日本囲碁ニュース
日本の囲碁ニュース・棋戦情報をお伝えします。
日本で行われている囲碁のイベントや棋戦情報を皆様にお伝えします。
囲碁ニュース [ 2025年4月8日 ]
芝野、3連勝で十段復位

井山裕太十段に挑戦者の芝野虎丸九段が二連勝して迎えた第63期十段戦五番勝負(大和ハウス工業株式会社特別協賛)の第3局が、4月3日、長野県大町市の「ANAホリデイ・インリゾート」で打たれた。序盤早々、左辺で黒番の芝野が仕掛けて戦いに突入するが、黒が攻められる展開となり、白がポイントをあげる。芝野は「左辺のワカレは大変にしてしまったと思っていた」と振り返ったが、井山は「実戦よりいい図があったのではないかと後悔があった」という。左辺の黒が生き、逆に白が攻められる展開に。中央で黒が白を分断して流れが変わり、二つの弱い石を攻めながら黒が優勢を築いた。ここから井山が巻き返していく。芝野は「勘違いもあり、後半はいろいろ分からない状態で打っていた」と混戦を振り返る。井山は「いけそうかなと思った局面もあったが、結果的には当初思い描いた図とはかけ離れたものになってしまった。もう少し何かいい図を選びたかったが、分からなかった」とし、逆転の機はないと見て投了を告げた。3連勝で十段に復位した芝野は「内容としては難しい碁が多かったですが、一応最後まで集中して戦うことができた」、井山は「チャンスの多い碁もあったと思うのですが、全体的にこちらのパフォーマンスがまずすぎた」とそれぞれシリーズを振り返った。芝野は昨年、挑戦手合に5回出場しながら全て敗退。井山には王座、碁聖の挑戦を退けられ、十段を奪還された。無冠を返上し「昨年の終わり頃はもうタイトルを取れないかもと思ったくらいなので、今までのどのタイトルよりも嬉しい」と喜びを語った。
若手決戦、三浦が先勝
第4回テイケイグループ杯俊英戦(テイケイ株式会社 他テイケイグループ協賛)決勝三番勝負の第1局が、4月5日、東京都千代田区の「竜星スタジオ」にて打たれた。本棋戦は、25歳以下の棋士で争われ、本戦のリーグ戦(2リーグ)を勝ち上がった2名が決勝に進出する(過去の優勝者、許家元九段、一力遼九段、芝野虎丸九段は、規定により出場できない)。決勝の舞台に勝ち上がったのは、酒井佑規五段と三浦太郎三段だ。両者の棋風が表れた一戦は、難解を極める戦いの碁となった。黒番の三浦がやや押し気味ではあったものの、フリカワリがありながら、終始互角の形勢が続いた。大盤解説の鶴山淳志八段によると、上辺の折衝で黒がポイントをあげたようだ。最後は優勢の三浦がコウを読み切って勝負を決めた。敗れた酒井の「どこで悪くしたのか、まだよく分かっていないので……ちょっと残念な内容でした」というコメントからも、熱戦ぶりが伺われる。三浦は「直近の手合いで2局続けて半目負けだったので、ヨセ勝負になると自信がなかった。上辺が治まったあたりで、確信とまではいきませんが、少しいけそうかなと思いました。ただその後、杜撰な部分があって」と反省しつつ本局を振り返った。鶴山八段は「秒読みに入り、上辺の攻防の中、白にチャンスがきていたかもしれません。黒が無事に収まり、その後は酒井さんの勝負手に三浦さんが冷静に対応しました。最後の最後まで互角の形勢で、お二人とも充実しているなという濃い内容でした」と総評した。第2局は、5月3日に、同じく「竜星スタジオ」にて打たれる。
芝野、本因坊戦挑戦者に
