流アマチュア囲碁選手権も各地で予選が行われた。県によっては人数の制限や過去代表経験のある方に絞って少人数で開催したところもあり、各会場や県支部の努力や想いを感じることができる。女流アマチュア選手権も3月に全国大会を開催する。
 子ども大会や女流大会の再開に続き一般大会も再開の兆しを見せている。朝日アマチュア名人戦の予選日程が各地で発表されはじめ、全国大会の日程も予定として発表された。緊急事態宣言が解除されれば開催の予定であるという。緊急事態宣言中や延長された場合はその期間に予選は行わないという但書きはあるものの、緊急事態宣言も解除の方向に向かっている。囲碁大会の再開は多くの囲碁ファンが望んでいたところである。
 イベントや大会は公式戦のみでなく各碁会所も徐々に再開しはじめており、月例大会やプロ棋士の指導碁など、完全とはいかないが元に戻しつつある場所も少なくないようである。

囲碁ニュース [ 2021年2月18日 ]

河野、反撃開始

 井山裕太棋聖の3連勝で迎えた第45期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)の第4局が、2月16、17の両日に、神奈川県箱根町の「ホテル花月園」で行われ、212手まで、挑戦者の河野臨九段が白番中押し勝ちを収めた。
 「ホテル花月園」は、前期の七番勝負で河野が勝利した第五局と同じ対局地。ゲンもよく、対局前の河野は「3連敗していて言うのもはばかられるのですが、調子は上向いている」と柔らかく自信をのぞかせるコメントを残した。1日目は黒の実利と白の厚みという碁形に分かれた。右上の攻防で「井山が手順を尽くして白3子を取り込んだ」と評されたが、井山は「確定地は黒もそれなりにあるのですが、白3子を捨てられ、右上を巧く処理されたかなという感触があった」と振り返る。2日目に入り、河野が好手から黒の形を崩し、流れを引き寄せた。井山が「無理気味だとはわかっていたのですが」という勝負手を放つものの、これに的確に対応した河野が勝勢を築いていった。そのまま終局するかと思われたが、終盤に井山が再び勝負手を放ち、攻め合いの「勝負形」に持ち込む見せ場を作った。だが、最強に応じた河野が攻め合いも制し、投了へと追い込んだ。河野は「形勢はずっとわからなかった。勝ちを意識したのは、攻め合いの形がはっきりした、本当に最後の最後」と熱戦を振り返った。粘る井山を振り切り、好局で1勝を返した河野は、「依然としてカド番ですが、スコアのことは気にしないで、自分の碁をしっかり出し切れるように」、井山は「引き続き、ベストを尽くしたいと思います」とそれぞれ抱負を話した。第5局は、3月4、5の両日、新潟県南魚沼市の「ryugon」で行われる。

囲碁ニュース [ 2021年2月9日 ]

井山、棋聖9連覇まであと1勝

 井山裕太棋聖の2連勝で迎えた第45期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)の第3局が、2月5、6の両日、長崎県西海市の「オリーブベイホテル」にて行われた。1日目を終え、黒番の挑戦者の河野臨九段が打ちやすいと見る声も多く聞かれた。河野も「一応それなりにずっと勝負形のつもりで打っていた」と振り返る。2日目に入り、右上の攻防のなか、「真正面からいけないとおかしいのですが、自分の中では思わしい図ができなくて、ひねり出した」と井山が振り返った白106が流れを大きく変えた。新聞解説の瀬戸大樹八段は白106、112、122の三手を「『令和の三妙手』として語り継がれるかもしれません!」とSNSに投稿している。「コウ含みでどこまで進んでも判断ができず、どう打ってよいか全くわからなくて」(井山)、「中央をどう見るかに苦労していました。どう考えてよいのかがずっとわからなくて」(河野)と両者が振り返る難解な展開だったが、上記の「三妙手」に続き、河野が「めちゃくちゃ悪い手を打ってしまって、全然だめになってしまった」と振り返る。形勢は白に傾き186手まで、白番井山が中押し勝ちをおさめた。井山が一気に4連勝で9連覇を達成するのか、前期同様、河野がここから巻き返すのか、注目の第4局は、2月16、17の両日に、神奈川県箱根町の「ホテル花月園」で行われる。井山は「まだまだ大変なので、精一杯準備して臨みたい」、河野は「せっかくの七番勝負なので、盛り上げられるように、少しでもいい状態を作っていけるように努めたい」とそれぞれ抱負を語った。

