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中国囲碁ニュース 2015

中国囲碁ニュース・棋声人語のバックナンバーをご覧いただけます。

中国からの囲碁ニュースを皆様にお伝えします。

棋声人語 [ 2015年12月28日 ]

2015年三星杯世界囲碁マスターズ決勝戦

 2013年、中国棋士の周睿羊九段(24歳)、時越九段(24歳)、范廷鈺九段(19歳)、陳耀燁九段(25歳)、芈昱廷九段(19歳)、唐韋星九段(22歳)は当時の国際棋戦の六冠――百霊杯、LG杯、応氏杯、春蘭杯、夢百合杯、三星杯のタイトルをそれぞれ手に入れた。全員が初めての国際戦優勝であったのだが、そのときから中国棋界はあることに頭を悩ませ、また興味を持つようになった。最初に国際戦の2冠目を獲得するのは誰になるだろうかと。

 あれから、周睿羊九段が2014年(平成26年)、2015年(平成27年)のLG杯と春蘭杯で二度も決勝戦に進出したものの、それぞれ新チャンピオンの柁嘉熹九段(22歳)とベテランの古力九段(32歳)の前に敗れ去った。また、唐韋星九段も2014年三星杯の決勝戦に進出したが、韓国の金志錫九段(26歳)の初優勝を許す結果となった。

 さて、中国棋界におけるこの疑問は、今年12月についに解かれることとなった。答えを出したのは、最後に「国際戦1冠」の集団に入った棋士柯潔九段(18歳)。柯九段は今年1月に邱峻九段(33歳)を負かし、百霊杯優勝者になったばかりだったのだが、棋界の頂点に駆け上がるスピードは著しい。今年の三星杯で、柯九段はダブルエリミネーション方式の1ラウンドで劉昌赫九段(49歳)、彭立尭五段(23歳)を破り、予選を突破。それから、羅玄六段(20歳)、卞相壹四段(18歳)に連勝、準優勝戦では、李世乭九段(32歳)に一つの白星も与えなかった。また決勝戦では同じように2連勝で時越九段を退け、優勝した。

 近年、中国の若手棋士の実力が急速に上がってきた。誰がこの世代のリーダーになるのだろうか。陳九段か、時九段か、それとも范九段か。棋界が何度も予想して外してきたのだが、柯九段は「最後に笑ったが、一番よく笑えた」(最後に1冠の集団に入ったが、一番早く2冠目を達成した)と述べた。そして、柯九段の3つ目の国際戦優勝は、もう目の前である。12月30日~2016年1月5日、第二回夢百合杯決勝戦で、彼は李世乭九段の向かいに座ることとなる。

(記事:楊爍 写真提供:sinaサイト)



2015年中国男子/女子囲碁甲級リーグ戦

2015年第24期『囲碁天地』雑誌が男女囲碁甲級優勝チームの棋士の写真を表紙にした。上は朴廷桓九段、連笑七段、邬光亜六段(25歳)、李銘五段(22歳)、郭聞潮五段(26歳)、李欽誠初段(17歳)(上から下、左から右、背景の色は金立スマートフォンの宣伝カラー);下は於之瑩五段、王晨星五段(左から右、背景の色は中信系会社の宣伝カラー)

 12月3日、6日、2015年の中国女子囲碁甲級リーグ戦と男子囲碁甲級リーグ戦が幕を下ろした。女子優勝チームは於之瑩五段(18歳)と王晨星五段(24歳)が率いている江蘇チームである。これで三連覇となった。男子のほうは朴廷恒九段(22歳)、連笑七段(21歳)が率いている蘇泊爾杭州チームが優勝した。このチームは今年乙級から甲級に昇格したばかりで、囲碁界での「カイザースラウテルンの奇跡」とも言われている。

 中国男子/女子囲碁甲級リーグ戦はそれぞれ深セン市金立通信設備有限会社と中信置業有限会社がスポンサー企業であり、中国囲碁界の主要棋戦として定着している。六十名を超える男性棋士や三十名ほどの女性棋士たちはリーグ戦を通して、毎年十数局のハイレベルの対局を行いつつ、安定した収入をもらうこともできる。これが中国囲碁界の基礎となり、中国囲碁は、現在のように急速に発展してきた。だが、いくら基礎が優れているとはいえ、ずっとこのままでよいというわけではない。この二つの棋戦に関して、多くの有識者によりその欠点が気づかれ、指摘されるようになった。

 女子囲碁の甲級リーグは毎局、一チームで出場できる棋士は二人に限られている。それ故に1対1の引き分けが多く発生し、棋戦の面白みに大きく影響した。さらに、二人の棋士の中で一人の棋士でも不調になると、チームの成績が急速に落ちる。たとえば、今年、芮廼偉九段(51歳)はリーグ戦後半の成績が悪く、所属する上海チームはもともと優勝も期待できそうな布陣であったが、結局四位と成績がふるわず、湖南チーム、北京チームに越されることになった。また、五位から八位は洛陽チーム、厦門チーム、広東チームと杭州チームで、蕪湖チームと徳州チームは降格となった。

 男子のほうで、もっと深刻な問題が発生している。今年の一番大きいニュースは、過去何度も優勝したことがある上海チームが乙級に降格したことだ。チームの体制が原因で、上海チームは常に常昊九段(39歳)、邱峻九段(33歳)、胡耀宇八段(33歳)の「老将」に頼る状態になっている。新たな力を取り入れないのでは、窮地に陥っても仕方ないだろう。ちなみに、上海チームと似たような状況に陥っている北京チーム、重慶チームは、今年はかろうじて甲級資格を保った。幸いなことに、この状況が引き金となり棋界では「甲級リーグ戦では棋士の移籍制度を改革 しなければ」という議論が起こることになった。上海チームと一緒に降格したのは江西チームで、二位から十位は武漢チーム、珠海チーム、山東チーム、貴州チーム、浙江チーム、江蘇チーム、北京チーム、重慶チーム、杭州棋院チームという順位であった。

(記事:楊爍 写真提供:『囲棋天地』)

棋声人語 [ 2015年12月16日 ]

第二期 利民杯世界囲碁星鋭最強戦決勝戦

 二十歳以下の若手棋士を対象とした棋戦「利民杯世界囲碁星鋭最強戦」は、優勝賞金が40万人民元(約770万円)と高額なこともあり、誕生した時から注目を浴びている。第二期の本戦トーナメントが、11月28日から12月2日まで杭州の天元ビルで行われた。このように高い賞金がかかっているので、芈昱廷九段(19歳)や柯潔九段(18歳)のような世界チャンピオン経験者が参加してくることも意外なことではないだろう。

 だが、意外なことはやはり起きるものである。その最も期待されていた中国のトップ棋士の2人ともが、まさか同じ韓国棋士に負けることになるとは。李東勳五段(17歳)は、夢百合杯の優勝者である芈九段、百霊杯の優勝者である柯九段、及び中国新人王戦優勝廖元赫三段(15歳)、中国囲碁甲級リーグの主力選手である謝科二段(15歳)を次々に破り、決勝戦に進出した。韓国棋界で李東勳は、李世乭九段(32歳)、朴廷恒九段(22歳)の後継者として、将来の韓国棋界を牽引する人物になると期待されているが、今回の大会を通し、その期待がただの夢ではないとハッキリ証明された。

 しかし、決勝戦では李五段に勝負の女神は微笑まなかった。決勝戦に進出したもう一人は辜梓豪四段(17歳)。今年の中国個人戦でチャンピオンとなり、2015年ブレイクした棋士である。今回の棋戦では、将来有望で現在韓国棋界で一番の潜在力を持っていると言われている申真谞三段(15歳)や李五段を破り、初めての優勝を果たした。偶然なことではあるが、辜四段も李五段も同じ中国囲碁甲級リーグ戦の武漢チームのチームメイトである。普段の特訓や交流が、今回の決勝戦の結果に影響を与えたのだろうか。

 辜梓豪四段は中国棋界に数多くいる新鋭の中の一人である。1990年代生まれの棋士の数は、中国囲碁界の方が、日本や韓国に比べて多い。新鋭の1人でもある第一期優勝者の童夢成四段(19歳)は今回王沢錦四段(16歳)に負けてしまった。ちなみに、辜梓豪の話によると、今回で一番の難局は準優勝戦で趙晨宇四段(16歳)を負かした対局だったそうだ。

元杭州市市委書記、中国棋院杭州分院院長王国平(65歳、左)が
辜梓豪を表彰
決勝戦会場、左は辜梓豪四段、右は李東勳五段

兪斌九段(48歳)、毛昱衡初段(33歳)が解説
日本代表の許家元三段(17歳)、佐田篤史二段(19歳)は
敗退後、杭州棋院棋士と交流試合を行う

(記事/撮影:楊爍 )

棋声人語 [ 2015年12月7日 ]

第二回夢百合杯世界囲碁オープン戦準決勝戦

柯潔九段(右)夢百合杯スポンサー代表倪張根(40歳)

 「李世乭九段は自分が勝つ確率は50%だと話したそうだが、私が見るにはたぶん5%だろう。伝説もそろそろ幕を下ろす時だ」。11月25日、安徽省合肥市で行われた第二回夢百合杯世界囲碁オープン戦の三番勝負準決勝戦が終わった後、柯潔九段(18歳)がはばかることなく、こう豪語した。準決勝で、柯潔九段、李世乭九段(32歳)はそれぞれ朴永訓九段(30歳)、安成浚六段(24歳)を破り、決勝戦で相対することになった。自分より十四歳も年上で天下無敵だった先輩李世乭に対しての柯潔のこの発言は、ただちに大きな騒ぎを起こすこととなった。

 夢百合杯は中国が2013年(平成25年)に設立された国際棋戦で、二年に一回行われる。出場選手は64人で、予選にはどの国の棋士でも参加できるが、本戦に入らないと賞金がもらえない。第一回夢百合杯では中国棋士が際立って優秀な成績で、驚異的なことにベスト8を独占した。第二回では状況が一変、四強の3つの席を韓国棋士が占めたのだが、去年からその才能を表してきた天才少年柯潔が決勝進出を決め、最終的には決勝戦は中韓の対決となった。

 柯潔は浙江省麗水市の出身で、1997年(平成9年)に生まれた。2008年(平成20年)入段し、2014年(平成26年)に阿含桐山杯で初優勝を収めた。今年で世界王者となり、この年末には、さらに中国プロ棋士ランキングの一位に昇りつめるなど、中国棋界でトップに駆けあがるスピードが一番速い新星と言えよう。そして、試合前後に、いつも発している衝撃的な言論がまた彼の特別なところである。内向的な性格で口数が少ない大多数の棋士たちとは異なるため、柯潔はすぐにマスコミの寵児となった。だが、彼はその実力が故に「暴言」を発しても、それを実現することもできるのである。 李世乭九段も若い頃、その自由奔放さで知られた。直接先輩を評価したり、勝手に休場したり、棋界をかき乱したこともあるのだが、今になって自分も同じ状況に直面することになったようだ。三星火災杯の三番勝負準決勝で柯潔から1つの白星も取れなかった李世乭であるが、後輩のこういう単刀直入の挑発的な発言に対して、今回の決勝戦では碁盤の上で先輩のプライドを守ることができるのだろうか。

(記事:楊爍 写真提供:sinaより)

棋声人語 [ 2015年12月2日 ]

