ヨーロッパ囲碁ニュース

ヨーロッパの囲碁ニュース・棋戦情報をお伝えします。

囲碁ニュース [ 2018年12月19日 ]

フランス女流選手権、ウジエ4dが二連覇

選手権のポスター。クールでカッコいい女性像は、フランスならでは?イラストを作成したカミーユ・レベック(Camille Lévêque)さんは昨年9月に囲碁をはじめて現在はすでに4級に達し、今回大会でも見事4位に入賞した。

第2回となるフランス女流選手権が11月24-25日にグルノーブルで開催された。この大会は昨年久々に復活されたもので、これについては以前のレポートを参照してほしい。当時触れたように、フランスでは一部女性の間から「女性のみの大会」への嫌悪感が強く(「女性も性別に関係なく男性と同じ土俵で競争するべきだ」という観点である)、今年の大会にあたっても改めて色々な議論がインターネット上でなされたそうだ。

一部選手が外国に居住していたりして参加できなかったのは残念だったが、今年の参加者数は8クラブから12人と、昨年比で倍になった。この選手権の魅力を示すものだろう。

4回戦の末、アリアーヌ・ウジエ4dが全勝で昨年に続き2連覇を果たした。ウジエ4dは先日の欧州女流選手権でも2位に入賞するなど好成績が続いていて、フランスの女流プレーヤーとしては史上初めての4d昇進を果たした。2位はベテランのドミニク・コルニュエジョルス1dだった。

最終結果は以下の通り。

大会の様子。(写真:Olivier Dulac、以下同)
優勝のウジエ4dは、2月の世界学生王座戦にも参加予定。

順位

  段位

クラブ

1

アリアーヌ・ウジエ

4d

グルノーブル

2

ドミニク・コルニュエジョルス

1d

グルノーブル

3

ヤ・マイスア

3k

レンヌ

4

カミーユ・レベック

4k

オーリヤック

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年12月11日 ]

ロシア選手権、サンキン6dが優勝

ロシア選手権決勝が11月19-24日にかけてサンクトペテルブルクにおいて開催された。決勝には10人が参加、リーグ戦方式でチャンピオンの座を争う。

優勝したサンキン6d。
(写真:ミハイル・クリロフ、ロシア囲碁連盟、以下同)
 

9回戦の結果、優勝したのはティムール・サンキン6d。8勝1敗の堂々たる結果で、6回戦で優勝候補最右翼のアレクサンダー・ディナーシュタイン3pを破ったのが大きく、2013年以来の優勝を果たした。ディナーシュタイン3pはサンキン6dに破れたのみの8勝1敗で並んだが、規定により準優勝となった。3位には、唯一サンキン6dに土を付けた若手のビアチェスラフ・カイミン6dが6勝4敗で入った。4位はベテランのドミトリー・スリン6dだった。

決勝参加者。

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年11月2日 ]

フランス・アマチュア選手権、ドゥバール7dが優勝

5度目の優勝を収めたドゥバール7d。押しも押されぬフランスの第一人者である。(写真:Judith van Dam - EurogoTV、以下同)

フランスは年に複数回「選手権(チャンピオンシップ)」を開催する稀有な国である。フランスの選手権システムは4層からなっていて、

1)クラブ内選手権(年始め):フランス囲碁協会(FFG)のメンバーならば国籍、レベルを問わず誰でも参加することができる。各クラブのチャンピオンを選ぶ。

2)地方リーグ内選手権(春):1)の成績優秀者に加え、2級以上のプレーヤーならば誰でも参加できる。成績優秀者が3)へと進む。各地方リーグのチャンピオンを選ぶ。

3)フランスオープン選手権(8月末):2)の成績優秀者に加え、4段以上のプレーヤーならば誰でも参加できる。毎年の参加者は30人程度。フランスオープンチャンピオンを選ぶ。上位入賞者には賞金がでる。プロも参加できる。フランス国籍を持った成績優秀者は、4)へと進む。

4)フランス・アマチュア選手権(秋):世界アマチュア選手権などにおけるフランス代表を選考する大会。参加者はフランス国籍を持ったアマチュアプレーヤーに限られる。ランキングの上位8人、3)の成績優秀者6人、ワイルドカード2人の全16人が参加する。

システムはフランスらしく(?)何度も変更を加えられているのだが、民主的なプロセスを好むこの国らしいシステムであるという気がする。

さて、今年のフランス・アマチュア選手権は10月27-28日にかけてリヨンで開催された。戴俊夫8d、昨年の優勝者であるバンジャマン・ドレアンゲナイジア6dや、欧州各大会で活躍しているタンギー・ルカルベ6dが不在の中、ランキング上はトップのトマ・ドゥバール7dが絶対有利と見られた。

4回戦、ノックアウト方式の結果、やはり優勝を収めたのはドゥバール7dだった。しかし、本人は「こんなに調子の悪い選手権ははじめて」というように苦戦の連続の末の勝利だった。ドゥバール7dの優勝は2010-2013年に続く5回目となる。

最終結果は以下の通り。

1

トマ・ドゥバール

7d

ストラスブール

2

フレデリック・ドンゼ

5d

ナント

3

フロラン・ラボレ

5d

リヨン

4

ヴァンサン・ゴディビエ

3d

リヨン

2位には大ベテランのドンゼ5dが入賞、昔からの勝負強さを見せつけた。3位には新鋭のラボレ5dが食い込んだ。4位のゴディビエ3dはAI流を熱心に研究していて、4d、5dをなぎ倒しての立派な入賞だった。フランスにも明らかに新風が吹きつつある。

マンハイム大会、リジー2pが優勝

優勝したリジー2p。

欧州の大会のうち、「ボーナス大会」といわれるものがある。こうした大会には重要性の高い順からA、B、Cのランキングがつけられており、その大会の成績にしたがって欧州のプレーヤーにポイントが与えられ、年末の時点でこのポイントが高かった選手が5月頭に開催されるグランドスラム大会に招待される。またこのポイントは、国際大会への選手選考にも利用されている。こうした大会に認定されるためには、開催クラブがある程度の料金(グランドスラムでは1万ユーロ、A大会では3000、B大会では1000、C大会では500ユーロ)を欧州囲碁連盟(EGF)に支払った上で、ラウンド数、プロの派遣など、いくつかの条件を満たす必要がある。

さて、フランス・アマチュア選手権と同じ週末に、ドイツ・マンハイムにおいて開催された大会は「C」大会で、今年のボーナス大会の掉尾を飾る大会となった。74人が参加した。4回戦の結果、パヴォル・リジー2pが全勝優勝を果たした。2位は中国出身でフィンランド在住のスー・ヤン6d、3位はドイツのヨナス・ヴェルティケ6dだった。

なお、今年開催されたボーナス大会とその勝者は以下の通り。

開催月

ボーナス

開催地

大会勝者
(または欧州プレーヤーで最高位獲得者)

2月

B

ヴァトラドルネイ(ルーマニア)

マテウシュ・スルマ1p(ポーランド)

