6月 思い出の一局
坂井秀至七段(当時)と組まれたペア碁ワールドカップ2010でのエピソードをご紹介していただきました。
女流棋士の思い出の一局では、担当の女流棋士の印象に残っている一局をご紹介します。対局当時の状況や気持ちを振り返っていただき、その当時の思いを皆さまにお伝えします。 続きを読む
石井茜二段 思い出の一局
- 2010年3月21日 ペア碁ワールドカップ2010
- 黒番:李ミン眞・睦鎮碩 白番: 石井茜・坂井秀至
※下線付き番号は女性の着手です
棋譜の拡大版は こちら
2009年末に行われたプロ棋士ペア碁選手権で坂井秀至七段(当時)と組ませていただき、初参加でまさかの優勝をしました。
その年は後に行われるペア碁ワールドカップの予選も兼ねていたので、それに日本代表として参加させていただきました。
準々決勝での韓国ペアとの一局。
1対1じゃ打つ機会もないようなトップ棋士が相手です。
でもペア碁だからきっと勝つチャンスがある!と強い気持ちで挑みました。
中盤は私の失敗で悪くしてしまったものの徐々に追い上げ僅差に。
そして相手の黒163がミスで一気に勝勢になり、「これは勝った!」と思ったそのすぐ後でした。
白176坂井秀至七段が後に悔み続けた一手。
この手で図の白1に打っておけば△が利くので右下の白がすでに生きていて、AとBが見合いで分かりやすく勝ちでした。
ただその後も冷静に打てば勝っていたのですが、二人ともお互いの予想外の手にパニック(笑)
白184が普段だったらありえないポカで右下の大石がトン死、無念の投了となりました。
この碁の後、坂井七段は「あそこで直角に打っていれば・・」(図の白1のこと)と次の日まで言い続けていました(笑)
とても残念な碁でしたが、ペア碁ならではの負け方で今となっては笑える思い出です。