第17回中国阿含・桐山杯決勝戦

対局現場
写真左:宋代銅人 写真右:周代古柏

 中国の西周時代、周成王が黄河の東、周囲百里の土地を自分の弟―叔虞に授けた。叔虞はその土地で国を作り、後に「春秋五覇」の「晋」となった。この土地は現在、中国の山西省の一部となっている。そして、初代の王―叔虞を記念するために、「晋王祠」が建てられた。晋祠の中では、唐太宗李世民が書いた石碑、宋の時代の治水に使う魔除け銅人、明清時代の廟宇など、今でも多くの物が保存されている。

 特に晋祠の中の一本の古柏を放射性炭素年代測定(炭素14)で測定した所、三千年前の周の時代に植えられたものだと判明した。宋代の文豪 欧陽修が見学に来た際、「地灵草木得余润,郁郁古柏含苍烟」(土地が豊かで草木も潤われている、古い柏が郁々として遠くから眺めたら、まるで青い煙に囲まれているようだ)という詩を残し、明末清初の文学家 傅山もここで囲碁を打ち、「鸟下寒巢寻柏子,人藏小洞剥榛仁。烧香捣药浑无见,画纸围棋细有闻」という詩歌を残した。この周柏が今、左へ大きく傾いてしまっているが、幸い、もう一本の柏に支えられ、いまなお茂っている。この「生きている化石」の下に佇むと、昔を思い出せずにはいられないだろう。

 第17回中国阿含・桐山杯決勝戦がこの晋祠の近くの晋祠賓館で行われた。陳耀燁九段(25歳)と黄雲嵩四段(18歳)がNHK杯ルールでこの早碁棋戦の優勝を争った。今回は黄雲嵩が常勝し、初めて阿含・桐山杯の優勝を飾った。自然界では古木から新芽が出るのは珍しいことだが、棋界においては、年長者が若者に対局で思う存分力を発揮することが難しくなっているようだ。

 若手棋士が続々登場することは、大変喜ばしいことであるが、まだまだ先輩棋士たちの活躍からも目が離せない。2002年(平成14年)、第四回阿含・桐山杯日中決戦の決勝戦の前、当時わずか十三歳だった陳耀燁が井山裕太と特別対局をした。そして、その後十三年の間に井山裕太6冠(26歳)は日本阿含・桐山杯で4度の優勝を飾った。二人が阿含・桐山杯で正式に対局ができたら、話題になることは間違いないが、実現できるかどうかは二人の棋士の今後次第だろう。

中央テレビ局(cctv5)が決勝戦を生放送、説明
優勝した黄雲嵩。授賞しているのは立会人の華以剛八段(66歳)

(記事/撮影:楊爍)

棋声人語 [ 2015年11月20日 ]

ミリンバレー杯世界コンピュータ囲碁トーナメント

大会現場
加藤英樹さんが自分の作ったプログラムの試合を見ている

 頭を傾けながらスクリーンを見つめたり、頷いたり、大幅に頭を振ったりしながら、「えっ?あ、なるほど」とつぶやいている。自分が作ったプログラムの一手一手をコンピュータの画面上で見ながら、何度も手まねをし、その手の意味を理解しているのだ。これは11月10日から15日まで中国の北京で行われたミリンバレー杯世界コンピュータ囲碁トーナメントの中で、加藤英樹氏が人々に残した最も印象深い姿であった。

 加藤英樹氏は囲碁プログラムzenの主な開発者である。zenは2012年(平成24年)に四子局で武宮正樹九段(64歳)に勝ったことや、2014年(平成26年)の第7回UEC杯コンピュータ囲碁大会で優勝したことでその名を馳せた。加藤さん自身の囲碁の実力はアマチュア初段にも至っていないそうだ。zenはモンテカルロ法(Monte Carlo method)を採用しており、その実力は今までの囲碁プログラムよりも遙かに上回ってきた。同じ計算法を採用しているフランスのcrazystoneや韓国のdolbaramもそれぞれ4子局で石田芳夫九段(67歳)、依田紀基九段(49歳)、趙治勲九段(59歳)など有名棋士を破っている。

 中国が主催したこのコンピュータ棋戦には今回、フランスのcrazystoneが参加しなかった。決勝に進出したのは日本のzenと韓国のdolbaram。9回のリーグ戦と2回のトーナメント戦でzenに二勝をあげたdolbaramが優勝を飾った。今大会の成績は三位から九位まで順に、アメリカのmanyfaces of go、日本のray、チェコのteampachi、中華台北のproweiqi、中国のmygo、中華台北のcoldmilk、フランスのgoloisとなった。

 近年、日本の将棋プログラムはプロ棋士に勝ち星をあげている。唯一、囲碁がまだコンピュータプログラムに負けたことのないボードゲームとして、今後、その地位をどれぐらい堅持できるかということは世界が注目する話題となっている。更に、Facebook社も囲碁人工知能の開発に携わろうとする意向を示しているようだ。そして、今回の世界コンピュータ囲碁トーナメントは特別に中国名人連笑七段(21歳)を招き、優勝したdolbaramと合計三局を争った。何子局まで打てるのかどうかが賞金に関わっており、プロ棋士が全力で対峙した結果、4子局、5子局で連勝、プログラムが勝てたのは6子局だけだった。まだまだプロ棋士には、モンテカルロ法をもってしてもなすすべがないようだ。

連笑七段(左)が韓国のdolbaramと対戦中、
右はdolbaramの開発者林宰范さん
唐奕二段(27歳)5子局でzenに負けた(4コアシステム)

(記事/撮影:楊爍)

棋声人語 [ 2015年11月16日 ]

中国第十二回倡棋杯決勝戦

左から:応明皓さん、連笑七段、中国棋院党委書記の楊俊安さん(59歳)

 「倡棋」というのは、文字どおり「棋を提唱する」という意味である。応氏グループが1988年(昭和63年)に国際棋戦の応氏杯を設立し、その後、2004年に(平成16年)中国棋界のために、倡棋杯を設立した。それに、「倡棋」という言葉の中国語の読み方は応氏グループ創立者応昌期氏の名前の発音と同じなので、この棋戦には現応氏グループ総裁応明皓氏(72歳)の父への思いも含まれている。

 倡棋杯は応氏ルールを採用しており、前年まで持ち時間が三時間半で、使い終わったら、コミが課される方式で実施していた。本棋戦はもともと中国棋界の中で持ち時間が一番長い棋戦であったが、近年の速テンポの流れに影響され、今年から持ち時間が三時間に短くなった。そして、中国棋聖戦が一時中断となったのだが、倡棋杯は今回から棋聖戦の方式を取り入れ、予選をネット対局から対面対局に変更した。本戦に入れないと対局料がもらえない。そのような中、今年の三月、189名のプロ棋士が中国棋院で四回戦にわたる大規模な予選に参加した。

 そして、本選1回戦から準々決勝戦まで、そして準決勝戦がそれぞれ中国北京、アメリカハーバード大学で実施された。その結果、邱峻九段、連笑七段が決勝進出を果たした。邱峻は2008年(平成20年)の第五回倡棋杯で優勝、連笑は2013年(平成25年)の第十回倡棋杯で準優勝を収めたことがある。決勝三番勝負は11月3日から5日まで中国広州で行われた。百戦錬磨の老将邱峻ではあったが、やはり若手棋士の攻勢にかなわず、2連敗となった。

 今中国プロ棋士ランキングのトップ10は柯潔九段(18歳)、時越九段(24歳)、周睿羊九段(24歳)、陳耀燁九段(25歳)、連笑七段(21歳)、柁嘉熹九段(24歳)、古力九段(32歳)、芈昱廷九段(19歳)、江維傑九段(24歳)、唐韋星九段(22歳)である。この中では、国際棋戦で優勝したことがないのは連笑しかいない。この前の10月23日、連笑は第28回中国名人戦において、3勝0敗で陳耀燁名人からタイトル奪取に成功。中国棋界の両冠王となった。国際棋戦で優勝する日もすぐ来るだろう。

(記事:楊爍 写真提供:sinaサイト)

棋声人語 [ 2015年11月9日 ]

「威孚房開杯」中国囲棋棋王争覇戦

 中国清代の小説家曹雪芹の名著と言われる『紅楼夢』は、当時の上流階級の洗練されていた生活や登場人物に対する緻密な描写が高く評価されている。その第三十八回には賈府で金木犀を見ながら、蟹を食べるシーンがある。主人公の賈宝玉、林黛玉、薛宝釵がそれぞれ蟹についての詩を書く。そして、賈宝玉がこう書いた。

蟹持てば 木犀の影 なお嬉し
酢をかけ 生姜を擂るはいと楽し


 秋になると、蟹が肥えてくるし、また生姜酢をかけたら,一層おいしくなる。秋になったら、蟹を食べる、これは中国の歴史長い伝統である。

 江蘇省にある太湖は蟹の名産地として名高い。そして、太湖のそばにある無錫市では2003年(平成15年)から「威孚房开杯」という棋戦が行われてきた。大体十、十一月に開かれて、ちょうど秋の頃である。中国では「秋風が吹き出すと、蟹もそろそろ食べごろになる」ということわざがあるため、第1回の優勝者である聶衛平九段(63歳)がそれに因んで、「かに杯」という愛称を付けたという。

 「威孚房開杯」は当初は、出場選手が八人しかいなかったが、今や三十二人に増えた。またその三十二人は、予選からではなく、中国棋士ランキングの上位三十人、特別招待選手一人、また女流選抜棋士一人から選抜されている。本戦あるいは最終予選の段階で特別に女流棋士に一枠を与えるのは、天元、名人、倡棋などの他の棋戦も含め、中国国内棋戦が十年以上堅持してきたルールである。ちなみに人選は中国国家囲碁女子チームから選抜される。今回の棋戦に参加したのは於之瑩五段(17歳)である。また、特別招待選手は、前八回全て聶衛平九段であったが、2013年、2014年は、聶九段が癌で闘病していたため、弟子の常昊九段(38歳)が代わりに出場した。今年は、病気が治ったため、聶九段が再び参加した。

 だが、言うまでもなく、元老棋士や女流棋士が若い名手に対抗するのは難しい。聶衛平九段と於之瑩五段はともに1回戦で敗退した。11月1日の決勝戦に進出したのは柯潔九段(18歳)と范蘊若四段(19歳)で、結果、柯潔九段が優勝を飾った。蟹は「横行き」が有名だが、中国棋士ランキング一位になったばかりの柯潔九段が外向的で、今年に入ってから、百霊杯世界囲碁オープン戦、中国理光杯、阿含・桐山杯日中決戦などで勝ち続けており、今また一冠を獲得した。これこそ、止められない「横行」というべきだろう。



二年ぶりに棋戦に参加した聶衛平九段。羅建文七段(72歳)が左に立って観戦。
優勝 柯潔九段

(記事:楊爍 写真提供:『囲棋天地』)

棋声人語 [ 2015年10月30日 ]

穹窿山兵聖杯世界女流囲碁選手権

「(戦う前に)しっかり自分や敵の優劣を測ることができれば勝つことができるが、逆にしっかりとしなければ勝てないだろう。言うまでもなく、全く測らなければ(惨敗することにしかならないだろう)」。これは中国春秋時期に成立したとされる『孫子兵法』の中の言葉である。これは兵法ではあるが、棋界でも当てはまるようだ。ちゃんと読むことができなければ、勝つことはないだろう。『孫子兵法』は十三篇あるが、中国北宋時期の囲碁著作『棋経十三篇』はその形式を真似したと言われている。

