3月 女流棋士囲碁相談室
矢代久美子五段へのご相談
毎月月初に更新される「女流棋士囲碁相談室」、月々担当する華の女流棋士が、最近の出来事などの近況のお手紙とともに質問に回答していただきます。 続きを読む
今月のご相談 其の一
今年中学生1年生になります。大きい模様の碁を打つ人は、いつも有段者の気がします。模様の碁を打つのも打たれるのも苦手なので、気のせいだったら嬉しいです。先生はどう思われますか?
東京都 野上さんからのご相談
野上さん、こんにちは。ご相談ありがとうございます。
まだ中学1年生ということなので、これからもメキメキ強くなりますよ!
うらやましい限りです。
さて、「模様の碁」についてですが、私の経験上、棋力にはあまり関係がない気がします。純粋に棋風の問題だと思います。
かくいう私も、模様の碁は苦手で、打っても打たれてもよく負けている気がします。一緒ですね。
ただ、野上さんの場合、まだ碁暦が短いと思いますので、あえて苦手な「模様の碁」にチャレンジしてみるのもいいと思います。
色々と試してみると見えてくるものがあると思いますよ。
これからも碁を楽しんでいってくださいね。
今月のご相談 其の二
矢代先生、こんにちは。突然ですが、先生が感じる囲碁の「醍醐味」はどこにありますか?「こんな局面が面白い」とか、「これは心に残る勝負だった」など、そういったことがありましたら教えてください。
埼玉県 桜井さんからのご相談
桜井さん、こんにちは。ご相談ありがとうございます。
囲碁の「醍醐味」ですか・・・。
普段勝負にあけくれている身としては、あまり考えたことがないテーマですが、ちょっと今までの経験を思い起こしてみます。
まず勝った時。特に強敵に勝った時はかなりの充実感なのですが、これはどちらかというと棋士としても「醍醐味」ですね。
どうしても思い出すのは、勝ち負けが絡んだことばかりで、自分の発想の貧しさにあきれてしまいます。
だいたい、勝ち負けを決めるだけならじゃんけんでも何でもいいんです。
そこをあえて囲碁で白黒つけるというのは、頭をたくさん使って、知恵を振り絞って、一手一手打っていくわけです。その行程がまず楽しみの一つですよね。
でも―――考えても分からない局面がたくさんあるわけです。
正解はゲームですから一つしかないはずなのですが、でも分からない。
この「答えが分からない」ところが、囲碁の「醍醐味」なのでは?と思います。
だから何十年も囲碁というゲームをやって来たのだと思いました。
相談の回答が希望にそえたものではないような気もしますが・・・すみません。
これからもよろしくお願いします。