●11日目…定石について
[11]高目・目外しの定石
▲の高目は右辺に勢力を作るための打ち方です。特殊な打ち方なので、全局をよく見て使いこなすことが大切です。白からのカカリはa~cの3種類で、そぞれに対する基本的な打ち方を説明します。
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【定石1】
白1のカカリが最も普通の打ち方です。黒2、4のツケ引きから黒6とヒラけば簡明な定石です。白7はaとケイマに構える定石が主流でしたが、最近は白7のほうが多く打たれています。
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【定石2】
また、最近は黒2、4のツケ引きに白5と二間にヒラく定石が主流です。黒はaとハネて隅で根拠を得ることができるので、黒6と広くヒラキます。白はここで手を抜いて先手を取ります。黒がaとハネてきたらbとヒラき、黒が上辺から迫ってきたら白aと隅に根拠を持ちます。
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【定石3】
白1に黒2のカケは、高目の意図をもっとも素直に反映する定石です。白は3、5から7までと隅に実利を得て根拠を作り、黒は右辺に向けて勢力を築きます。
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4図白7のスベリで、白1、3としっかり生きるのもあります。黒4とツゲば厚みはさらに強力になりますが、黒は後手です。黒4は手抜きをすることもできます。また、黒4でa、白b、黒cという打ち方もあります。白は先手を取れますが黒の厚みが強力なので、白が先手を取る場合には4図の白7を手抜きするほうがよく打たれています。
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【定石4】
白1のツケに黒2とハネ出す定石もありますが、非常に難解です。しかし、白の立場で白1とツケるときには、黒2と打たれる可能性があることは覚えておきましょう。白23までが定石ですが途中の変化も多く、理解するのは高段者になってからでいいでしょう。
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【定石5】
白が簡明を求めるなら、白1と三々にカカるのがお勧めです。黒2と封鎖するのが普通で、白3、5から7と二段バネをして、白9とノビます。部分的には黒十分の分かれですが、黒の高目が重視したはずの右辺に進出できるのが白の自慢です。
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7図の白7で、白1の切りから白3と打てば黒△を取ることができます。しかし、黒8や10を利かされ、黒12、14と隅の実利も奪われてしまうので、白1、3と打つのはよくありません。
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黒1(8図黒12)のツケに白2とオサえるのは黒3のオキが急所です。白4のツギには黒5、7のシボリから黒11とハネられて白苦戦です。
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9図の白3で、白1とオサえるのは、黒2のアテから黒4、6が手筋で次に黒aとbが見合いです。
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白1とこちらからオサえるのも、黒2から4、6でやはり黒aと白bが見合いです。10図と本図の黒の打ち方は応用範囲が広い手筋ですので、覚えておきましょう。
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白1に黒2とツケると、白3のハサミツケでサバかれてしまいます。続いて黒aには白b、黒bには白aとなり、あまり黒のよい進行にはなりません。
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白1のカカリに対して、どうしても右辺を重視するなら黒2のコスミツケから黒4のトビになりますが、白5とヒラかれて、黒の厚みがあまり強くないので不満です。白1の三々は、黒に右辺へ厚みを作らせたくないときに有力です。
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【定石6】
白1のカカリは簡明です。黒2と受ければ普通で、白3と二間にヒラキます。部分的には黒十分ですが、穏やかで簡明な分かれになります。
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黒△の目外しは上級者向けの打ち方です。右辺を重視していますが、実利と厚みの両面で打てる柔軟性があります。白のカカリはa~cの3種類が中心です。
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【定石7】
白1のカカリには黒2のカケが普通です。白は3から5と受けて上辺に実利を得て、黒は右辺に厚みを築いて黒6などと展開します。
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白1のカカリには黒2の大斜ガケや黒aのハサミなど難し変化を含む定石もたくさんあります。目外しにカカルときには注意が必要です。
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【定石8】
目外しに対しても、白1と三々にカカれば簡明です。黒2から白9までは7図の定石と同じですが、黒は重視していた右辺に勢力を向けることができるので、不満はありません。
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【定石9】
黒に右辺への勢力を与えたくなければ、白1とカカることになります。黒2、4と隅の実利を確保し、白は7と上辺にヒラくのが定石です。黒6のコスミは重要で、手を抜くとすぐにでも白aとツケられてしまい、黒がいけません。
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19図の白7で、白1と4間にヒラくと、黒2のケイマが好点になります。手を抜くと黒aやbなどの打ち込みが厳しく、白cと受けるのでは黒2を先手で打たれたことになってしまいます。白1はややヒラキ過ぎです。
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白1のカカリに対しては黒2、4とツケノビてくる場合もあります。白5に黒6となりますが、白7とハネると黒8の切りから難解定石に引きずり込まれます。
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【定石10】
黒2から6には白7と上辺に展開すれば簡明です。黒8の要点は打たれてしまいますが、白は先手で簡明に切り上げることができます。
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●11日目…定石について