囲碁×受験 藤澤一就八段と現役東大生に聞く囲碁の効果

「囲碁をすると頭が良くなる」は本当なのか。

「囲碁をすると頭が良くなる」は本当なのか。今回は「囲碁×受験」をテーマに「新宿子ども囲碁教室」を主宰する藤澤一就八段と、教室の卒業生で現在スタッフとして働いている現役東大生のAさんとTさんにお話を聞いています。
囲碁×受験 藤澤一就八段と現役東大生に聞く囲碁の効果
第1部:囲碁が勉強に好影響を与えているか第2部:受験の際、囲碁で培った力が役に立ったか

「囲碁をすると頭が良くなる」は本当なのか。今回は「囲碁×受験」をテーマに「新宿子ども囲碁教室」を主宰する藤澤一就八段と、教室の卒業生で現在スタッフとして働いている現役東大生のAさんとTさんにお話を聞いています。

第1部では藤澤八段に指導者の立場から「囲碁が勉強に好影響を与えているか」を考察していただきました。第2部では現役東大生のAさんとTさんから「受験の際、囲碁で培った力が役に立ったか」について考察していただきます。 (インタビュア = 品田渓)

第2部:受験の際、囲碁で培った力が役に立ったか

パンダネット社員M

藤澤一就八段

「新宿子ども囲碁教室」教室を主宰。多くの棋士を排出している。

医師 飯塚あいさん

現役東大生 Aさん Tさん

教室の卒業生で現在スタッフとして働いている現役東大生。

現役東大生 Aさんの話

インタビュア

Aさんの学部と学年、囲碁教室に何歳から何歳まで通っていたかと、受験をしたタイミングを教えてください。

藤澤

Aさん)経済学部3年です。5、6歳の頃兄の影響で囲碁を覚え、小3からこちらの教室に通うようになりました。私は小中高と大学の附属校でしたので、受験は大学からです。教室に通っていたのは中2までだったと思います。

インタビュア

受験にあたって、囲碁で培った力が役に立っていると感じたことはありますか。

藤澤

Aさん)数学の先生から「問題を解く時はマクロな視点とミクロな視点を持つように」と指導され、その考え方が囲碁に似ていると思いました。マクロな視点とは問題をどう解くか方針を決めること。ミクロな視点とは知っている定理を使って実際に問題を解くこと。囲碁でも大局的にどんな碁にしたいか方針を決め、その方針にしたがって手を読みます。

インタビュア

マクロな視点とミクロな視点ですか。他にはいかがでしょう。以前、東京都健康長寿医療センターの飯塚あい医師から「囲碁は序盤、中盤、終盤で異なる頭の使い方をするから認知症予防に良い」という話を聞きました。Aさんは序盤、中盤、終盤でどのような力が必要だと思いますか。

藤澤

Aさん)そうですね。序盤は幾何的な形を捉える力でしょうか。中盤は論理的思考、判断力、感覚的なもの、色々必要なので、総合力で勝負しているという感じがします。終盤は理詰めで計算するので、論理的思考と計算力でしょうか。

インタビュア

どの力も数学と通じるものがありそうですね。

藤澤

Aさん)そうですね。もう一つ、受験でいうと、「考えてもわからない時にある程度あきらめてできる範囲の答えを出して進む」という力も囲碁が影響しているように思います。囲碁は局面が複雑で考えても分からないことがよくありますが、そういう状況でも自分にできる範囲の最善を尽くさないといけません。同様に、入試で難しい問題に当たった時も、時間内に自分にできる最善の解を導く必要があります。

インタビュア

たしかに、どちらも限られた時間の中で答えを出すというのが一致していますね。最後に、Aさんが思う囲碁を習う良さを教えてください。

藤澤

Aさん)私は考えることが好きだったので、囲碁を打つのが楽しかったですし、勉強をする時にも考えることは同じなので、いい影響があったと思います。もし囲碁が好きで、勉強も少しでも好きな気持ちがあるなら、囲碁で培った力が学力も引き伸ばしてくれると思います。

現役東大生 Tさんの話

インタビュア

Tさんの学部と学年、囲碁教室に何歳から何歳まで通っていたかと、受験をしたタイミングを教えてください。

藤澤

Tさん)理科三類1年生です。囲碁は祖父の影響で物心付いた時から知っていました。いつから教室に来ていたかははっきり覚えていないのですが、高2までお世話になりました。受験は中学でもしていて、そのタイミングで週2で通っていたのを週1にしました。

インタビュア

受験にあたって、囲碁で培った力が役に立っていると感じたことはありますか。

藤澤

Tさん)自分で言うものなんなのですが、私は暗算が得意なんです。単純計算だけでなく、大学レベルの問題でも頭の中で計算できます。囲碁は石を置かずに先を読むので、そのことが影響しているかもしれません。また、囲碁は先を読むことで、想像力が広がり、洞察力が鍛えられます。手を読む中で妙手を見つけることと、問題の解法がひらめくことは感覚的に似た部分があり、想像力や洞察力といった部分にも影響しているかもしれません。

インタビュア

先ほど藤澤八段からTさんは「数学の問題が囲碁のように立体的に見えるらしい」とうかがいました。どういうことでしょうか。

藤澤

Tさん)問題を総合的に捉えて、洞察できるというようなことですね。

インタビュア

私も囲碁は打つのですが、問題が立体的に見えたことが一度もありません。なぜでしょうか。

藤澤

Tさん)・・・それは、数学には一定の知識と理解が必要で、それがなく囲碁ができるから定理が浮かぶということはありません。

インタビュア

・・・はい。大変失礼しました。でも、お話をうかがう中で、数学と囲碁の類似点がたくさんあることがわかりました。他に囲碁の効果を感じることはありますか。

藤澤

Tさん)集中力は囲碁を通して鍛えられたと思います。

インタビュア

最後に、Tさんが思う囲碁を学ぶ良さを教えてください。

藤澤

Tさん)囲碁をするのは楽しいからで、役に立つからではありません。なので、まずは囲碁を楽しむことが大事だと思います。その上で、副次的効果として、集中力や洞察力がつき、結果として勉強に生かされることがあるかもしれません。

まとめ

インタビュア

藤澤八段、Aさん、Tさんのお話を聞いて、囲碁と勉強、とりわけ数学には似たところが多くあることが分かりました。また、「集中力が鍛えられる」のが囲碁の優れたところのようです。囲碁で鍛えられた集中力が勉学に向けば偏差値が上がります。
ただし、最も大切なことは囲碁を楽しむことだと全員が口をそろえて言っていました。楽しいから集中力が養われ、論理的思考や想像力、洞察力といった力も身につく。それが、囲碁を嗜む人に高学歴が多く、囲碁をすると頭が良くなるというイメージにつながっているのかもしれません。

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