中国囲碁ニュース
中国の著名な棋戦情報をお伝えします。
中国からの囲碁ニュースを皆様にお伝えします。
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蘇州穹窿山風景区が出資する穹窿山兵聖杯世界女子選手権大会は現時点において、最も歴史が長い世界女子棋戦である。中国、日本、韓国、中華台北、オセアニア、ヨーロッパ及びアメリカの合計16名の女子棋士が参加する。2011年(平成23年)に創立されて以来、九年目に入った。
前回の第8回目まで、韓国の朴志恩九段(35歳)と崔精九段(22歳)がそれぞれ二度優勝している。王晨星五段(27歳)、李赫五段(26歳)、於之塋六段(20歳)と韓国の呉侑珍六段(20歳)はそれぞれ一度ずつ優勝している。世界女子囲碁界では、中韓の対抗図が明らかになっている。韓国の朴九段はもう引退したが、崔九段、呉六段と今年7月に呉清源杯世界女子囲碁戦で優勝した金彩瑛五段(22歳)の三人はちょうど最盛期であり、「鉄三角(鉄壁の三人)」と呼ばれている。それに対し、中国の同年代で対抗できるのは於六段しかいない。
10月31日から11月4日までに行われた第9回穹窿山兵聖杯の結果も再びそれを証明した。1ラウンドで中韓女流棋士の1位、2位が直接対戦したが、韓国の崔九段と呉六段がそれぞれ中国の於六段と王五段を負かした。この結果は、世界女子囲碁界において韓国の強さを明らかにした。そして、最終的には崔九段と呉六段が決勝戦で対峙した。中国チームは4強にすら入らなかった。決勝戦では崔九段が後半で力を発揮し、逆転勝ちした。穹窿山兵聖杯での三度目の優勝という偉業を果たした。
(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)
阿含・桐山杯は日本の宗教団体阿含宗が出資し、中国国際友好連絡会と中国棋院が共同主催する大型囲碁棋戦である。1999年(平成11年)に創立されて以来、今年で20年を迎え、中国囲碁界では大きな影響力を持っている。
阿含・桐山杯は中国の完全な早碁ルールを採用している。互いに一手30秒で、決勝戦は中央テレビで放送される。第20回阿含・桐山杯は6月28日に中国棋院で開幕し、聶衛平九段(66歳)が久しぶりに出場した。4ラウンドの予選で128名の棋士から8名が選抜され、8名のシード選手と本戦で熾烈な戦いを行う。7月18日、中国の第一人者である柯潔九段(21歳)は出場早々、范廷鈺九段(22歳)に負けてしまった。前回の優勝者である柁嘉熹九段(26歳)も辜梓豪九段(20歳)に負けてしまった。
9月19日に開かれた準決勝戦では、范九段と辜九段がそれぞれ連笑九段(24歳)と趙晨宇六段(19歳)に勝ち、決勝戦に入った。決勝戦は10月31日に中国棋院で行われ、常昊九段(42歳)と徐瑩五段(45歳)が数多くの愛好者を前に、大盤解説を担当した。決勝戦では、ずっと順調だった范九段がちょっとしたミスで辜九段に逆転されてしまった。結果として、20歳の辜梓豪九段が第20回阿含・桐山杯の優勝者となった。後日彼は京都へ行き、12月8日に日本の優勝者である一力遼八段(21歳)と日中決戦で戦うことになる。
(記事 / 写真:楊爍)
第16回建橋杯では4ラウンドの本戦を経て、二人の「ママ棋士」が決勝戦で対決するという展開となった。11月9日から11日まで、1歳児のママである王晨星五段(27歳)と妊娠7ヶ月目の蔡碧涵四段(28歳)がホンコンで決勝戦の三番勝負を行った。王五段の主人が劉星七段(34歳)であり、蔡四段の主人がプロ棋士の劉曦五段(29歳)ということにちなんで、今回の決勝戦は「心有灵犀」と呼ばれている。(以心伝心で相手の心がわかるという意味の中国熟語で、劉星七段、劉曦五段の下の名前と同じ読み方の漢字が含まれている)
試合の場所はあの有名なビクトリア港の近くにあり、夜になると、両岸の光がきらびやかに輝く。試合が行われる少し前に囲碁愛好者で有名な剣豪小説作家の金庸(1924―2018)がホンコンで亡くなった。この偶然がまた本試合に異様な雰囲気を漂わせた。金庸と仲がよかった聶衛平九段(66歳)はホンコンの記者と対面した際、何度も金庸との囲碁に関するゆかりについて語っていた。上海建橋学院の理事長周星増(56歳)も金庸の逝去に対し、深い懐かしさを表した。
決勝戦は一方的な結果となった。妊娠中のせいか、本戦での蔡碧涵四段の激しい進撃の勢いがすべてなくなり、中盤に入ると、体力がもたないのもはっきりと見えてきて、0:2で早くも敗北した。王晨星五段は6年ぶりに建橋杯女子囲碁オープン戦で優勝した。建橋杯の優勝賞金が30万元(約500万円、中国名人戦優勝賞金と同じになり、天元戦、阿含・桐山杯などの有名な棋戦よりも高い)になって初めての受賞者となった。
(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)
第31回中国囲碁名人戦の決勝戦が10月19日に行われた。重囲を突破し、挑戦権を手に入れた芈昱廷九段(22歳)は再び連笑名人(24歳)の前に現れた。前回同様四川省綿陽市塩亭県で行われた挑戦手合三番勝負では、相手は去年と同じでも、その進展と結果はまったく異なった。連名人は1回戦で勝ったものの、その後芈九段に2局も取られ、三連冠の名人タイトルを惜しくも失った。芈九段は中国囲碁界で十人目の名人タイトル獲得者となった。
名人戦優勝の後、芈九段は休む暇なく四川の塩亭から広西の北海へ向かった。そこで、柁嘉熹九段と第15回倡棋杯中国囲碁選手権戦の決勝戦が行われた。初めて倡棋杯の決勝戦に入った芈九段は万全の状態で、2度も倡棋杯で優勝した柁九段に対して、三番勝負の1、3局を勝ち取り、2勝1敗で優勝した。10月25日に、芈九段が倡棋杯の優勝カップを捧げた。
中国囲碁名人戦の優勝賞金は人民元30万元(約500万円)であり、倡棋杯の優勝賞金は人民元45万元(約750万円)である。芈昱廷九段はこの一週間で相当な収入を得た。だが、これも今年の4月の倡棋杯開戦と、5月の名人戦開戦から1局1局勝ち星をしっかり積み重ねた結果である。このような積み重ねにより、彼の勝率がうなぎ上りにあがり、ついに2018年10月31日時点で、芈昱廷九段は中国囲碁ランキングで一位を36か月も占めた柯潔九段(21歳)を越え、正式に中国のランキング一位となった。
(記事 / 写真:楊爍)
中国で歴史が一番長い棋戦である全国個人選手権戦が9月15日から26日まで、湖南省株洲市で行われた。合計122名の男性棋士と51名の女流棋士が棋戦に応募した。30年ぶりに満を持して女子組に参戦する芮廼偉九段(54歳)以外、全員低段位の若手だった。
芮廼偉九段はかつて1886年(昭和61年)から1989年(平成元年)にかけて、個人戦で女子四連冠を果たした。この記録は未だ破れていない。しかし、30年過ぎた今では、彼女は12日間で9局もの激しい戦いの末、勝率を保つことが難しくなり、結果9位になってしまった。ここ数年、女子の個人戦は新人の活躍が目立たなかったが、直近の成績が五分五分だった王爽三段(23歳)が力強い碁で陸敏全四段(19歳)に勝ち、優勝した。また、今年昇段したばかりの儲可爾初段(16歳)が三位となった。
男子組の一番の見どころは女流棋士於之瑩六段(20歳)の参戦である。8勝5敗で21位となった。2000年(平成12年)生まれの棋士たちが今回の個人戦の男子組の勝者となった。陳梓健六段(18歳)が優勝し、李維清六段(18歳)が準優勝した。陳梓健六段も王爽三段も個人戦で初優勝を果たし、人生初の優勝となった。
中国囲碁界では、12年ごとに竜年生まれの名高い棋士が現れる。1952年(昭和27年)生まれの聶衛平九段(66歳)から、1964年(昭和39年)生まれの馬暁春九段(54歳)、1976年(昭和51年)生まれの常昊九段(42歳)、1988年(昭和63年)生まれの朴文垚九段(30歳)に至る。そしていま、2000年生まれの陳六段、李六段および謝科六段、廖元赫六段、丁浩五段、蒋其潤五段を迎えた。
(記事 / 写真:楊爍)
「天府」というのは「天子の府庫」という意味で、土地が豊かで、物産が多い地域の例えである。そして、「天府」という名称は昔から中国四川省の呼び名である。2018年9月、この呼び名が初めて囲碁棋戦の名前になり、四川天府グループ賛助の天府杯世界囲碁選手権戦が正式に誕生した。
天府杯は伝統的な選手権戦のルールを採用した。本戦は13名の中国棋士、7名の韓国棋士、6名の日本棋士、2名の中華台北棋士、2名のヨーロッパ棋士及び2名のアメリカ棋士からなっている。さらに、中国の古力九段(35歳)、廖元赫五段(17歳)と韓国の李昌鎬九段(43歳)は主催側が特別招待した選手だ。古九段と李九段は中韓両国でそれぞれもっとも多く世界優勝を果たした棋士であり、廖五段は今まさに勢いがある四川省出身の新鋭棋士である。
