6月 女流棋士囲碁相談室
小林泉美六段へのご相談
毎月月初に更新される「女流棋士囲碁相談室」、月々担当する華の女流棋士が、最近の出来事などの近況のお手紙とともに質問に回答していただきます。 続きを読む
今月のご相談 其の一
もともと緊張しいなのですが、囲碁でも弱気のせいで負けてしまいます。
接戦のときなど、後半になるにつれどんどん弱気になって投了してしまい、よくよく数えると自分がまだ勝っていた、なんてこともざらにあるのです。
ネット碁だと少しはましですが、それでも秒読み段階になると、ちょっと地を削られただけでもう駄目だと観念してしまいます。
この精神的な弱さを克服するにはどうしたらよいでしょう?
また、プロの先生はもっと緊張する対戦をされていると思いますが、小林先生やプロ棋士の方々はそういうときどうやって自分の気持ちを落ち着かせているんでしょうか?
吉野さんからのご相談
吉野さん、こんにちは。
緊張したせいで普段の実力が発揮できないと、くやしいですよね。
私はどちらかというと、逆のタイプで・・・。大勢の人前で話したりなどする時はかなり緊張しますが、碁盤の前に座ると逆に落ち着いてしまいます。もちろん、タイトル戦や特別な対局の場合は独特の緊張感はありますが、むしろその緊張感がなくては気合の入った碁は打てないような気もします。
緊張も悪い影響だけでなく良いように作用することもあるので、ぜひ、いい「緊張感」を感じながら対局されてみてはいかがでしょうか。
また、弱気、ということですが、確かに秒も読まれて相手に強気強気の着手を連発された時などはドキドキしてしまいますよね。
盤上の着手は技術的な部分も大きいですが、精神的なものも大きいですものね。
でも、やはり心と技術は必ずつながっているので、自分の得意なものがあればそれが自信につながり、心も安定して打てるような気がします。
終盤に弱気になってしまう傾向があるようでしたら、ヨセの勉強や詰碁などをしてヨミの力を鍛えてはいかがですか。すぐに結果は現れなくとも、「自分はヨセを勉強している」という事実が自信になってもっと気持ちが堂々と戦えるかもしれません。
今月のご相談 其の二
これまで夫婦で囲碁を楽しんできましたが、息子が5歳になりそろそろ囲碁を教えてもいいかなと思っています。
みんなで囲碁を出来るファミリーに!と夢を見てしまうのですが、私自身は親に無理やり習わせられ、子供の頃は「お稽古」の時間が嫌でたまりませんでした。
大人になってから改めて始めてから囲碁の面白さがわかりましたが、子供の頃にこの面白さが分かっていたらもっと上達していたろうなと思うと残念にもなります。
息子には囲碁に興味を持って続けてほしいと思うのですが、小さな子供に強制せず、囲碁の面白さを教えるにはどうしたらよいでしょうか。
内崎さんからのご相談
内崎さん、こんにちは。
囲碁ファミリー♪素敵な夢ですね。ぜひぜひ実現していただきたいです!
実はうちも長女が4歳になりましたが、まだ碁は本格的には始めていません。石の取り方が何とかわかる程度です。碁は初めの教え方が難しいのでいまだに試行錯誤中です。
うちは教育に関することなどのアイデアは全部主人が思いつくのですが、3月のお誕生日の時に「5路盤で始めてみたらどうかな?」と言い出しました。
日本棋院から出ている本で、5路盤を使ったパズルのような本が出ているのですが、それを問題として出してみました。するとちゃんとヒントを出して導けばなんとか答えにたどり着きました。入門に19路盤は論外として13路、9路もまだ大きいと感じていましたが、5路盤の問題なら、最後の地の数え方などが早く理解できるのでいいと思いました。
ただこの本は最初の数問以外は急にレベルアップしてしまうので、困ったな、と思っていたところ、再び張栩が「そっか、5路では広すぎるんだ。こすみは4歳だから4路盤にしよう!」といって、問題を作り始めました。碁盤ももちろん手作りですが、小さいので簡単に作れます。小さくて可愛い碁盤と碁石はとても気に入って、「問題やる~」と今のところ楽しんでやっています。
内崎さんのご経験でも書かれていましたが、嫌々碁を打つなんてもったいないですよね。
どう教えるかも大切と思いますが、まずは雰囲気作り☆最初はとにかく碁が好きになってくれるのが一番と思います。とにかく少しでもできたらいっぱいほめてあげてくださいね。
子供の成長は本当に早いですから、きっと囲碁ファミリーになる日もそう遠くないはずです。
後日談ですが、この4路盤の問題、作り始めたら意外とプロでもひと目でできない問題ができてしまって、改めて碁のゲームの奥深さを実感しています。
こすみのためと思って作った4路盤ですが、新しい碁の楽しむツールとしてアピールできたら良いな~と思っています。