10月 女流棋士囲碁相談室
加藤朋子女流鶴聖へのご相談
毎月月初に更新される「女流棋士囲碁相談室」、月々担当する華の女流棋士が、最近の出来事などの近況のお手紙とともに質問に回答していただきます。 続きを読む
今月のご相談 其の一
囲碁は大きく分けてヨミと判断に分けられると思います。
私は、ヨミを意識すると判断が疎かになり判断を意識するとヨミが疎かになってしまい困っています。
ヨミはどんな簡単なものでも、そこに意識が行かないと読めないものだと思います。
私は、特に自分の石に対する利き筋、傷に意識が行かない傾向が強く困っています。
また、ヨミがしっかりしないと途中で間違えて勝ちきれないことも多くあります。相手も自分が間違えるのを待って、それを狙って中押しをしない人も多々います。
加藤さんは、どのような場所をいつヨムようにされていますか?
また、ヨム際においてどのような留意をされていますか?
また、判断とヨミを両立させる良い方法があったら教えていただきたく思います。
お願いいたします。
広島県 大崎さんからのご質問
ご質問ありがとうございました。
自分の読みが必ずしも正しいとは限りません。それは、相手がいるからです。
当然、棋風が違うし考え方も違う。悲観派の人か楽観派の人かにもよって、自分の読み筋と違った手を打たれる場合が多々あるはずです。
ですから、そんなに根詰めて読む必要はないと思うのです。もちろん、死活がらみや勝負どころでの読みは大切ですが…。
判断はもちろんいろいろな手を読み変化を考えそこで迷います。そのときどうするかです。
私の場合は積極的に出ようと心がけています。攻める、踏み込む。優勢だと意識した時も変に妥協しないようにします。
基本的には、石の強弱に気をつけて判断すれば、攻めるべきか、守るべきか作戦を立てやすいと思います。
それだけ、読んで打てるのですから自信をもって打ってください。そしてそんなに深刻に考えず、楽しく打ってください。
私も最近気楽に打って迷わず思いきりよく打っています。
頑張ってください!
今月のご相談 其の二
加藤様が、同じ埼玉出身であるということと、一度プロになる事をあきらめかけたにも関わらず不屈の闘志でプロになられたすごい人ということで、親近感と敬意を感じております。
さて、私の質問ですが、「上達のためにはプロの碁を真似たらよい」という説に対して質問いたします。
私の場合、中国流、ミニ中国流、小林流といったプロの布石を試みようという意欲が10年くらい前から全くなくなり、中央三連星等の独自の布石でパンダでも戦っております。
そのため負けることもままありますが、勝った時は「自分の碁で勝った」という感慨で喜びも一潮であります。
マイナス面としては他人の知っている流行定石のようなものに疎くなるといった点があります。
このような私の姿勢について加藤様はどう思われますか。同じような悩みをいだいたことはありませんか。
ご教示いただきたく存じます。
埼玉県 高橋さんからのご質問
ご質問ありがとうございました。
自分が好きなあるいは、自分の得意とする布石を決めて打つことは大変すばらしく思っています。
高橋さんは三連星がお好きなようですね。それが自分に合っていて得意とするなら考え方を変える必要はないと思います。
自信があるならなおさらです。
私などは、とても自信が持てずいまだに自分の好きな布石がありません。
知らない定石など、流行の形などの勉強法は、新聞などの碁に触れておくとか、囲碁年鑑を並べてみるなどはどうでしょうか。
それを覚える必要はないと思いますが、実戦で打たれて困った時に「どこかで見た記憶があるな。」と思い起こせば、あとで調べなおす手がかりにはなりますよね。
定石などは失敗を繰り返しながら研究して覚えていけばよいと思います。
自分の碁を確立出来るよう頑張ってください。