9月21日、23日、25日、26日に本戦の前4回戦が北京の中国棋院で行われた。本棋戦は新しいルールを採用した。参加した棋士はくじ引きで二組に分けられ、それぞれの組の1位、2位が準決勝戦に進出する。中国の第一人者である柯潔九段(21歳)は1回戦で韓国の金志錫九段(29歳)に負けてしまった。結果、この組を突破したのは韓国棋士の朴廷恒九段(25歳)と申眞諝九段(18歳)であった。また、少々意外だったのは中国の二人の「年上」棋士である陳耀燁九段(29歳)と江維傑九段(27歳)がもう一組で連戦連勝し、4強に入ったことだ。AI時代に突入した今日では、年齢が競技に影響しなくなってきているようだ。
準決勝戦の対戦は江九段VS申九段、陳九段VS朴九段となった。そして、勝者同士が三番勝負を行う。4名の棋士たちは12月21日から26日まで四川省成都市へ行き、「天府」という伝統的な地で、栄冠をめぐって熱戦を繰り広げる。
(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)
中国囲碁大会は2017年(平成29年)に創立された。当時中国棋牌運動管理センター主任だった羅超毅(58歳)は、中国政府の体育部門を発展させようという呼びかけに応えるため、アマチュア囲碁活動を主にした中国囲碁大会の立ち上げに助力した。棋戦の主な内容は中国各省市のアマチュア選手の団体対抗戦や囲碁のイベントなどである。同時に囲碁AI大会も開かれた。当時まだ引退していなかった日本のDeepZenGoが中国の絶芸に勝ち、囲碁AI世界チャンピオンとなった。
2018年、中国囲碁大会は内モンゴルのオルドスから広西の南寧に移った。都市囲碁リーグを創設した広西省華藍グループの協力のもとで、8月8日から15日にわたり、いくつかの囲碁活動を行った。アマチュア大会やAI大会以外にも、2018年の中国囲碁大会にはプロの大会も含まれていた。男子囲碁甲級リーグや女子囲碁甲級リーグおよび中国大学教職員囲碁大会、大学生囲碁南北対抗戦、中国囲碁大手合戦など。その中でも、大手合戦の入段条件が低くなり、総計41名の新初段が誕生した。最年長は32歳、最年少は12歳。歴史最高記録を残した。中国囲碁界でも話題を呼び、この改正に関しては賛否両論あり、意見が対立している。
中国囲碁協会が提供した公式データによると、2018年中国囲碁大会では、1万5千人が参戦、3万5千人が参加した。合計5万人以上である。なんといっても、数万人以上の囲碁従業者、愛好者を引き寄せ、一週間ずっと一つの場所で囲碁を楽しむということは、簡単なことではない。
(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)
上海建橋学院が主催する建橋杯中国女子囲碁オープン戦は2018年8月で第16回を迎えた。長い間、建橋杯は中国囲碁界で唯一の女流棋戦である。第16回建橋杯では新しくルールが改正された。本戦の枠は16席から32席に、優勝賞金は25万元(約415万円)から30万元(約500万円)に増えた。応募した女流プロ棋士は62名に増え、史上最高を記録した。参戦棋士の中で、最年長者は金茜倩五段(54歳)、最年少者は今年入段したばかりの呉依銘初段(11歳)である。
今回の建橋杯の優勝候補は於之塋六段(20歳)と高星四段(22歳)である。「少壮気鋭」の二人は上下半ブロックそれぞれ順調に突破し、三連勝して準決勝戦に進出した。そして、9月2日に準決勝戦が中国棋院で行われた。誰しもこの二人が決勝戦で当たるだろうと思っていたが、王晨星五段(27歳)と蔡碧涵三段(28歳)が現れた。蔡三段は高四段に対し、完勝を収めた。王五段は細かい局面で於六段のミスを掴んで一気に勝利を収めた。
決勝戦に入ったこの二人の棋士もまた特別である。王晨星五段は2016年(平成28年)10月に劉星七段(33歳)と結婚し、去年子供も生まれて、まさしく「ママ棋士」と言えよう。そして、蔡碧涵三段は、もっと早くに劉曦五段(30歳)と結婚し、今は妊娠中で、間もなくお母さんになる。おそらく、子供たちの力が母親への助力になり、碁盤に反映したのだろう。「親子一心」という二人の力が、勝利の要因だろう。
建橋杯決勝戦は三番勝負で、11月9日から11日まで香港で開かれる予定である。
(記事 / 写真:楊爍)
中国囲碁名人戦は馬暁春九段(54歳)の13連覇、古力九段(35歳)の6連覇の伝説の時代を経て、今は、群雄割拠の時代に入った。江維傑九段(26歳)も陳耀燁九段(28歳)も二連覇したことがあるし、2015年(平成27年)、連笑七段(当時)は陳耀燁名人に挑戦し、名人位を奪取した。それから、周睿羊九段(27歳)、芈昱廷九段(22歳)が挑戦するも敗れ、見事、三連覇を果たした。
2018年5月16日、第31回嫘祖杯中国囲碁名人戦は北京の中国棋院で行われた。本戦では32強が揃って、連笑名人(24歳)への挑戦権を懸けた戦いが始まった。3ラウンドの試合を経て、芈昱廷九段、陶欣然六段(24歳)、童夢成六段(22歳)、楊鼎新六段(19歳)は準決勝戦に入った。4強戦、挑戦者決定戦は8月1日、3日に行われた。4強の中で唯一の世界チャンピオンとして、芈九段は陳耀燁九段、辜梓豪九段(20歳)に勝った時の勢いにのり、童六段と楊六段の包囲から突破し、去年に引き続き、名人挑戦権を獲得した。
中国囲碁名人戦の歴史では、二年も挑戦権を獲得したのは、1995年(昭和60年)、1996年(昭和61年)の劉小光九段(58歳)と2014年(平成26年)、2015年の連笑名人だけだった。劉九段は二回も血気盛んな馬九段に負けたが、連名人は一回目で陳耀燁九段に負けだが、二回目では恥をそそいだ。
では、今年の芈九段は劉九段のように失敗を味わうか、それとも連名人のように勝利を収めるか。名人戦挑戦手合は三番勝負で、賛助している四川省塩亭県で10月中旬に行われる予定である。優勝賞金は30万人民元(約490万円)。
(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)
2012年(平成24年)に創立された百霊杯世界囲碁オープン戦は二年に一度行われる。2013年(平成25年)、2015年(平成27年)、2016年(平成28年)に、それぞれ三人の優勝者が誕生した。周睿羊九段(27歳)も柯潔九段(21歳)も百霊杯で初めて世界優勝を勝ち取った。また、陳耀燁九段(28歳)はここで両冠王の偉業を果たした。
2018年、第4回百霊杯はすべてのプロ棋士が参加できるというルールを中止し、参加者メンバーをプログループ、アマチュアグループおよび元老グループに分けた。それぞれ16人、16人、8人を招いて、短期間で三名の優勝者を決める。AI時代の到来とともに、囲碁棋士の立場も見直されている。囲碁の最高レベルの保有者、創造者から、AI囲碁理論の解読者、実践者へと変わっていった。この変化も囲碁界に大会の構成や立場を見直させた。
7月24日から26日、16名の最強プロ棋士からなるプログループでは、第3回百霊杯の優勝、準優勝をした陳耀燁九段、柯潔九段は中国の新世界チャンピオン辜梓豪九段(20歳)、韓国の超新星・申真谞九段(18歳)とともに、二局を勝ち取り、四強に入った。そして、欧米のプロ棋士も含めたアマチュアグループでは、中国の有名な「アマチュア四天王」の王琛7段(26歳)と白宝祥7段(25歳)も決勝戦で対戦することになる。
だが、一番注目を集めたのは元老グループである。百霊会社は「中日囲碁スーパー戦コンプレックス」のため、当時の中日超一流棋士の再会を強く願っていた。そして、やっと大竹英雄九段(76歳)VS常昊九段(42歳)、武宮正樹九段(67歳)VS聶衛平九段(66歳)、小林光一九段(66歳)VS馬暁春九段(54歳)、依田紀基九段(52歳)VS劉小光九段(58歳)の四組の再会を実現させた。スター棋士の魅力が時間と共に無くなるどころか、かえって新しく輝いてくることに感嘆せずにはいられない。
元老グループで二連勝を果たした馬九段と依田九段は、ほかのグループの勝者と同じように、2019年1月に決勝戦を行うことになる。
(記事 / 写真:楊爍)
グーグルのDeepMind社が開発したAlphaGoは人間と三回勝負した後、即座に引退してしまった。全世界の囲碁AI研究者のために、AI研究の新しい発展を表す論文を二つ残した。では、AlphaGoが引退した後、どの囲碁AIが最も強いのか?中国でも日本でも、それを証明しようと様々な大会が行われた。その中でも、6月23日に開幕し、7月31日に全日程が終了したテンセント社主催の2018テンセント世界人工知能囲碁大会の規模が一番大きいとされている。
この大会には中国、日本、韓国、アメリカ、ベルギーからの囲碁AIが11種類も参加した。予選から8強が準決勝戦に入った。準決勝戦は7ラウンドのパラマストーナメントを経て、中国の「絶芸」(テンセント社が開発)、中国の「星陣」(清華大学の学術をもとに開発)、アメリカの「ELF」(Facebookが開発)、日本の「AQ」(山口裕が独立開発)が4強に入った。そして、7月29日から31日まで中国棋院で準決勝戦と決勝戦が行われた。準決勝戦は五番勝負で、決勝戦は七番勝負である。AIが疲れ知らずということもあり、短時間で連続して何回でも対局ができるという特徴は、ファンを喜ばせた。