3月

B

ダブリン(アイルランド、悪天候により参加者少数で考慮されず)

-

3月

C

ニシュ(セルビア)

クリスティアン・ポップ7d(ルーマニア)

4月

C

プラハ(チェコ)

ルカシュ・ポドペラ7d(チェコ)

5月

-

ベルリン(ドイツ)グランドスラム大会

イリヤ・シクシン2p(ロシア)

5月

B

アムステルダム(オランダ)

タンギー・ルカルベ6d(フランス)

5月

B

ハンブルク(ドイツ)Kido Cup

アルテム・カチャノフスキー1p(ウクライナ)

5月

C

ザグレブ(クロアチア)

スタニスワフ・フレイラック7d(ポーランド)

7月

C

パルドゥビツェ(チェコ)

パヴォル・リジー2p(スロバキア)

7-8月

A

欧州囲碁コングレス(イタリア)

パヴォル・リジー2p

8月

C

レクサンド(スウェーデン)

アミール・フラグマン5d(イスラエル)

10月

B

グルノーブル(フランス)

マテウシュ・スルマ1p

10月

C

マンハイム(ドイツ)

パヴォル・リジー2p

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年10月26日 ]

モスクワの日本大使杯、盛大に開催

現在欧州で欧州囲碁コングレスを除いて最も大きな大会、というと、まずドイツ・ハンブルクで5月に開かれる「Kido Cup」が挙げられる。毎年プロから初心者に至るまで約200人程度の参加者を集め、参加人数でも、レベルでもトップであることは異論がない。これに続く大会、というといろいろな基準がでてきて難しいが、参加人数ではロシア・モスクワで10月に開催される「日本大使杯」がKido Cupに遜色ない水準を誇っている。

今年で24回目を迎える同大会は、参加者がほとんどロシア人である点では国際性に欠けるけれど、その出身クラブは実に多様で、同国における囲碁の発展を物語るものだろう。レベルも17kから6dまでと幅広い。

会場の日本大使館。(写真:露囲碁連盟)
トッププレーヤーの激戦には自然と人が集まる。
シクシン2pは多面打ちで活躍。

6回戦の結果、ティムール・サンキン6dが優勝を収めた。2位はイゴール・ブルナエフスキ6d、3位はアンドレイ・カシャエフ5d、4位はビアチェスラフ・カイミン6dだった。こう言っては大変失礼なのだが、筆者はこの結果を見て、「欧州の大会で見たことのあるサンキン6d、カイミン6dは知っているけれど、2位、3位のプレーヤーは誰だろう?」と思った。これがロシアの懐の深さを感じさせるところで、欧州トップに迫る5-6段勢でも「見たことがない」、すなわちロシアからほとんどでたことがないであろうプレーヤーがかなりゴロゴロしている。

優勝したティムール・サンキン6d。欧州青少年選手権では、いつもロシアチームの引率役を務めている。
8位入賞し、16歳未満で最高位を獲得したビルジニア・シャルネバ4d。今年はロシア女流チャンピオンにもなり、女流のホープである。

なお、ロシアは今年「中国大使杯」も5月に開催。こちらは160人を集め、やはり盛大な大会となった。

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年10月24日 ]

ドイツ選手権、ヴェルティケ6dが優勝

左から2位のクラマー6d、優勝のヴェルティケ6d、4位のルジカ4d、3位のオーブナウス6d。(写真:ドイツ囲碁連盟)

ドイツ選手権決勝ステージが10月11-14日にかけてブレーメンにおいて開催された。昨年はヨナス・ヴェルティケ6dが4連覇中のルカス・クラマー6dを破って初優勝を飾った。結果から見ると、今年もこの2人を軸に大会は進行した…のだが、第2回戦においてマーニャ・マルツ4dがヴェルティケ6dに土を付けたのは特筆に値するだろう。マルツ4dは、女流としては歴史上初の決勝ステージ進出で快挙を成し遂げた。最終戦では、クラマー6dが全勝、ヴェルティケ6dが1敗で両者の直接対決となった。ここでヴェルティケ6dが勝利、同率ながら直接対決の結果が優先され、2連覇を達成した。

グルノーブル国際囲碁大会、呉7dが連覇

仏グルノーブル国際囲碁大会(TIGGRE)が10月13-14日に開催された。グルノーブルでは昨年2月に欧州青少年選手権が開かれ、それと並行して初の国際大会が開かれたが、この継続を目指したのが今回の第2回大会である。参加者は97人に達し、仏国内では最大規模の大会となった。

トップグループには韓国出身で仏在住の呉治民7dのほか、アレクサンダー・ディナーシュタイン3p(ロシア)、マテウシュ・スルマ1p(ポーランド)、デュシャン・ミティッチ7d、ニコラ・ミティッチ7d(セルビア)などが参加し、ハイレベルな戦いとなった。優勝は呉7dで、準決勝でディナーシュタイン3pを、決勝でスルマ1pを破り、2連覇を果たした。

トップグループの対局の様子。(写真:Olivier Dulac)
左から2位のスルマ1p、スポンサーを務める黄仁聖8d、優勝の呉7d。(写真:Olivier Dulac)

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年9月26日 ]

東方経済フォーラム囲碁大会が開催

毎年9月にロシアのウラジオストクを舞台として開催される政治・経済の国際会議である東方経済フォーラム(EEF)。今年は11-13日に開かれ、この機会にプーチン大統領が安倍首相に対して領土問題などを抜きにして年内にも日露平和条約の締結を求めたことが話題を呼んだ。

さて、今年はなんとこのEEFの枠内で囲碁大会が初めて開かれた。交流大会の意味合いが強い「ビジネスマン向けの大会」と真剣な「競技プレーヤー向けの大会」との2イベントが並行して開催された。EEFは極東に外国の投資を呼び込むことが第一の目的となっている。囲碁が順調な発展を遂げるロシアにおいて、ビジネスマンが極東の国々とのコミュニケーションツールとして囲碁を活用しようとするのは自然なことかもしれない。またウラジオストクでは2020年に世界アマチュア囲碁選手権が初めてロシアで開かれる予定となっており、その準備の意味合いもあるという。

さて、「競技プレーヤー」の大会には欧州囲碁連盟のプロであるイリヤ・シクシン2p(ロシア)、マテウシュ・スルマ1p(ポーランド)、アルテム・カチャノフスキー2p(ウクライナ)に加え、アレクサンダー・ディナーシュタイン3p(ロシア)、ニコラ・ミティッチ7d(セルビア)といった強豪が欧州から参戦。更に、中国、韓国、日本からも参加者があった。5回戦の結果、韓国のソン・ジェファン7dが優勝した。2位はディナーシュタイン3p、3位はスルマ1pだった。

大会会場の様子。初日は、プーチン大統領が近くを訪問するとのことで警戒が厳重となり、1局のみが打たれたそうだ。
(写真:ロシア囲碁連盟、欧州囲碁連盟)
AI「Golaxy(星陣囲碁)」がロシアの若手チェルニフ5dと対局。
シクシン2pとソン7dの対局。ソン7dが劣勢をはねのけ、2目半勝を収めた。