 10月17日から21日まで、孫子(545BC-470BC)がそこに隠居したと言われる江蘇省蘇州市穹窿山で行われている穹窿山兵聖杯世界女流囲碁選手権が第六回を迎えた。世界各地から集まってきた最強女流棋士16名が四回戦のトーナメントで優勝を争った。於之瑩五段(17歳)が中華台北の張正平三段(34歳)、日本の王景怡二段(29歳)、韓国の崔精六段(19歳)と朴鋕恩九段(31歳)に勝ち、初めて「世界女王」となった。先日、睦鎮碩九段(35歳)、崔哲瀚九段(30歳)との対戦で連勝したことを考えれば、今回の優勝もその実力にふさわしい成績であろう。そして、注目すべきは、張正平三段と王景怡二段はそれぞれ王立誠九段(56歳)の姪と娘と続けた対局したこと、また崔精六段、朴鋕恩九段の本棋戦優勝経験者とこちらも連続で対局となったことである。

 だが残念なことに、第34期女流本因坊戦の挑戦手合と日時と重なっていたため、現在の日本の女流棋士ツートップ藤沢里菜二段(17歳)、謝依旻六段(25歳)が今回の棋戦に参加できなかった。また、今回の穹窿山兵聖杯では、中国でとても人気の高い吉原由香里六段(42歳)にワイルドカードを与えようとしたが、実現できなかった。スケジュールの関係で日本選手が国際棋戦に参加できないことはもう長年の問題となっている。井山裕太九段(26歳)はまさしくこの理由で「日本一」を世界に見せるチャンスを何回も失った。今、この問題が女流棋界にも表面化した。

 ただ、日本棋院中部総本部に入段したばかりの牛栄子初段(16歳)が実力をいかんなく発揮して、中国のトップ棋士宋容慧五段を破った。本当に刮目せずにはいられない。

決勝戦現場、左:朴鋕恩九段 右:於之瑩五段
立会人:曹大元九段(53歳)
牛栄子初段

研究室左から:王景怡二段、張正平三段、黒嘉嘉七段(21歳)、
張豊猷八段(34歳)、牛栄子初段
中国中央テレビ(CCTV)が準優勝戦、
決勝戦を取材放送

(記事:楊爍 撮影:楊爍)

棋声人語 [ 2015年10月23日 ]

中国囲碁甲級リーグ戦(2)

中国囲碁甲級リーグ戦貴州対杭州戦現場
 先週に引き続き、また中国囲碁甲級リーグ戦の話を続けよう。10月17日、第17ラウンド戦が終わった。中国囲碁甲級リーグでは、十二のチームがそれぞれ四人を出して対戦する。そして、各ラウンド戦で二十四局が同時に行われる。

 団体戦なので、この二十四局の価値が同じだとは言いかねる。四人の対戦によるチーム戦では、四局中三局はお互い持ち時間が二時間四十五分の通常対局で、またもう一局は持ち時間が一時間の早碁である。早碁のほうでは、当初CCTV杯のルール、即ち秒読み30秒に1手という方式を採用していたが、中国棋界が農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦の成績をより重視しているため、「その練習の代わりにしよう」という方針で農心杯と同じルールに変更した。また、三局の通常対局の中の一局は、主将対決である。両チームが対戦前に出場棋士の名前を提出し、二番目に出場する棋士が主将となっている。両チームが2勝2敗で引き分けになった場合、主将の対局で勝ったチームが勝利ということになっている。ただし、4勝0敗または3勝1敗で勝った場合と異なり、主将が勝ったチームは3ポイントではなく、2ポイントのみ与えられ、主将が負けたチームにも1ポイントが付与される。

 競争が激しくなっている今では、各チームの実力には大きな差がないため、主将がますます重視されている。李世乭九段(32歳)、朴廷桓九段(22歳)、崔哲瀚九段(30歳)、金志錫九段(26歳)などの韓国棋士たちが高値で求められるのもこの理由であろう。「中国囲甲で一局勝ったら、その報酬が韓国のタイトル戦で優勝するのに値する」という言い方まで出てきた。李世乭九段が「負けたら、報酬はいらない」とさえ承諾して参戦したことがある。これこそ、「大ばくち」というべきだろう。

 17ラウンドでは、ランキング最上位の杭州チーム(蘇泊爾)と最下位の上海チームはそれぞれ韓国選手の朴廷桓九段と羅玄六段(20歳)を主将にした。だが、今回の「賭け」は効果がなかったようだ。二人はそれぞれ中国の陳耀燁九段(20歳)と檀嘯七段(22歳)に負けてしまった。そして、両チームとも2勝2敗の引き分けで1ポイントしか得なかった。ちなみに、両チームの順位がかわっていない。今期のリーグ戦の終了が近づいているが、杭州チーム(蘇泊爾)は優勝までもう一歩、一方の上海チームは降格決定まであとわずかの崖っぷちに追い込まれている。

(記事:楊爍 写真提供:sinaより)

棋声人語 [ 2015年10月15日 ]

中国囲碁甲級リーグ戦

 今回は中国棋界の一大棋戦――甲級リーグ戦を紹介する。この棋戦はサッカー、バスケなどリーグ戦を真似て誕生した。毎年、十二の省、市級のチームが参加する。ホーム&アウェイ方式で二回総当たりして合計二十二回の試合を行い、下位二チームが降格となる。中国囲碁甲級リーグ戦が1999年(平成11年)に創立されて、もとの団体選手権大会は乙級リーグ戦となり、その後、丙級リーグ戦も創立された。この乙丙の二つのリーグ戦はともに十数日で終わるセントラル方式の棋戦であるが、甲級リーグは、平均で2週間に1局のペースで、一年間戦い続ける。

 重慶チームはこれまで甲級リーグ戦で最優秀の成績を収めてきた。1999年(平成11年)から2003年(平成15年)まで五連覇をはじめ、その後も四回優勝するなど、合わせて九回の優勝を誇る。ちなみに古力九段(32歳)はこれまで十七年間もの間、重慶チームに貢献してきており、周鶴洋九段(39歳)、兪斌九段(48歳)もかつて重慶チームのメインメンバーであった。中国囲碁甲級リーグ戦の創設から十年間のテーマは「上海、重慶覇権」であった。重慶チームの最大のライバルは上海チームで、こちらは三回の優勝経験がある。常昊九段(38歳)、邱峻九段(33歳)、胡耀宇八段(33歳)は「上海三剣豪」と言われ、いまでも活躍している。しかし、そんな上海チームだが、現在は平均年齢が一番高いチームになっている。

 2009年(平成21年)から、中国囲碁甲級リーグ戦の優勝争いは五里霧中のような混沌とした状況となっている。劉星七段(31歳)が率いる杭州チーム、周睿羊九段(24歳)、江維傑九段(23歳)が在籍する山東チーム、唐韋星九段(22歳)が在籍する遼寧チーム、そして大連チーム、それぞれ優勝を経験した。ちなみに今年、試合が始まってから、先頭を走っているのは杭州チームである。それに対し、十年前の王者だった上海チーム、重慶チーム、そして、孔傑九段(32歳)が率いる北京チームは、10月10日に終わった16回戦までで、全体の下位の三チームとなっている。

 中国囲碁甲級リーグ戦の特色として、中国以外の外国棋士の参加が許されている。林海峯九段(73歳)、曺薫鉉九段(62歳)、王立誠九段(56歳)、劉昌赫九段(49歳)、李昌鎬九段(40歳)は皆これまでに中国甲級リーグに参加したことがある。現在は李世乭九段(32歳)、朴廷恒九段(22歳)、金志錫九段(26歳)などの韓国トップ棋士をめぐる各チームの人材争奪戦も激しくなっている。

 中国囲碁甲級リーグ戦16回戦までの順位と各チームの主なメンバーは下記の通り
(延期されたラウンドがあり)
1.杭州(蘇泊爾)朴廷桓九段(韓国棋士、22歳)、連笑七段(21歳)、
邬光亜六段(25歳)、李欽誠初段(16歳)
2.武漢檀嘯七段(22歳)、李喆六段(26歳)、
李東勲五段(韓国棋士,17歳)、辜梓豪四段(17歳)
3.珠海崔哲瀚九段(韓国棋士,30歳)、柯潔九段(18歳)、
孟泰齢六段(28歳)、童夢成四段(19歳)
4.山東周睿羊九段(24歳)、江維傑九段(23歳)、
范廷鈺九段(19歳)、丁世雄三段(17歳)
5.杭州(棋院)姜東潤九段(韓国棋士,26歳)、劉星七段(31歳)、
毛睿龍四段(25歳)、夏晨琨四段(20歳)
6.貴州朴文尭九段(27歳)、時越九段(24歳)、
彭立尭五段(23歳)、陶欣然五段(21歳)
7.江蘇唐韋星九段(22歳)、芈昱廷九段(19歳)、
黄云嵩四段(18歳)、趙晨宇四段(16歳)
8.広西李世乭九段(韓国棋士,33歳)、牛雨田七段(30歳)、
張立六段(27歳)、廖行文五段(20歳)
9.浙江金志錫九段(韓国棋士,26歳)、周賀璽五段(22歳)、
秦悦欣五段(23歳)、張涛四段(24歳)
10.重慶古力九段(32歳)、王檄九段(31歳)、
謝赫九段(31歳)、楊鼎新三段(16歳)
11.北京孔傑九段(32歳)、陳耀燁九段(25歳)、
柁嘉熹九段(24歳)、鐘文靖六段(25歳)
12.上海常昊九段(38歳)、邱峻九段(33歳)、
胡耀宇八段(33歳)、羅玄六段(韓国棋士,20歳)

棋声人語 [ 2015年10月9日 ]

倡棋杯準優勝戦

四名の棋士が対局場所のハーバード大学の学生センターの前で撮影。
左から柁嘉熹九段、邱峻九段、李欽誠初段、連笑七段
北アメリカの囲碁愛好者たちが棋戦を見学している
 9月28日、アメリカ航空宇宙局(NASA)が火星表面に液体の水が存在することを証明できる確かな証拠が見つかったと宣言した。これは、人類が地球外生命体を探査する過程での重大なことであった。この無限な宇宙には、我々のような命をたくさん育ててきた地球と同じようなところはまだあるのだろうか。誰でもこのことに興味を持っているのだろう。

 この重大発見が発表された時を同じくして、同じアメリカで、第十二回倡棋杯中国プロ囲棋選手権の準優勝戦の三番勝負が行われていた。倡棋杯は中国棋界のトップ棋戦で、国際選手権の応氏杯と同じ主催者が実施しており、黒番のコミが8点、持ち時間が切れたら、2目のコミを出して35分延長することが二回もできる応氏ルールを採用している。今回、その倡棋杯の対局が初めて中国以外の海外で行われた。対局場所はその有名なハーバード大学であった。中国で生まれて、そして東アジアで盛んになったゲームとして、東アジア以外の場所で同類を見つけることができるのだろうか。またこのチャンスを借りて、囲碁を広げることができるのだろうか。これらは倡棋杯を世界へ進出させる時に考えなければならないことであろう。