第80期本因坊戦(毎日新聞社主催)の挑戦者決定戦が、4月7日、千代田区の日本棋院東京本院で打たれ、芝野虎丸十段が、孫喆七段に黒番中押し勝ちを収め、4期ぶり(3回目)に挑戦者に名乗りをあげた。本局は、序盤は孫が打ち回した。下辺の折衝で少しずつポイントをあげると、芝野の猛攻をかわしつつ、右辺の黒模様を荒らしながらシノいで優勢を築いた。さらに左下の黒を攻める展開となり、AIの勝率は「白99%」の評価が続いた。芝野も「しのがれた時点でまずい展開になっている。他の打ち方をしなければいけなかった」と振り返る。だが、左辺で白が出切りを打ったあたりから流れが変わる。孫は「感覚的には正しく打てばやれそうだと思ったのですが、実戦は仕掛け方がまずかった」と反省。その後は、芝野が的確に打ち回し、孫を投了に追い込んだ。無念の敗戦となった孫は「ここまで進んでこれたのは初めてですし、自分なりに頑張ったのかなと思うのですが、この碁には悔いが残ります。(来期は)また、一から……」と言葉少なにコメントを残した。芝野は、今年に入り、国内戦では負けなしの15勝1敗。局後は、「本因坊戦は苦しい碁が多かったので、挑戦者になれてよかった。(七番勝負に向けては)また準備して臨みたい」と意気込みを語った。
囲碁ニュース [ 2025年4月7日 ]
ジュニア本因坊戦 内藤さん優勝
3月15日、16日の両日、東京千代田区の毎日ホールにて「第28回クレスコ杯ジュニア本因坊戦」全国大会が開催され、代表32名が頂点を目指した。ジュニア本因坊戦は小学生、中学生が同じ土俵で戦う珍しい大会。
優勝決定戦は内藤陸斗さん(埼玉)と桑原多喜さん(東京)の元院生中学生対決となった。桑原さんが優勢で進めていたようだが、最後は内藤さんが逆転。内藤さんの優勝となった。
小学生では少年少女囲碁大会やこども棋聖戦でも優勝経験のある横手悠生さん(東京)が4位に入賞したのが最高となった。
ジュニア本因坊戦の特別協賛である株式会社クレスコの社員である大関稔アマ本因坊による指導碁も行われ、大関アマ本因坊の丁寧な検討に子供たちは熱心に耳を傾けていた。
こどもチャンピオン戦 桑原さん(中学生)、中山さん(小学生)優勝
3月22日、23日の両日、京都において「第28回ボンド杯こどもチャンピオン戦」全国大会が開催され、小学生28名、中学生28名がそれぞれ頂点を目指した。
中学生の部では1週間前のジュニア本因坊戦で活躍した内藤陸斗さんと桑原多喜さんがまたもや4回戦で激突。今度は桑原さんが勝利し優勝決定戦に進出。優勝決定戦は桑原さんと優勝経験がある角優輝さん(福岡)。序盤からものすごい戦いとなり白番の桑原さんが黒の大石を仕留め勝利。ジュニア本因坊戦の無念から1週間、見事全国優勝を果たした。
小学生では中山翼さん(神奈川)が優勝となった。
今年はタイからの特別枠が設けられ、小学生、中学生ともにタイの代表が参加した。
囲碁ニュース [ 2025年3月25日 ]
一力、三連勝で棋聖防衛

第49期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)の第7局が3月12、13の両日、山梨県甲府市の「常盤ホテル」にて打たれ、一力遼棋聖が井山裕太王座に逆転勝ちし、四連覇を果たした。シリーズも1勝3敗から3連勝しての逆転防衛となった。本局は、序盤の左辺の攻防で白番の一力が優勢を築いた。だが、中盤に入り一力の緩着を井山が捉え、中央の白が薄くなる。これを攻めながら井山が右辺を大きくまとめた時点で、一力は負けも覚悟したという。黒は上辺をシノぎさえすれば優勢は動かないという局面となったが、第二局で守りに入って逆転を許した井山は強い態度を崩さず、局面が紛れていく。難解な攻防の中、一力の読みが勝り、井山を投了に追い込んだ。王手をかけながら3連敗で奪還を逃した井山は「この結果を受け止め、次に向かいたい」と言葉少なに話した。