囲碁ゲームサロン パンダネット

学習

12月 女流棋士囲碁相談室

青葉かおり四段へのご相談

毎月月初に更新される「女流棋士囲碁相談室」、月々担当する華の女流棋士が、最近の出来事などの近況のお手紙とともに質問に回答していただきます。 続きを読む

あなたのお悩み囲碁相談室

今月のご相談 其の一

私は級位者ですが、打つのがホントに遅いです。
考えてもちゃんと読めないのに考えてしまい、いつも時間だけ使ってる感じです。一手、二手、三手・・・もやもやもや・・・とりあえず打っちゃえ!ってことになり、そうやって気付けば切られるだけ切られて荒らされるだけ荒らされてます(泣)切違いなどされたらさっぱりです。
詰め碁や棋譜並べは毎日やっていますが、ここに打たれたらえっと・・・ここはあっと・・・と、結局いつまでも手が浮かびません。碁会所やネットでは、多くの方は打つのが早く、どのように考えているのだろうかと疑問に思うのです。
囲碁が強い人というのは、どのように読んでいるのでしょうか??ここを切られたら一手、二手、三手・・・とは読んでいないのだろうと思うのですが・・・。そんな感じでもいいのでしょうか?

岸川さんからのご相談

岸川さん、こんにちは!
「読み」に関して、お悩みのようですね。私の場合、打つ手を決めるときは囲碁の知識と読みを使います。囲碁の知識とは、手筋や定石など、過去の経験や勉強から得たものです。

ある程度の囲碁の知識があれば、盤面をひとめ見て、こちらの方向はまずい、とか、この手は駄目かな、という判断が出来て、次の手の候補を2、3手もしくは1手に絞れます。なのでノータイムでも打てますし、時間がある場合は、そこから読みを入れていきます。

普通、囲碁の知識は腕が上がるにつれ増えていきます。そして、この知識がまだ少ない場合、そこを読みでカバーするのはとても大変です。1手2手3手と順に読んでいくのは悪くはないのですが、読んで出来上がった図の判断も難しい問題です。

つまり「読み」とは、ある程度の囲碁の知識がないと使いにくい武器なのです。

というわけで、今の岸川さんへのお勧めは、打つ手に悩んだ時は、ぱっと目に付いたところから打っていくことです。(有段者の方には、読みの訓練の為にも、悩む場面は少し時間を使って考えることをお勧めします)はじめに目に付くところは、だいたい打ち手の実力に合った手です。目に付いたところに打ち、上手くいったらそのままで良いし、失敗したらこの手はまずいという情報を得る。その繰り返しで囲碁の知識が増え、判断力がつき、読みも正確になり、囲碁の腕が上がります。

初めのうちは失敗が多くても、そのうちに知識ポイントが貯まり、良い手を早く打てるようになります。かくいう私も、級位者のころも今も、失敗ばかり。でも私が思うに、沢山失敗したほうが、早く強くなります。一番良くないのは、失敗を恐れて守ってばかりいること。どんどん積極的に行って、失敗すればするほど、学びも多く知識も増えるはずです。

ぜひ、悩み過ぎずに、色々と試してみてくださいね。

今月のご相談 其の二

青葉先生、こんにちは。「布石ってステキ」楽しく拝見させていただきました。私は高校の時棋道部で囲碁を打っていましたが、20数年ぶりに再び囲碁がやりたくなってまた始めました。
ところで、近年世界戦での日本の囲碁は、韓国・中国に歯が立たず、私は大変悲しく思っています。日本の囲碁と韓国・中国の囲碁とは根本的にどこが違うのでしょうか。また、どうしたら勝てるようになるのでしょうか。
ぜひとも日本の囲碁界に輝かしい未来が訪れることを願っています。

山田さんからのご相談

山田さん、こんにちは。囲碁は20数年ぶりとのこと、お帰りなさい!

うーん、難しいご質問ですね。長い間、日本の囲碁は世界トップレベルでした。それは江戸時代、幕府によって囲碁棋士が保護されていたからです。専門家が囲碁に打ち込める環境があり、長い歴史を経て日本の囲碁は、単に勝ち負けを競うだけではなく、芸や美しさも重視するようになりました。

しかし、20年程前に韓国の躍進が始まり、世界戦を席巻しました。この頃の韓国の囲碁は、ヨミが正確で実戦的(形の美しさなどにこだわらない)、粘り強く、ヨセが正確、という特徴を持っています。
形に明るい日本の棋士が序盤から中盤を有利に打ち進めても、(これまでの日本の感覚だとこれで勝てるはずなのですが)中盤から終盤のヨセの研究が進んでいる韓国の棋士が逆転勝ちする、という現象が頻発しました。
その後インターネットの普及もあり、世界トップレベルの囲碁が劇的に変わりました。

これまで囲碁とは、陣形を整え、戦闘と和睦をして、お互いに陣地を分け合い、最後に計算しましょう、というものでした。しかし、今の世界の囲碁は、始まったとたんお互いの剣先が一閃して勝負が決する、ぐらいのスピード感です。また、全局を通じて難解な読み合いが続き、相手に隙あらば即勝負を決める、というシビアさも持ちます。
この変化は韓国勢、中国勢を中心に起こり、日本はそれに対応するのが遅れた、というのが現状だと、私は考えます。

最後に、どうしたら勝てるようになるのか?

方法論は色々とあると思いますが、やはり中国勢や韓国勢以上のハングリーさをもって囲碁に取り組むこと。

でしょうか・・・。

華の女流棋士 思い出の一局トップへ戻る