 今回の準優勝戦は邱峻九段(33歳)対 柁嘉熹九段(24歳)、連笑七段(21歳)対 李欽誠初段(16歳)、四人とも三人の中国トップ選手を破ってアメリカ行きのチケットを勝ち取った。そして、二組とも三局を経て、年長組が勝利を収める結果となった。邱峻九段と連笑七段は11月に中国広州で決勝戦の三番勝負を行う予定である。試合中、多くの北アメリカの囲碁愛好者が試合を観戦に訪れた。また、主催者がわざわざ実施したアメリカアマチュア棋戦には二百人も参加した。今回、華以剛八段(66歳)、兪斌九段(48歳)、邵煒剛九段(42歳)、常昊九段(38歳)などのプロ棋士たちも同行し、北アメリカの囲碁愛好者たちに向けて大盤解説や指導碁をしてあげた。

 三十年前、日本の棋聖戦、名人戦、本因坊戦などの棋戦で、何回も海外対局が行われ、囲碁の世界普及に大きな貢献をした。今、中国棋界も同じ道を歩んでいる。応氏囲碁教育基金会董事長の応明皓(72歳)は、今後倡棋杯の準優勝戦は、全部海外で行われると発表した。2016年はカナダのトロント、2017年はヨーロッパで行われる予定である。

(記事:楊爍   写真提供:sinaより)

棋声人語 [ 2015年10月1日 ]

中国女子囲碁甲級リーグ戦

 「天の半分は女性が支える」、これは1955年(昭和30年)社会主義中国リーダーの毛沢東氏が言った名言だった。今の中国では、この言葉は誰でも知っているもので、男女平等の旗にもなっている。1999年(平成11年)、中国は先に囲碁甲級リーグ戦を設立した。ただ、これはずっと男子棋士だけが活躍する舞台だった。「女流棋士の試合も取り入れよう!」という呼びかけが十数年も続いていたが、結局実現せずにいた。

 2013年(平成25年)、中国女子囲碁甲級リーグ戦は中国中信集団に所属する中信置業有限公司の支持で設立された。中信集団の会長常振明(58歳)もかつて中国の活躍した棋士の一人で、1979年(昭和54年)第一回中国新体育杯の第三位を取り、聶衛平、陳祖徳に劣るだけだった。中国女子囲碁甲級リーグ戦はセントラル方式やホーム&アウェイ方式が交換で採用されており、今は、十チームも参加している。各チームは二人が出場し、合わせて18回戦を行う。芮廼偉九段(51歳)、李赫五段(23歳)、宋容慧五段(23歳)、唐奕二段(27歳)から中国台湾の黒嘉嘉七段(21歳)まで、多くの一流女流棋士がリーグに参加し、そして、王晨星五段(24歳)と於之瑩五段(17歳)が組んだ江蘇チームが第一、二回リーグ戦で優勝を収めている。

 2015年、中国女子囲碁甲級リーグ戦が第三回を迎えた。五回のセントラル方式戦は順次に中国北京市の清華大学、韓国ソウル市の梨花女子大学(MERSで急遽中止)、中国山東省済南市の山東大学、中国四川省成都市の西南交通大学、中国広東省広州市の中山大学で行われる予定となっている。「女子囲碁甲級リーグ戦名校行」と言われている。9月23、24日、第三回中国女子囲碁甲級リーグ戦の第八、九回戦が山東大学体育館で開かれた。囲碁の試合を有名な大学で行うというのは、囲碁を広げる戦略の一つである。

 2015年、中国の影響を受けて、韓国棋界も自国の女子囲碁リーグ戦を設立した。また、中国女子囲碁甲級リーグ戦が世界女子囲碁リーグ戦を昇格させる意向があり、日本、韓国の女子チームも誘おうと計画しているそうである。
 本当に実現されたら、女子囲碁は「半分の天」ではなく、男子囲碁をはるかに超えることになるだろう。

(記事:楊爍   写真提供:『囲碁天地』より)

棋声人語 [ 2015年9月24日 ]

第三回中国マインドスポーツ大会

男女ペア授賞式、左から
湖北チーム檀啸七段(22歳)、魯佳二段(27歳)、
江蘇チーム芈昱廷九段(19歳)、於之瑩(17歳)、
上海チーム常昊九段(38歳)、唐奕二段(27歳)
 中国では、囲碁はスポーツ競技の一つである。それは六十年前に遡ることができる。1959年(昭和34年)に囲碁が第一回中国全国運動大会の正式種目に入った。社会主義体制の中国では、スポーツ競技に選ばれると、国家から政策的な支持が得られる。これが中国囲碁の高速発展につながった。全国運動大会で優勝しようという激励のもとで、中国各省、市の囲碁チームが成立し、体育選抜という模式で囲碁の才能を持っている少年たちを自分のチームに招いた。この模式は中国で主流となり、「経路依存」(path-dependence)という現象さえ起こした。

 だが、このような良い状況も長く続かなかった。1990年代初期(平成初期)に中国はスポーツに対して「オリンピック戦略」を実施し、非オリンピック項目への資金を減らした。囲碁もその中の一つだった。1993年(平成5年)の第七回全国運動大会が、囲碁にとって競技として最後の出場だった。国家政策の調整とともに、多くの省、市が所属の囲碁チームを廃止し、中国囲碁は「二重構造」の段階に入った。つまり、体制内の「地方棋院チーム」(たとえば、北京、上海、重慶、江蘇など)と体制外の「クラブチーム」(たとえば山東、広西、湖北など)が併存する構造である。そして1999年(平成11年)に中国囲碁甲級リーグ戦が開始した。これが中国の囲碁市場化の始まりとみられる。だが、「二重構造」がまだ甲級リーグ戦の発展の障害となっている。体制内チームの所属選手がほかのチームに移籍してはいけない。これは明らかに囲碁リーグ戦の商業化に影響を与えている。

 この「二重構造」の影響もあるのであろう、伝統的な体制内チームは、やはり運動大会のメダルに惹かれるものだ。囲碁が全国運動大会から退出した後、2000年(平成12年)に中国全国体育大会が開かれ、2010年(平成23年)まで四回にわたり実施された。2009年(平成22年)に中国全国マインドスポーツ大会が行われた。これは頭脳スポーツを専門で扱う運動大会である。2015年9月12日から22日まで、第三回中国マインドスポーツ大会が山東省棗庄市で行われた。囲碁では、プロ男子早碁、プロ女子早碁、プロ男子、プロ女子、アマ男子、アマ女子、大学生個人、少年個人、男子団体、女子団体、男女ペアの十一枚の金メダルがある。江蘇省がその中の五枚を取り、ほかのチームを凌ぐ活躍を見せた。

(記事:楊爍   写真提供:中国マインドスポーツサイト より)

棋声人語 [ 2015年9月18日 ]

中国女流棋士於之瑩

 第63回ベルリン国際映画祭のオープニング作品はホンコンの映画監督ウォン・カーウァイの『グランド・マスター』であった。その中には、こんなセリフがある。「武術界では四種の人物に注意しなければならない。坊主、道士、女、子供、こんな人たちと出会ったら、いいことなし」。囲碁の世界も武術界と同じように、20世紀以来の世俗化のせいでプロ棋士には僧侶、道士などがいなくなったが、若手棋士や女流棋士はやはり無視することができない存在である。

 9月8日から10日にかけて、第20回三星火災杯世界囲碁マスターズの第1ラウンドが中国の北京で行われたが、1人の女流棋士が注目の的となった。中国の於之瑩五段(17歳)が睦鎮碩九段(35歳)韓国GSカルテックス杯、崔哲瀚九段(30歳)マキシムコーヒー杯、このタイトル所有者の二人に勝ち、堂々とベスト16に入った。

 於之瑩は1997年(平成9年)11月23日に生まれ、江蘇省無錫の出身である。2010年(平成22年)に入段、2011年百霊杯元老女子勝抜戦で梁偉棠九段(51歳)、宋雪林九段(53歳)、邵震中九段(56歳)、陳臨新九段(52歳)に連勝;2013年(平成25年)に第三回黄龍士双登杯戦で6人抜き、同年穹窿山兵聖杯戦で準優勝;2013年、2014年二回もスポーツアコードワールドマインドゲームズ女子個人戦で優勝した。そして、王晨星五段(24歳)と組んだ江蘇チームも二回中国女子甲級リーグ戦で優勝した。彼女の一番輝かしい成績は、2014年(平成26年)中国第21回新人王戦で四人の男子棋士も破り、決勝三番勝負にて2-1の成績で当時のCCTV杯優勝者李欽誠初段(16歳)に勝って優勝、中日韓三国で唯一の新人王をとった女流棋士となった。

 於之瑩が一番憧れている女流棋士は芮廼偉九段(51歳)である。於之瑩が現れる前、芮廼偉が1992年(平成4年)第二回応氏杯世界プロ囲碁選手権戦でベスト4に残ったのが、女流棋士が国際棋戦で残した最高成績であった。10月に行われる予定の第20回三星火災杯世界囲碁マスターズベスト16によるトーナメント戦では於之瑩の対戦相手はテレビ囲碁アジア選手権戦で優勝した李世乭九段(32歳)である。李世乭はかなりの実力者であるが、芮廼偉などの女傑との対戦では負けたこともある。今回の「女」との出会いに対して、李九段の眉間にしわでも寄せているのだろうか。

(記事:楊爍   写真提供:sinaより)

棋声人語 [ 2015年9月11日 ]

全国囲碁個人選手権

大会現場
 日本棋界で一番歴史の長い棋戦は、1939年(昭和14年)に開かれた本因坊戦で、もう七十六年経て、第71期にも達している。それに対し、中国は1956年(昭和31年)に遡ることができる。この年、陳毅元帥(1901-1972)の支持のもと、囲碁がスポーツ種目として全国公開試合を行われた。あれから、今の中国囲碁個人選手権(個人戦)に発展してきた。

 個人戦は中国囲碁界では最も特色がある試合である。スイス式リーグ戦で十二日間の間に九回あるいは十回の対局を行う。二十年前の中国トップ棋士銭宇平九段(48歳)に「殺人の試合」と言われたこともある。勝ち数が同じの時、日本のリーグ戦のように前年度の順位で順位を決めるのではなく、相手の得点(SOS)を統計し、点数がより多い人が上位になる。個人戦は優勝賞金もなく、対局料もない。

 中国囲碁個人選手権は、もう五十九年にわたり、四十八回も行われたが、その地位は大きく変わってきた。二十世紀九十年代中期以前は中国棋界の最も重要な棋戦だった。陳祖徳九段(1944-2012)、聶衛平九段(63歳)、馬暁春九段(51歳)、常昊九段(38歳)など、全員個人戦で優勝して自分の地位を確立した。だがその後、新聞棋戦、リーグ戦などの出現で、個人戦への注目は下がり、いまは、低段や若い棋士の訓練場となっている。「個人戦は中国若い棋士の登竜門だ」と聶衛平九段が言っている。

 2015年中国囲碁個人選手権は8月21日から9月1日まで江蘇省無錫市で開かれた。参加した有名な棋士は元名人位の邱峻九段(33歳)しかいなかったが、その勝率は半分も超えなかった(四勝五敗)。そして、女子組が設けられていたが、新人王戦で優勝した於之瑩五段(17歳)がわざと男子甲組に申し込んだ。その勇気は賞賛に値するのだろう。レベルが一番高い男子甲組では、辜梓豪四段(17歳)が八勝一敗で優勝した。ちなみに1988年(昭和63年)以来、中国囲碁個人戦で二度優勝した人はまだいない。