なかなか調子が上がらず苦しかったシリーズを乗り越え、第一人者の地位を守った一力は、まず「ホッとした」と語った。ついで、「第6局も本局も負けていてもおかしくない碁だった」と振り返り、3敗と追い詰められたときの心情を、「逆に追い詰めたシリーズでもあり、『あと1勝』が遠い、追い詰めた側の心理も経験している。また、『1勝3敗』だと思うと苦しいので、トーナメントだと思うようにし、1つずつ勝っていこうと気持ちを切り替えたのがよかった」と明かした。来期は「名誉」号の権利がかかる五連覇を目指すことになる。
上野梨紗、世界一
上野梨紗三段が、国際棋戦「SENKO CUPワールド碁女流最強戦2025」(センコーグループホールディングス株式会社特別協賛)で優勝を果たした。本棋戦は、日本から扇興杯女流囲碁最強戦の上位4名、中国、韓国、中華台北ランキング1位の3名、主催者推薦1名の計8名によるトーナメント戦で、3月14日から3日連続で開催。藤沢里菜七段は崔精九段(韓国)に、上野愛咲美六段は唐嘉雯六段(中国)に、王景憬四段は盧鈺樺五段(中華台北)にそれぞれ敗れ1回戦で姿を消し、16日に行われた決勝戦は、上野梨紗三段と本大会2連覇中の崔精九段(韓国)の顔合わせとなった。局面は黒番の崔が優勢のままヨセに入る。AIの勝率は「黒90%」以上を示していたが、上野が右辺に絶妙手を放って逆転し、劇的な白番半目勝ちとなった。本棋戦の優勝は、2022年に姉の愛咲美六段が果たして以来、日本勢では二人目。上野は「尊敬している先生だったので、打てるだけでもうれしかった。まさかこんな結果になると思わず、信じられない。うれしいです」と喜びを語った。
余、NHK杯初優勝
第72回NHK杯テレビ囲碁トーナメント戦(日本放送協会主催)の決勝戦が3月23日に放映され、余正麒八段が井山裕太王座を破り、初優勝を果たした。序盤は互角に進むが、中盤の攻防で白番の余がリードを奪う。その後、井山は苦しい戦いを仕掛けるが、余が的確に応じ、勝ち切った。これまでタイトル挑戦を井山に退けられてきた余がついに初優勝を果たした。局後の余は「素直にうれしいです」と笑顔を見せ、「井山先生は強く、今回も正直厳しかったのですが、運よく勝てて大きな自信になりました。これをきっかけに、他棋戦でも活躍できるように頑張りたいと思います」と語った。「『他棋戦でも活躍』というあたりをもう少し具体的に教えてください」という記者団の質問には「タイトルは昔からの夢ですので、もちろんタイトルを取りたいですし、二日制の碁も打ってみたいと思っているので、できれば挑戦者になりたい」と抱負を語った。
囲碁ニュース [ 2025年3月19日 ]
女流アマ 藤原さん10年ぶり3度目の優勝
3月8,9日に東京市ヶ谷の日本棋院において「第67回全日本女流アマチュア選手権」が開催され、96名の代表選手が頂点を目指した。最年少は8歳、最年長は81歳であった。
1日目は予選リーグから本戦トーナメント1回戦まで行いベスト8まで決める。各ブロック6人のリーグ戦であるが、ほとんどのところは3連勝による枠抜けが決まったが、1ブロックは2勝1敗で4人が並ぶ混戦となった。
4名のシード選手は順当に本戦トーナメントまで進出したが、トーナメントの1回戦で、昨年の優勝者の内田祐里さんが大垣美奈さん(東京千葉)に敗れ1日目で姿を消すことになった。最近までプロ試験を受けており女流採用試験ではあと一歩、冬季採用試験の外来予選では今年の入段者宮谷風雅新初段に黒星をつけ外来予選を突破するなどしていた橋本香子さん(東京千葉)も注目されていたが、予選リーグで敗退となった。
