囲碁ゲームサロン パンダネット

大会・イベント

アメリカ囲碁ニュース 2016

アメリカの囲碁ニュース・棋戦情報のバックナンバーをご覧にいただけます。

アメリカからの囲碁ニュース・棋戦情報を皆様にお伝えします。

囲碁ニュース [ 2016年12月26日 ]

ベネズエラでイベロアメリカ選手権開催

 第18回イベロアメリカ囲碁選手権がベネズエラの首都カラカスにおいて10月7-9日にかけて開催された。ベネズエラから23人、ほかの6カ国から17人のあわせて40人が参加した。

 アルゼンチンの強豪フェルナンド・アギラール7dが優勝を飾った。昨年優勝のウヤマ・ヒサオ7d(ブラジル)は2位だった。3位にはフアン・カルロス・カリージョ1d(チリ)が続いた。なお、10月10日には第1回となるイベロアメリカペア碁大会が開催された。

大会の様子。
大会の様子。
大会の様子。
大会の様子。



ラテンアメリカ青少年囲碁トーナメント、インターネット上で開催

大会の様子。
オンライントーナメントに参加したチリ・Aonken囲碁クラブのメンバー。

 今年4月から11月にかけて、インターネット上で18歳未満のプレーヤーを対象とした「ラテンアメリカ青少年囲碁トーナメント」が初めて開催された。ベネズエラ、メキシコ、チリ、エクアドルから24人が参加した。1ヶ月1局のペースで実施されたこの大会で優勝したのは、ベネズエラのアベル・ペレス11k。2位はメキシコのレオナルド・バルドビノス9k、3位はチリのベンジャミン・ミミザ8k、4位はエクアドルのホアキン・プロアーニョ4kで、見事に参加各国がトップ4に一人ずつを送り込んだ。
 なお、パンダネットは今年11月から「ラテンアメリカチーム選手権」を開始。中南米10カ国が参加し、来年6月まで覇を競う。



American Go E-Journal
より

囲碁ニュース [ 2016年11月2日 ]

コッツェン・オープン、マーク・リー7dが連覇

大会の様子。
大会の様子。

 コッツェン・オープンが10月22-23日にかけてロサンゼルスの韓国文化センター(KCCLA)で開催された。今年の参加者は166人、過去最高を記録した。

 優勝したのはマーク・リー7d。5戦全勝で、昨年に続き連覇を果たした。「3回戦のダニー・コ7d戦ではとても厳しい状況だったが、なんとか逆転できました。今大学に入学したばかりで、学業が忙しい。地理が好きですが、囲碁のほうが楽しいですね。」と語った。以下は、2位チーピン・ルオ、3位はアーロン・イエ、4位アンドリュー・ルー、5位ダニー・コ、6位ドゥク・ジェの順となった。

 米囲碁連盟のYoutubeチャンネルでは、同大会のコメント、参加者・関係者のインタビューを閲覧することができる。同大会のスポンサーのエリック・コッツェン氏のインタビューは こちら


マーク・リー7d(左)とダニー・コ7d。
マーク・リー7d(左)とダニー・コ7d。
左からアンディー・オークン米囲碁連盟会長、リー7d、スポンサーのエリック・コッツェン氏。
左からアンディー・オークン米囲碁連盟会長、
リー7d、スポンサーのエリック・コッツェン氏。


American Go E-Journal
より

囲碁ニュース [ 2016年10月17日 ]

2017年のUS囲碁コングレス、サンディエゴで開催へ

 2017年のUS囲碁コングレスの場所と日程が確定した。サンディエゴの「Town and Country Resort(HPはこちらhttps://www.destinationhotels.com/town-country)」において、8月5-12日にかけて開催される。会場となる「Town and Country Resort」は、サンディエゴのミッションバレー中心部にあり、 海岸などメインアトラクションとなる場所からも車で10分という。コングレスの登録はまもなく開始される。これに先立ち、オーガナイザーはコングレスについてのアンケート(https://www.surveymonkey.com/r/X3BTPWM)を実施中。

青少年向けの「Sunflower Happy Cup」が開催

 9月26日に、カリフォルニア州クペルティーノにおいて青少年向けの「Sunflower Happy Cup」が開催された。5歳から17歳まで43人の子供・若者が集まり、13路盤と19路盤の大会に参加した。優勝したのは高校3年生のアントニー・チアン6d。プレーヤーは、一局ごとに「賞品チケット」を得ることができ、それを様々な景品と交換することができるという楽しいシステムが採用された。また、大会後には各参加者にトロフィーが配られ、皆がアイスクリームパーティーを楽しんだ。


American Go E-Journal
より

囲碁ニュース [ 2016年8月29日 ]