(記事:楊爍   撮影:楊爍)

棋声人語 [ 2015年9月3日 ]

中韓囲碁天元対抗戦

 西暦1885年(明治18年)は中国清朝の光緒時代であった。この年、今の江蘇省呉江市同里鎮で豪華な私家庭園が建てられた。その主は任蘭生といい、官を追われた元官僚だった。彼はこの庭園を「退思園」と名付けた。中国春秋時代の歴史の本『春秋左氏伝』にある「退思補過」(官から退く場合は過去を反省し過ちを補う)に由来しているとされている。

 今、退思園の近くには「同里天元文化苑」という建物がある。その中の池や楼閣には囲碁の要素がだくさん取り入れられている。8月25日、27日、第十九回中韓天元対抗戦がここで開かれた。この棋戦は中国の天元戦と韓国のバッカス杯天元戦の優勝者同士による三番勝負の対抗戦である。1997年(平成9年)から中国と韓国の交互で行われてきた。第一回中韓天元戦に参加したのは李昌鎬九段(40歳)と常昊九段(38歳)、今や、二人はもう両国のトップ棋士でなくなった。これが時間の力と言えよう。

 今年同里で対決した二人の天元は中国の陳耀燁九段(25歳)と韓国の羅玄六段(20歳)であった。年は五つの差しかないが、陳耀燁の入段は羅玄より十一年も早かった。2006年(平成18年)陳耀燁が古力九段(32歳)とLG杯世界棋王戦で優勝を争っていた時、韓国棋院院生になったばかりの羅玄がまだアマチュアだった。2009年(平成21年)、陳耀燁が古力に挑戦し、奪取してから、ずっと天元を保持してきて、もう七連覇を達成した。これと比べ、今年の年始、韓国バッカス杯天元戦で優勝を取った羅玄がまだまだ未熟に見える。三番勝負は羅玄の二局の負け続きで終わった。

 景色は世の事情とびっくりするほど一致することがたまにある。「退思」という気持ちを今回ここで対戦する棋士たちに味わってもらうことになった。韓国のバッカス杯天元戦が今年で終了するが決定されたため、今回で中韓天元戦も最後となった。スポンサーの途中退出というのは今、中日韓三国を困らせている問題である。今回は韓国で起きたが、囲碁界ではこの問題を避けるように何か対策でも考えているのだろうか。
左:陳耀燁九段、右:羅玄六段
立会人:華以剛八段
対局場所:同里天元文化苑

(記事:楊爍   撮影:楊爍)

棋声人語 [ 2015年8月28日 ]

阿含・桐山杯

阿含・桐山杯 立会人 華以剛八段(66歳)
立会人:華以剛八段(66歳)
 中国唐の時代の高僧大珠慧海が書いたと言われる『頓悟入道要門』には、「(定とは)対象に対して無心であり、八風にも動揺させられることがない。八風とは利益(利)、損失(衰)、かげでそしること(毀)、かげでほめること(誉)、面前でほめること(称)、面前でそしること(譏)、苦しみ(苦)、楽しみ(楽)である。この八つを八風と名付ける。このような「定」を持っていれば、凡人でいても仏位に入ることができる」という禅語があり、修行における「不動心」の大切さを示している。中国の囲碁界では、この「八風不動」が一番知られている仏教用語と言えよう。

 これは日本宗教団体阿含宗が中国で行われる阿含・桐山杯への貢献からである。阿含宗管長の桐山靖雄氏(94歳)がこの「八風不動」という四字禅語が囲碁の深みと符合していると思い、これを阿含宗が作った扇子に印刷させた。この二十年間続いてきた阿含・桐山杯を通じて、「八風不動」の意味が中国棋界に広がっていって、囲碁と禅が深く結び合ってきた。

   第十七回中国阿含・桐山杯中国囲棋早碁オープン戦の準決勝戦が湖南省郴州市嘉禾県にて行われた。対局場所の九老峰は、仏教の古刹――普済寺で世に知られている。今回の中国阿含・桐山杯の準決勝戦に進出したのは陳耀燁九段(25歳)、范廷鈺九段(19歳)、黄雲嵩四段(18歳)、李欽誠初段(16歳)であり、前回の優勝者柯潔九段(17歳)は準々決勝戦で陳耀燁に敗れた。日本の阿含・桐山杯全日本早碁オープン戦とは異なり、中国阿含・桐山杯はNHK杯と同じで、任意による10分間の考慮時間、その後一手30秒の秒読みとなっている。

 「八風不動」というのは言うのが簡単かもしれないが、自分でやるのは難しい。碁盤の上も同じだ。準優勝戦の范廷鈺九段対陳耀燁九段戦では、地が遙かに上回っていた范廷鈺が先手のつもりで1手のアタリに執着しすぎて手抜きをした結果、自分の手落ちを攻められた。その後、冷静に対応できず劫になって損をしてしまい、結果1目半の僅差で負けてしまった。もう一局では、自分の読みに自信を持っていた李欽誠が、黄雲嵩の陣地から自分の残り石を全部逃げそうとし、大石は何とか凌いだが、その代わり大きな損失を喫したため、やはり勝利を収められなかった。いろんな一時の紛れを避け、最も本心的な選択をする。これを堅持するのは、碁盤の上だけではないかもしれない。

(記事:楊爍   写真提供:sinaより)

棋声人語 [ 2015年8月21日 ]

「利民杯」世界星鋭最強戦

 「世界星鋭最強戦」が中国棋院杭州分院の主催で2013年(平成25年)から行われている棋戦である。中国語では、「星」と「新」の発音が似ているので、このタイトル名からこの試合が若手棋士のための棋戦であること、そして棋士の卵を育てて、囲碁の空を照らすスターに成長させようとする期待も含まれていることが分かるだろう。

 2013年の「星鋭最強戦」がまだ中国国内の試合で、2014年(平成26年)から世界規模になっている。参加するプロ棋士が二十歳以下と限られている。今年の「星鋭最強戦」も去年に引き続き、第一、第二予選ラウンド戦(6月、8月)と本戦からなっている。私費で申込、参加人数も制限ない予選ラウンド戦は、五回のスイス制リーグ戦と二回のトーナメント戦が行われ、本戦は32名選手のトーナメント戦である。そして、本戦に進出できるのは予選上位八名、第二回グロービス杯の上位四名、また各国からのシード選手であった。国際棋戦の中では、これが結構独特な発想だと思われる。

 予選第二ラウンドが8月13日から16日まで杭州の天元ビルで行われた。参加者は120人にも至った。その内訳は、主催の中国が一番多く85人で、韓国が19人、日本4人、中華台北が12人であった。国際棋戦の予選段階で、日本の参加人数が中華台北よりすくないのはこの一、二年間のことである。

 そして、このラウンドもやはり中韓対抗となった。日本の六浦雄太二段(16歳)がリーグ戦を三勝二敗で通過、トーナメント戦に入り、これまでの日本からの「世界星鋭最強戦」参加棋士で一番いい成績を残したが、最後に決勝進出を遂げた中国の許嘉陽三段(16歳)に敗れた。ほかの決勝進出者七名は中国の李軒豪五段(20歳)、辜梓豪四段(17歳)、趙晨宇四段(16歳)、陳昱森三段(16歳)、陳正勲二段(16歳)、李維清二段(15歳)、それに韓国の申旻埈三段(16歳)だった。申旻埈は李世石九段(32歳)の内弟子で、韓国棋界に大変期待されている。今年の決勝進出者の中では唯一の非中国棋士であった。ほかには陳正勲二段にも注目すべきだろう。彼は台湾の出身で、中国棋院でプロ棋士になった。

(記事:楊爍   写真提供:sinaより)

棋声人語 [ 2015年8月14日 ]

日中スーパー囲碁 30周年記念大会

 「空の星を見たら、僕のことを思い出すのだろうか」、これは中国の今は亡き歌手、レスリー・チャンの「明星」という曲の歌詞である。
 八月八日から十日まで、浙江省湖州市長興県に、十名の囲碁界のスターを迎えられた。彼らは、中国の聶衛平九段(62歳)、馬暁春九段(50歳)、江鋳久九段(53歳)、兪斌九段(48歳)、常昊九段(38歳)、日本の武宮正樹九段(64歳)、小林覚九段(56歳)、依田紀基九段(49歳)、山城宏九段(56歳)今村俊也九段(49歳)。このスターたちが再び集まったのは、全員1984年(昭和59年)から2001年(平成13年)まで(勝ち抜き戦は1996年まで)行われた「日中スーパー囲碁・NEC杯」に参加したことがあるからである。

 「日中スーパー囲碁・NEC杯」とは、NEC協賛で行われた棋戦で、日本では、はじめ囲碁雑誌が主催した一つの企画であったが、中国ではものすごい囲碁ブームを起こすきっかけとなった。ちなみに「鉄のゴールキーパー」と呼ばれた聶衛平の十一連勝(第1回~第4回)が中国チームを第1回から3回までの三連勝へと導いたのだが、その時はちょうど鄧小平氏が主導した「改革開放」政策が始まった頃で、この勝利が「文化大革命」から離れたばかりの中国人に強い力を与えた。「日中スーパー囲碁・NEC杯」が中国の囲碁人口を倍に増やし、その効果は今でも消えていない。ある評論が、毛沢東が1934年(昭和9年)から1936年(昭和11年)の紅軍の長征を評価した時の言葉を借りてこう評価した。「(「日中スーパー囲碁・NEC杯」が)宣言書であり、触媒であり、種まき機でもある」と。

 今回の記念対局の注目度から見ると、「明星(スター)」のパワーがやはりすごかった。十名のスター棋士が三日間で個人戦とチーム戦の記念対局を行ったのだが、今回は全試合で日中スーパー囲碁が行われていた当時の代表的な布石を選んで、その布石段階のある手から続けて打つという新しい試みがなされた。例えば、聶衛平九段対武宮正樹九段の記念対局では、両棋士が30年前に日中スーパーで打った対局の布石そのまま12手まで並べなおされ、そこから対局が行われ、またチーム碁では、故藤沢秀行先生に敬意を表すため、第一回の主将戦、聶衛平九段対藤沢秀行九段戦の布石が選ばれた。

 ちなみに今回の対戦結果だが、中国側は、聶衛平一人しか勝たなかった。「三十年が過ぎても、頼れるのが聶先生しかいない」と感嘆してやまない。

(記事:楊爍   撮影:楊爍)



2015年度中国囲碁大手合

 七月二十五日、浙江省杭州市にて行われていた2015年度の中国囲碁大手合が閉幕した。半月に渡った試合には、四百名以上の囲碁少年が参加。二十二回にも及んだ予選や本番を経て、勝利の女神が微笑んだ二十五名がプロ資格獲得の夢を叶えた。この夏は、彼らにとって、精一杯の努力、不安、夢が叶った喜び、いろいろと入り混じっていた時間だったに違いない。

 日本の院生制度とは異なり、中国では、プロ棋士になりたい場合、年に一回しかチャンスがない。現在、中国棋院では毎年二十五名にプロ資格を新しく認可しているが、二十五歳以下までに限られている。今年入段した棋士の中では、七名が2000年(平成12年)後の生まれであり(侯靖哲、趙中暄、潘亭宇、屠暁宇、王嘉琪、周泓余、羅楚玥、後ろから三人が女流)、その中の屠暁宇は、2003年に生まれで中国大陸最年少のプロ棋士となった。

