日本囲碁ニュース

日本の囲碁ニュース・棋戦情報をお伝えします。
日本で行われている囲碁のイベントや棋戦情報を皆様にお伝えします。

囲碁ニュース [ 2025年2月10日 ]

上野(梨)、女流棋聖2連覇

 第28期ドコモ杯女流棋聖戦三番勝負(株式会社NTTドコモ主催)の第2局が、1月23日に千代田区の日本棋院東京本院で打たれ、上野梨紗女流棋聖が挑戦者の向井千瑛六段に白番中押し勝ち。2連勝でタイトル防衛を果たした。向井にもチャンスのある展開だったが、結果的には上野が向井の力を封じ投了に追い込んだ。第1局で苦しい時間が長かった上野は、「2局目の前も自信がなかった」と振り返り、「向井先生は姉(上野愛咲美女流立葵杯)とはまた違った戦闘力が高い方。姉にもアドバイスをもらい、最強に打つことを心がけました。それがよかったのかもしれません」と勝因をあげ、「1勝1敗を予想していて、今日は勝つとは思っていなかったので、逆転で勝つことができうれしく思います。まず防衛できてよかった。昨年は女流棋聖を取ってから、(他棋戦では)ベスト4で負けることが多かったので、今年はもっと上にあがるのが目標です」と喜びと抱負を語った。

棋聖戦、井山が2勝目

 一力遼棋聖に井山裕太王座が挑戦する第49期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)は、1月25、26の両日に栃木県日光市の「日光千姫物語」にて打たれた第2局に続き、第3局が、2月5、6の両日、一力の故郷である宮城県仙台市の「宮城県知事公館」にて打たれた。第2局は、井山優勢の時間が長かったものの、粘り抜いた一力が逆転勝利し1勝1敗のタイに。第3局も井山が左上の攻防でわずかにリードを奪う展開となった。2日目に入り、劣勢を意識した一力が中央の弱い黒石を動き出し、局面は険しさを増した。「判断がつかないまま打っていた。逃げられてみると白もどう対応してよいかよくわからなかった」と井山は振り返る。黒の中央の大石に対して、決定的なチャンスがあったようだが、井山がこれを逃し、一力が大石を生きて形勢を盛り返す。だが、大石を生かして右上の三々に向かった井山の判断も誤りではなかった。「三々に対して、もっと違う受け方があったか……実戦はまずかった」と一力。三々からの攻防の中、右辺の黒を取って井山が勝負を決め、一力を投了に追い込んだ。2勝1敗とした井山は「引き続き、コンディションに気をつけて、自分なりにベストを尽くしたいと思います」、敗れた一力は「ちょっと判断が難しい展開が多くて……もう少し内容のいい碁を打てるように頑張りたいと思います」とそれぞれ抱負を語った。第4局は、2月12、13の両日、静岡県熱海市の「熱海後楽園ホテル」にて打たれる。

囲碁ニュース [ 2025年2月7日 ]

第52回ジャンボ囲碁15人団体戦

 2月2日、東京市ヶ谷の日本棋院にて第52回ジャンボ囲碁15人団体戦が行われ、32チーム480人が熱戦を繰り広げた。
 Aクラスは全国トップクラスの強豪が多数参加。3連覇を目指す大熊義塾はアマ本因坊の大関稔さん、世界アマ日本代表経験のある森川舜弐さん、昨年アマ本因坊全国大会決勝で大関さんと争った谷口洋平さんなど、20代後半から30代前半の強豪を集めた布陣。対抗としては昨年決勝で敗れたバトリアヌス帝国と一昨年決勝で敗れた多岐技会(桃源会と同一チーム)。栗田佳樹さん、川口飛翔さんという20代のエースがいるバトリアヌス帝国であったが、瀧澤雄太さん、土棟喜行さん、木下暢暁さんという40代以上の全国優勝経験者を中心とする多岐技会が8-7の接戦を制した。
 決勝は大熊義塾と多岐技会の対戦になり9-6で大熊義塾が勝利、3連覇となった。
 Bクラスでは現役学生を中心とした捨て碁サウルスが圧倒的な成績で優勝している。Bクラスは主将や上の方では高段者やアマ強豪が座っているチームが多いが、10将以降では級位者も見られ、幅広い棋力層となっている。今回の注目はチーム15人を女性だけで集めた女流チームで、女流アマの全国上位者から有段者までを集め決勝まで勝ち上がった。
 今回の優勝チームと抽選でAIセンスロボットが賞品として贈られた。
 コロナ明け復活後は定員に達していなかったが、今回は32チームいっぱいになった。年に一度の大きな団体戦であり、1年ぶりの再会なども多く見られる大会だけに人数が復活して喜ばしい光景である。

