囲碁ゲームサロン パンダネット

学習

衝撃!AlphaGoの自己対戦

AlphaGoの自己対戦を大橋拓文七段が解説!

AlphaGoの自己対戦を大橋拓文七段に解説していただきます。衝撃の対局を、大橋七段の解説とともにご覧ください。 続きを読む

衝撃!AlphaGoの自己対戦 大橋拓文七段

AlphaGoの自己対戦を大橋拓文七段に解説していただきます。衝撃の対局を、大橋七段の解説とともにご覧ください。1局目はどなたでもご覧いただけますので是非ご覧ください。2局目以降は、トクトク、学習コースのお客様がご覧いただけます [コース変更はこちら]。解説は順次掲載いたしますのでお楽しみに。

1局目 藤沢里菜三段とAlphaGo研究 解説棋譜を見る
▼ 2局目以降は上記コースの会員様のみご覧いただけます 専用ページはこちら
2局目華麗なコウの大激戦 
3局目模様の中のシノギ 
4局目アルファ碁の大捕り物 
5局目アルファ碁の半目勝負 
6局目白、鮮やかなシノギの名局 
7局目白、華麗なサバキの名局 

1局目はどなたでもご覧いただけますので是非ご覧ください。2局目以降は、トクトク、学習コースのお客様がご覧いただけます [コース変更はこちら]。 解説は順次掲載いたしますので楽しみにお待ちください。

大橋拓文七段による、AlphaGoの考察 (2017年6月寄稿)

 AlphaGoが再び公の場に姿を現した「未来の碁サミット」は、柯潔九段との三番勝負、相談碁ともにAlphaGoが安定した強さを見せての勝利となりました。特に面白かったのは古力九段&AlphaGo対連笑七段AlphaGoのペア碁対決でした。人類とAI初の競演となったわけですが、スリリングな内容となり、これからのAIとの関わり方を考えるうえで非常に有意義だったのではないかと思います。一時は古力九段ペアが勝率75%まで優勢になりながら逆転を許したのは、私にとっても驚きでした。

 一体AlphaGoはどれくらい強いのか?現在の所、AlphaGoは強くなりすぎて、実力を正確に測る手段はないように見えます。しかし「未来の碁サミット」閉会式でDeepMindデミス・ハサビス氏より衝撃の発表がありました。なんとAlphaGoの自己対戦50局を公開するというのです。これらはきちんと考慮時間を取って打たれた対局です。公開から一週間が過ぎ、この50局の自己対戦棋譜をめぐり、囲碁界は騒然となっています。

 すぐにでもこれの研究を発表したいのはやまやまですが、これまでの囲碁数千年の常識を覆すものばかりで、これは私たちが打っていた囲碁とは違うゲームなのではないか!?と思えるほどです。まずはいくつか目立つ特徴を挙げてみることにします。

① 星に対しては早々に三々入りが多い。
② 石を安定させるためのヒラキがほとんど見られない。
③ 序盤から石をすぐくっつける。

などです。この3つを総合すると、乱戦になりやすいのは想像に難くないでしょう。

 AlphaGoからMaster(年末年始60連勝)を経て一番進化した点は、この力強さです。去年のAlphaGoは李世ドル九段戦第4局78手目神の一手と呼ばれるワリコミに対して間違えて敗れてしまったわけですが、これを改善する過程で驚異の力強さを獲得したと考えられます。Master以降のバージョンの生みの親は李世ドル九段と言っても言い過ぎではないかもしれませんね。

それではAlphaGo自己対戦譜の印象的な場面を紹介します。
第1局はツケの神髄が見られました。

1図:序盤のツケ
白10~12の場面 主導権を強引に引き寄せるツケ

2図:中盤のツケ
白28~30 右辺の白を力強くさばくツケ

3図:決め手のツケ
白112~116 左上の白を華麗にシノギ、形勢を有利にしたツケ

総じて深い読みの裏付けがなくては打てない手で、他の強い囲碁AIと比較しても抜群の強さだと思われます。
せっかくなので早期の三々入りも一つだけ紹介します。

第46局:7手目

 三々入りは数多く打たれていますが三連星と組み合わせているのがさらに斬新です。これまで囲碁の常識が覆っているのは明らかです。
 人間にとっては新たな解釈が必要ですが、それと同時に限りない可能性も感じられます。

[ 記事:大橋 拓文七段 ]