 近年、晩報杯、陳毅杯など主な全国アマチュア大会で優勝したアマチュア棋士の入段が許されるようになったが、プロ入りに応じた人は少ないようだ。トップのアマチュア棋士たちがプロ段位に興味を示さないというのは中国棋界の独特の現象の一つである。それから、もう一つの独特の現象は何百何千もの子供たちが故郷での学校教育を諦め、北京、杭州の囲碁道場や囲碁学校に集まり、毎日ずっと対局や詰碁をしたりして、色々な囲碁の訓練をしていることである。これに対して、通常の学校教育に使われる時間が、道場では半日ひいてはもっと少なくなっている。

 頑張ってプロ資格を取ろうか。それとも、同年代の人たちと同じように学業を優先しようか。これは、たくさんの中国の囲碁少年を困らせた問題である。しかし、最近、状況もだんだん変わってきているらしい。2014年(平成26年)入段した海南出身の陳必森(18歳)、2015年(平成27年)入段した四川出身の趙俊哲(16歳)と浙江出身の呉俊豪(17歳)はみんな全日制の高校の学生で、入段した後も、自分の第一目標を理想の大学に受かることにしているようである。

(記事:楊爍   撮影:『囲碁天地』より)

棋声人語 [ 2015年8月12日 ]

中国名人戦挑戦権決定戦


名人戦挑戦者決定戦
(左:連笑七段 右:李欽誠初段 立会人:劉菁八段) 写真:sinaより
 「名人」、かつて日本囲碁界ではトップの棋士たちにしか与えられなかった最高称号であったが、1961年(昭和36年)から実力制タイトル棋戦「名人戦」でもらえるタイトル称号となった。これはいわゆる「世俗化」であろう。今の日本の「名人」は井山裕太九段(26歳)、世界レベルの強い棋士として、彼の棋譜も常に中韓の一流棋士に注目されている。
 中国囲碁界にも名人戦がある。行われた回数はまだ日本のとは比べものにならないが、今や中国棋界の由緒ある棋戦とも言えよう。中国名人戦は1988年(昭和63年)から人民日報により行われて、今年で二十八回目になる。そして、中国の囲碁愛好者にとって、「名人戦」と言ったら、一番印象深いのは馬暁春九段(50歳)の1989年(平成元年)から2001年(平成13年)の十三連覇であろう。これは当時の覇者が棋界に残った最も深い烙印であった。
 二十八回目中国名人戦挑戦者決定戦が三番勝負で、7月23日に江西省南昌市で行われた。今の「名人」陳耀燁九段(25歳)への挑戦資格を争うのは連笑七段(21歳)と李欽誠初段(16歳)だった。日本の「十代」、「二十代」で分ける習慣と違って、中国では西暦の生まれ年で分ける。それで、連笑は「九零後」(1990-1994生まれ)、李欽誠は「九五後」(1995年―1999年生まれ)。これがいま中国棋界の最前線に立っている二つの世代の棋士である。
 中国名人戦の時間は毎局二時間四十分で、中国囲碁界では遅いほうである。だが、挑戦者決定戦が終わったのは昼休みがおわってすぐであった。その理由は、李欽誠の速さである。両局とも終わった時はまだ一時間半ぐらい残った。だが、両局の敗者も李欽誠であった。速く碁を打つことは「鋭敏」と「ぞんざい」を兼ねている「諸刃の剣」である。二十歳未満、去年中国テレビ早碁戦で優勝をとった李欽誠にとって、速く打つ習慣になり、遅くなれなくて、結局、勝つのも速く負けるのも速くなることが「若気の悩み」とも言えよう。

(執筆者:楊爍)

囲碁ニュース [ 4月20日~26日 ]

柯潔が初優勝 「第15回理光杯」

 中国棋士ランキング第1位の時越九段と第2位の柯潔九段が争う第15回理光杯の決勝戦が4月26日に安徽省合肥市の白鳥湖ホテルで行われた。結果は白番の柯潔九段が160までで中押し勝ちを収め、理光杯の初優勝を獲得した。
 また、前日に行われた理光杯ペア碁の決勝戦戦では、唐偉星九段・於之瑩五段ペアが時越九段・王晨星五段ペアを破って優勝した。

陳耀燁7連覇 「第29回天元戦」

 陳耀燁天元にビ昱廷九段が挑戦する「同里杯」第29回中国天元戦三番勝負の第2局が江蘇省同里市の天元文化苑で行われた。結果は白番の陳耀燁天元が5目半勝ちを収め、シリーズ成績2勝0敗で天元位を防衛した。これで、陳耀燁天元が7連覇を決めたので、古力九段が保持する6連覇の記録を更新した。

対局日対局場所結果
第1局 2015年4月24日 同里 天元文化苑 陳耀燁天元 黒番中押し勝ち
第2局 2015年4月26日 同里 天元文化苑 陳耀燁天元 白番5目半勝ち

囲碁ニュース [ 3月23日~30日 ]

廖元赫が新人王獲得!「第22回新人王戦」

 黄静遠二段(15歳)との廖元赫二段(14歳)が争う第22回建橋杯新人王戦決勝三番勝負の第3局が3月30日に上海市の中環国際ホテルで行われた。
 結果は白番の廖元赫二段が中押し勝ちを収め、通算2勝1敗で新人王を獲得した。
 第22回新人王戦の出場資格は男性1999年以後生まれ、女性1997年以後生まれとなっている。

囲碁ニュース [ 3月9日~15日 ]

唐韋星が連覇 「第14回西南棋王戦」

 第14回西南棋王戦の決勝戦が3月9日に成都市の望江ホテルで行われた。唐韋星九段が時越九段に黒番中押し勝ちを収め、昨年に続けて西南棋王のタイトルを連覇した。

柯潔が優勝 「第16回阿含桐山杯中日対抗戦」

 第16回阿含桐山杯中日対抗戦が3月14日に京都市の阿含宗本山総本殿で行われた。結果は146手までで柯潔九段が日本代表の井山裕太九段に白番中押し勝ちして優勝を決めた。対抗戦の成績だが、今回で中国代表の12回連続優勝となった。

囲碁ニュース [ 3月2日~8日 ]

中国チームが優勝 「第16回農心辛ラーメン杯」

 中日韓3ヵ国の勝ち抜け団体戦、第16回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦の第3ラウンドが3月3日~3月5日に上海市の上海ホテルで行われた。3月3日に行われた第11戦では、中国のビ昱廷九段が日本の主将・井山裕太九段と対戦し、第2ラウンドの最終戦で勝った井山が165手までで黒番中押し勝ちをおさめ、二連勝を収めた。続いて翌日の3月4日に行われた第12戦では、井山九段が韓国の主将・金志錫と対戦し、金が黒番4目半勝ちをおさめた。3月5日に行われた第13戦では、中国の副将・連笑七段が288手までで金志錫九段に白番中押し勝ちをおさめ優勝を決めた。これで中国チームの優勝は4回目となった。

宋容慧2連勝 第1ラウンド終了 「黄竜士双登杯」

 日本、中国、韓国各チーム女流棋士5人による勝ち抜き戦、、第5回黄竜士双登杯世界女子囲碁団体選手権の第6戦が3月6日に(江蘇省姜堰市)行われた。結果は中国の宋容慧五段が韓国の呉政娥二段に逆転で白番3目半勝ちをおさめ、呉二段の五連勝を止めた。続いて7日に行われた第7戦では、宋容慧五段が日本の星合志保初段と対戦し、結果は黒番の宋容慧五段が201手までで中押し勝ちとなった。ここまで第1ラウンド終了し、各国の残っているメンバーは日本チーム1人(主将の謝依旻六段)、中国チーム3人、韓国チーム4人となった。第2ラウンドは4月5日から始まる。

囲碁ニュース [ 2月23日~3月8日 ]

1. 第5回黄竜士双登杯開幕

 日本、中国、韓国各チーム女流棋士5人による勝ち抜き戦、第5回黄竜士双登杯世界女子囲碁団体選手権の第1戦が3月1日に中国江蘇省姜堰市で行われた。韓国の呉政娥二段が白番218手までで日本の奥田あや三段に中押し勝ちを収めた。第2戦では、中国の李赫五段が呉二段に挑戦する。
 黄竜士双登杯の第1ラウンドは1日の第1戦から7日の第7戦まで続けて行われる。

囲碁ニュース [ 2月16~22日 ]

1. 柁嘉熹が新年第一冠 「2015 CCTV賀歳杯」

 2015CCTV賀歳杯が2月20日~23日に中国中央テレビ局(CCTV)で行われた。20日に行われた第1戦では、柁嘉熹九段(中国)が黒番で村川大介八段(日本)に半目逆転勝ちを収め、まず決勝進出を決めた。続いて翌日の21日に行われた第2戦では、金志錫九段(韓国)が142手まで村川八段に白番中押し勝ちを収めた。最終日の22日に決勝戦が行われ、柁九段が202手までで白番中押し勝ちを収め、苦手とする金九段を生涯で初めて下し、優勝した。
 賀歳杯は中国の春節に日中韓のトップ棋士が対戦する、変則トーナメント戦で、それぞれ中国は柁嘉熹九段、日本は村川大介八段、韓国は金志錫九段が出場した。

囲碁ニュース [ 2月2~8日 ]

1. 羋昱廷九段が挑戦 「第29回 中国天元戦挑戦者決定戦」

 陳耀燁天元への挑戦権を争う第29回天元戦の挑戦者決定戦が2月4日に中国棋院で行われた。結果は、白番の羋昱廷九段が206手までで李欽誠初段に中押し勝ちをおさめ、挑戦権を獲得した。

囲碁ニュース [ 1月26~2月1日 ]

1. 柯潔九段がMVP 「中国囲碁甲級リーグ戦表彰式」

 2014「金立スマートフォン杯」中国囲碁甲級リーグ戦の表彰式が、1月28日に中国棋院で行われた。大連上方チームが53ポイントでリーグ戦の優勝を獲得し、また同時に、これまで重慶チームが保持していたリーグ戦の得点記録(2008年、53ポイント)に並んだ。チーム代表である柯潔九段がシーズン18勝2敗、そして12連勝(クロスシーズンでは18連勝)の成績で、MVP、多勝賞、連勝賞、人気賞など総計四つの大賞と15万元の特別賞金を独占した。
 また、湖北チームの檀嘯七段が主将賞(13勝9敗)、広西チームの陳賢二段が新人賞を(9勝8敗)それぞれ受賞した。

囲碁ニュース [ 1月19~25日 ]

1. 時越と柯潔が決勝進出 「理光杯」

 第15回理光杯囲碁トーナメントの柯潔vs王檄、范廷鈺vs朴文尭、時越vs毛叡龍、胡耀宇vs唐韋星の準々決勝戦が1月22日に中国棋院で行われた。結果は柯潔九段、范廷鈺九段、時越九段と胡耀宇八段がそれぞれ勝ちを収め準決勝戦に進出した。
 前日に続いて23日に行われた準決勝戦では、柯潔九段が黒番で范廷鈺九段に半目勝ちを収め、時越九段も胡耀宇八段を下し、中国囲碁界でもっとも期待される二人の棋士が決勝進出に決めた。なお、注目する時越vs柯潔の決勝戦は、4月下旬に行われる予定である。