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年9月12日 ]

欧州女流選手権、コバレバ5dが優勝

欧州女流選手権が9月8-9日、フィンランドのヘルシンキにおいて開催された。この大会は欧州囲碁連盟を構成する各連盟の女性メンバーに開かれており、レベルには関係なく参加できる。今年は開催国フィランドに加え、ロシア、ウクライナ、ルーマニア、チェコ、ハンガリー、オランダ、ドイツ、フランスから29人が参加した。5回戦の結果、ナタリア・コバレバ5dが5戦全勝で優勝を果たした。コバレバ5dの優勝は2007、2013、2016年に続き4度目となる。2位にはフランスの新鋭アリアーヌ・ウジエ3dが強敵を破って食い込んだ。3位はハンガリーの強豪リタ・ポチャイ5d(2009年、2015年優勝)だった。昨年優勝のマーニャ・マルツ4dは5位に終わった。

優勝したコバレバ5d。
準優勝のウジエ3d。
3位のポチャイ5d。

最終結果は以下の通り。

1

ナタリア・コバレバ

5d

ロシア

5-0

2

アリアーヌ・ウジエ

3d

フランス

4-1

3

リタ・ポチャイ

5d

ハンガリー

3-2

4

ディナ・ブルダコバ

5d

ロシア

3-2

5

マーニャ・マルツ

4d

ドイツ

3-2

6

マイケ・ウィルムス

2d

ドイツ

3-2

7

ミレナ・ボクレ

2d

フランス

3-2

8

ビルジニア・シャルネバ

3d

ロシア

3-2

9

ユリア・セレス

2d

ハンガリー

3-2

10

エルビナ・カルルスベルグ

3d

ロシア

2-3

イエナ国際囲碁スクールが開所

金8dとマルツ4d、今年の欧州囲碁コングレスのペア碁大会にて。(写真:欧州囲碁連盟)

ドイツ東部イエナに「国際囲碁スクール(JIGS)」が開所した(https://www.go-jigs.eu/)。JIGSは元欧州女流選手権者のマーニャ・マルツ4dと韓国出身の金永三(キム・ヨンサム)8dが設立。8-20歳の若手を主に対象として、プロレベルのプレイヤーを育てることを最終目標とする。第1期生はルーマニアから1人、ロシアから3人が入校、学校に住み込みでトレーニングを受けることになる。当初はスポンサーの支援をえて運営するが、4年後には損益均衡を達成することを目指すという。

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年9月3日 ]

ウィーンでアルファ碁記念モニュメント設置記念大会が開催

対局の様子。(写真:欧州囲碁連盟、以下同)

ウィーンの中心部に、「ホッホハウス・ヘレンガッセ」という建物がある。ヘレンガッセは通りの名前で、「ホッホハウス」とは「高い建物」の意。20世紀初頭に建てられたこの建物は、その名の通り旧市街で最も高い建物なのだそうだ。このホッホハウス・ヘレンガッセは2016年12月、アルファ碁と李世ドル9pとの歴史的な対局を記念したモニュメントを設置した。モニュメントは、地元の建築家・デザイナーであるグレゴール・アイヒンガー氏が設計した(http://www.eichingeroffices.com/sculpture-go/)もので、直径1.3メートル、重量1.5トンの黒石9目が設置された。黒石だけ、ということで囲碁ファンにはやや物足りなかったのであるが(?)、この度白石3目が加えられ、モニュメントが完成することとなった。そして、これを記念して、8月30日に欧州トッププロ4人を招いて大会が開かれた。

大会に参加したのはイリヤ・シクシン2p(ロシア)、パボル・リジー2p(スロバキア)、アリ・ジャバリン2p(イスラエル)、マテウシュ・スルマ1p(ポーランド)の4人。ノックアウト方式の2回戦の結果、ジャバリン2pが決勝でリジー2pを破り優勝した。

左からオーガナイザーのビクトール・リン6d、優勝のジャバリン2p、プロジェクトを主導したシュピッツィー氏、AI専門家のトラッペル氏。
白石設置の様子。

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年8月30日 ]

欧州学生囲碁選手権

優勝したヴェルティケ6d。(写真:欧州囲碁連盟)

欧州学生囲碁選手権が8月22-23日にかけてスウェーデンのレクサンドで開催された。12人が参加した。5回戦の結果、現ドイツチャンピオンのヨナス・ヴェルティケ6dが全勝優勝を果たし、初優勝を飾った。2位はルカシュ・ポドペラ7d(チェコ)、3位はアミール・フラグマン5d(イスラエル)だった。結果は以下の通り。

なお、レクサンドは2008年に欧州囲碁コングレスが開催された場所で、今回の学生選手権に続く2日間には「Ten years after(10年後)」と銘打たれた大会が催された。

1 ヨナス・ヴェルティケ 6d ドイツ 5-0
2 ルカシュ・ポドペラ 7d チェコ 5-0
3 アミール・フラグマン 5d イスラエル 3-2
4 ヨハネス・オーブナウス 6d ドイツ 2-3
5 アレッサンドロ・パーチェ 4d イタリア 2-3

フランス・オープン選手権

8月の最終週末はフランス・オープン選手権の季節である。同選手権は国籍を問わずフランス囲碁連盟の加盟者に開かれており、毎年30人前後が参加、フランス最強の地位を争う。今年の大会はトゥルーズ郊外のバルマにおいて30人を集めて開催された。7回戦の結果、韓国出身で開催地トゥルーズに引っ越したばかりの呉治民(オ・チミン)7dが初優勝を果たした。呉7dはタンギー・ルカルベ6dに苦杯をなめたが、ルカルベ6dもバティスト・ノワール4dに半目負けを喫したことが響き、同率ながら2位に終わった。

優勝した呉7d。(写真:仏囲碁連盟)
惜しくも2位に終わったルカルベ6d。
最終結果は以下の通り。
1 オ・チミン 7d 6-1
2 タンギー・ルカルベ 6d 6-1
3 バティスト・ノワール 4d 5-2
4 フロラン・ラボレ 5d 5-2
5 レミ・カンパニー 5d 5-2
6 ジャンルー・ナデフ 4d 5-2
7 トゥ・リンブ 3d 5-2

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年8月14日 ]

欧州囲碁コングレス、盛大なイベントに

2週間にわたってイタリア・ピサで行われていた欧州囲碁コングレスが8月12日に閉幕した。メイン大会は900人超、合計では1400人超を集め、史上最大のコングレスとなった。

ピサの町並み。(写真:欧州囲碁連盟、以下同)
荘厳な会場。

欧州トッププレーヤー向けの欧州選手権の結果は先日お伝えしたが、国籍に関係なく参加できるオープン大会では韓国の尹楠期(ユン・ナムギ)7dが9勝1敗で優勝を収めた。尹7dは4回戦でやはり韓国出身で日本で活躍している金大赫(キム・デヒョク)7dに破れたものの、8回戦では優勝候補の最右翼だった中国プロの寥行文(リャオ・シンウェン)6pを撃破して見事栄冠を勝ち取った。2位にはキム・デヒョク7d、3位にはリャオ・シンウェン6pが入賞。4位には現在ドイツ在住の金永三(キム・ヨンサム)7dが入った。欧州勢ではハンガリーのボビズ5dが8位、欧州選手権から加わったスルマ1pが9位、ベテランのファンザイスト7dが10位に入賞した。