囲碁ニュース [ 2025年1月31日 ]

学生王座記念対局 林学生王座、井山王座に挑戦

 学生王座の林隆羽さんが井山裕太王座に挑む第23回全日本学生囲碁王座戦特別対局が1月18日、日本棋院東京本院幽玄の間で打たれた。
 林さんは中央大の2年生で昨年12月、学生王座初優勝、学生十傑と併せて学生2冠となった。林さんが井山王座に挑戦するのは2度目で、前回は2017年に林さんが17歳で史上最年少アマチュア本因坊となり、その記念対局であるプロアマ本因坊戦のときで約7年ぶり。対局前に「前回よりも良い内容の碁を打ちたい」と林さん。
 手合割は自由置き碁2子の逆コミ3目半。林さんは2子を向かい小目に配置した。黒が辺で地を稼ぎ、白が中央をまとめていく展開となったが、林さんが地を意識し過ぎたか、中央がうまく止まったうえ黒の中に手があり崩壊。井山王座の厳しさを見せつけられる結末となった。
 終局後、「めいっぱい戦ってきてくださるので、打っていてこちらも気持ちよかった」と井山王座。「前回よりも強くなっていると思っていただけていれば嬉しいのですが」と林さん。
 今年度から全日本学生囲碁連盟はユーチューブで中継しており、解説が鶴山淳志八段、聞き手が昨年の学生王座の川口飛翔さん。昨年の川口さんの体験を交えた解説も行われた。終局後には両対局者がユーチューブに出演。
 林さんは2月11日、12日に行われる世界学生王座戦に出場する。「中国や韓国など自分より強い人はいると思いますが頑張ります」と語った。

囲碁ニュース [ 2025年1月21日 ]

棋聖戦、井山先勝

 一力遼棋聖に井山裕太王座が挑戦する第49期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)が開幕した。昨年、一力は棋聖、天元、本因坊に名人を加え、井山は王座、碁聖に十段を加えた。「四冠」対「三冠」の頂上決戦は、史上初。文字通り二強による第1局は、1月16、17の両日、東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で打たれ、超難解な激戦を制して、井山が白番中押し勝ちを収めた。本局はまず、右上の攻防が見所となった。右辺と上辺の振り替わりとなるも、井山が捨てたかに見せた右辺の白石を動き出し、一力が封じて一日目を終える。二日目には戦いが全局に広がり、互いに弱い石をいくつも抱えながら、攻めかシノギかを探り合い、焦点が絞りづらい展開。一力が右辺の白を取り、上辺の黒をシノぐものの、地合いでは白がリードしており、右下と中央の弱い白のシノギ勝負となる。井山は、右辺の白の生還を見ながら右下をシノいで勝勢を築くが、中央で二度生きるチャンスを逃し、一気に差が詰まる。だが、ヨセで再びリードを広げ、一力を投了に追い込んだ。井山は、「黒地が大き過ぎるので右辺を動き出すしかなかったが、白も全局的に薄く成算はなかった。上辺の攻防も、どう決着するか全く先が見えず一手一手打っていくしかなく、判断はついていかなかった」、一力は「一日目から、お互いに確定していないところがあって、どういう方針でいけばいいかあまり分かっていなかった。二日目も少し難しくなったかなと思ったが、いろいろ正しく想定できていなかった」と難戦を振り返り、「引き続き、自分なりに精一杯準備して臨みたいと思います」(井山)、「またすぐ来週ありますので、しっかり切り替えてやっていきたいと思います」(一力)と、それぞれ次局への抱負を述べた。第2局は、1月25、26の両日に栃木県日光市の「日光千姫物語」で打たれる。