「絶芸」は中国の大手企業テンセント社が莫大な資金を投入し、開発しているプログラムである。また、「絶芸」は長期間にわたり、テンセント社傘下の「野狐囲碁」という対局プラットホームでトップ棋士と対局したり、プロ棋戦の生放送の解説に参加したりして、2018年5月からは、中国国家チームの訓練補助をするようにまでなった。今回の大会では無人の境を行くがごとく、準決勝戦では3:0でAQに完勝し、さらに決勝戦では7:0で星陣を破った。優勝賞金として40万元(日本円で650万円相当)を獲得し、AI界での実力を証明した。
(記事 / 写真:楊爍)
800年の歴史を持つイギリスのケンブリッジ大学は無数の政界、経済界および知識界の人材を育ててきた。囲碁界に一番近いのは、DeepMind会社の現CEOであるDemis Hassabis氏であろう。彼は、ケンブリッジ大学のコンピュータ学科在学中に囲碁と出会った。そして20年後、彼が率いる囲碁人工知能AlphaGoチームが世界を驚かせた。
7月11、12日、第15回倡棋杯中国プロ囲碁選手権戦準決勝戦は海を渡り、北京からロンドンへ、数時間の道のりを経て、ケンブリッジ大学に着いた。世界でも有名なカム川のほとりで黒白二色の対局が行われた。年に一度の世界大学生囲碁選手権戦が倡棋杯とともに行われた。両大会とも上海市応昌期囲碁教育基金会により開かれ、海外での開催が三度目になる。
倡棋杯の準決勝戦は三番勝負である。一回戦は6月8日に北京の中国棋院で行われ、すでに終了した。一勝を取った柁嘉熹九段(27歳)と芈昱廷九段(22歳)はすでに有利なところに立っている。イギリスと北京の時差が7時間生じるため、対局がイギリスで始まった時は中国の夕方で、終わった時には北京がもう深夜になる。このような条件のもとでは、先に一勝を取った方が心に余裕が生じ、より力を発揮することができる。以上のようなこともあり、芈昱廷九段は時越九段(27歳)を負かした。そして、連笑九段(24歳)がかろうじて同点に追いついたが、決勝戦ではやはりたやすく柁嘉熹九段に負けてしまった。芈九段と柁九段は10月の末に広西省北海市で決勝戦の三番勝負を行う予定である。
中国では、ケンブリッジ大学とカム川は徐志摩の名作『さらば、ケンブリッジ』でよく知られている。「そっとぼくは去ってゆく、来たときとおなじように」。この数日間、トッププロ棋士と百人あまりの世界各地から来た大学生は、ともにカム川に囲碁の姿を残した。
(記事 / 写真:楊爍)
トップのプロ棋士が女性のカーレース選手とペアになり、まず青蔵高原でカーレースを行い、目的地に着いたら囲碁で対決する。この「囲碁自動車ラリー戦」は2018年6月10日から22日まで行われ、第二回開催を迎えた。試合規則は2017年の初回と同じ、6名の中国棋士が二組に分かれ、総当たり戦を行う。そして、各組の優勝者が決勝戦に進出する。前回の優勝者柯潔九段(20歳)と芈昱廷九段(22歳)は前回に引き続き参加した。そして、四名の新メンバーは、時越九段(27歳)、唐韋星九段(25歳)、党毅飛九段(24歳)と范廷鈺九段(22歳)であった。
試合は四川省成都市で開幕式を行い、エベレストベースキャンプへ向かっていく。6回の総当たり戦はそれぞれ昌都、然烏湖(Ranwu Lake)、魯朗、ポタラ宮、澤当、日喀則で行われた。去年全勝で優勝した柯九段は范九段に一局負けたが、3勝1敗で組の1位になった。范九段、唐九段は決勝戦に入れなかった。もう一組では、芈九段が全力を尽くして、時九段、党九段との4局で全勝を果たした。
決勝戦は2017年と同じ、海抜5200メートルのエベレストベースキャンプで行われた。柯潔九段の今回の相手は柁嘉熹九段(27歳)から芈昱廷九段に変わった。だが、柯九段は高原戦でもその強さに変わりはなかった。結局、柯九段は中押し勝ちで再び200万元人民元(約3200万円)の優勝賞金を手に入れた。名実相伴った「高原王者」となった。
図2:決勝戦では芈九段が黒番で柯九段と対戦。黒75で手厚く抜いたが、白は右下にまだ生きに一手欠けている。それでも、白76は依然として深く黒の右辺に打ち込み、徹底的に地のバランスを崩した。これこそ柯九段の本領であり、それがたとえ5200メートルのところでも変わらない。
(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)
近年、中国の各地で頻繁に国際元老戦を行っている。20世紀80年代に活躍した実力抜群のスター棋士たちもこの棋戦によって再会を果たし、懐かしさで胸が温まる場面が数多く見受けられた。中国では、当時の中日囲碁スーパー戦があまりにも大きな影響力を持っていたため、当時の若かった囲碁愛好者が今となっては社会資源を持っている中堅になると、元老戦を賛助することで、自分の青春時代を記念しようとしている。
7月1日と2日に、中国浙江省紹興市上麌区で行われた国際囲碁大師戦はまさにこの青春時代の象徴である。招かれて参戦してきた8名の棋士とは、「棋聖」聶衛平九段(66歳)、中国囲碁界で確固とした地位を持つ「妖刀」馬暁春九段(53歳)、本籍がもともと上麌である曹大元九段(56歳)、また「二枚腰」林海峰九段(76歳)、「宇宙流」武宮正樹九段(67歳)、「地下鉄流」小林光一九段(66歳)の三名は中国囲碁界で中国棋士に劣らず人気が高い。そして、韓国の「野草」徐奉洙九段(65歳)、「蔚山秀才」梁宰豪九段(55歳)も一世の強豪だった。だが、残念なことに、曹薰鉉九段(65歳)と劉昌赫九段(52歳)は公職で試合に参加することができなかった。この二年間、ずっと元老戦には参加していない。
今回の試合は「60代」棋士の天下だった。準決勝戦では同じ66歳の聶九段と小林九段が力を出し、二局とも完勝で「50代」の花形である曹九段、馬九段を負かした。そして、決勝戦では聶九段の布石がAIに90%以上の勝率と評価されたものの、後半のミス一つで優勢を失い、小林光一九段の初めての国際元老戦優勝を達成させた。
図4:決勝戦で聶九段が黒番で小林九段と対戦。下辺の黒はコウを争うしかない。これはもう局面が複雑になる兆しであった。白152でコウを取った時、黒153の「気合」での振り替わりは割に合わず、AIの評価もすぐ50点下がった。
(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)
優勝したら80万元(約1350万円)獲得できるという中国国内で賞金がもっとも高い棋聖戦は、5月23日と25日に河南省洛陽市白雲山風景区で準決勝戦と挑戦者決定戦を行った。半年にわたって、200名以上の中国プロ棋士たちが4ラウンドの予選、1ラウンドの突破戦、3ラウンドの資格戦、そして、2ラウンドの本戦を戦った。最終的に檀嘯九段(25歳)、連笑九段(24歳)、范廷鈺九段(21歳)と辜梓豪九段(20歳)の四名が残った。
白雲山は河南省伏牛山にあり、山中だと身の周りが白い雲に囲まれているかのように見えるためそう名づけられた。「人間仙境白雲山」とも言われている。この独特の試合場では、思いもよらない勝負が起こった。
準決勝戦は檀九段対辜九段、連九段対范九段だった。檀九段と辜九段は二人とも2017年に世界チャンピオンになったばかりだ。勝負の結果は、若手の辜九段のほうが一枚上手で、中押し勝ちとなった。連九段と范九段は今年で三度目の対局である。先日CCTVテレビ早碁準決勝戦と倡棋杯16強戦で対局したが、それぞれ一勝している。今回は、范九段がしっかりと局面を握り、ヨセの段階では、AIが90%の勝率を評価した。これはほぼ負けない数字である。しかし、人間同士の対局では、ミス一つが命取りである。
思いがけないことに、運よく挑戦者決定戦に入った連九段は挑戦者決定戦でも幸運が続いた。若い辜九段との対局では、開始早々隅で大変な失敗をしてしまったせいで、辜九段がはっきりと優勢になってしまった。勝率も一時的に99%を超えた。だが、そのあと、番狂わせが起きた。連九段は後半で冷静にチャンスを待ち、ありえないような逆転劇を起こした。
運よく挑戦権を得た連九段は9月下旬周睿羊棋聖(27歳)に挑戦する。試合は三番勝負である。
図3:連九段は黒番で辜九段と対戦。ここまでは白が明らかに優勢であった。黒179のオシに対して、白はAと単純にウケるだけでよかった。しかし、黒の大石を攻めるかどうかについて、秒読み中の辜九段は迷った挙句、白180で時間つなぎの着手をした。それに対し、連九段は勝負感が鋭く、黒181で応じず、白182でついに大きな間違いをしてしまった。左側のBに打っていたら勝てていたが、実戦は白の黒に対する攻撃が効かず、後手になってしまった。最後に黒はCで白四子を取り、ついに逆転した。
(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)