ペア碁大会の様子。
1 ユン・ナムギ 7d 韓国 9-1
2 キム・デヒョク 7d 韓国 8-2
3 リャオ・シンウェン 6p 中国 8-2
4 キム・ヨンサム 7d 韓国 8-2
5 ルー・ユンシャオ 6d 中国 7-3
6 ホン・スンウォン 7d 韓国 7-3
7 チョ・ウンジン 6d 韓国 7-3
8 ドミニク・ボビズ 5d ハンガリー 7-3
9 マテウシュ・スルマ 1p ポーランド 7-3
10 ロブ・ファンザイスト 7d オランダ 7-3
表彰式の様子。地面(?)にはメインオーガナイザーのマウリツィオ・パルトンさん。

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年8月6日 ]

欧州選手権、リジー2pが初優勝

今回のイタリア開催欧州囲碁コングレスは参加者1400人超と史上最大のコングレスとなった。イベントは中盤を迎え、欧州プレーヤー向けの欧州選手権の決勝が8月5日に行われた。決勝に残ったのはパボル・リジー2p(スロバキア)と、3連覇を目指すイリヤ・シクシン2p(ロシア)。今年は二人とも好調で、リジー2pは年初のプロ選手権に、シクシン2pは5月のグランドスラムで優勝している。欧州選手権は2敗すると敗退となるダブルエリミネーション・システムだが、ふたりとも土付かずの圧倒的な内容で決勝まで上り詰めた。

緊迫の決勝戦。
優勝したリジー2p。
(写真:欧州囲碁連盟)

決勝は白番のシクシン2pが巧みにサバいてリードを奪ったように見えたが、リジー2pも崩れずに粘り強く絡みついた。歴戦の雄シクシン2pもさすがに疲れたか。最後はリジー2pが2目半勝ちを収め、初めて欧州トップに立った。3-4位決定戦はアリ・ジャバリン1p(イスラエル)とマテウシュ・スルマ1p(ポーランド)の対決となったが、ジャバリン1pが闇試合を制し、3位の座を確保した。

欧州選手権トーナメント表(準々決勝より)
イリヤ・シクシン2p シクシン シクシン リジー
デュシャン・ミティッチ7d(セルビア)
マテウシュ・スルマ1p スルマ
クリスティアン・ポップ7d(ルーマニア)
アリ・ジャバリン1p ジャバリン リジー
アルテム・カチャノフスキー2p(ウクライナ)
パボル・リジー2p リジー
スタニスワフ・フレイラック7d(ポーランド)

なお、ベスト8にはデュシャン・ミティッチ7d、クリスティアン・ポップ7d、スタニスワフ・フレイラック7dの3アマが進出したが、いずれも欧州プロの壁の前に砕け散った。一発勝負では勝負となることもあるが、やはり長丁場となるとプロが強さを見せつけている。

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年8月2日 ]

パンダネット杯欧州チーム選手権、ロシアが連覇

7月27日から8月12日にかけて、欧州囲碁コングレスがイタリア・ピサにおいて開催されている。その冒頭を飾るイベントがパンダネット主催の欧州チーム選手権である。今年はロシア、ウクライナ、フランス、ポーランドが決勝ラウンドに残った。ロシア、ウクライナ、フランスは優勝経験国だが、ポーランドは初の決勝進出となる。

ロシア対ウクライナ。主将戦は、シクシン2p(左)対カチャノフスキー2pの対決。(写真:欧州囲碁連盟)
ポーランド対フランス。スルマ1p(左手前)が強豪の戴俊夫8dを破り、プロの意地を見せる。ポーランドはロシアに引き分けの大健闘だった。

総当たり戦の結果、ロシアが2勝1分けで連覇、8回中5度目の優勝を果たした。イリヤ・シクシン2p、アレクサンドル・ディナーシュタイン3p、ドミトリー・スリン6dといった常連に加え、グレゴリー・フィオニン7dやアントン・チェルニフ5dといった若手陣も安定した成績を上げ、見事な優勝だった。2位にはフランスが2勝1敗で食い込んだ。3位はウクライナ、4位はポーランドだった。

優勝したロシアチーム。
準優勝ながら元気いっぱいのフランスチーム。

さて、この欧州チーム選手権は予選が1年かけてインターネット上(パンダネットのサーバー上)で行われ、決勝のみが顔を合わせた対局で行われる形式である。今年は、予選の段階で「ソフトの助けを得て対局したのではないか」との疑惑がでる対局がいくつか指摘され、問題になった。今後も、インターネット上の対局で(そして、実際に顔を合わせた対局でも)どうしてもこうした問題は世界的に再発するであろう。早急な対策が課題となっている。

ドイツで世界青少年囲碁選手権開催

ライン川を背にポーズ。(写真:ドイツ囲碁連盟)

世界青少年囲碁選手権が7月半ば、独バッハラッハ(フランクフルト近郊)において開催された。ドイツが同大会を開催するのはこれが初めて。同大会は16歳未満、12歳未満の2カテゴリーに分かれ、世界各地の予選の成績優秀者が参加する。16歳未満では12人が、12歳未満では10人が参加した。結果は以下の通り。

12歳未満
1 Xiao Zebin 6d 中国
2 Kim Eunji 5d 韓国
3 Huang Yu-Teng 6d 台湾
4 Shimizu Takuya 6d 日本
5 Li, Elwin 1d 米国
16歳未満
1 Li Zerui 1p 中国
2 Jung Woojin 5d 韓国
3 Fujii Koki 6d 日本
4 Hsu Ching-En 6d 台湾
5 Solal Zémor 3d フランス

共に中国と韓国が優勝、準優勝を飾った。なおドイツ囲碁協会はこの機会に若者向けの囲碁キャンプも開催した。

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年8月1日 ]

フランス囲碁キャンプが開催

7月第2週から第3週にかけて、フランス囲碁連盟主催のキャンプが開催された。会場はブルターニュ地方ピリアック・シュル・メールにあるキャンピングである。この場所は以前の記事でも紹介したことがあるが、フランソワ・ミゼシンさんという4dのプレーヤーがオーナーで、15年来様々な囲碁のイベントの会場となってきた。連盟のキャンプはフランス囲碁創世記から存在するイベントで、2000年代はじめからは仏南部で開催されてきたのだが、数年前に場所が変更となり、このキャンプ場を定宿とするようになった。10分も歩くとブルターニュ地方ならではの豪壮な海岸が見られる、素晴らしい場所である。

対局をする人、また他の遊びに興じる人もいる。(写真:Camille Lévêque、以下同)