上野、女流棋聖位を奪還

 鈴木歩女流棋聖が先勝し、挑戦者の上野愛咲美扇興杯が1勝を返して迎えた第24期ドコモ杯女流棋聖戦挑戦手合三番勝負(株式会社NTTドコモ協賛)の最終局が、2月8日、東京都千代田区の「竜星スタジオ」で行われた。結果は148手まで、白番上野の中押し勝ち。昨年の雪辱を果たし、2期ぶり3度目の女流棋聖位を獲得した。防衛はならなかった鈴木は「愛咲美ちゃんが強かった」と振り返り、「力は出し切れたと思いますが、自分の力が及びませんでした。また挑戦できる機会があればがんばりたい」と語った。2冠となった上野は、「第1局の内容がひどすぎたので、あとは楽しんで打とうと考えました」とシリーズを振り返り、「碁の内容は今日が一番よかった。今年は世界戦もがんばりたい」と笑顔で喜びを語った。

囲碁ニュース [ 2021年2月2日 ]

女流棋聖戦、最終局へ

 前期とはタイトルホルダーと挑戦者を入れ替えて、第24期ドコモ杯女流棋聖戦挑戦手合三番勝負(株式会社NTTドコモ協賛)が開幕した。連覇を期す鈴木歩女流棋聖は、1月21に神奈川県平塚市の「ホテルサンライフガーデン」で打たれた第1局で黒番中押し勝ちをおさめて先勝。続く第2局が、28日に東京都千代田区の「竜星スタジオ」で打たれた。序盤は白番の鈴木がペースを握り、挑戦者の上野愛咲美女流最強位は「ほぼあきらめの気持ちでした」と振り返る。だが、上野は中盤から必死の追い上げを見せる。逆に「楽観があったのかも」と振り返る鈴木が上辺で白を捨てた選択が疑問だったようで、黒が巻き返した。その後、鈴木に後悔の打ち回しがあり、上野が手厚く冷静に応じて優勢を築き、そのままヨセ切って中押し勝ち。スコアを1勝1敗のタイに戻した。鈴木は、上辺の攻防に「悔いが残る」と、無念そう。上野は「最終局は序盤の作戦をしっかり考え、楽しい碁を打ちたい」と抱負を語った。防衛か雪辱か、注目の最終局は、2月8日に、東京都千代田区の「竜星スタジオ」で行われる。

井山棋聖、2連勝

 井山裕太棋聖が先勝してスタートした第45期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)の第2局が、1月22、23の両日、富山県高岡市の「勝興寺」で行われた。挑戦者の河野臨九段は1勝を返したい一局だったが、序盤に黒番の井山がリードを奪うと、そのまま黒優勢の時間が長く続いていった。二日目に入り、下辺の攻防のなか、河野の絶妙手から超難解な戦いへと突入。勝敗の行方は不明となった。ただ、碁形が黒に味方し、逆転はかなわず。「最後の攻め合いには勘違いがあった」と振り返る河野が投了を告げるところとなった。井山は「まだまだ先は長いので」と気を引き締め、河野は「七番勝負を盛り上げられるように精一杯努力したい」と語った。その言葉どおり巻き返しがなるか。第3局は、2月5、6の両日、長崎県西海市の「オリーブベイホテル」にて行われる。