5月10日から12日にかけて行われた、浙江省天台県主催の世界女子囲碁団体戦「天台山杯・森然揚帆杯」は、今年で第7回を迎えた。例年同様、中国、日本、韓国、中華台北のそれぞれ1チーム3名による全3回戦の総当たり方式による団体戦が行われた。
今年の天台女子戦は、ドラマチックな展開となった。世界女子棋界での現在の実力から見て、今回も優勝を争うのは中国チームと韓国チームだと予想された。今回くじ引きで、中国チームと韓国チームは第1回戦での対戦となった。中国チーム主将の於之塋六段(20歳)はライバル崔精九段(21歳)に勝ち、そして、副将の芮廼偉九段(54歳)も韓国のNo2の呉侑珍六段(20歳)に勝利。李赫五段だけ韓国の金彩瑛四段(22歳)に負けてしまったが、2勝1敗で中国チームが韓国チームを破り、優勝に向けてあと一歩となった。
第2回戦では中国チームと韓国チームは、それぞれ3勝0敗で中華台北と日本に勝った。三日目に入って、於六段が日本チーム主将の謝依旻六段(28歳)に勝利し、あと一勝で優勝となった。しかし、この次の勝利が中国チームに、なかなか訪れなかった。 芮九段は半目で藤沢里菜四段(19歳)に負け、李五段は優勢だったにもかかわらず、上野愛咲美二段(16歳)に逆転を許した。ただ中国チームは1勝2敗で日本に敗れたものの、優勝の可能性がまだ残っていた。中華台北チームが韓国との対戦で一局でも勝てば、中国は主将の勝ち数で韓国に勝つことができたのだ。だが残念なことに、中華台北チームの黒嘉嘉七段(24歳)も楊子萱二段(16歳)も勝利のチャンスを逃し、崔九段、呉六段に負けた。結局、韓国チームが3勝0敗で中華台北チームを負かした。
最終的な結果を見ると、中華台北チームは日本に勝ち、中国チームは韓国に勝ったが、順位は韓国、中国、日本、中華台北となった。韓国チームと中国チームは同じく2勝1敗だったが、韓国チームは総計7勝、中国チームは6勝、日本チームと中華台北チームは同じ1勝2敗だったが、日本チームは総計3勝に対し、中華台北チームは2勝だけだった。
(記事 / 写真:楊爍)
男女2名で打つ「ペア碁」は日本で生まれた。ペア碁が国際大会で盛んに採用されるようになるにつれ、ペア碁棋戦に参加する優れた棋士たちもどんどん増えていっている。中国でも、2013年(平成25年)から安徽省合肥市でプロによるペア碁の国際戦が開催されており、今年で六年目になる。
これまで五回の優勝ペアは、中国の王晨星五段(27歳)・常昊九段(41歳)ペア、芮廼偉九段(54歳)・兪斌九段(51歳)ペア、於之塋六段(20歳)・唐韋星九段(25歳)ペア、韓国の崔精九段(21歳)・趙漢乗九段(35歳)ペアである。ちなみに、芮九段と兪九段のペアは二連覇を果たしている。また、李昌鎬九段(42歳)、依田紀基九段(52歳)、古力九段(35歳)などの伝説の名人もこの棋戦に参加したことがある。
5月3日、4日、第6回廬陽志邦杯中日韓ペア碁名人選手権は合肥市古三国遺跡「金湯虎台」で開かれた。中国チームは今回も実力のある棋士たちが参加した。男性は時越九段(27歳)、連笑九段(24歳)、芈昱廷九段(22歳)、そして、それぞれのパートナーは王晨星五段、高星四段(22歳)と於之塋六段である。3回戦のトーナメントが行われ、高四段・連九段ペアと於六段・芈九段ペアが勝ち進み、決勝戦で戦うことになった。
決勝戦では、於六段・芈九段ペアの呼吸がぴったりあって、黒中押し勝ちを収めた。
この二人の若い棋士のペアは2014年の第4回スポーツアコードワールドマインドゲームズに続いてのペア碁での優勝となった。試合後、於六段・芈九段ペアは二人の間の暗黙の了解をほめたたえた。ペア碁は互いによく理解しないといい手が打てない。だから、パートナーへの理解がより強く求められている。これがペア碁のもっとも面白いところだろう。
(記事 / 写真:楊爍)
呉清源杯世界女子囲碁選手権は、中国囲碁協会が福州市人民政府とともに主催する新しい世界女子囲碁大会である。そして、その最も大きな特徴は28名の参加者のうち、8枠は欧州と北米に割り当てられていることだ。また、さらに今年は3つのワイルドカードのうちの2つは欧州棋士に与えられた。三分の一以上の棋士が西洋人ということで、この棋戦は他の棋戦とは比べても特徴的に見える。そして、この棋戦の名前は「呉清源杯」。これは呉清源先生の名言と願望である「一人の女性に囲碁を教えるということは、三人に囲碁を教えるということになる」が由来となっている。
とは言え、現在の囲碁界の主導者はやはり東アジアにいる。欧米棋士10名のうち、その半分は元中国のプロ棋士、あるいは中国の道場で囲碁を学んだ経験があるアマチュアだった。4月26日から5月1日まで本戦トーナメントが行われた。注目された欧州棋士だが、今回は16強に入る選手は一人もおらず、準決勝戦もいつもの中韓対決となった。結果、中国の於之塋六段(20歳)と李赫五段(26歳)は、それぞれ韓国の金彩瑛三段(22歳)と崔精九段(22歳)に敗退、これで韓国棋士が第一回の優勝、準優勝を手に入れることが決まった。決勝三番勝負は7月に開かれる予定である。
今回の大会では、柯潔九段(20歳)と中国清華大学が開発した囲碁AI「星陣」との勝負も行われ「星陣」が快勝を収めた。これにより人間とAIの囲碁での対戦に含まれた「対抗」の意味が完全に失ったことが証明された。その他AI大会が行われ、テンセント社により開発された「絶芸」と「鳳凰囲碁」が決勝戦で対決した。意外なことに、「絶芸」より知られてはいない「鳳凰囲碁」が2勝1敗で優勝した。
(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)
日本の囲碁将棋チャンネルは、これまで日本と中国で竜星戦を創立し、注目されるテレビ棋戦となっている。2014年(平成26年)に第一回中日囲碁竜星戦が東京で開かれ、それから第二回(平成28年)は北京、第三回(平成29年)が再び東京で行われた。今まで過去三回では、古力九段(35歳)、柁嘉熹九段(27歳)、芈昱廷九段(22歳)と中国の棋士が優勝している。
2018年、囲碁将棋チャンネルは新たに韓国でも囲碁竜星戦を創立した。それにより、今後は三国竜星対抗戦となる予定だ。第八回中国竜星戦優勝の柯潔九段(20歳)と第二十六回日本竜星戦優勝の芝野虎丸七段(17歳)の間に行われる第四回が中日竜星戦のラストとなった。
芝野七段は世界囲碁五冠王の柯九段にとって、脅威にならないと思われていた中、4月29日に中国棋院天元囲碁チャンネルスタジオで行われた対局では、芝野七段が名局を打ち、中押しで柯九段に勝利を収め、日本勢で初めての優勝を飾った。柯九段は対局が多く多忙なこともあり、あまりいいコンディションではなかったとはいえ、芝野七段の実力は棋界で認められるようになった。
柯九段が黒番。黒73はノゾキで中央を封じようとしたが、白は74と果敢に反撃した。黒75のツケは結構厳しい手だが、黒95までのセキでは利かしにならなかった。白が先手を取ってから、白96、98の二つのキリで黒の弱点を追及し、一気に優勢となった。
(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)
中国囲碁協会、浙江省平湖市、中央テレビ(CCTV)が主催する浙江平湖・当湖十局杯CCTV杯テレビ囲碁早碁戦の本戦1回戦から準決勝戦の対局が4月9日から12日まで北京で、そして決勝戦が平湖市で5月7日に行われた。
CCTV杯は中国囲碁界では本戦の規模が一番大きい棋戦で、参加する棋士は64人に達する。今回の本戦には二人の女流棋士が出場したのだが、高星四段(21歳)は1回戦でベテラン棋士の兪斌九段(51歳)に敗れ、於之塋六段(20歳)は囲碁甲級リーグ選手の李維清五段に勝ったものの、時越九段(27歳)に敗北した。中国の第一人者である柯潔九段(20歳)は依然としてスランプに陥ったままで、1回戦で陳賢五段(21歳)に勝ったが、2回戦で孫騰宇七段(24歳)に負け、敗退となった。
決勝戦へ勝ち上がった二人の棋士は、范廷鈺九段(21歳)と范蕴若六段(22歳)であった。二人は名字が同じで、出身も同じく上海ということで、中国では「棋界二范」として知られている。范廷鈺九段は、前回の優勝者である張濤六段に勝ち、そして名人・天元の連笑九段(24歳)にも逆転勝利し、決勝に勝ち上がった。一方、范蕴若六段は、芈昱廷九段(22歳)、周睿羊九段(27歳)などの有名な世界チャンピオンに勝利して、勝ち残った。
決勝戦の開催都市「平湖市」は約300年前、中国・清代の「当湖十局」の対局が行われた場所である。平湖市政府は力を入れて囲碁文化を育てようとしている。決勝戦当日、「当湖十局囲碁会館」の定礎式も行われた。決勝戦の結果は、范廷鈺九段の実力が少し上回り中押し勝ちを収め、中国国内の早碁大会で初優勝を果たした。
(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)