実力伯仲のなか決勝まで勝ち上がったのは昨年の準優勝者の藤原彰子さん(東京千葉)と一昨年準優勝の宇根川万里江さん(東京千葉)。早稲田大学の先輩後輩である。両者ともに成績は安定しているがあと一歩のところでいつも優勝を逃してきた。
このチャンスを制したのは藤原さん。高校生の時に連覇して以来、10大会ぶり3度目の優勝となった。敗れた宇根川さんはベスト4以上に何度もなっているが優勝が一度も無い。今回もあと一歩のところで届かなかった。
優勝した藤原さんは今後は夏の国際アマチュアペア碁選手権の優勝が目標とのこと。
囲碁ニュース [ 2025年3月11日 ]
棋聖戦、最終局へ

一力遼棋聖の2勝3敗で迎えた第49期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)の第6局が、3月6、7の両日、神奈川県箱根町の「ホテル花月園」にて打たれた。黒番の井山が優勢の時間が長かったが、手所で勝ちを逃し、一力が的確に咎めて劇的な逆転勝ちを収めた。本局は、両者の気合いがぶつかり合う難戦となった。序盤から井山が積極的に仕掛け、互いに難しい手を選択していく。一日目は形勢が揺れた。二日目は、各所に確定していない形を残しつつ、判断の難しい混戦の中、井山が抜け出し優勢を築く。一力は「白としてはかなり大変な形勢だと思っていた」と振り返る。だが、その後の右下の攻防で粘り強く打ち、井山は「少しいけそうなのかなと思っていたのですが、出来上がりは少し甘かった」と反省。その後、下辺で事件が起きた。左下隅の黒を生き、さらに下辺と左辺のどちらかの黒も生きる道があったようだ。この図を逃し、下辺も左辺も取られて逆転を許す。左辺と左下隅を振り替わったが形勢は動かず、白番の一力が2目半勝ちとなった。カド番の状況を2連勝でこらえ、最終局に持ち込んだ一力は「ひとまず、ここまでこられたのはよかったです。すぐ来週ありますので、しっかり準備してがんばりたい」、井山は「気持ちと体調を整えて精一杯臨みたいと思います」と語った。最終局となる第7局は、3月12、13の両日、山梨県甲府市の「常盤ホテル」にて打たれる。
囲碁ニュース [ 2025年3月4日 ]
芝野、十段戦白星発進

井山裕太十段に、芝野虎丸九段が挑戦する第63期大和ハウス杯十段戦(産経新聞社主催)挑戦手合五番勝負が開幕した。前期、井山に十段位を奪われた芝野にとってはリベンジを期すシリーズとなる。第1局は3月3日、大阪府東大阪市の「大阪商業大学」にて打たれ、芝野が黒番中押し勝ちを収めた。序盤は、黒番の芝野が右辺の模様を大きく広げ、入ってきた白を迎え撃った。作戦通り厳しく白を攻め立てるが、井山のシノギが上回り、白が優勢を築く。井山は「どちらかというとやれる戦いかなと最初は思っていたのですが」、芝野は「やや苦しいと思っていた」と振り返る。中盤、攻防の中、井山の積極的な強気のツケが、やや打ち過ぎだったようだ。これを的確に咎めた芝野が中央の白の種石を取り、逆転する。「中央を取られた割に、それに見合った戦果があがらなかった」と井山。その後も芝野が少しずつポイントを重ね、2目半から3目半の差は縮まらず、井山を投了に追い込んだ。第2局に向け、芝野は「対局が続きますので、しっかり準備して戦いたい」と抱負を述べ、棋聖戦七番勝負と並行して番碁が続く井山は「とにかく自分が少しでもいい状態に臨めるように。そこだけです」と語った。第2局は、3月17日に和歌山市の「ダイワロイネットホテル和歌山」にて打たれる。
囲碁ニュース [ 2025年2月28日 ]