許、十段戦挑戦者に

 芝野虎丸十段への挑戦権をかけた大和ハウス杯第59期十段戦(大和ハウス工業特別協賛)の挑戦者決定戦が、1月28日、東京都千代田区の日本棋院で行われた。決定戦に勝ち上がったのは、許家元八段と余正麒八段。両者は共に好調で、余は昨年22連勝を記録し、今年も5連勝と勢いに乗っていた。だが、中盤には黒番の許が、「少し打ちやすいと思った」と振り返る。さらに黒が上辺で仕掛け、読みを入れた戦いで利を得て大勢が決したようだ。中押し勝ちをおさめた許は、昨年末の王座戦に続いて、芝野に挑戦することになった。「こんなに早く挑戦の機会がめぐってくるとは思っていなかったので、すごく嬉しいです。芝野さんは強敵ですが、タイトル奪取が目標。しっかり対策をして、全力で臨みたい」と決意を語った。挑戦手合の第1局は、3月2日に大阪府東大阪市の「大阪商業大学」で行われる。

囲碁ニュース [ 2021年1月28日 ]

二度目の緊急事態宣言と囲碁大会

 年が明け11都府県に二度目の緊急事態宣言が発令され、再び囲碁界ではイベントの延期などが行われた。碁会所などは時短営業となったものの、昨年春のように休業するところは少なく感染予防をしながら営業をしている。
 年内の囲碁大会はどのようになっていくのだろうか。自粛している一方で囲碁ファンの中には大会の開催を待ち望んでいる方は多い。現在、アマ名人、アマ本因坊、アマ竜星(世界アマ)の開催については発表されていない。例年では予選日程がそろそろ発表される時期である。昨年に続き今年も開催されないのではという声も聞かれファンの中では寂しい声もある。
 それとは違い子供大会に関しては開催が現在のところ発表され、昨年の暮れから全国各地で予選が行われている。3月にはジュニア本因坊戦と全日本こどもチャンピオン戦の二つの全国大会が開催予定である。子供たちにとって大切な時間となるように願いたいところである。
 また現在のところでは女流アマ選手権も開催予定となっており、各地で予選の日程も発表されている。しかし、関東に関しては日程の発表はされているものの、はっきりと開催とはされておらず申し込みも様子を見ながらの更新とホームページに記載されている。全国大会の日程は発表されているが果たして開催できるのであろうかという不安の声も聞かれる。
 昨年に続き今年も囲碁大会開催が不安視されている。いつになったら元のように囲碁ファンが大勢集まり以前のように賑やかに交流できる日が来るのであろうか。一刻も早く以前のような光景が見られることを望むばかりである。

囲碁ニュース [ 2021年1月19日 ]

一力、「応氏杯」準決勝で敗退

 4年に1度、オリンピックと同じ年に開催される世界戦、第9回応氏杯世界選手権(応昌期囲棋教育基金会主催)の準決勝三番勝負が、10日と12日にネット対局にて行われ、中国の謝科八段と対戦した一力遼九段は、2局ともに優勢を築くも、中盤以降、持ち時間にも追われる流れとなり悔しい2連敗。決勝進出はならなかった。
 コミ8目(持碁は黒勝ち)、持ち時間3時間を使い切ると20分ずつ2目コミ出し(2回まで)などの特有のルールを持つ本棋戦は、日本では公式戦に含めていないが、過去には大竹英雄名誉碁聖、依田基紀九段がそれぞれ第2回、第3回に準優勝しており、認知度も注目度も人気も高い。一力は、三番勝負第1局では4目のコミを払い中押し負けとなり、その反省を基に、第2局は「序盤は(時間を使わないように)とばした」と振り返る。相手の得意戦法を研究し優勢を築くが、中盤に難解な戦いに持ち込まれ、再び持ち時間の差が開いていった。「2目払っても勝てる」という手応えを掴んだ局面もあったが、難戦の中、結局ヨセ勝負となり、コミ2目を払っての3目負けという結果となった。局後の一力は「やっぱり残念な気持ちは大きいです。かなり、懸ける思いは強かったですので」と天を仰いだが、「よくなってから勝ち切るというところがまだ課題なのかなと感じたので、今後また修正して臨んでいきたい」と、悲願の世界一に向けて決意を新たにしていた。