中国囲碁協会、浙江省平湖市、中央テレビ(CCTV)が主催する浙江平湖・当湖十局杯CCTV杯テレビ囲碁早碁戦の本戦1回戦から準決勝戦の対局が4月9日から12日まで北京で、そして決勝戦が平湖市で5月7日に行われた。
CCTV杯は中国囲碁界では本戦の規模が一番大きい棋戦で、参加する棋士は64人に達する。今回の本戦には二人の女流棋士が出場したのだが、高星四段(21歳)は1回戦でベテラン棋士の兪斌九段(51歳)に敗れ、於之塋六段(20歳)は囲碁甲級リーグ選手の李維清五段に勝ったものの、時越九段(27歳)に敗北した。中国の第一人者である柯潔九段(20歳)は依然としてスランプに陥ったままで、1回戦で陳賢五段(21歳)に勝ったが、2回戦で孫騰宇七段(24歳)に負け、敗退となった。
決勝戦へ勝ち上がった二人の棋士は、范廷鈺九段(21歳)と范蕴若六段(22歳)であった。二人は名字が同じで、出身も同じく上海ということで、中国では「棋界二范」として知られている。范廷鈺九段は、前回の優勝者である張濤六段に勝ち、そして名人・天元の連笑九段(24歳)にも逆転勝利し、決勝に勝ち上がった。一方、范蕴若六段は、芈昱廷九段(22歳)、周睿羊九段(27歳)などの有名な世界チャンピオンに勝利して、勝ち残った。
決勝戦の開催都市「平湖市」は約300年前、中国・清代の「当湖十局」の対局が行われた場所である。平湖市政府は力を入れて囲碁文化を育てようとしている。決勝戦当日、「当湖十局囲碁会館」の定礎式も行われた。決勝戦の結果は、范廷鈺九段の実力が少し上回り中押し勝ちを収め、中国国内の早碁大会で初優勝を果たした。
(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)
中国プロ棋戦の中で歴史が最も長い天元戦。第32回大会の挑戦手合三番勝負が、4月14日から17日に江蘇省同里鎮「同里天元文化苑」の「天奕閣」で行われた。本戦から勝ち抜いて、挑戦権を得たのは若手の謝科五段(18歳)。今回天元防衛をかける連笑九段(24歳)は、去年陳耀燁九段(28歳)の九連覇を阻止し、中国棋界五人目の名人・天元となった。
今回の三番勝負は、四年前の光景とよく似ている。2014年(平成26年)の第28回天元戦、弱冠17歳だった柯潔四段が当時トップの陳耀燁九段に挑戦した。柯潔は第一局に勝利し、優勝が目の前であったはずが浮足立ってしまったのか、ベテランの陳耀燁に第二局、第三局を取られ、タイトル奪取を逃した。天元戦での典型的な逆転勝利だった。その後、柯潔は世界戦で優勝を果たし、中国第一人者になったのだが、やはり陳耀燁は無視できない存在となっている。例えば、2016年(平成28年)の百霊杯世界囲碁オープン戦決勝では、陳耀燁が勢いのある柯潔に勝ち、自身二回目の世界戦優勝を果たしている。
あれから四年、天奕閣での物語はまだ続いている。連笑九段はその豊富なタイトル戦経験を活かし、今回後輩の謝科にさまざまなことを教えたようだった。今回も若手の挑戦者が先勝したのだが、連笑九段が残り二局を連勝した。天元という栄光ある歴史的なタイトルは先輩棋士の手に残った。
(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)
2007年(平成19年)から2017年(平成29年)までの11年間、冠スポンサー企業として中国囲碁甲級リーグを賛助してきたGionee(金立)は、2018年に資金繰りが苦しくなるという窮地に陥り、冠スポンサーを続けられなくなった。2018年3月27日、浙江省湖州市長興県で行われた中国囲碁甲級リーグの開幕式で、ファーウェイ(華為)が中国囲碁協会と2018囲碁甲級リーグのスポンサー契約をして、これにより世界500強企業が正式に囲碁大会のスポンサーとして仲間入りを果たした。
2018年中国囲碁甲級リーグは14チームで26ラウンドの2リーグ制、棋士のドラフト制度など2017年のルールをそのまま適用している。また女子リーグに参加している女流棋士に、同時に男子リーグへの申し込みも可能にしたことが、今年からの新しい変化である。過去20年、男子でも女子でも一つのリーグにしか参加できなかった。これまで、女流棋士は男子リーグに参加すると、女子リーグに参加できなくなるため、男子リーグに参加する女流棋士は少なかった。今年はこの新しい変化のおかげで、於之塋六段(20歳)が初めて男子リーグと女子リーグともに参加する棋士となった。
また、リーグ戦のポイントで優勝を決める方式は、今年で最後となる。来年2019年からリーグの参加チームは16に増え、レギュラーシーズンを行ってから、ポストシーズンを実施する方式に変更になる。このことで、優勝や降格争いもポストシーズン終了まで持ち越されることになる。
チーム名 | メンバー | 外国人選手 | スカウトしたメンバー | コーチ |
---|---|---|---|---|
北京 (中信チーム) |
陳耀燁九段(28歳) 柁嘉熹九段(27歳) 蔡競六段(24歳) 韓一洲七段(21歳) |
金明訓二段(25歳) | 趙中暄(17歳) | 譚炎午七段(66歳) 孔傑九段(35歳) |
北京 (民生チーム) |
時越九段(27歳) 陶欣然六段(23歳) 孫騰宇七段(25歳) 沈沛然三段(16歳) |
金志錫九段(28歳) | 石豫来初段(16歳) | 王汝南八段(71歳) 李雲生三段(42歳) |
杭州 (蘇泊爾チーム) |
李欽誠九段(19歳) 連笑九段(23歳) 黄静遠四段(18歳) 謝科五段(18歳) |
朴廷桓九段(25歳) | 何旸三段(17歳) | 汪涛六段(27歳) |
江蘇 | 芈昱廷九段(22歳) 童夢成六段(21歳) 黄雲嵩六段(21歳) 趙晨宇六段(18歳) 於之塋六段(20歳) |
なし | 韋一博四段(21歳)、 潘亭宇三段(17歳) |
丁波五段(47歳) |
山東 | 江維傑九段(26歳) 范廷鈺九段(21歳) 陳梓健六段(18歳) 伊凌涛五段(17歳) |
羅玄九段(23歳) | 王世一四段(17歳) | 曹大元九段(56歳) |
天津 (元珠海チーム) |
唐韋星九段(25歳) 謝爾豪九段(19歳) 王沢錦五段(19歳) 孟泰齢六段(31歳) |
なし | 陳豪鑫三段(14歳)、 蔡文鑫初段(16歳) |
李亜春七段(56歳) |
杭州 (竜元明城チーム) |
邬光亜六段(27歳) 夏晨琨六段(23歳) 劉曦五段(29歳) 丁浩五段(18歳) |
申真諝八段(18歳) | 陳玉侬四段(20歳) | 郭聞潮五段(28歳) |
江西 | 辜梓豪五段(20歳) 楊楷文四段(20歳) 許嘉陽六段(18歳) 屠暁宇三段(14歳) |
卞相壹六段(21歳) | 李翔宇五段(20歳) | 李康六段(31歳) |
厦門 | 柯潔九段(20歳) 周睿羊九段(27歳) 范胤六段(19歳) 彭立尭五段(26歳) |
李東勲九段(20歳) | 陳正勲四段(19歳) | 趙哲倫四段(33歳) |
成都 | 党毅飛九段(23歳) 古霊益六段(26歳)、 廖元赫六段(17歳)、 馬逸超五段(20歳) |
崔哲瀚九段(33歳) | 何語涵五段(18歳) | 宋雪林九段(56歳) 李亮五段(46歳) |
上海 | 胡耀宇八段(36歳)、 范蕴若六段(22歳)、 廖行文六段(23歳)、 李维清五段(18歳) |
李映九九段(30歳) | 謝赫九段(33歳) | 劉世振七段(40歳) |
浙江 | 李喆六段(29歳)、 張濤六段(27歳) 周賀璽六段(25歳) 蒋其潤五段(17歳) |
申旻埈七段(19歳) | 秦悦欣四段(26歳) | 蓝天四段(27歳) |
衢州 | 張立六段(30歳) 鍾文靖六段(27歳) 胡鈺函四段(21歳) 丁世雄四段(19歳) |
黄昕四段(21歳) | 李世乭九段(35歳) | 常昊九段(41歳) 許頓二段(37歳) |
(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)
若かりし頃、大きな大会で半目足りず負けてしまったことがしばしばあったためか、曹大元九段(56歳)は「曹半目」と呼ばれるようになった。聶衛平九段(65歳)、馬暁春九段(53歳)に次ぐ中国トップ棋士としては、これまで曹九段の国際棋戦での成績は、それほど素晴らしいものではなかったのだが、晩年を迎えた今、曹九段は輝かしい成績をあげている。
2017年(平成29年)、中国浙江省湖州市長興県政府で世界囲碁元老戦が創立されて、中国囲碁甲級リーグ戦の開幕式と一緒に行われた。曹大元九段は、金秀壮九段(60歳)、武宮正樹九段(67歳)、依田紀基九段(52歳)に連勝し、さらに決勝戦では半目で小林光一九段に逆転勝利し、50歳以上の世界一となった。