2. ゼイ廼偉と於之瑩が1勝1敗 「第1回MDM韓国女流囲碁リーグ戦」

 第1回MDM韓国女流囲碁リーグ戦の第2回戦が1月24日に行われた。中国のゼイ廼偉九段(慶州チーム)と於之瑩五段(ソウルチーム)がそれぞれのチーム代表として出場した。結果はゼイ廼偉九段が崔精五段に敗れ、於之瑩五段が李玟真五段に勝ちを収めた。中国女流トップ棋士の韓国リーグ戦デビュー戦の結果は1勝1敗となった。

囲碁ニュース [ 1月12~18日 ]

1. 陳耀燁が防衛 「中国名人戦五番勝負第4局」

 陳耀燁名人に連笑七段が挑戦する「春蛍杯」第27回中国名人戦五番勝負の第4局が、1月12日に深圳の春蛍体育センターで行われた。結果は156手までで白番の陳耀燁名人が中押し勝ちをおさめ、シリーズ成績3勝1敗で名人位を防衛した。
対局日対局場所結果
第1局 2014年12月10日北京 中国棋院陳耀燁名人 黒番中押し勝ち
第2局 2014年12月12日北京 中国棋院陳耀燁名人 白番中押し勝ち
第3局 2015年1月10日深圳 春蛍体育センター連笑七段 黒番3目半勝ち
第4局 2015年1月12日深圳 春蛍体育センター陳耀燁名人 白番中押し勝ち

2. 柯潔が世界戦初優勝 「第2回百霊杯決勝戦第5局」

 邱峻九段と柯潔四段が争う「第2回百霊杯世界囲碁オープン戦」五番勝負の第5局が1月14日に広東省珠海市で行われた。結果は272手までで白番の柯潔四段が中押し勝ちを収め、シリーズ成績3勝2敗となり、棋士生涯で初めての世界戦優勝となった。
 また、17歳の柯潔は、中国棋士16人目の世界戦優勝により、中国棋院棋士昇段制度に基づき九段に昇段した。
対局日対局場所結果
第1局 2014年11月27日安徽省・合肥市柯潔四段 黒番中押し勝ち
第2局 2014年11月28日安徽省・合肥市邱峻九段 黒番半目勝ち
第3局 2015年1月11日広東省・珠海市邱峻九段 白番中押し勝ち
第4局 2015年1月13日広東省・珠海市柯潔四段 白番中押し勝ち
第5局 2015年1月14日広東省・珠海市柯潔四段 白番中押し勝ち

囲碁ニュース [ 1月5~11日 ]

1. 時越が8ヶ月連続で1位 「中国棋士ランキング」

 中国棋院が2014年12月31日までの中国棋士ランキングを公表した。トップテンの面々にはほとんど変動はなく、時越九段が2684ポイントで8ヶ月連続してトップをなった。江維傑九段と古力九段がそれぞれ2位と3位になり、范廷鈺九段が連笑七段のポイントを上回り10位となった。

2. 陳耀燁が優勝 「第四回世界囲碁名人争覇戦」

 中日韓3ヵ国の名人が対戦する、第4回「思源学院杯」世界囲碁名人争覇戦の決勝戦が1月8日に中国・西安で行われた。
 第一戦で手空きとなった中国名人の陳耀燁九段が第2戦で韓国名人の朴永訓九段に白番で中押し勝ちを収め、決勝戦で日本名人の井山裕太九段と対戦した。結果は陳耀燁九段が半目勝ちをおさめ優勝した。なお、これまでの陳と井山の通算対戦成績は、5勝1敗になった。

3. 柁嘉熹が優勝 「第6回竜星戦」

 柁嘉熹九段と檀嘯七段が優勝を争う、「第6回竜星戦」三番勝負の第三局が1月9日に北京の天元囲碁スタジオで行われた。結果は柁嘉熹九段が黒番で半目勝ちをおさめ、竜星位を獲得した。

週刊囲碁ニュース [ 12月22~28日 ]

1. 童夢成が優勝 「世界囲碁星鋭最強戦」

 2014利民杯世界囲碁星鋭最強戦の決勝戦が12月23日に中国棋院杭州分院で行われた。結果は黒番の童夢成五段が楊鼎新四段に半目勝ちを収め、若手棋戦の初優勝を獲得した。

2. 古力、周睿羊が決勝進出 「第10回春蘭杯」

 第10回「春蘭杯」世界囲碁選手権の準決勝戦が12月27日に安徽省の合肥市で行われた。注目する古力九段(中国)対 金志錫九段(韓国)戦は、白番の古力九段が中押し勝ちを収め、同じ中押し勝ちで陳耀燁九段(中国)を下した周睿羊九段(中国)と共に決勝進出を決めた。

3. 柁嘉熹が決勝戦に進出 「第6回竜星戦」

 第6回竜星戦の準決勝戦、柁嘉熹九段 対 范廷钰九段戦が12月26日に中国棋院で行われた。結果は柁嘉熹九段が黒番5目半勝ちとなり決勝進出を決めた。なお、柁嘉熹九段 対 檀嘯七段の決勝戦三番勝負は、2015年1月4日-9日に行われる。

週刊囲碁ニュース [ 12月15~21日 ]

1. 於之塋が女子個人2連覇 「第4回スポーツアコード」

 第4回北京スポーツアコードワールドマインドゲームズは、12月15日に女子個人の決勝戦が行われた。結果は171手までで黒番の於之塋五段が韓国の金彩瑛二段に勝ちを収め、昨年に続いて連覇を達成した。

2. 檀嘯が決勝戦に進出 「第6回竜星杯」

 第6回竜星杯準決勝戦、檀嘯七段 対 柯潔五段戦が12月16日に中国棋院で行われた。結果は白番の檀嘯七段が半目勝ちを収め、決勝進出を決めた。また、柁嘉熹九段 対 范廷鈺九段の準決勝戦は12月26日に行われる。

3. 中国の於・ビペアが優勝  「第4回スポーツアコード」

 第4回北京スポーツアコードワールドマインドゲームズは、12月17日にペア碁戦の決勝戦が行われた。於之塋・ビ昱廷ペア(中国)と崔精・羅玄ペア(韓国)が対戦し、結果は194手までで白番の中国ペアが中押し勝ちを収め優勝した。これで、中国チームは囲碁3種目の男子団体、女子個人、ペア戦と全て優勝し金メダルを獲得した。

週刊囲碁ニュース [ 12月8~14日 ]

1. 金志錫が初優勝 「第19回三星火災杯」

 唐韋星九段(中国)と金志錫九段(韓国)が優勝を争う、「第19回三星火災杯 世界囲碁マスターズ」の決勝戦第2局が、12月10日に中国西安で行われた。結果は金志錫九段が黒番中押し勝ちを収め、シリーズ成績2勝0敗で棋士生涯初の世界戦タイトルを獲得した。

2. 陳耀燁が2勝目 「中国名人戦五番勝負第2局」

 陳耀燁名人に連笑七段が挑戦する第27回中国名人戦五番勝負の第2局が、12月12日に中国棋院で行われた。結果は292手までで白番の陳耀燁名人が中押し勝ちをおさめ、シリーズ成績2勝0敗となった。

3. 男子団体戦中国が優勝 「第4回スポーツアコード」

 第4回北京スポーツアコードワールドマインドゲームズは、男子団体の四回戦が、12月14日に北京インターナショナルコンベンションセンターで行われた。中国チームが中華台北チームとの対戦で、ビ昱廷九段(中国)が林立祥六段(中華台北)に敗れたが、時越九段(中国)と柁嘉熹九段(中国)がそれぞれ陳詩淵九段(中華台北)と張哲豪五段(中華台北)に勝ちを収め、四回戦全勝で男子団体の優勝を決める(中国チームは、前までの対戦で、それぞれ欧州チーム、韓国チーム、日本チームに勝ちを収めた)。

週刊囲碁ニュース [ 12月1~7日 ]

1. 井山裕太が勝利 日本チーム第3ラウンドに進出 「第16回農心杯」

 第16回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦の第2ラウンド最終第10戦、井山裕太九段(日本)と朴廷桓九段(韓国)の対局が12月3日に韓国釜山市で行われた。結果は155手までで井山裕太九段が黒番中押し勝ちを収め、日本チームの2勝目をあげ、第3ラウンドに進出した。また、前日に行われた第9戦は、黒番の王檄九段(中国)が246手までで朴廷桓九段(韓国)に敗れ、王九段の連勝は4でストップした。中国上海で行われる第3ラウンド(3月3日-6日)第11戦で、中国のビ昱廷九段が井山九段と対戦する。

2. 曹又尹が初タイトル 「建橋杯」

 曹又尹三段と陳一鳴二段が争う、第12回建橋杯女流オープン戦三番勝負の決勝局が、12月4日に安徽省•黄山で行われた。結果は白番の曹又尹三段が3目半勝ちを収め、シリーズ成績2勝1敗で棋士生涯初のタイトルを獲得した。

3. 古力が優勝「第1回中日竜星対抗戦」

 第1回中日竜星対抗戦が、12月6日に東京で行われた。結果は217手までで中国竜星の古力九段が日本竜星の河野臨九段に黒番中押し勝ちを収め、優勝した。また、同日に行われた中日混合プロペア碁戦では、黒番の藤沢里菜二段(日本)・李喆六段(中国)ペアが199手までで於之瑩五段(中国)・余正麒七段(日本)ペアに中押し勝ちを収めた。

週刊囲碁ニュース [ 11月24~30日 ]

1. 大連が優勝 成都と西安が降格 「男子リーグ」

 2014「金立スマートフォン杯」中国囲碁甲級リーグ戦の最終戦となる第22戦が11月25日に中国各地で行われた。注目の残留争いの結果は、成都チームが1勝3敗で重慶チームに敗れ、西安チームと一緒に降格することになった。残留争いのライバルとして、浙江省チームも2勝2敗で山東省チームに主将負けとなったが、1ポイントを獲得したため、僅差の一局のリードで残留を果たした。なお、優勝は大連チーム、準優勝が上海チーム、第三位が山東省チームとなった。

2. 邱峻九段と柯潔四段が1勝1敗のタイに 「第二回百霊杯決勝戦」

 邱峻九段と柯潔四段が争う「第2回百霊杯世界囲碁オープン戦」五番勝負の第1局が11月27日に安徽省の合肥市で行われた。結果は179手まで黒番の柯潔四段が中押し勝ちをおさめた。次の日に行われた第二局では、黒番の邱峻九段が255手までで半目勝ちをおさめ、スコアを1勝1敗のタイに戻した。注目の後の三局は2015年1月10~15日に広東省の珠海市で行われる。

3. 江蘇省が二連覇 「女流リーグ」

 第2回「中信置業杯」女流リーグ戦の最終戦となる第14回戦が11月29日に広州で行われた。江蘇省チームが北京チームに1勝1敗のタイで、女流リーグの2連覇を決めたと同時に、25万元の賞金を手にした。上海チームが準優勝、厦門チームが第3位、平煤チームが降格となった。

4. 王檄九段が三連勝 「農心ラーメン杯世界囲碁最強戦」

 日中韓3ヵ国の勝ち抜き団体戦、第16回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦の第7戦が12月1日に韓国釜山市で行われた。王檄九段が234手までで韓国の安成浚五段に白番中押し勝ちをおさめ、第2ラウンド開始から3連勝を果たした。