棋聖戦開幕。井山が先勝

 9連覇を目指す井山裕太棋聖に、河野臨九段が昨年に続いて挑戦する第45期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)が開幕。第1局が、13、14の両日、東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」にて行われた。一日目は黒番の河野が得意の布石でスタートさせ、両者ともに「形勢に自信がなかった」と振り返る局面で、井山が封じた。二日目に入ると、井山らしい最強手と自由で巧みな打ち回しから白が優勢を築き、中盤から河野のつらい時間が続いていった。だが、井山が勝負を決めにいったシーンで一気に局面が紛れる。井山は右辺の黒の大石を取りかけにいったのだが、逆に白石を取り込まれるコウ争いに突入。井山に誤算があったようだ。ただ、大熱戦となったが、逆転には至らず、244手まで、白番井山の中押し勝ちとなった。第2局は、1月22、23の両日、富山県高岡市の「勝興寺」にて行われる。

囲碁ニュース [ 2021年1月12日 ]

「女流名人戦」リーグ出場棋士7名が決定

 1年空け、「博多・カマチ杯」として復活した第32期女流名人戦は、30期・31期のトーナメント戦から改められ、7名による挑戦者決定リーグ戦が再開される。藤沢里菜女流名人への挑戦権をかけ、謝依旻六段、牛栄子三段、辻華初段の3名が、昨年12月にリーグ入りを決めている。1月7日、東京都千代田区の日本棋院で予選が行われ、鈴木歩女流棋聖、上野愛咲美女流最強位、向井千瑛五段、加藤千笑二段の4名が勝ち上がり、リーグ戦に参戦する7名全員が出そろった。実力者が並ぶ中、若手の辻は「強い先生とリーグで打てるのはうれしい。全敗は悲しいので、1勝できるように頑張ります」、加藤は「リーグは初めてなのですごくうれしいです。リーグ戦は勝っても負けてもたくさん打てる。リーグに残れるように頑張りたい」とそれぞれ喜びと抱負を語った。
 また、今年1月に、日本棋院関西総本部から東京本院に移籍した仲邑菫初段は、午前の対局で佃亜紀子五段に白番中押し勝ちして移籍後の初戦を白星で飾ったが、午後の決勝で上野に敗れてリーグ入りは果たせなかった。仲邑は「上野先生は強かった」。上野は「菫ちゃんと打つのは怖いけど、戦いになるので楽しいです」とのコメント。リーグ戦については「挑戦者になって里菜先生と打ちたいです」と力強い抱負を語った。

囲碁ニュース [ 2021年1月5日 ]

一力と余がランキングトップ

 あけましておめでとうございます。
 昨年末、12月28日に、日本棋院と関西棋院は公式戦のランキングを発表し、日本棋院では、一力遼天元・碁聖が勝ち星(53勝)、対局数(66局)、勝率(0.803)の3部門で首位。連勝部門では11連勝で2位につけた。3部門での首位は、2012年の井山裕太本因坊(当時)以来。また、連勝部門は長徳徹志二段が14連勝で初の「最多連勝」を獲得した。女流棋士では、藤沢里菜女流本因坊が勝ち星(35勝)と勝率(0.7)で1位。上野愛咲美女流最強位が対局数(57局)、下坂美織三段と牛栄子三段(8連勝)が連勝で、それぞれ1位となった。
 関西棋院では、余正麒八段が全部門で1位。対局数(50局)は村川大介九段と並んだが、他は単独トップ。とりわけ、勝率(0.860)と連勝(22)は驚異的な数字で、一力二冠と共に、好調ぶりを示している。
 なお、一力二冠、余八段ともに、連勝を継続中で、両者は今月7日の名人戦リーグで激突。どちらが連勝をのばすかが注目される。

「大和ハウス杯第59期十段戦」へ

 1月5日、本戦進行中の第59期十段戦(産経新聞社主催)に、2021年1月1日より大和ハウス工業株式会社が特別協賛し、正式名称が「大和ハウス杯第59期十段戦」となることが、産経新聞社、公益財団法人日本棋院、一般社団法人関西棋院より発表された。十段戦は現在、芝野虎丸十段への挑戦権をかけて本戦を戦っており、張栩九段、村川大介九段、余正麒八段、許家元八段の4名が勝ち上がっている。

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