そして2018年、この棋戦は昨年に引き続き開催された。参加棋士は16人から8人に減り、曹九段は前回優勝者として参加した。曹九段、小林光一九段以外だと、中国の聶九段、馬九段、日本の小林覚九段(59歳)、依田九段、韓国の徐奉洙九段(65歳)、梁宰豪九段(55歳)が参加した。日本棋士は3人とも1ラウンドで敗退し、2ラウンドでは唯一の非中国棋士であった徐九段も聶九段に敗れた。中国棋士の世界棋戦での優位は元老の領域まで及んでいると言えるだろう。
依田九段を下し、曹九段は準決勝戦、決勝戦で馬九段、聶九段と対戦した。前回大会では日本の宿敵に「復讐」できた曹九段、今回は中国のライバル達との対局となった。曹九段はかつて中国番碁決勝戦で聶九段に三回、馬九段には四回も負けた。しかし、時と共に状況も変わった。2018年3月28日、29日、曹九段は馬九段、聶九段に連勝し、世界元老戦で連覇を果たした。
(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)
中国主催の囲碁世界戦では歴史が古く「元老」ともいえる春蘭杯は、3月21日に第12回を迎えた。試合はスポンサーの春蘭集団の本部――江蘇省泰州市で行われた。参加者は24人、アジア、ヨーロッパ、アメリカの世界各地からやってきた。これはちょうど20年前、春蘭杯が初めて開かれた時と同じである。
今まで11回を数える本棋戦では、中国と韓国の棋士がそれぞれ5回、日本の棋士が1回優勝している。また、前回第11回大会で上位3位に入賞した中国の檀啸九段(25歳)、韓国の朴永訓九段(33歳)、中国の柯潔九段(20歳)はもちろんシードだが、前回の2回戦の結果に基づき、中国から計6名、韓国から計2名が直接1回戦シードで2回戦からの参戦となった。ほかの16名は21日の第1回戦に参加した。
第1回戦の参加者は中国棋士4名、韓国棋士4名、日本棋士5名、それに中華台北、ヨーロッパ、北アメリカからそれぞれ1人。結果、中国が全勝、韓国は2名が二回戦に進出、日本は4名が1回戦敗退となったが、本因坊への挑戦経験がある本木克弥八段(22歳)が韓国の李世乭九段(35歳)に完勝した。これが今回の春蘭杯の一番の見どころとなった。
しかし、3月23日の第2回戦では、本木八段はその勢いを保つことができず、三星杯優勝者の辜梓豪九段(20歳)に敗退した。そして、前回の優勝者の檀啸九段も党毅飛九段(23歳)に敗れた。最終的に中国の柯九段、党九段、辜九段と陳耀燁九段(28歳)、謝科五段(18歳)、韓国の朴廷桓九段(25歳)、金志錫九段(28歳)が準々決勝戦に進出。準々決勝戦は2018年の年末に行われる予定である。
(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)
中国女子囲碁甲級リーグは近年、「主題」を重視するようになっている。毎年一つのテーマが決められて全国各地を回って試合をする。例えば、2015年(平成27年)は「名校行」、北京の清華大学、広州の中山大学などの大学で試合が行われた。2017年(平成29年)は「赤い旅」、湖南韶山、貴州遵義、陝西延安など中国共産党の歴史上重要な革命の町で行われた。そして今年の「主題」は、「貧困支援、我々が行動している」である。これは中国共産党第19回代表大会で提唱された「精準扶貧、精準脱貧」(的確な貧困支援ならびに貧困脱却措置)の要求に応じたものである。
3月22、24日、2018年中信置業杯中国女子囲碁甲級リーグの第1回、第2回戦は貴州省畢節市で行われた。畢節地域は中国では有名な貧困県であるが、中信グループは畢節の迅速な経済発展を願い、百万元を寄付した。
2018年の中国女子囲碁甲級リーグは今年も10チームが参加し、ダブル総当たり戦で18回を戦い、各回戦で各チーム二名が出場する。得点の計算方法が、第一台(主将)に勝った場合3点獲得、第二台(副将)に勝った場合は2点獲得と変更された(今までは一律1点だった)。この変更により、主将の活躍が非常に重要となり、試合が進むにつれて、各チームの得点差がだんだんと大きくなることが予想される。
チーム名 |
メンバー |
助っ人選手 |
コーチ |
---|---|---|---|
江蘇 |
於之塋六段(20歳)、王晨星五段(26歳)、王祥雲三段(28歳) |
なし |
丁波五段 |
洛陽 |
李赫五段(27歳)、陶然二段(21歳) |
なし |
張学斌六段 |
広東 |
陳一鳴三段(26歳)、蔡碧涵三段(26歳)、鄭岩二段(34歳) |
なし |
廖桂永九段 |
アモイ |
黑嘉嘉七段(23歳)、陸敏全三段(19歳)、尹渠二段(16歳) |
なし |
常昊九段 |
杭州 |
高星四段(21歳)、趙奕斐二段(18歳)、 |
なし |
陳潇楠四段 |
上海 |
芮廼偉九段(54歳)、唐奕三段(30歳)、 |
なし |
劉世振七段 |
浙江 |
范蔚菁三段(31歳)、潘陽三段(21歳)、 |
なし |
陳临新九段 |
蕪湖 |
周泓余三段(15歳)、袁亭昱二段(19歳) |
李瑟娥四段(26歳) |
羅德隆四段 |
武漢 |
張子涵三段(24歳)、魯佳二段(29歳) |
呉侑珍五段(19歳) |
阮雲生七段 |
河北 |
曹又尹三段(31歳)、王爽三段(23歳) |
藤沢里菜四段(19歳) |
趙余宏五段 |
(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)
2月8日、中国で20人目の世界チャンピオンが誕生した。東京日本棋院で行われた第22回LG杯朝鮮日報棋王戦の決勝三番勝負で、謝爾豪五段(19歳)が井山裕太九段(28歳)に勝利して、中国で最年少の国際棋戦優勝者になり、同時に九段に昇段した。また三か月前、謝爾豪と同い年の辜梓豪九段(19歳)が三星火災杯世界囲碁マスターズで優勝しており、中国では「双豪時代」がきたと言われるようになった。
面白いことに、謝爾豪九段と辜梓豪九段は同い年なだけではなく、出身も同じ中国の湖北省。そして、同じく少年時代にその才能を見いだされ、上京して道場に入り勉強するようになった。やがて入段し二人はプロ棋士となったのだが、辜九段の順風満帆な道と比べると、謝九段はそうではなかった。謝九段は、2012年(平成24年)に13歳で芮廼偉九段、山下敬吾九段などの棋士に勝ち、史上最年少で国際棋戦の4強選手になった。当時これから素晴らしい成績をあげていくだろうと期待されていたのだが、それから6年もの間、実績を残せなかった。
この経験は謝九段に同齢者が持っていない、大舞台で力を存分に発揮させる勝負強さを与えた。また、どんな勝負に対しても平常心を忘れないという心境が世界チャンピオンにつながった。LG杯決勝三番勝負の第2局、謝九段は必ず勝てるという局面でいくつかミスをしてしまい、井山九段に逆転された。普通の棋士なら心が折れるかもしれないが、謝九段は全然動じていなかった。また第3局でよい一局を打ち栄冠を勝ち取った。若い世代の中国棋士は長年、残酷でシビアな勝負の世界にいるためか、強い心を持っている棋士がたくさんいる。
(記事 / 写真:楊爍)
今回で第17回を迎える中国西南棋王戦は3月9日、10日に行われた。西南棋王戦は、中国の西南地域の棋士が参加する棋戦ではあるが「包容的」と言える。西南生まれの棋士、たとえば唐韋星九段(25歳)。西南地域で登録した囲碁チームの棋士、たとえば柯潔九段(20歳)、時越九段(27歳)。また、西南地域と特に関係のない有名な棋士、たとえば、常昊九段(41歳)、芈昱廷九段(22歳)。皆この棋戦に招かれたことがある。そして過去には、中国東北部出身の王磊八段が優勝したこともある。このことは「アムールトラが西南王になった」などと冗談めかして語られている。
第17回西南棋王戦の優勝賞金は、8万人民元(約135万円)から16万人民元(約270万円)と倍増した。そして、チベットチームの棋士である毛睿龍六段(26歳)と中国囲碁甲級リーグの成都チームに参加している韓国の崔哲瀚九段(32歳)が招待された。この棋戦の影響力は、もはや遙かに「西南」の範囲を超えたと言えるだろう。
今回の試合では、中国囲碁界の第一人者である柯潔九段が8強戦で唐韋星九段に敗れた。続いて、唐九段は中国ランキング第2位である時越九段にも勝利した。だが、決勝戦では、中国ランキングの第3位芈昱廷九段に負け、中国ランキングトップスリーを下すという快挙を成し遂げることはできなかった。結果、芈昱廷九段が西南地域とまったく関係のない初の「西南王」となった。
(記事:楊爍)
中国中央テレビ(CCTV)主催の「賀歳杯」日中韓新春争覇戦の第五回大会が行われた。第四回まで、時越九段(27歳)、柁嘉熹九段(27歳)、柯潔九段(20歳)と中国の棋士が優勝してきた。特に、世界囲碁の第一人者となった柯九段は生放送での対局で、日韓の井山裕太九段(28歳)、李世乭九段(35歳)、朴廷桓九段(25歳)に勝ち続けてきた。今回は2018年2月5日から7日の日程で行われた。柯潔九段は北京中国中央テレビスタジオで行われる本棋戦に三年連続で参加し、三連覇を目指していた。