日本で「合宿」というと、ひたすら囲碁を打っているというのが基本ではないか、と思うが、フランスの囲碁合宿は朝の授業、午後の対局など囲碁をメインとしつつも、囲碁を打たない人は他の遊びに興じたり、夜には色々な囲碁に必ずしも関係ない催し物が開催されたり、と盛りだくさんの内容である。フランスでは本来、こうした宿泊場において初めて出会う人達が集団でバカンスを共に過ごすことが一つの形としてあり、こうしたバカンスでは客のために様々なエンターテイメントが用意されていて、囲碁キャンプもこうした考えに基づいているのだと思う。とはいえ、以前に比べて真剣度が増したというのがもっぱらの評判。昔は朝7時ころに、踊り明かしてこれから寝につく夜組と、起き出した真面目な囲碁組が交差する、という様が見られたが、今はそういうこともなくなり、大人しくなった。いずれにせよ、こうした文化に根ざした行事であることこそが、このキャンプが他国に例を見ないほど息長く続いている理由であろう(反面、その分だけ、一見さんには敷居が高いところもあるかもしれない)。

関西棋院の林耕三6pもフランス語で指導。
指導の責任者を務めるマチュー・デリゾッティ4d。
ほかのキャンプ客も混ざってワールドカップ決勝をテレビで観戦。

今年の参加者は2週間で延べ約120人。伊ピサで開催されるコングレスに行くプレーヤーも多いことから、例年に比べやや人数が少なかった。しかし、中国、日本、韓国からプロを招いた上、欧州からもイスラエルのアリ・ジャバリン1pが指導に訪れ、豪華なキャンプとなった。参加者の評判もよかったようである。

チェコの「Moyoオープン」、リジー2pが優勝

7月13-15日、チェコの中部パルドゥビツェにおいて「Moyoオープン」大会が開催された。この大会は毎年パルドゥビツェのゲーム・チェスフェスティバルの枠内で開催されているもので、今年で17回目となる。参加者は44人だったが、このうち7d以上が4人とハイレベルな大会となった。

会場の様子。(写真:チェコ囲碁連盟、欧州囲碁連盟、以下同)
リジー2pによる講義、「AIの定石」について。

6回戦の末、スロバキアのパボル・リジー2pが全勝優勝を果たした。現在リジー2pは欧州プロの中で、シクシン2pに続く2位のポジションにつけ(7月27日現在でシクシン2pが2792ポイント、リジー2pが2761ポイント、カチャノフスキー1pが2760ポイント)、安定した力を誇っている。

成績優秀者。

2位には、地元のオンドレイ・クルムル5dが食い込んだ。3回戦でニコラ・ミティッチ7d(セルビア)を、4回戦でルカシュ・ポドペラ7d(チェコ)を破ったのが光った。3位はニコラ・ミティッチ7d、4位はデュシャン・ミティッチ7d、5位はルカシュ・ポドペラ7dだった。

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年6月25日 ]

第2回クロアチア囲碁週間が開催

地元クラブで多面打ちを行うツァラヌ5p。
(写真:クロアチア囲碁連盟、欧州囲碁連盟)

第2回「クロアチア囲碁週間」が5月21-27日にかけて首都ザグレブで開催された。ルーマニア出身のカタリン・ツァラヌ5pを講師に招いて様々なイベントが行われ、26-27日にはザグレブ・オープン大会が開かれた。クロアチアでは昨年以来、科学教育省の支援を受けて、複数の都市において幼稚園、小学校、中学校などで囲碁を広めるプロジェクトが実施されるなど積極的な普及が行われている。今回の「囲碁週間」においてツァラヌ5pは複数の小学校でレクチャーを行ったほか、地元の囲碁クラブとの交流や、ザグレブ近郊ヤストレバルスコ市の市長との対局(これは地元テレビ局で報道された)などもこなした。このほか、囲碁を学校で習っている子どもたち同士の大会や、欧州囲碁連盟(EGF)の青少年トッププレーヤー向けのキャンプも同時開催され、充実した内容となった。

ツァラヌ5pによる小学校での囲碁レクチャー。
EGFトッププレーヤー向けのキャンプの様子。

週末に開催されたザグレブ・オープン大会には46人が参加。トップグループでは、ポーランドのスタニスワフ・フレイラック7dが全勝優勝した。2位は地元クロアチアのマテイ・ザカニュ4dで、強豪のドミニク・ボビズ6dを破った。また一人楽しみな若者が現れた。3位はボビズ6d、4位はブルガリアのシナン・ジェポフ5d、5位はルーマニアのエリアン=ヨアン・グレゴリウ4dで、上位を若い世代が独占する形となった。

大会の様子。
上位入賞者。左からフレイラック7d、ザカニュ4d、ボビズ6d。
各カテゴリーの成績優秀者。

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年5月28日 ]

Kido cup、10周年を迎える

トップ8で優勝したカチャノフスキー1p(中央)の碁を李昌鎬9pが検討。(写真:欧州囲碁連盟、以下同)

独ハンブルクにおいて5月19-21日にかけてKido cupが開催された。今年は、10回目の節目の大会となった。今世紀に入って、欧州で多くの大会が生まれては消えた。10年継続する、というのは立派なことである。「Kido Cup」の名は、メインスポンサーの韓国企業Kido Industrialの名から来ている。またハンブルクには韓国棋院の尹暎善8p(女流)も在住していて、この大会は韓国の影響がとても強い。今年は特別な年、ということもあり、なんとスペシャルゲストで李昌鎬9pが訪れた。

トップ8で優勝したカチャノフスキー1p(中央)の碁を李昌鎬9pが検討。李9pは「一番印象に残っている勝利は?」「一番タフだった相手は?」「存命なら打ってみたかった相手は?」という質問に対してそれぞれ「林海峰9pに対する勝利」「依田紀基9p」「呉清源9p」と答えた。

欧州のプレーヤー8人を集めたトップ8には、パボル・リジー2p、イリヤ・シクシン2p、マテウシュ・スルマ1p、アルテム・カチャノフスキー1pの欧州プロのほか、アレクサンダー・ディナーシュタイン3p、クリスティアン・ポップ7d、ルカシュ・ポドペラ7d、タンギー・ルカルベ6dが参加。総当たりで覇を競った。結果はカチャノフスキー1pがほかのプロ勢をなぎ倒し、ポドペラ7dに屈したものの6勝1敗で優勝を飾った。2位には欧州プロ勢が5勝2敗で並んだ。

1 アルテム・カチャノフスキー 1p ウクライナ 6-1
2 パボル・リジー 2p スロバキア 5-2
2 イリヤ・シクシン 2p ロシア 5-2
2 マテウシュ・スルマ 1p ポーランド 5-2
5 ルカシュ・ポドペラ 7d チェコ 3-4
6 クリスティアン・ポップ 7d ルーマニア 2-5
7 アレクサンダー・ディナーシュタイン 3p ロシア 1-6
7 タンギー・ルカルベ 6d フランス 1-6