一力棋聖が2勝目。カド番をしのぐ

一力遼棋聖1勝、挑戦者の井山裕太王座3勝で迎えた第49期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)の第5局が、2月26、27の両日、千葉県勝浦市の「三日月シーパークホテル勝浦」にて打たれた。カド番に追い詰められた一力は「こうなったら、とにかく一局一局勝っていくしかないので、今の自分にできるベストを出せるように頑張ります」と臨んだ。一日目は、黒番の一力が積極的に仕掛け、下辺でポイントを上げると、井山が左辺の折衝で盛り返し、いい勝負が続いた。だが、井山が左辺のコウを解消して黒に右辺の連打を許してから、流れが一力に傾いていく。二日目、井山の封じ手に対し、一力は右辺を受けずに中央を補強して力を蓄えると、読みの入った強手から右下の白を攻め、各所で得をして一気に優勢を築いた。新聞解説の芝野虎丸九段は「白が絶望的な形勢」と評し、立会いの張栩九段も「早い終局もあるかもしれない」と語った。だが、ここから井山が驚異的な粘りを見せ、右上隅の勝負手から半目勝負に持ち込む。難解なヨセの中、井山にも勝機があったようだが、一力が逃げ切って1目半勝ちを収めた。1勝を返した一力は「カド番である状況は変わらないので、引き続き頑張ります」、井山は「次局も精一杯準備したい」とそれぞれ抱負を語った。井山が勝って決着をつけるのか、一力が勝って最終局に持ち込むのか。第6局は3月6、7の両日、神奈川県箱根町の「ホテル花月園」にて打たれる。
囲碁ニュース [ 2025年2月18日 ]
井山、棋聖復冠に王手

第49期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)の第4局が、2月12、13の両日、静岡県熱海市の「熱海後楽園ホテル」にて打たれた。ここまでの戦績は一力遼棋聖が1勝、挑戦者の井山裕太王座が2勝。一力が勝って星をタイに戻すのか、井山が勝って復冠に王手をかけるのか――シリーズの流れを決める一戦に注目が集まった。
一日目は、黒番の井山が左辺で厳しい手を放ちペースをつかむ。だが、「やれていると思っていたが、少しぬるい手が続いて黒も薄くなってしまった」と井山。一力も「苦しかったが、封じ手あたりまでには少し戻したかなと思っていた」と振り返った。二日目に入ると局面は難解を極め、AIの勝率も乱高下する大激戦となる。井山は左下の白の大石を召し取るが、振り替わりとなった上辺の黒の大石の死活に誤算があったようだ。無条件死にとなり首を傾げ、局後も「上辺が全部取られてダメにしたのかなと思った」と語った。一力優勢のままヨセに入り、このまま逃げ切るかと思われたとき、井山の惑わせる一手が一力のミスを誘った。YouTube解説の蘇陽国九段は「白が5目ほど損をして逆転。黒が1目半ほどよくなりました」と解説する。その後、一力が勝負手を放つが井山が冷静に対応して差が広がり、井山が黒番4目半勝ちを収めた。大きな3勝目を掴んだ井山は第5局に向け「いいコンディションで臨めるよう準備していきたい」、カド番に追い詰められた一力は「本局は終盤で乱れてしまったので、次局は最後まで集中して打てるよう頑張りたい」とそれぞれコメントを残した。第5局は2月26、27の両日、千葉県勝浦市の「三日月シーパークホテル勝浦」にて打たれる。
囲碁ニュース [ 2025年2月10日 ]
上野(梨)、女流棋聖2連覇