だが残念なことに、今回、柯九段は幸運に恵まれていなかった。日本の一力遼八段(20歳)を下し、決勝戦は柯九段と朴九段の対局。ほとんどの世界囲碁ランキングで、常にトップツーを占めているのは朴九段と柯九段である。この二人の対決は頂上対決に違いない。朴九段と柯九段の今までの13回の対決が行われたが、その中の12回は白の勝ちだった。棋界歴代の「頂上対決」では、これは相当珍しいことである。
決勝戦で、柯潔九段は黒を当て、やはり劣勢となり、中押し負けを喫した。だが、柯九段のスランプはもう知られていること。そして、この大会の一カ月後、柯九段は中国上海で行われた第19回農心杯で中国チームの主将として出場したが、韓国チームの副将金志錫九段に負けた。中国の賀歳杯での三連覇、農心杯での四連覇とはならなかった。
(記事 / 写真:楊爍)
中国囲碁界で最も不運な棋戦と言えば、棋聖戦ということになるかもしれない。中国の棋聖戦は、まず1999年(平成11年)上海で誕生した。日本伝統の「全段争覇制」と「最高棋士決定戦」などからなる棋戦であったが、三回のみで終了してしまった。月日は流れて、2012年(平成24年)、河南省洛陽市で新しい棋聖戦が開催されたのだが、この時もまた二年しか続かなかった。そして2017年、洛陽市は以前行われていた棋聖戦の回数を引き継いで、「白雲山杯」と改名し、これにより棋聖戦が中国囲碁界に復活した。
「第3回洛陽白雲山杯 中国囲碁棋聖戦」は、棋士のランキングにより試合に参加する段階を分ける方式を取っている。2500ポイント以下の棋士は「予選」から参加し、2500から2600の棋士は「資格戦」からの参加、2700以上の棋士は直接8強から参加できるようになっている。このようなルールは中国囲碁界では初めてである。
予選は2017年12月の初めに行われ、その予選を通過した24名の棋士は、年明け1月5日に、次に進む12人を決める「候補戦」を戦う。そして24名のシード棋士と3回戦による「資格戦」が行われる。それを通過した6名の棋士がランキング上位9名の強豪組と「本戦」で戦う。そして、二年間ランキング1位を維持している柯潔九段(20歳)には、さらにシードが与えられ8強として仲間たちを待っている。
1月17日に本戦2回戦が終了し、檀啸九段(24歳)、連笑九段(23歳)、范廷鈺九段(21歳)、辜梓豪九段(19歳)が準決勝戦進出を決めた。鋭気を養って疲れた敵を待っていた柯九段だったが、范九段に負けて、ランキング上位で優遇されていた状況を生かすことができなかった。なお、一番人々を驚かせたのは2000年生まれの陳梓健六段であった。本戦2回戦で檀啸九段に敗れたものの、彼は予選から五つの難関を突破し、本戦1回戦で世界チャンピオンの江維傑九段(26歳)に勝ち、8強に入った。今後、準決勝戦と挑戦者決定戦は5月末に洛陽白雲山で行われる予定である。挑戦者決定戦の勝者は、周睿羊棋聖(26歳)に挑戦する。
(記事 / 写真:楊爍)
AI時代の到来から、2018年の中国棋界でも大きな変化が起きた。その変化は1月22日に開幕した同里杯天元戦で顕著に現れた。
天元戦は、2018年で最初に行われた中国国内のプロ棋戦だが、十年以上も続けてきたネット予選とお昼休憩のための打掛制度を廃止した。そして、試合の持ち時間を各3時間から2時間に減らした。これらは全部AIの発展が試合の公正性に影響しないように取った手段である。
ネット予選が廃止されたため、もともと予選通過者に与えられていた枠は、前年度の個人戦男子の一位~三位、女子一位、また段位戦初段組、二段組、三段組、四段及び四段以上組の優勝者に与えられるようになった。重複があった場合は個人戦男子の順位を元に補充される。これにより、超新星である屠暁宇三段(14歳)が個人戦男子七位の成績により選ばれたのだが、芈昱廷九段(21歳)、辜梓豪九段(19歳)の若い世界チャンピオンに連勝し、棋界で注目されている。
変化の物語はこれだけでない。以前、天元八連覇を遂げた陳耀燁九段(27歳)が、8年ぶりに天元戦に参加したのだが、一回戦で謝科五段(17歳)に敗れた。謝五段は、この勢いに乗り、范廷鈺九段(21歳)、時越九段(27歳)などの名将に勝ち、1月31日に行われた挑戦者決定戦でもCCTV杯優勝者の張濤六段(26歳)を負かした。謝五段は、タイトル戦決勝戦の舞台に出る中国棋界で初めての00年以降に生まれた棋士となる。
挑戦手合三番勝負は4月中旬に江蘇省同里鎮で開かれる予定で、謝科五段が連笑九段(23歳)に挑む。
(記事 / 写真:楊爍)
20世紀末から21世紀の始めまでで一番偉大な棋士と言えば、李昌鎬九段(42歳)と言って差し支えないだろう。彼は囲碁の国際棋戦で最も多く優勝した。現在ではどんどん強くなっていく後輩たちと戦えなくなったが、2017年に正官庄チームを代表して、韓国囲碁リーグのチャンピオンとなった。そして、中国の囲碁ファンを驚かせる出来事があったのだが、2018年1月19、20日に、第1回中韓リーグ優勝者対抗戦が北京で行われることになった。つまり中国の囲碁ファンたちは久しぶりに「石仏」李昌鎬の風采を見ることができるということだ。
2017年中国囲碁甲級リーグの優勝チームは、陳耀燁九段(28歳)、柁嘉熹九段(26歳)、韓一洲七段(20歳)、鐘文靖五段(26歳)などで構成されている中信北京チームだった。中信北京チームは初めて中国囲碁甲級リーグで優勝した。初回は中国で行われるので、中国リーグと同じ、4対4方式で対決が行われた。2回戦行うことになっているのだが、勝ち数の合計が同点だった場合、2回目に行われる主将戦の勝ち負けにより全体の勝敗を決めることになっていた。また、4局の対戦のうち、3局は持ち時間各2時間の対局で、もう1局は一手30秒の早碁である。これは標準的な中国甲級リーグの持ち時間である。
中信北京チームは、陳耀燁九段が主将対決も含め2連勝、そして韓一洲七段も1勝したのだが、正官庄チームの李昌鎬九段が、韓七段、柁九段に連勝し「伝説再来」と思わず言ってしまうような見事な活躍を見せた。また主将の申真諝七段(17歳)が1勝、金明訓五段(20歳)が2勝を収め、正官庄チームが、総合成績5勝3敗で優勝した。
(記事 / 写真:楊爍)
1988年(昭和63年)、中国の『人民日報』と日本の『朝日新聞』の努力で、中日両国の名人戦優勝者による対抗戦が行われるようになった。両国交流の良い機会でもある中日名人対抗戦は現在まで7回しか行われていないが、棋界では大きな影響力を残している。2010年(平成22年)、中国で中日韓三国の名人戦優勝者による「世界囲碁名人争覇戦」を創立された。この棋戦は湖南省常徳市で三回開かれたあと、2015年(平成27年)に千年の古都――陝西省西安市で一回行われ、そして、2018年(平成30年)に西南の辺境――雲南省保山市で第5回が開催された。
これまで中日両国の名人戦はそれぞれ中国が第30回、日本が第42回と続いてきた。中国からは連笑九段(23歳)、日本からは井山裕太九段(28歳)が優勝者として参加した。しかし、韓国の名人戦は2016年(平成28年)の第43回を最後に終了している。それ故、当時優勝した李世乭九段(34歳)が韓国の最後の名人として、今回の世界囲碁名人争覇戦に参加した。
30年が過ぎて、今の棋界はもはや馬暁春九段(53歳)や小林光一九段(65歳)が名人対抗の舞台で活躍する時代ではなくなった。だが、李世乭九段のような棋士は依然として棋界に「まだ若者の時代ではない」と宣告し奮闘している。今回の決勝戦では、早めに苦しい形勢に陥ったが、李九段は粘り強くチャンスを探っていた。そして、若い連九段の不思議なミスを追い詰めて、奇跡的に逆転した。このような勝ち方は李九段が最も活躍していた時期に頻繁に見受けられた。
いままで李世乭九段は連笑九段との対戦で四戦全勝だった。これは連九段のトラウマになっていたかもしれない。今の状況では白番の勝ちが決まったと見られていた。黒163のワリコミが最後の粘りだ。白164では166のところにアタリすれば良かったが、連九段が打った164の抜きが大きなミス。黒165、167にツガれ、白にはシノギがなく、結局全部死んでしまった。
(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)
中国主催の国際大会「新奥杯世界囲碁オープン戦」。その第1回大会は、2016年5月から始まり、約1年7ヶ月にわたって行われ、2017年12月20日から26日、河北省廊坊市でようやく決勝戦を迎えた。2017年5月、柯潔九段(20歳)と彭立堯五段(25歳)が決勝戦に進出を決めた時、誰もが柯潔九段が優勝すると予想していた。しかし、それから柯九段は低迷期に入り、烏鎮でAIに負けたり、囲碁甲級リーグで五連敗したり、夢百合杯、三星杯、LG杯でも調子を崩している。第1回新奥杯の優勝はどちらが本命なのか、分からない状況であった。