メイン大会は200人超を集めた。結果は現在ドイツ・イエナ在住の金永三8dが全勝優勝。ロブ・ファンザイスト7d(オランダ)が2位、ベンヤミン・トイバー6d(ドイツ)が3位、レミ・カンパニー5d(フランス、カナダ在住)が4位だった。 また、この他にもペア碁大会、ドイツ青少年選手権が開催され、実に充実したイベントとなった。

ペア碁大会の様子。
青少年選手権。
左から尹暎善8p、李昌鎬9p、Kido Industrialの朴CEO、メインオーガナイザーのシュテフィ・ヘップサッカーさんとトビアス・ベルベンさん。

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年5月14日 ]

グランドスラム大会、シクシン2pが優勝

挨拶するマーティン・スティアッシニー欧州囲碁連盟会長。(写真:欧州囲碁連盟、以下同)

欧州プロの大会としては最大級の大会である第4回グランドスラム大会が4月26-29日にかけてベルリンの中国文化センターで開催された。今年は囲碁のインターネットプラットフォームであるYike(弈客围棋)がスポンサーとなり、「Yike Cup」と名付けられたのが目新しい。

12人の参加者については、4月9日付の予選会に関する記事を参照して頂きたい。

さて毎年注目されるのが、アマチュア勢がプロ勢にどこまで食い込めるか、である。これまで3回の上位結果を見ると、以下のようになっている。

  1位 2位 3位 4位
第1回 (2015) シクシン1p
(当時、以下同)
スルマ1p ジャバリン1p ポップ7d
第2回 (2016) ジャバリン1p カチャノフスキー1p リジー1p スルマ1p
第3回 (2017) カチャノフスキー1p ディナーシュタイン3p リジー1p シクシン1p

第1回大会でポップ7d(ルーマニア)が4位に入ったのがアマチュア勢の最高記録である。若く勢いのある欧州囲碁連盟(EGF)のプロがほぼ上位を独占、昨年の大会でベテランのディナーシュタイン3p(韓国棋院)が準優勝を果たしたのはある意味快挙といえるかも知れない。
そういった意味で、今年新風を吹き込んだのがセルビア出身のデュシャン・ミティッチ7dである。

ミティッチ7d(右)は3人のプロをなぎ倒し、3位に入る快挙。
優勝したシクシン2p。集中力が素晴らしい。

デュシャンとニコラのミティッチ兄弟がセルビアのツートップとして欧州囲碁の舞台で活躍し始めてからもう随分になる。共に爽やかな青年である。日本棋院で院生も経験したニコラ7dの方は今回1回戦でジャバリン1pに敗れたが、デュシャン7dの方は最新のAI定石を上手く活用して、1回戦でディナーシュタイン3p、2回戦でカチャノフスキー3pを倒した。3回戦ではリジー2pに敗れ快進撃はストップしたけれど、その後の3、4位決定戦ではクラベッツ1pをこれまた破って見事3位に入賞した。

決勝に進出したのはシクシンおよびリジーの両プロで、共に成績優秀により最近2pに昇段している。結果はシクシン2pが白番6目半勝を収め、第1回大会以来の優勝を収めた。この両者は2月に行われた第3回欧州プロ選手権でも共に5勝1敗で1位、2位を分けた(リジー2pが優勝)。現在一番安定している2人と言えるかもしれない。

最終結果は以下の通り。
1回戦敗退
 アレクサンダー・ディナーシュタイン3p(ロシア)
 タンギー・ルカルベ6d(フランス)
 ニコラ・ミティッチ7d(セルビア)
 スタニスワフ・フレイラック6d(ポーランド)

1 イリヤ・シクシン 2p ロシア
2 パボル・リジー 2p スロバキア
3 デュシャン・ミティッチ 7d セルビア
4 アンドリー・クラベッツ 1p ウクライナ
5 アルテム・カチャノフスキー 1p ウクライナ
6 アリ・ジャバリン 1p イスラエル
7 マテウシュ・スルマ 1p ポーランド
8 コルネル・ブルゾ 6d ルーマニア

なお、グランドスラム参加者のうちフレイラック6dとデュシャン・ミティッチ7dは先日の「ぐるなび杯第39回世界アマチュア囲碁選手権戦」に参加。共に6勝をあげ、フレイラック6dは4位に、またミティッチ7dは7位に入賞する活躍を見せた。この2人が現在の所、来年のプロ入段(入段手合は今年は開催されない)の最有力候補と言えるだろうか。

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年4月17日 ]

欧州ペア碁選手権、スイスで開催

参加者。(写真:Li Yue、 スイス囲碁連盟、以下同)

4月の第1週末、欧州ペア碁選手権がスイス南部の観光地アスコナで開催された。14ペアが参加した。

内訳は、
開催国スイス2ペア、
ロシア4ペア、
ドイツ2ペア、
チェコ2ペア、
フランス、
ルーマニア、
ウクライナ、
オランダが各1ペア。

対局の様子。
チェコのバルトバ(右)・シルト・ペア。
スイスのブランビラン・ブランビラン・ペア。

6回戦の末、ロシアのアイグル・ファズルジャノバ4d/アレクサンドル・ディナーシュタイン3pのペアが全勝優勝を果たした。昨年優勝のナタリア・コバレバ5d/ドミトリー・スリン7dのペアは3位だった。健闘したのがドイツ勢で、リーザ・エンテ3d/ベンヤミン・トイバー6dのペアが2位、マーニャ・マルツ3d/マティアス・パンコケ5dのペアが4位に入賞した。

2位に食い込んだ独エンテ(左)・トイバー・ペア。
昨年優勝のコバレバ(左)・スリン・ペア。
優勝したファズルジャノバ(左)・ディナーシュタイン・ペア。
最終順位は以下の通り。

順位

女性

男性

段級位

勝数

1 ファズルジャノバ ディナーシュタイン 5d ロシア 6
2 エンテ トイバー 5d ドイツ 5
3 コバレバ スリン 6d ロシア 4
4 マルツ パンコケ 4d ドイツ 4
5 カルルスベルク トルビシン 4d ロシア 3
6 ブルダコバ ブルナエフスキー 5d ロシア 3
7 ザルツコバ ホラ 5d チェコ 3
8 カオ フネック 4d フランス 3
9 バルトバ シルト 4d チェコ 3
10 ローロフス アイクート 1d オランダ 3
11 ペトラシェフスカ スコシュコ 1d ウクライナ 3
12 マスタン キリラ 2k ルーマニア 2
13 ベルジェ ベルナー 4k スイス 1
14 ブランビラン ブランビラン 8k スイス 0

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年4月9日 ]

ニシュ・オープン囲碁大会

3月17日の週末にセルビアのニシュにおいて毎年恒例のオープン大会とグランドスラム大会予選会が開催された。

グランドスラム大会予選会

5月1日の週末にベルリンで開かれるグランドスラム大会には欧州プロ6人を含む12人が参加するが、このうち2人の枠が予選会の枠抜け者に当てられている。今年の予選会には12人が参加、5回戦を争った。