第28期ドコモ杯女流棋聖戦三番勝負(株式会社NTTドコモ主催)の第2局が、1月23日に千代田区の日本棋院東京本院で打たれ、上野梨紗女流棋聖が挑戦者の向井千瑛六段に白番中押し勝ち。2連勝でタイトル防衛を果たした。向井にもチャンスのある展開だったが、結果的には上野が向井の力を封じ投了に追い込んだ。第1局で苦しい時間が長かった上野は、「2局目の前も自信がなかった」と振り返り、「向井先生は姉(上野愛咲美女流立葵杯)とはまた違った戦闘力が高い方。姉にもアドバイスをもらい、最強に打つことを心がけました。それがよかったのかもしれません」と勝因をあげ、「1勝1敗を予想していて、今日は勝つとは思っていなかったので、逆転で勝つことができうれしく思います。まず防衛できてよかった。昨年は女流棋聖を取ってから、(他棋戦では)ベスト4で負けることが多かったので、今年はもっと上にあがるのが目標です」と喜びと抱負を語った。
棋聖戦、井山が2勝目

一力遼棋聖に井山裕太王座が挑戦する第49期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)は、1月25、26の両日に栃木県日光市の「日光千姫物語」にて打たれた第2局に続き、第3局が、2月5、6の両日、一力の故郷である宮城県仙台市の「宮城県知事公館」にて打たれた。第2局は、井山優勢の時間が長かったものの、粘り抜いた一力が逆転勝利し1勝1敗のタイに。第3局も井山が左上の攻防でわずかにリードを奪う展開となった。2日目に入り、劣勢を意識した一力が中央の弱い黒石を動き出し、局面は険しさを増した。「判断がつかないまま打っていた。逃げられてみると白もどう対応してよいかよくわからなかった」と井山は振り返る。黒の中央の大石に対して、決定的なチャンスがあったようだが、井山がこれを逃し、一力が大石を生きて形勢を盛り返す。だが、大石を生かして右上の三々に向かった井山の判断も誤りではなかった。「三々に対して、もっと違う受け方があったか……実戦はまずかった」と一力。三々からの攻防の中、右辺の黒を取って井山が勝負を決め、一力を投了に追い込んだ。2勝1敗とした井山は「引き続き、コンディションに気をつけて、自分なりにベストを尽くしたいと思います」、敗れた一力は「ちょっと判断が難しい展開が多くて……もう少し内容のいい碁を打てるように頑張りたいと思います」とそれぞれ抱負を語った。第4局は、2月12、13の両日、静岡県熱海市の「熱海後楽園ホテル」にて打たれる。
囲碁ニュース [ 2025年2月7日 ]
第52回ジャンボ囲碁15人団体戦
2月2日、東京市ヶ谷の日本棋院にて第52回ジャンボ囲碁15人団体戦が行われ、32チーム480人が熱戦を繰り広げた。
Aクラスは全国トップクラスの強豪が多数参加。3連覇を目指す大熊義塾はアマ本因坊の大関稔さん、世界アマ日本代表経験のある森川舜弐さん、昨年アマ本因坊全国大会決勝で大関さんと争った谷口洋平さんなど、20代後半から30代前半の強豪を集めた布陣。対抗としては昨年決勝で敗れたバトリアヌス帝国と一昨年決勝で敗れた多岐技会(桃源会と同一チーム)。栗田佳樹さん、川口飛翔さんという20代のエースがいるバトリアヌス帝国であったが、瀧澤雄太さん、土棟喜行さん、木下暢暁さんという40代以上の全国優勝経験者を中心とする多岐技会が8-7の接戦を制した。
決勝は大熊義塾と多岐技会の対戦になり9-6で大熊義塾が勝利、3連覇となった。
Bクラスでは現役学生を中心とした捨て碁サウルスが圧倒的な成績で優勝している。Bクラスは主将や上の方では高段者やアマ強豪が座っているチームが多いが、10将以降では級位者も見られ、幅広い棋力層となっている。今回の注目はチーム15人を女性だけで集めた女流チームで、女流アマの全国上位者から有段者までを集め決勝まで勝ち上がった。
