●7日目…対局例
[4]19路盤の模範対局
・ 今度は19路盤の対局を見ていただきます。序盤から中盤までの30手ほどを示しますから、だいたいの打ち方を感じ取ってください。囲碁は10回打てば、10回とも違う形になります。100回打っても、同じ展開になることはありません。相手が変われば打ち方も変わりますから、思い通りになることも少ないでしょう。そういう変化を楽しむのも、囲碁の醍醐味の一つですから、自分の予定通りにならなくても苛立つことはありません。まったく知らない打ち方をされたら、むしろよろこばなければなりません。新しい世界が広がるようなものですから、自分と違う打ち方をする人を大切にしましょう。1回ごとに、楽しんで打つことが、上達の秘訣でもあります。
a.1局目
・1図(黒1~白10)
・ 黒1から白4まで、それぞれ空いている「隅」に打ちました。「隅」は大切なので、空いているなら先に占めた方が有利です。黒5から白8までは、「辺」の位置に打っています。「辺」は「隅」の次に大事なところです。黒9で黒の陣形がふっくら立体的になってきました。「布石」では、自分の陣形を広く大きく構えるのが肝心です。もちろん、いろいろな打ち方がありますから、一つの打ち方にこだわらず、柔軟に何でも吸収していきましょう。
1局目1図
・ 2図(黒11~白20)
・ 黒13、黒15と右下方面を固めました。白も白12、白14と左上を補強していますが、スケールでは黒の方が大きく見えます。それで、白16と右辺の黒の中に入って、黒の陣形の中に殴り込みました。「中盤」では、こういう際どい展開がよく起こります。白16から白20までの白石がどうなるか、これからの課題です。
1局目2図
・ 3図(黒21~白30)
・ 黒21、黒23、黒27で右下の黒の勢力がほどんど黒地になりました。これだけ立体的に大きな地ができれば、なかなか負けません。この碁は、黒の理想的な展開です。白28、白30で、右辺の白が逃げました。左辺の白の陣形は、全部白地になるとは限りません。黒が入ってくるかもしれませんし、この先は打ってみないと分かりません。
1局目3図
b.2局目
・ 1図(黒1~白10)
・ 黒1、白2は、ともに一手で隅を占めましたが、黒3、黒5と白4、白6は、それぞれ二手で隅を守りました。一手で打てば簡単ですが、二手なら強くなります。二手打てば、その隅はだいたい自分の地になるでしょう。黒7、白8、黒9は、辺の大事なところです。白10は黒9に近づいていますが、こういう打ち方もあります。
2局目1図
・ 2図(黒11~白20)
・ 黒11、黒15、黒17は、右上の黒の陣形を立体的に築いています。白12、白14、白16は、左下の白を広げました。白18と上辺から白が侵入してきましたから、黒19から止めようとしています。
2局目2図
・ 3図(黒21~白30)
・ 黒21でだいたい上辺が止まりました。白22、白24で左上の白を広げましたが、黒23、黒25で白陣の拡大を制限しています。白26は右辺の黒の陣形を減らそうとしています。白28は左下の白をだいたい地にしました。黒29は真ん中の石を連絡するのと、右上の黒陣を補強しました。
2局目3図
c.3局目
・ 1図(黒1~白10)
・ 黒1と黒3は対角線の反対側に打っています。白2と白4も同じように対角線の向こう側にあります。こういう「布石」もあるのです。黒5で右上を二手打ちましたから、ここは黒の地になります。左下では先に黒に二手打たれる前に、白6と打ちました。白8、白10とどんどん先に行くのは、よくある打ち方です。
3局目1図
・ 2図(黒11~白20)
・ 下辺の黒に、白12と近づいてきました。黒13、15と逃げるのを、白14から白16としつこく追いかけていきます。「中盤」では、こういう追いかけっこのような展開が起こります。こういうときにどううったらいいのか、初めは戸惑うと思いますが、相手も悩みながら打っているのですから心配いりません。失敗したらまた打ち直せばいいのですから、楽しみながら打ちましょう。
3局目2図
・ 3図(黒21~白30)
・ 黒23で中央に出て、黒25と右辺に展開しました。白26から白30まで左上の白を広げましたが、黒27から黒29で右上から上辺、右辺にかけて、大きな黒の陣形ができました。中盤までは、自分の陣形を大切に打ちましょう。
・ 19路盤の布石から中盤まで見てきました。一手一手の意味を正確に理解する必要はありません。今はだいたいの流れを見ていただければ十分です。囲碁は知識も大切ですが、感覚でなんとなく分かることもいいことなのです。
3局目3図
●7日目…対局例