全勝者なしの激戦となったが、4勝1敗でスタニスワフ・フレイラック6d(ポーランド)、ニコラ・ミティッチ7d(セルビア)、コルネル・ブルゾ6d(ルーマニア)が並んだ。フレイラック6dはグランドスラムのスポンサーCEGO選考によるワイルドカードを通じた参加が内定していたため、結果としては3人共グランドスラムへの参加権を得ることとなった。

ポップ7d(左)とボビズ6dの対局。ポップ7dはニシュ・オープンに優勝した。
(写真:ニシュ囲碁クラブ、欧州囲碁連盟)
ドレアンゲナイジア6d(左)とフレイラック6dの対局。フレイラック6dは予選会1位だった。
(写真:ニシュ囲碁クラブ、欧州囲碁連盟)

グランドスラム参加者は以下の通りとなった。

欧州プロ(6)

イリヤ・シクシン

2p

ロシア

パボル・リジー

1p

スロバキア

アリ・ジャバリン

1p

イスラエル

マテウシュ・スルマ

1p

ポーランド

アルテム・カチャノフスキー

1p

ウクライナ

アンドリー・クラベッツ

1p

ウクライナ

ボーナス大会を通じた
ボーナスポイント(2)

アレクサンダー・ディナーシュタイン

3p

ロシア

タンギー・ルカルベ

6d

フランス

ランキング上位(1)

デュシャン・ミティッチ

6d

セルビア

予選会(2)

ニコラ・ミティッチ

7d

セルビア

コルネル・ブルゾ

6d

ルーマニア

CEGO推薦

スタニスワフ・フレイラック

6d

ポーランド

ニシュ大会

第46回となるニシュ大会には102人が参加。6d以上は15人近くにも及び、過去最高の盛り上がりを見せた。こちらも全勝者はなく、ルーマニアのクリスティアン・ポップ7d、パボル・リジー1p、ルカシュ・ポドペラ7d(チェコ)、ニコラ・ミティッチ7dが1敗で並んだが、規定によりポップ7dが優勝となった。

欧州青少年選手権

選手権のポスター。(写真:ウクライナ囲碁協会、欧州囲碁連盟)

今年の欧州青少年選手権は、3月末にウクライナの首都キエフにおいて開催された。12歳未満では99人、16歳未満では72人、20歳未満では37人が参加し、昨年のフランスに続く大規模の大会となった。

各カテゴリーの結果は以下の通り。

12歳未満

1

ステファン=アドリアン・ロタリタ

2k

ルーマニア

5-1

2

アルテミー・ピシュチャルニコフ

1k

ロシア

5-1

3

アルトゥール・ギマディエフ

4k

ロシア

5-1

4

エゴール・ラブロフ

3k

ロシア

4-2

5

アスカル・フサイノフ

2k

ロシア

4-2

ルーマニアのロタリタ2kとロシアのピシュチャルニコフ1kが1敗で並んだが、規定によりロタリタ2kが優勝した。ルーマニアは12歳未満のカテゴリーに強く、過去数年優勝者を輩出している。ロシア勢がこれに続く順位を独占するのも毎年恒例である。

16歳未満

1

アルベド・ピトナー

3d

ドイツ

5-1

2

ソラル・ゼモール

2d

フランス

5-1

3

サヴァ・メジン

2d

ロシア

4-2

4

リンブ・トゥ

2d

フランス

4-2

5

ジャコフ・ガルノフ

1d

イスラエル

4-2

ドイツのピトナー3dが初優勝した。フランスのゼモール2dはピトナー3dを破ったが、やはりフランスのトゥ2dに破れ、2位だった。

20歳未満

1

シナン・ジェポフ

5d

ブルガリア

5-1

2

マティアス・パンコケ

5d

ドイツ

5-1

3

エリアン=ヨアン・グリゴリウ

4d

ルーマニア

4-2

4

オスカル・バスケス

5d

スペイン

4-2

5

ヴァレリー・クルシェルニツキー

5d

ウクライナ

4-2

有力候補のバスケス5dが大ブレーキで2敗を喫した。優勝したのはブルガリアの新鋭ジェポフ5d。ドイツのパンコケ5dはジェポフ5dを破ったが、ルーマニアのグリゴリウ4dに破れ、1敗で並んだものの2位に終わった。

大会のビデオはこちら( http://eygc2018.org.ua/?page_id=220 )から閲覧できる。

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年3月14日 ]

第1回ブラチスラバ・Kedrosカップが開催

会場から見たブラチスラバの市内。
(写真:欧州囲碁連盟、以下同)

3月10日の週末に、スロバキアの首都ブラチスラバにおいて第1回Kedrosカップが開催された。Kedrosとはスポンサーとなった地元IT企業の名前。ブラチスラバでは毎年6月に「スロバキア囲碁フェスティバル」という比較的大掛かりな大会が開催されているが、これ以外の大規模な大会が開かれるのは久しぶりとなる。10カ国から50人強が参加、またトップグループでは地元の英雄パボル・リジー1pに加え、アリ・ジャバリン1p(イスラエル)、ルカシュ・ポドペラ7d(チェコ)、ニコラ・ミティッチ7d(セルビア)、スタニスワフ・フレイラック6d(ポーランド)、ドミニク・ボビズ6d(ハンガリー)といった強豪が参加して賑やかな大会となった。

5回戦で優勝を飾ったのはポドペラ7dで、リジー、ジャバリンの両プロを破り見事全勝の成績だった。

大会の様子。
中央が優勝のポドペラ7d、右が2位のリジー1p、
左が3位のジャバリン1p。

大寒波「シベリアの熊」、大会にも悪影響

2月の末から3月の頭にかけて「シベリアの熊」「パリ・モスクワ」などと呼ばれる大寒波が欧州を襲ったが、これが一部の大会運営にも悪影響を与えた。特に3月第1週末に開かれたダブリン「孔子杯」は、ここ数年大きな成功を収め、強豪の集まる大会だったが、大雪で飛行機のキャンセルなどが相次いだため今年の参加者はわずか10人あまりにとどまった。優勝したのは大会数日前にダブリンに到着して寒波を避ける手筋を放ったルカシュ・ポドペラ7dだった。

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年2月15日 ]

第3回欧州プロ選手権、リジー1pが初優勝

第3回となる欧州プロ選手権が2月5-9日、ルーマニアのヴァトラドルネイにおいて開催された。

ヴァトラドルネイの町並み。ルーマニア北部ブコヴィナ・モルダヴィア地方にあるスキーリゾートである。
(写真:EurogoTV、Judith van Dam)

欧州プロ選手権は、第1回、2回とロシアのサンクトペテルブルグで開催されており、第1回はフランスの樊麾(ファンフイ)2pが、第2回はイリヤ・シクシン1p(当時)が優勝している。

メインオーガナイザーのカタリン・ツァラヌ5p(右)夫妻。(写真:EurogoTV、Judith van Dam)
参加者のプレート。(写真:欧州囲碁連盟)