囲碁ニュース [ 2025年1月17日 ]

上野梨紗、開幕戦勝利

 第28期ドコモ杯女流棋聖戦三番勝負(株式会社NTTドコモ主催)が開幕した。1月16日、恒例の神奈川県平塚市の「ホテルサンライフガーデン」で打たれた第1局は、初防衛を期す上野梨紗女流棋聖が、11期以来17期ぶりの挑戦者に勝ち上がった向井千瑛六段に黒番中押し勝ちを収めた。立会いは桑原陽子六段。現地での大盤解説は小林泉美七段と茂呂有紗二段がつとめた。本局は、力強い両者の棋風どおり、戦いに次ぐ戦いの熱戦となった。序盤に始まった下辺の折衝では、黒番の上野が左下三々から地を稼ぐが外側の白を厚くし、白がリードを奪う。その後、黒が下辺の白を攻める展開は、白が生きて一段落。白優勢のまま中盤戦へと進んだ。ポイントとなったのは、左上の攻防だったようだ。黒の大石を仕留めかけた向井に錯覚があり、黒が生還。ここで互角の形勢となり、右上の黒地を大きくまとめた上野が逆転。ヨセで差を広げて向井を投了に追い込んだ。先勝の上野は「形勢判断する余裕がないくらい難しい碁で、夢中で打っていました」と振り返った。上野が一気に防衛を決めるのか、向井が巻き返すのか。注目の第2局は、1月23日に千代田区の日本棋院東京本院で打たれる。

囲碁ニュース [ 2025年1月7日 ]

福岡新竜星誕生

 昨年12月24日、第33期竜星戦(株式会社囲碁将棋チャンネル主催)の決勝戦が放映され、福岡航太朗七段が前年の覇者、井山裕太王座を破り初優勝を遂げた。福岡は予選から出場し、本戦Fブロックを11戦全勝で突破して優勝決定トーナメントに進出。11連勝は第12期の河野臨六段(当時)と第27期の許家元四段(当時)に次いで3人目。無敗のまま16連勝によるタイトル獲得は初の記録となる。局後は「勝ち上がっていけば、タイトルホルダーと当たるので、そこまで行きたいと思っていた」と振り返り「最後まで行けたらいいなと思ってはいたのですが、実際に達成できてしまったという印象です」と驚いた様子だった。福岡は、2005年生まれ、洪清泉四段(関西棋院)門下。2019年の同期入段の仲邑菫三段(韓国棋院)、上野梨紗女流棋聖らと共に、活躍が期待されていた。その期待に応え、昨年は名人戦リーグ入りも果たした。
 新年を迎え、1月5日に千代田区の日本棋院東京本院で行われた「新春打ち初め式」では、「自分で言うのも恥ずかしいですが、昨年は飛躍の年でした。今年は他のタイトル戦にも加わっていけるようにがんばりたい」と抱負を語った。

藤沢、初の最多賞

 昨年12月27日、日本棋院は公式戦成績を発表し、藤沢里菜女流本因坊が初の最多勝(53勝27敗)を獲得した。また80局は、2年連続の2回目の最多対局となる。最高勝率は、新人王の獲得の他、他棋戦でも活躍した三浦太郎四段が8割3厘(41勝10敗)。最多連勝は六浦雄太八段と鶴田和志七段が13連勝。また、関西棋院では、佐田篤史七段が最多勝(30勝)を獲得した。
 藤沢は、昨年、横塚力七段と結婚。今後も藤沢姓で活動するという。1月5日に千代田区の日本棋院本院で行われた「打ち初め式」では、「昨年はたくさん対局をすることができ、幸せでした。スポンサーの皆様、関係者の皆様に改めて深くお礼申し上げます」と語り、「家族が増え、家事は半分……もしかしたら半分以上やってくれるそうなので、囲碁の勉強をする時間が増えます」と会場の笑いを誘った。

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