週刊囲碁ニュース [ 11月17~23日 ]

1. ベスト4は韓国独占 「LG杯朝鮮日報棋王戦」

第19回LG杯準々決勝は11月17日に韓国江原道で行われた。中国の陳耀燁九段、柁嘉熹九段、范廷鈺九段、謝爾豪二段がそれぞれ韓国の朴廷桓九段、金志錫九段、崔哲瀚九段、朴永訓九段に敗れ、準決勝進出はならなかった。韓国棋士がベスト4を独占することは、第18回富士通杯から十年ぶりである。

2. 連笑七段が名人戦挑戦 「第27期名人戦挑戦者決定戦」

陳耀燁名人への挑戦権を争う第27期名人戦挑戦者戦(三番勝負)の第二局が11月19日に厦門で行われた。連笑七段が周睿羊九段に白番242手までで中押し勝ちをおさめ、シリーズ成績2勝0敗で挑戦権を獲得した。なお、名人挑戦手合の五番勝負が12月に北京と深圳で行われる。

週刊囲碁ニュース [ 11月10~16日 ]

1. 残留争いに注目 「男子リーグ」

 「金立スマートフォン杯」中国囲碁甲級リーグ戦の第20回戦は11月11日に中国各地で行われた。この前、大連チームがすでに優勝を決めたため、リーグの残留争いに注目が集まっている。西安チームが成都チームに3勝1敗で勝利をおさめたため、降格の結果は最後の2回戦で決まることになった。残留争いを繰り広げている四チームのポイントはそれぞれ、西安チームが17ポイント、成都チームが20ポイント、浙江チームが21ポイント、遼寧チームが24ポイントとなった。

2. 時越九段が初優勝 「威孚房開杯」

第10回「威孚房開杯」棋王戦の決勝戦(一番勝負)が11月15日に江蘇省無錫市で行われた。時越九段が江維傑九段に白番126手まで中押し勝ちをおさめ、「威孚房開杯」の初優勝と15万元の賞金を手にした。

週刊囲碁ニュース [ 11月3~9日 ]

1. 時越が第1位 「中国棋士ランキング」

近日、中国棋院が10月31日までの棋士ランキングを公開した。時越九段が2692のポイントでトップ。続いて芈昱廷九段が第2位、古力九段が第3位となった。

2. 唐韋星九段が決勝進出 「三星杯」

第19回「三星火災杯」ワールド囲碁マスターズの準決勝戦の第三局が11月7日に韓国で行われた。前回優勝者の唐韋星九段が朴廷桓九段に白番で中押し勝ちをおさめ、2勝1敗で決勝進出に決めた。6日に行われた準決勝戦の第二局では、時越九段が韓国ランキング第2位の金志錫九段に敗れ、0勝2敗で決勝進出にならなかった。

週刊囲碁ニュース [ 10月19~11月2日 ]

1. 楊鼎新三段が初優勝 「倡棋杯」

第11回倡棋杯決勝戦第2局が10月25日に海南省海口市で行われた。楊鼎新三段が朴文堯九段に勝ちをおさめ、三番勝負の成績2勝0敗で倡棋杯の初優勝を決めたと同時に、50万元の優勝賞金も手にした。

2. 柯潔五段が初タイトルを獲得 「阿含桐山杯」

第16回阿含桐山杯早碁オープン戦の決勝戦が10月24日に重慶で行われた。柯潔五段が唐韋星九段に白番(254手)中押し勝ちをおさめ、棋士生涯で初のタイトルと20万元の賞金を獲得した。なお、日本の阿含桐山杯の優勝者(井山裕太九段)との対戦が来年の3月に行うことになっている。

3. 江蘇チームが第1位を守る 「女流リーグ」

第2回「中信置業杯」女流囲碁甲級リーグ戦の第12回戦が10月29日に中国各地で行われた。ランキングにリードしている江蘇チームが厦門チームに2勝0敗で勝ちをおさめ、第1位を守った。

4. 大連チームが初優勝を決めた 「男子リーグ」

「金立スマートフォン杯」中国囲碁甲級リーグ戦の第18回戦が10月31日に中国各地で行われた。大連チームが北京チームに3勝1敗で勝利をおさめ、45のポイントで4試合早めに優勝を決めた。

週刊囲碁ニュース [ 9月21~28日 ]

1. 邱峻と柯潔が決勝進出「百霊杯準決勝戦」

第2回「百霊杯」世界囲碁オープン戦準決勝戦の第三局が9月21日に中国貴陽で行われた。邱峻九段は韓国の安国鉉五段に勝ちをおさめ、2勝1敗で決勝進出に決めた。この前日、17歳の柯潔五段が2勝0敗で韓国ランキング1位の朴廷桓九段に勝ちをおさめ、邱峻九段と共に決勝進出に決めた。

2. 陳耀燁が敗れる「中韓天元対抗戦」

第18回中韓天元対抗戦の第2局が9月26日に韓国済州で行われた。陳耀燁九段が朴廷桓九段に白番で半目負けを喫し、0勝2敗で対抗戦に敗れた。対抗戦18回までの成績が9勝9敗でタイになった。

3. 周睿羊棋聖が初防衛「洛陽竜門杯棋聖戦」

第2回「洛陽竜門杯」中国棋聖戦の第4局が9月27日に洛陽で行われた。周睿羊棋聖が挑戦者の連笑七段に白番中押し勝ちをおさめ、シリーズ成績3勝1敗でタイトルの初防衛を決めた。

4. 古力が敗れる「十番碁」

Mlily夢百合杯世紀の戦十番碁の第八局が9月28日に重慶(古力九段の故郷)で行われた。古力九段が第5局から残念ながらも李世ドル九段に4連敗、シリーズ成績は 2勝6敗となり、本企画は李世ドル九段の勝利となった。李世ドル九段が500万元の賞金を独占した。

週刊囲碁ニュース [ 9月6~12日 ]

1. 柯傑が連勝終止 大連チームが負けても第1位

2014「金立スマートフォン杯」中国囲碁甲級リーグ戦の第13回戦が9月7日に中国各地で行われていた。大連チームの柯傑五段が山東チームの江維傑九段に敗れ、12連勝の記録に止まった。大連チームが1勝3敗で山東チームに敗れたが、6ポイントの差で引き続きランキングにリードしている。重慶チームが3勝1敗で西安チームに勝ちをおさめ、ランキング第2位に登った。

2. 范廷鈺九段が初優勝「爛柯杯」

第5回「衢州• 爛柯杯」中国囲碁チャンピン戦の決勝戦が9月12日に衢州で行われた。結果は范廷鈺九段が時越九段に白番で中押し勝ちをおさめ、チャンピンの称号と同時に、50万元(約870万円)の賞金も手にした。また準優勝の時越には15万元(約260万円)の賞金が贈られた

週刊囲碁ニュース [ 8月29~9月5日 ]

1. 柯潔、唐韋星が決勝戦に進出 「阿含・桐山杯」

第16回阿含・桐山杯の準決勝戦が揚州・江都で行われ、柯潔五段と唐韋星九段が、それぞれ周睿羊九段、江維傑九段に勝ちをおさめ、両棋士とも初めての決勝進出に決めた。

2. 古力がまた敗北「十番碁」シリーズ2勝5敗

Mlily夢百合杯世紀の戦十番碁の第七局が8月31日に西藏の「シャングリラホテル」で行われた。古力九段が李世ドル九段に敗れ、シリーズ成績は 2勝5敗になった、第八局は9月28日に重慶で行われる。

3. ゼイ廼偉初優勝にならず 「穹窿山兵聖杯」

第5回「穹窿山兵聖杯」世界女子囲碁選手権(中国・蘇州)の決勝戦が9月3日に行われた。ゼイ廼偉九段は韓国の崔精四段に敗れ、初優勝にならなかった。

週刊囲碁ニュース [ 8月20~28日 ]

1. 第2回「中信置業杯」中国女流囲碁甲級リーグ戦

第2回「中信置業杯」中国女流囲碁甲級リーグ戦の第10回戦が8月20日に中国各地で行われた。ランキング第2位の上海北極絨チームとランキング第1位の江蘇天域園林チームの対戦が注目を集め、結果は1勝1敗で引き分けになった。江蘇、上海両チームはそれぞれ17と14のポイントで引き続き第1位と2位を守った。また、個人の成績について、廼乃偉九段と於之瑩五段がともに9勝1敗でリードしている。

2. 第2回「洛陽竜門杯」中国囲碁棋聖戦

第2回「洛陽竜門杯」中国囲碁棋聖戦の挑戦者決定戦の第三局が8月24日に洛陽で行われた。結果は連笑七段が蔡競六段に白番(178手)中押し勝ちをおさめ、2勝1敗で周睿羊棋聖への挑戦権を獲得した。

3. 第19回「三星火災杯」ワールド囲碁マスターズ

第19回「三星火災杯」ワールド囲碁マスターズ(中国青島)は8月28日に32強戦の第3戦が行われた。結局中国8名、韓国7名、日本1名の選手が16強戦に進出した。三星杯は32強戦のみ32名を8つのグループに分け、ダブルエリミネション方式を採っている。また、16強戦は10月14日に韓国で行われる予定。

週刊囲碁ニュース [ 8月12~19日 ]

1. 第11回「倡棋杯」(中国ハルピン)準決勝戦

第11回「倡棋杯」(中国ハルピン)準決勝戦は8月11日~8月14日に行われ、朴文尭九段は蔡競六段に2連勝、楊鼎新三段は時越九段(前回優勝者)に2勝1敗のポイントで勝ちをおさめ、両棋士とも初めての決勝進出を決めた。また、決勝戦は10月23日から中国海南省で行う予定になっている。

2. 第26回「テレビ囲碁アジア選手権」

第26回「テレビ囲碁アジア選手権」(中国北京)の決勝戦は8月19日に行われ、韓国の李世ドル九段は日本の河野臨九段に白番で中押し勝ちをおさめ、この大会の第三回目の優勝をきめた。「テレビ囲碁アジア選手権」の優勝の回数について、それぞれ日本10回、韓国9回、中国7回になっている。

週刊囲碁ニュース [ 8月4~11日 ]

1. 第19回「三星火災杯」ワールド囲碁マスターズ統合予選決勝戦

第19回「三星火災杯」ワールド囲碁マスターズ統合予選決勝戦は8月4日に韓国ソウル市の韓国棋院で行われていた。最終の結果は中国11名、韓国5名、日本1名、中華台北1名とアメリカ1名の選手が本戦に進出した。

2. 第二回「中信置業杯」中国女流囲碁甲級リーグ戦

第二回「中信置業杯」中国女流囲碁甲級リーグ戦は9日~11日に第 7回戦、 8回戦と9回戦が中国内モンゴル呼倫貝爾で行われていた。江蘇天域園林チームは3戦全勝の成績で第一位を守った。

3. 国手山脈 国際囲碁大会

2014年8月9日~11日にかけ、「国手山脈 国際囲碁大会」は韓国で開催されました。中韓対抗戦のほうは、あわせて三回戦で中国チームは 8‐7の僅差で優勝を遂げた。一回戦と二回戦は韓国チームがともに3‐2のポイントでリードしていたが、最終戦で中国チームが4‐1で逆転した。ペア碁大会のほうは、中国ペア、韓国ペア、台湾ペアともに2勝1敗で同列第1位になる。日本ペアは第4位でした。

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