ルーマニアではここ数年囲碁関連行事を盛り上げようとする動きが盛んで、ヴァトラドルネイでの冬季囲碁キャンプもその一つ。今回の欧州プロ選手権は、この囲碁キャンプに併せて行われた。同時に、欧州囲碁連盟(EGF)アカデミーのキャンプも行われている。

プロ選手権に参加したのは昨年の優勝者イリヤ・シクシン2p(最近、昇段点に達し、欧州プロとしてはじめて2pに昇進した)をはじめとする欧州プロ6人(パボル・リジー1p、アリ・ジャバリン1p、マテウシュ・スルマ1p、アルテム・カチャノフスキー1p、アンドリー・クラベッツ1p)に加え、アレクサンダー・ディナーシュタイン3pを加えた7人で、総当たり戦で覇を争った。


ディナーシュタイン3p(左)対カチャノフスキー1pの対局。(写真:EurogoTV、Judith van Dam)

ジャバリン1p(左)対シクシン2p。ジャバリン1pは、先日のグランプリファイナル戦と打って変わって不振だった。(写真:EurogoTV、Judith van Dam)
最終結果。(写真:欧州囲碁連盟)
優勝したリジー1p。(写真:欧州囲碁連盟)

結果は、パボル・リジー1pが最終戦でジャバリン1pに負けたのみの5勝1敗で見事優勝を果たした。リジー1pは欧州囲碁連盟(EGF)のプロ第1号。その後は大きな大会での優勝がなかったが、今回は独特の鋭い棋風が開花、苦しい碁も見事な逆転で勝利につなげた。

なお、2位はシクシン2pで、やはり5勝1敗だったが、直接対決でリジー1pに負けたのが響いた。3位はカチャノフスキー1pが占めた。

囲碁キャンプは週末にも続き、新設となる「Vado Cup」をはじめ様々な大会が催される。

囲碁キャンプに参加する子どもたち。シチョウ…かな?(写真:EurogoTV、Judith van Dam)

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年1月29日 ]

第1回グランプリファイナル、ジャバリン1pが優勝

 1月18-21日にかけて、第1回グランプリファイナル大会がチェコ・モラビア地方のオロモウツにあるパラツキー大学において開催された。「欧州グランプリ」を構成する10大会の結果により選抜された16人のプレーヤーが参加した。
「欧州グランプリ」は欧州囲碁連盟(EGF)が2015年以来実施しているシステム。これは「積極的に大会に参加している欧州出身プレーヤーのパフォーマンスを測り、成績優秀者を表彰する」ことが目的とされていて、1年の間にEGF圏内で比較的重要な大会に参加したプレーヤーに成績によって得点を与え、その総合点を争う、という内容。こうしたシステムは以前、トヨタやパンダネットも主催していていた。「欧州グランプリ」を構成する「比較的重要な大会」としては、毎年5月にベルリンで開催されるグランドスラム大会に加え、得点配分の高さに従ってAランク大会からCランク大会までがある。こうしたランクはどのように決定されるか、というと、一言で言えば大会組織者がEGFに納める金額の差によるものである。今回のファイナル出場者を決定した2017年の大会を見ると、Aランク大会は独オーバーホフ欧州コングレスにおける欧州選手権のみ、Bランク大会は4大会(サンクトペテルブルク、ダブリン、パリ、アムステルダム)、Cランク大会も4大会(セルビアのニシュ、ウィーン、チェコのパルドゥビツェ、アムステルダムの欧州日本棋院25周年大会)で、グランドスラムを加え全部で10大会となっている。
「欧州グランプリ」は欧州プレーヤーに大きなモチベーションを与えるシステムではあるが、グランドスラム大会での得点配分が高いため、その勝者がほぼ自動的にグランプリの勝者にもなってしまうことが欠点である。今回、「グランプリファイナル」と呼ばれる大会が創設されたのには、恐らくその点を修正する意味もあるのだろうと思われる。また、今年はプロ選考手合が開催されないのも関係しているのかもしれない。
さて、参加したのは以下のプレーヤーで、第1段階では4人の総当たりリーグ戦を争い、上位2人が決勝ステージに進出する、というサッカー・ワールドカップのようなシステムである。

Aグループ
名前 段位 出身国 結果(勝-敗)
アルテム・カチャノフスキー 1p ウクライナ 2-1
タンギー・ルカルベ 6d フランス 1-2
アリ・ジャバリン 1p イスラエル 2-1
ニコラ・ミティッチ 6d セルビア 1-2
Bグループ
名前 段位 出身国 結果(勝-敗)
パボル・リジー 1p スロバキア 1-2
アレクサンダー・ディナーシュタイン 3p ロシア 2-1
クリスティアン・ポップ 7d ルーマニア 3-0
チャバ・メロ 6d ハンガリー 0-3
Cグループ
名前 段位 出身国 結果(勝-敗)
マテウシュ・スルマ 1p ポーランド 3-0
ドミニク・ボビズ 6d ハンガリー 0-3
アンドリー・クラベッツ 1p ウクライナ 1-2
デュシャン・ミティッチ 6d セルビア 2-1
Dグループ
名前 段位 出身国 結果(勝-敗)
マイリヤ・シクシン 1p ロシア 3-0
ルカシュ・ポドペラ 7d チェコ 0-3
ビクトール・リン 6d ウィーン 1-2
オスカル・バスケス 5d スペイン 2-1
見事枠抜けを果たしたバスケス5dは7位に入賞。
順位戦ではポップ7dを血祭りに。
(写真:Judith van Dam – EurogoTV)

プロではリジー1pとクラベッツ1pが脱落。逆にアマチュアからはデュシャン・ミティッチ6d、ポップ7d、そして若手期待の星であるバスケス5dが見事枠抜けを果たした。

ノックアウト方式で行われた決勝ラウンド1回戦では、ジャバリン、スルマ、カチャノフスキー、シクシンの欧州プロ4人がアマ勢を葬り去って準決勝に駒を進めた。やはり欧州プロ勢の壁は厚く、これを破るのは至難の業である。決勝に進出したのはジャバリン1pとカチャノフスキー1pで、結果はジャバリン1pが根性のシノギを見せて優勝した。ジャバリン1pは昨年はグランドスラム大会で最下位に沈むなど大ブレーキで、ほとんど活躍がなく心配させたが、今回の優勝が再上昇のきっかけとなるか。

ジャバリン ジャバリン ジャバリン ジャバリン
ディナーシュタイン
スルマ スルマ
バスケス
カチャノフスキー カチャノフスキー カチャノフスキー
ポップ
シクシン シクシン
ミティッチ
優勝を飾ったジャバリン1p。
(写真:Judith van Dam – EurogoTV)
最終結果は以下の通り
1 アリ・ジャバリン 1p
2 アルテム・カチャノフスキー 1p
3 イリヤ・シクシン 1p
4 マテウシュ・スルマ 1p
5 デュシャン・ミティッチ 6d
6 アレクサンダー・ディナーシュタイン 3p
7 オスカル・バスケス 5d
8 クリスティアン・ポップ 5d

[ 記事:野口基樹 ]

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