決勝五番勝負の流れは、この7か月の柯九段の調子とよく似ている。第一、二局は柯九段の快勝で、二連勝で彭五段を追い詰めた。そして第三局も早い段階で優勢を築いたが、粘り強い彭五段は簡単にあきらめず、形勢を逆転し、半目勝ちをもぎ取った。 また第四局でも序盤で柯九段の珍しいミスを捕らえ、再度半目で勝った。優勝賞金220万元(約3800万円)のプレッシャーを背負い、勝負が決まる第五局もまた緊張感の漂う半目勝負であった。「強い者は運も強い」といわれるが、柯九段が勝利をおさめ、三十年前の加藤正夫九段が三度の半目勝負で十段を獲得したことの再現とはならなかった。
3勝2敗で彭立堯五段を負かし、柯潔九段はようやく2017年度に入って初めての世界戦優勝を飾った。そして、2017年の最後の世界チャンピオンとなった。柯潔九段は2017年、勝つことが難しいAIと戦い、棋戦でエベレストの標高5000メートルに登り、そして中国最高レベルの全国運動会で金メダルを獲得した。とはいえ、半目勝利での世界戦優勝がなければ、2017年の柯九段は残念だったと思われていただろう。
第四局の序盤、黒番の柯九段はミスを連発した。黒67では68のコスミを先手で交換すべきだった。また白72の時の黒73のアタリが自分の手を詰める大悪手で、下の五目が死んだ上に、二十目以上の連帯損失もした。柯九段においては、実に意外なミスであった。
注目の第五局、彭五段の白196は悔しい一手だった。Aのトビくらいで真ん中の地を守れば、白番の方が少々優勢になったかもしれない。白196のハネが先手だと思ったようだが、しかし鋭い柯九段はBとコウを取ってから、Cの切りで中央を収束し、半目優勢となった。
(記事 / 写真:楊爍)
中国囲碁事業を管理する最高機構「中国囲棋協会」は1962年(昭和37年)に発足し、中国軍隊のリーダーである陳毅元帥(1901―1972)自ら創立を推進した。囲碁は体育項目の一つとして、ずっと中国政府に管理されている。中国囲棋協会は、中国のほかの体育協会と同じ、中華全国体育総会の付属であり、主に対外交流活動をしている。また、実際に囲碁を管理しているのは中国国家体育運動委員会(のちに国家体育総局に改名)の下の棋牌運動管理センターである。そして、棋牌運動管理センターは「中国棋院」というもう一つの名前でよく知られている。
中国囲棋協会の管理機構は長い間、国家体育委員会、中国棋院のそれと重なっている。中国囲棋協会の初代主席である李夢華(1922-2010)は国家体育委員会の最高指導者。 2代目の主席である陳祖徳九段(1944―2012)は中国棋院の初代院長。そして、3代目の主席である王汝南八段(71歳)は中国棋院の2代目院長である。
2017年、中国体育改革は急速に進んだ。各運動管理センターの機能はだんだん縮小され、各協会によって独立的な市場メカニズムで運営されるようになった。王汝南八段は70歳を超えた故、中国政府の規定で協会の指導者を勤めることが出来なくなった。2017年12月29日、中国囲棋協会の改選会議が北京中国棋院で開かれ、元総参謀部少将である林建超氏(65歳)が4代目の中国囲棋協会主席に当選した。棋牌運動管理センター主任の羅超毅氏(57歳)、聶衛平九段(65歳)、浙江省体育局局長の孫光明氏(59歳)、常昊九段(41歳)、都市囲碁リーグ戦創立者の雷翔氏(50歳)が副主席に当選した。また羅超毅氏は秘書長を兼任することとなった。
会議中、国家体育総局副局長の趙勇氏(54歳)は、中国囲棋協会は改革のスピードを速めなければならないと指摘し、そして、林建超新主席が改革の総方針、目標と計画を提出した。2018年の中国棋界は大きな変化を迎えるだろう。
初代 | 李夢華 氏(在任期間:1962年-1988年) |
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2代目 | 陳祖徳九段(在任期間:1988年-2006年) |
3代目 | 王汝南八段(在任期間:2006年~2017年) |
4代目 | 林建超 氏(在任期間:2017年~) |
(記事 / 写真:楊爍)
年一度の「威孚房開杯 中国棋王争覇戦」は毎年下半期に北京中国棋院で行う1、2回戦に勝利した8名の棋士が、スポンサー企業のある江蘇省無錫市で準々決勝戦以降を戦うことになっている。この棋戦の特徴だが、新人が活躍する傾向がある。世界チャンピオンで優勝した棋士は少なく、これまで行われた13回のうち、孔傑九段(35歳)、時越九段(26歳)、柯潔九段(20歳)の三人だけだった。
「第13回威孚房開杯」は12月28日に無錫で決勝戦が行われ、この対局が2017年最後のチャンピオン戦であった。決勝戦に進出した二人の棋士は特に有名な棋士ではないが、中国棋界では長年奮闘してきており、実力を発揮した棋戦も多々ある。一人は26歳の浙江省出身・張濤六段。試合が終わっても納得できる結果がでるまで休まずに検討することで知られている。2017年8月、彼はCCTV早碁戦で李欽誠九段(18歳)、柯潔九段などの名手に連勝し、優勝した。中国棋界の今年度のダークホースとなった。
もう一人は20歳で広東の棋士である范胤七段。范七段は2016年に中国囲碁個人戦で優勝してから急成長を遂げ、囲碁甲級リーグの主力選手にもなった棋士だ。ちなみに、范七段と張六段は、相次いで中国国家囲碁集訓隊に選ばれ、今回の威孚房開杯では、張六段は実力者の芈昱廷九段(21歳)に勝ち、また范七段は世界チャンピオンになったばかりの辜梓豪九段(19歳)に勝利し、勝ち上がってきた。
二人の決勝戦も非常に激しい内容で、結果は半目勝負で終わった。范七段はヨセの段階ではとても冷静で、半目で勝ちをもぎ取った。ちなみに、范七段は裕福な家庭に恵まれて、小さい頃はただの趣味として囲碁を勉強していたようだが、韓国の岳権道場で勉強したこともあるそうだ。プロになるか大学に入るか、かなり悩んでいたようだが、やはり囲碁に対する情熱がすべてに勝って、今日このトロフィーを手にすることとなった。
(記事:楊爍 / 写真提供:sina)
2015年(平成27年)、当時18歳だった柯潔九段はロケットのようなスピードで世に出て、百霊杯、三星杯、夢百合杯の三つの国際棋戦で優勝し、中国囲碁界に「柯潔時代」を作り上げた。この三年間で、唐韋星九段(24歳)、陳耀燁九段(27歳)は二度も国際棋戦で優勝し、また党毅飛九段(23歳)、檀啸九段(24歳)も優勝の悲願を叶えたのだが、柯九段は依然として中国最年少での世界チャンピオンである。囲碁界の世代交代は、いつも後輩が先輩を超える。先輩が戦場に戻って失われた土地を取り戻したことは、ほぼない。
2017年12月7日、柯潔九段のライバルがやっと出てきた。柯九段より一つ下の辜梓豪五段(19歳)は三星杯決勝戦で初戦を落としたものの、2勝1敗で唐韋星九段に逆転で勝ち、初めて世界チャンピオンとなり、直接九段に昇段した。辜梓豪は今回の三星杯で、崔哲瀚九段(32歳)、李東勲八段(19歳)、朴永訓九段(32歳)などの韓国のトップ棋士に勝ち、名実伴う世界チャンピオンとなった。
辜九段は中国湖北省出身、小さい頃、家があまり裕福ではなかったが、大きな経済的負担を抱えながら、北京に囲碁を勉強しに行った。そして入段に成功し、長年の努力を重ねて世界の頂点に至った。まさに囲碁界における一つの理想的な形である。じつは、辜九段は他の棋士と違い計画性がある棋士で、時間管理には結構厳しい。2016年初めて東京に国際新鋭対抗戦に参加に行った際、あらかじめ観光コースを完璧に作って、ちゃんとそれに従って行動し、頻繁に日本に行く引率者をも驚かせた。
(記事/写真:楊爍)
2017年12月6日、冬の北京は寒風が骨にしみる。商業区にあるホテル「ウェスティン北京朝陽」で日中伝統の囲碁対抗戦――第19回阿含・桐山日中決戦が行われた。中国側は、決勝戦で柯潔九段(20歳)に勝ち、初めて優勝した柁嘉熹九段(26歳)。日本側はこの棋戦と同じ年齢の六浦雄太七段(19歳)。六浦七段が生まれた年の阿含・桐山杯日中決戦は、まだ馬暁春九段(53歳)と小林光一九段(65歳)の出場しており、それはスター達の時代だった。
小林九段の時代が終わってから、日本囲碁界の勢いはだんだん衰えていき、日本の優勝者は日中決戦で13連敗を喫していた。2015年(平成27年)になって、やっと井山裕太九段(28歳)が一本を取り戻したが、翌年には河野臨九段(35歳)が柯潔九段に負けた。2017年の中国の優勝者は、世界戦で優勝経験のある柁嘉熹九段である。単に実力からみれば、日本の優勝者は確かに不利と見られた。
ただ、柁嘉熹九段は優勝コメントで「六浦七段は実力者であった、来年自分もまた中国チャンピオンとして参加したいし、もっと若い日本チャンピオンとも出会い対戦したい」と述べた。
阿含・桐山杯は早碁棋戦で、防衛制ではない。この19年、中国の阿含・桐山杯で二回連続優勝したのは劉星七段(33歳)一人だけである。陳耀燁九段(28歳)は三回決勝戦に進出したが、三回とも準優勝に甘んじており、縁がないとしか言えない。柁九段のこの二つの願いは、2018年にどちらか実現できるだろうか。
(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)