今回の優勝チームと抽選でAIセンスロボットが賞品として贈られた。
コロナ明け復活後は定員に達していなかったが、今回は32チームいっぱいになった。年に一度の大きな団体戦であり、1年ぶりの再会なども多く見られる大会だけに人数が復活して喜ばしい光景である。
囲碁ニュース [ 2025年1月31日 ]
学生王座記念対局 林学生王座、井山王座に挑戦

学生王座の林隆羽さんが井山裕太王座に挑む第23回全日本学生囲碁王座戦特別対局が1月18日、日本棋院東京本院幽玄の間で打たれた。
林さんは中央大の2年生で昨年12月、学生王座初優勝、学生十傑と併せて学生2冠となった。林さんが井山王座に挑戦するのは2度目で、前回は2017年に林さんが17歳で史上最年少アマチュア本因坊となり、その記念対局であるプロアマ本因坊戦のときで約7年ぶり。対局前に「前回よりも良い内容の碁を打ちたい」と林さん。
手合割は自由置き碁2子の逆コミ3目半。林さんは2子を向かい小目に配置した。黒が辺で地を稼ぎ、白が中央をまとめていく展開となったが、林さんが地を意識し過ぎたか、中央がうまく止まったうえ黒の中に手があり崩壊。井山王座の厳しさを見せつけられる結末となった。
終局後、「めいっぱい戦ってきてくださるので、打っていてこちらも気持ちよかった」と井山王座。「前回よりも強くなっていると思っていただけていれば嬉しいのですが」と林さん。
今年度から全日本学生囲碁連盟はユーチューブで中継しており、解説が鶴山淳志八段、聞き手が昨年の学生王座の川口飛翔さん。昨年の川口さんの体験を交えた解説も行われた。終局後には両対局者がユーチューブに出演。
林さんは2月11日、12日に行われる世界学生王座戦に出場する。「中国や韓国など自分より強い人はいると思いますが頑張ります」と語った。
囲碁ニュース [ 2025年1月21日 ]
棋聖戦、井山先勝

一力遼棋聖に井山裕太王座が挑戦する第49期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)が開幕した。昨年、一力は棋聖、天元、本因坊に名人を加え、井山は王座、碁聖に十段を加えた。「四冠」対「三冠」の頂上決戦は、史上初。文字通り二強による第1局は、1月16、17の両日、東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で打たれ、超難解な激戦を制して、井山が白番中押し勝ちを収めた。本局はまず、右上の攻防が見所となった。右辺と上辺の振り替わりとなるも、井山が捨てたかに見せた右辺の白石を動き出し、一力が封じて一日目を終える。二日目には戦いが全局に広がり、互いに弱い石をいくつも抱えながら、攻めかシノギかを探り合い、焦点が絞りづらい展開。一力が右辺の白を取り、上辺の黒をシノぐものの、地合いでは白がリードしており、右下と中央の弱い白のシノギ勝負となる。井山は、右辺の白の生還を見ながら右下をシノいで勝勢を築くが、中央で二度生きるチャンスを逃し、一気に差が詰まる。だが、ヨセで再びリードを広げ、一力を投了に追い込んだ。井山は、「黒地が大き過ぎるので右辺を動き出すしかなかったが、白も全局的に薄く成算はなかった。上辺の攻防も、どう決着するか全く先が見えず一手一手打っていくしかなく、判断はついていかなかった」、一力は「一日目から、お互いに確定していないところがあって、どういう方針でいけばいいかあまり分かっていなかった。二日目も少し難しくなったかなと思ったが、いろいろ正しく想定できていなかった」と難戦を振り返り、「引き続き、自分なりに精一杯準備して臨みたいと思います」(井山)、「またすぐ来週ありますので、しっかり切り替えてやっていきたいと思います」(一力)と、それぞれ次局への抱負を述べた。第2局は、1月25、26の両日に栃木県日光市の「日光千姫物語」で打たれる。
