12月 女流棋士囲碁相談室
青葉かおり四段へのご相談
毎月月初に更新される「女流棋士囲碁相談室」、月々担当する華の女流棋士が、最近の出来事などの近況のお手紙とともに質問に回答していただきます。 続きを読む
今月のご相談 其の一
一度負けるとその後も負けが続く癖(連敗癖)があります。どうすれば、なおるでしょう。
静岡県 上村さんからのご相談
上村さん、お便りありがとうございます。
連敗癖ですか・・・。
耳が痛いです。ただいま公式手合6連敗中の私も、その問題で悩んでいるんです。
負けが込むと、勝ちたい、勝ちたいと思いすぎて、つい焦った手を打ってしまったり・・・。
勝ちのイメージが遠のいて、優勢な碁も逆転されてしまったり・・・。
このままずっと勝てないのでは、と思うこともよくあります。このような場合、一旦勝ち負けについて忘れることをお勧めします。
勝ちたいという思いが強すぎると、勝ちから遠ざかると良く言われます。負けて元々ぐらいの気持ちで打たれてみてはいかがでしょうか。優勢になっても焦らず、負けて元々と、用心しながら。
私の場合、調子の良い時は気持ちが締まっていて、丁寧に油断することなく打ち進めることができます。良い時の精神状態を思い出しながら、油断なく盤面に集中すれば、きっと良い結果に結びつくと思います。
私も連敗脱出に向けて頑張ります。上村さんも頑張ってくださいね。
今月のご相談 其の二
碁は精神力が勝負といいますが、精神力をつけるにはどのようなことを心がければ良いでしょうか?
鹿児島県 山下さんからのご相談
山下さん、こんにちは。
私はまだ棋士としても人間としても未熟で、精神力について語るのはおこがましいのですが、思うことをいくつか・・・。
囲碁の実力が同じくらいの場合、何が勝負を分けるかと言えば、その日の体調、精神状態などでしょうか。
なかでも、思いを強くするというのは大切なことだと思います。その対局にかける思いを強く、強く持ち、研究を怠らず、体調を万全に持っていく。悩み事をつくらない、対局以外の雑念に惑わされない、など。
私には、全てに精神力を強くするにはどうすれば良いのかは分かりません。ただ、何を大切にするか、自分の力を何に傾けるかということで違うと思います。私は職業が棋士なので、対局には自分の全てが出し切れるようにいつも願い、準備して、気持ちを強く持ち、頑張ります。しかし、他の事に関して言えば、1人暮らしは寂しくて出来ませんし、何かとくよくよして悩みは尽きません。
囲碁界で精神力が強いと言われる棋士は、囲碁に傾ける思いが強いのだと思います。生活の全てが囲碁中心に回っている棋士も大勢います。寝ても覚めても囲碁の事を考え続ける棋士もいます。その努力、思いの強さが勝負を分ける精神力をつくるのではと私は思います。
少し話が長くなってしまいましたね、ごめんなさい。
最後に、最近ある一流棋士がこう言っていました。
「対局中に相手が悪手を打ったと思っても、自分が悪い手を打ったと思っても、実際のところは分からない。だから常に良い勝負ぐらいと思い、淡々と最善手をさがすこと。」
なるほどと、感心してしまいました。これならすぐにでも活用できそうですよね。
お便り、ありがとうございました。