1月 思い出の一局
国際戦の第1回ワールドマインドスポーツゲームズに出場したときのエピソードをご紹介いただきました。
女流棋士の思い出の一局では、担当の女流棋士の印象に残っている一局をご紹介します。対局当時の状況や気持ちを振り返っていただき、その当時の思いを皆さまにお伝えします。 続きを読む
佃亜紀子五段 思い出の一局
指導棋士プロフィール

「思い出の一局」は、一度だけ日本代表として国際戦に出場した対局です。
2008年に北京で開催された、『第1回ワールドマインドスポーツゲームズ(WMSG)』に女子個人戦で出場しました。
ベスト8の本戦トーナメント1回戦で、優勝した中国の宋容慧初段との一戦です。
日本にない普段とは違った雰囲気で、今までにないくらい対局中ずっと緊張していたのを覚えています。
私の黒番で内容は50手くらいまでで地に甘くなってしまったので、黒の厚みで下辺からの白を攻めなければ「良くない」と焦っていました。なんとか乱戦に持ち込み中央の黒8子を捨て、下辺を大きな攻め合いにした時は「いけるかも!」と感じました。

図は118手まで進んだ場面、下辺で攻め合いになった所です。
黒1のワリコミが筋だと思いました。この手から相手が時間いっぱいまで使い、困った顔をし始めたのが分かったのですが、私の頭の中には勝ちの図が出てこない・・・。
私も秒読みになって実戦の黒123が敗着です。参考図の黒5が正着、『眼あり眼なし』の黒が攻め合い勝ちで黒優勢でした。
詰碁の基本ができていない自分にガッカリしていました(笑)。
実力も精神的にも弱かった自分でしたが、緊張感の中での世界戦の一週間は貴重な経験でした。
またこのような大きな試合に出場できるよう頑張りたいです。