●11日目…定石について
[4]星の定石-三々入り
【定石1】
星の場合は白1といきなり三々に入る手があります。黒2から12までが定石で、白は地を荒らし、黒は厚みを得ます。なお、黒2とオサえるか、黒3とオサえるかは上辺の状況を見て判断します。本図は定石ではありますが、部分的には黒の厚みが勝ります。したがって、白は黒の厚みが多少効率が悪くなるような状況になってからでなければ、白1と三々に入らないほうがいいでしょう。
たとえば、あらかじめ上辺にも右辺にも▲と展開されているような場合に、白1と三々に入ります。黒の厚みの割りには▲のヒラキが狭いという状況になりますが、本図の進行でほとんど互角です。
また、▲にヒラかれているところに白1とカカるのは、黒2のコスミツケから黒4とトバれて、白が攻められてしまいます。黒2、4もほとんど定石と言っていいでしょう。▲がいて白は上辺に展開できないので、白5には黒6やaから厳しく攻められてしまいます。
1図の三々は、本図の進行を避けるという意味で打たれているので、2図のような場面で使うのが正しいのです。
1図の黒8で、本図の黒1とオサえるのはいけません。無理に白を止めようとするとかえって断点がうまれ白2と切られて困ります。黒3の引きには白4、6となり、次に白aのシチョウとbのハネが見合いです。
黒1のノビに白2とハわれたら黒3、5とノビて問題ありません。序盤では白2、4と黒3、5の交換なら、問題なく黒が有利です。
1図の黒12は大切な守りです。手を抜いて白1と切られると黒の厚みを破られてしまいます。黒2とアテるのは白3と逃げられて、次に黒4と白5が見合いです。
白1に黒2の引きなら、白3から15までは一例ですが、やはり黒の厚みは跡形もなくなり、逆に攻められてしまいそうです。1図黒12のカケツギを省いてはいけません。
【定石2】
白1の三々に対しては、ほとんどの場合1図の定石を打っていればいいのですが、厚みがあまり働きそうもない局面の場合は、黒6と二段バネをする定石もあります。白7、9と上辺でポン抜きを許す代わりに、黒10、12と隅の白二子を取ります。部分的には互角のワカレです。
8図の定石は続いて白1の押しが好点です。黒は2、4とハネノビるくらいなので、上辺は白もかなりの勢力を作ることができます。
白1、3に対して、黒4と二段バネをすることはできません。白5のサガリに黒6と取りにいったとき、白7から9で困ってしまいます。続いて黒aは白bで取られてしまいますし、黒bは白aから手を伸ばされて、隅の黒が攻め合いに勝てなくなってしまいます。
9図の白7で、本図の白1と隅をツグのは白の失敗です。これには黒2とツイで上辺を止めることができたことに満足します。白3、5のハネツギで隅は生きていますが、黒6のカケツギになれば、1図の定石に比べて黒はかなり有利な形です。
【定石3】
黒4、6の二段バネに白7、9と取ってきたとき、黒10と上からアタリにする打ち方もあります。白11の抜きに黒12のアテを利かし、白13のツギで一段落です。黒先手を取ることができますが、厚みは1図に比べて大幅に劣ります。
黒1のアテに白2とツイできたら、今度は黒3、5と隅の白を取ります。8図の定石に比べて、黒1と白2の交換は黒がとても得をしているので、本図は黒有利です。
12図の白13のツギで、本図の白1とアテてきたら黒2とツイでいいでしょう。次に黒aと抜けば黒b、白△、黒cと隅を取る手と、黒d、白△、黒eとシチョウで取る手が見合いになるので、やはり黒が先手のようなものです。
【定石4】
黒6の二段バネに対して、白7から9と切ってくる定石もあります黒10のツギが肝要で、白11、13とポン抜かれますが、黒12、14と隅を取ります。部分的には8図の定石よりも黒が有利な形ですが、白が右辺でポン抜きたいときに、選んでくる打ち方です。
15図の黒10で、慌てて黒1と白△切るのは白2と両アタリにされてしまいます。黒3に白4と中央をポン抜かれてしまっては黒の大失敗です。
15図の黒10で、黒1とアテるのは白2とツガれます。これが白の狙いで、黒3とポン抜いた時に白4、6と上辺を取られます。右辺の黒はかなり強くなりますが、今度は8図と違って、黒a、白b、黒cと打っても白dと打たれて隅を取ることはできません。
黒1、白2のときに黒3と上辺を守ると白4と逃げられます。黒5から二線をハウようでは、仮に右上隅の白を取ることができても、黒のよくない形です。
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