7月 女流棋士囲碁相談室
万波佳奈女流棋聖へのご相談
毎月月初に更新される「女流棋士囲碁相談室」、月々担当する華の女流棋士が、最近の出来事などの近況のお手紙とともに質問に回答していただきます。 続きを読む
今月のご相談 其の一
私は9歳です。日本にいるときは四段で打っていました。本当は二段くらいです。今、パパの仕事でニュージーランドにいます。パパは知らない人と対局するのがいやみたい。本ばかり見てずっと勉強しています。たまにニュージーランド人と打つといつも負けています。私はその人に3連勝しました。でもパパと打つとほとんど負けてしまいます。何でですか?
ニュージーランド 杉本さんからのご相談
杉本さん、かわいらしい心温まる相談をどうもありがとう^^
四段で打っていたとは相当な実力の持ち主ですね!「本当は二段くらい」と書いてありますが、きっと立派に四段の実力があることでしょう。
さてニュージーランドの人には3連勝したのに、パパにはなぜ負けるの?という相談ですが、きっとお父様は杉本さんの棋風をよくわかっているのでしょう。棋風がわかっていると碁の作戦が立てやすいですし、もしかしたら杉本さんの碁の癖まで知っているのかもしれません。それがお父様が杉本さんに勝つ秘訣なのでは。でもお父様はニュージーランドの方の棋風はまだよくわからない。だから負けてしまうのではないでしょうか。
杉本さんは外国の方と対局しても物怖じせず、3連勝している!とても素晴らしいことだと思います。
今度はお父様の碁をよーく見て、気風を探ってみてください。お父様の棋風がなんとなーくでも分かってきたら、きっと立派に戦えることと思いますよ。
ニュージーランドという素敵な国に住んでいてうらやましいです^^この機会にぜひいろんな国の方と碁を打ってみてくださいね。
今月のご相談 其の二
二人の子供に碁を教えていますが、一方は完全な石取り碁、もう一人は形はきれいなのですが、取るべき石も取ろうとしません。どうしたらよいでしょうか?
埼玉県 熊野さんからのご相談
熊野様、こんにちは。
お二人のお子様に碁を教えているのですね。
ご兄弟で棋風が違うのはよく聞く話です。私事ですが、私も妹とはまったくと言っていいほど気風が違います。性格の表れなのかもしれません。
棋風に個性が出てきている証拠ですから、それほど無理に変える必要もないと思いますが、気になるようでしたらそれぞれに棋風と反対の碁を並べさせてはいかがでしょうか。石取り碁のお子様には手厚い棋風の碁を、きれいな形を打つお子様には厳しい棋風の碁を、というように。
ちなみに取るべき石を取ろうともしないというお悩みですが、きっとそのお子様は全体的なことを見ているのかもしれませんね。部分的な石を取るよりも大きな視点で盤面を見ているのかも知れません。
私はそのお子様たちが持っている気風を存分に伸ばすのも一つの方法だと思います。
必要を感じたら棋風を自ら変える時期がきっと来るはずです。それを待ってみるのもいいかもしれませんね^^
ぜひご家族で囲碁を楽しんでください。