囲碁ニュース [ 2025年1月17日 ]
上野梨紗、開幕戦勝利
第28期ドコモ杯女流棋聖戦三番勝負(株式会社NTTドコモ主催)が開幕した。1月16日、恒例の神奈川県平塚市の「ホテルサンライフガーデン」で打たれた第1局は、初防衛を期す上野梨紗女流棋聖が、11期以来17期ぶりの挑戦者に勝ち上がった向井千瑛六段に黒番中押し勝ちを収めた。立会いは桑原陽子六段。現地での大盤解説は小林泉美七段と茂呂有紗二段がつとめた。本局は、力強い両者の棋風どおり、戦いに次ぐ戦いの熱戦となった。序盤に始まった下辺の折衝では、黒番の上野が左下三々から地を稼ぐが外側の白を厚くし、白がリードを奪う。その後、黒が下辺の白を攻める展開は、白が生きて一段落。白優勢のまま中盤戦へと進んだ。ポイントとなったのは、左上の攻防だったようだ。黒の大石を仕留めかけた向井に錯覚があり、黒が生還。ここで互角の形勢となり、右上の黒地を大きくまとめた上野が逆転。ヨセで差を広げて向井を投了に追い込んだ。先勝の上野は「形勢判断する余裕がないくらい難しい碁で、夢中で打っていました」と振り返った。上野が一気に防衛を決めるのか、向井が巻き返すのか。注目の第2局は、1月23日に千代田区の日本棋院東京本院で打たれる。
囲碁ニュース [ 2025年1月7日 ]
福岡新竜星誕生
昨年12月24日、第33期竜星戦(株式会社囲碁将棋チャンネル主催)の決勝戦が放映され、福岡航太朗七段が前年の覇者、井山裕太王座を破り初優勝を遂げた。福岡は予選から出場し、本戦Fブロックを11戦全勝で突破して優勝決定トーナメントに進出。11連勝は第12期の河野臨六段(当時)と第27期の許家元四段(当時)に次いで3人目。無敗のまま16連勝によるタイトル獲得は初の記録となる。局後は「勝ち上がっていけば、タイトルホルダーと当たるので、そこまで行きたいと思っていた」と振り返り「最後まで行けたらいいなと思ってはいたのですが、実際に達成できてしまったという印象です」と驚いた様子だった。福岡は、2005年生まれ、洪清泉四段(関西棋院)門下。2019年の同期入段の仲邑菫三段(韓国棋院)、上野梨紗女流棋聖らと共に、活躍が期待されていた。その期待に応え、昨年は名人戦リーグ入りも果たした。
新年を迎え、1月5日に千代田区の日本棋院東京本院で行われた「新春打ち初め式」では、「自分で言うのも恥ずかしいですが、昨年は飛躍の年でした。今年は他のタイトル戦にも加わっていけるようにがんばりたい」と抱負を語った。
藤沢、初の最多賞
昨年12月27日、日本棋院は公式戦成績を発表し、藤沢里菜女流本因坊が初の最多勝(53勝27敗)を獲得した。また80局は、2年連続の2回目の最多対局となる。最高勝率は、新人王の獲得の他、他棋戦でも活躍した三浦太郎四段が8割3厘(41勝10敗)。最多連勝は六浦雄太八段と鶴田和志七段が13連勝。また、関西棋院では、佐田篤史七段が最多勝(30勝)を獲得した。
藤沢は、昨年、横塚力七段と結婚。今後も藤沢姓で活動するという。1月5日に千代田区の日本棋院本院で行われた「打ち初め式」では、「昨年はたくさん対局をすることができ、幸せでした。スポンサーの皆様、関係者の皆様に改めて深くお礼申し上げます」と語り、「家族が増え、家事は半分……もしかしたら半分以上やってくれるそうなので、囲碁の勉強をする時間が増えます」と会場の笑いを誘った。