7月 女流棋士囲碁相談室
万波佳奈三段へのご相談
毎月月初に更新される「女流棋士囲碁相談室」、月々担当する華の女流棋士が、最近の出来事などの近況のお手紙とともに質問に回答していただきます。 続きを読む
今月のご相談 其の一
序盤の布石について悩みがあります。模様でいくべきか、焼きもちをを妬いたような石を打つべきか何時も考えます。私は初段格であまり強くありません。模様に布石した場合、相手が陣地に侵入してきて捌かれます。それが悔しくてなりません。どの様に考えるべきでしょうか。
山口県 山本さんからのご相談
山本様、ご質問ありがとうございます。
序盤の打ち方は難しいですよね。
焼きもちを妬いたような打ち方というのは、がんばった手、ということでしょうか。でもどうやら山本様は模様の碁が好きみたいですね^^
確かに模様の碁というのは、せっかく大きな地を作ったのに相手に中で捌かれたら大変損した気分がします。でも碁というのはほんのちょっとでいいから、相手の地より多く地を取ればそれで勝てるゲームなのです。
ですから、たとえ60目を見込める模様が作れたとしても、相手の地が30目くらいでしたらその模様を40目まで減らされても大丈夫なのです。
それに侵入というのは無理気味な手でもあります。その場合必ずどこかで見返りがくるはずですから、入ってきた石を全部取ろうとはせず小さく生かせば他の面でおつりが来ることがしばしばあります。
碁というのは息の長いゲームです。
布石はその土台作りですから、自分の好きな構えを目指していけばますます碁が楽しくなっていくと思います。
これからも碁を楽しんでくださいね。
今月のご相談 其の二
はじめまして。現在1級で打っているのですが、中押しの勝ちや負けが多く細かいところまで行くことがあまりありません。自分でも打ちすぎの傾向があるのは分かっているつもりなのですが、実戦ではなかなか上手く行かないのです。先の長い碁にあこがれてます。アドバイスお願いします。
大阪府 海老さんからのご相談
海老様、こんにちは。
実は私も打ちすぎがよくあり、先の長い碁にあこがれています。
ですので、アドバイスというよりも、私が心がけているものをお伝えできればなと思います。
まず碁が険しくなっていきそうな場面になりましたら、いったん手を止め、一呼吸つけます。勢いでポンポン打ってしまうと、どうしても打ちすぎが多くなりますからね。そして碁盤全体を見渡します。
もし戦っている場面が自分の援軍の多いところでしたら、そのままどんどん打ってしまって構いません。
でも相手も強いところでしたら、形勢判断をします。これはザッとでいいのです。
そこで形勢が悪いかなと感じたならば、またどんどん打っていきます。
けれども不明、もしくはいいと思ったならば、そこで初めてゆっくりした手も考えて見ましょう。
打ちすぎが出そうな場面になりましたら、
・手を止め、碁盤を見渡す
・形勢判断をする
これでずいぶん変わってくるはずです。
お互い力碁だけではなく、息の長い碁も打てたらいいですね。
がんばりましょう。