イエ7d、世界青少年囲碁選手権で3位に入賞

韓国代表と対戦するイエ7d
韓国代表と対戦するイエ7d

 応昌期財団が主催する第33回青少年世界囲碁選手権が8月4-7日にかけて日本棋院で開催された(http://wygc2016.com/)。米国代表でシニアグループ(16歳未満)に参加した14歳のアーロン・イエ7dは3位に入賞、米国選手として初めてトップ3に食い込んだ。イエ7dは予選を僅差で4位で通過。準決勝では中国の蒋其潤2pに敗れたが、3位決定戦で韓国代表のアン・ドンジュン5dを撃破した。イエ7dはレドモンド・カップに何度も優勝した経験があるなど、米国若手の最右翼。青少年世界囲碁選手権に関しては、2011年にジュニアグループ(12歳未満)に参加しており、このときは4位に入賞している。
 なお、ジュニアグループの米国代表は9歳のマチュー・チェン2d。こちらは予選7位に終わり決勝ラウンド進出はならなかったが、「わずか3年前に、ユーチューブのビデオで囲碁をならった割には素晴らしい成績でしょう」とはチームリーダーのマイク・ブルさんの言。

米国囲碁育英会の会長決まる

エイプリル・イエさんとブランドン・ホーさん
エイプリル・イエさんとブランドン・ホーさん

 米国囲碁育英会(AGHS)の2016-2017年度会長職に、エイプリル・イエさんとブランドン・ホーさんが指名された。AGHSは青少年の囲碁に関する組織で、「ヤング・ライオンズ・トーナメント」や「スクール・チーム・トーナメント」といった大会を毎年開催しており、囲碁の普及と促進にやる気のある高校生が運営している。


American Go E-Journal
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囲碁ニュース [ 2016年8月9日 ]

米国囲碁コングレス、ボストンで開催

 米国囲碁コングレスが7月30日から8月7日にかけてボストンのボストン大学で開かれた。大都市での開催ということもあってか、メイン大会だけでも500人近くの参加者があった。

変則ルール碁に興じるプレーヤー達
大会会場の様子
大会会場の様子

 44人が参加し、プロの参加者もひしめくマスターズは中国変則ルール碁に興じるプレーヤー達出身のアマ強豪である鮑橒(Bao Yun)7dが9戦全勝を収めて優勝した。
 鮑橒アマは目隠し碁の専門家として知られ、5面打ち全てに勝利というギネスブックにも登録された記録の持ち主。コングレス中には、特別イベントとしてエリック・ルイ1pと目隠し碁で対局した。結果はルイ1pが5目半勝ちを収めた。コングレスを通じて、これが鮑橒アマの唯一の敗戦となった。

マスターズの参加者
マスターズの参加者

ペア碁北米選手権も同時に開催された。ガブリエラ・スー6d(右)とジェレミー・チウ7dという若いペアが優勝、12月の国際アマチュアペア碁選手権への出場権を獲得した
ペア碁北米選手権も同時に開催された。ガブリエラ・スー6d(右)とジェレミー・チウ7dという若いペアが優勝、12月の国際アマチュアペア碁選手権への出場権を獲得した
Canwaバンクーバー・チーム。左からツァン・ハンチェン1p、ビル・リン7d、ライアン・リー1p、前がキャシー・リー1p
Canwaバンクーバー・チーム。左からツァン・ハンチェン1p、ビル・リン7d、ライアン・リー1p、前がキャシー・リー1p

 2位はツァン・ハンチェン1p、 3位はアンディー・リウ1p、4位には日本棋院中部総本部から参戦した伊藤健良1pが入賞した。
 なお、大会に先立って行われたパンダネット主催のAGAシティリーグは、マスターズで2位に入賞したツァン・ハンチェン1pなどを擁するCanwaバンクーバー・チームがGreaterワシントン・チームを破って初優勝を果たした。
 ペア碁北米選手権も同時に開催された。ガブリエラ・スー6d(右)とジェレミー・チウ7dという若いペアが優勝、12月の国際アマチュアペア碁選手権への出場権を獲得した。

「大人・子供ペア碁大会」の様子
「大人・子供ペア碁大会」の様子
55歳以上のプレーヤーのための「シニア大会」。
55歳以上のプレーヤーのための「シニア大会」。
50人以上が参加した
マイケル・レドモンド9pの名前を冠した、青少年大会「レドモンド杯」のジュニア・ディビジョン(13歳未満)では、10歳のアリー・チェン4d(右)が連覇した
マイケル・レドモンド9pの名前を冠した、青少年大会「レドモンド杯」のジュニア・ディビジョン(13歳未満)では、10歳のアリー・チェン4d(右)が連覇した
16歳未満の女子大会では、
16歳未満の女子大会では、
テイラー・シュウ6d(右)が優勝


American Go E-Journal
より

囲碁ニュース [ 2016年7月27日 ]

第3回メキシコ囲碁コングレスが開催

 6月18-20日にかけて第3回となる「メキシコ囲碁コングレス」がメキシコ・シティで開催された。その中心となるオープン・トーナメントには過去最高となる56人が参加。また、2つのカテゴリーに分かれて開かれた青少年トーナメントにも36人が参加した。今回は、韓国アマチュア囲碁協会(KABA)およびアメリカ囲碁協会(AGA)などの協賛により、趙恵連9p、Mingming Stephanie Yin 1p、William Gansheng Shi 1pの3人のプロが指導役として招待された。

両大会の参加者
両大会の参加者
大会の様子
大会の様子

 「毎年、囲碁のコミュニティは成長しており、囲碁に関心をもつ人が増えています」とメキシコ囲碁協会のエミール・ガルシア会長。

「ティーチャー・オブ・ザ・イヤー」にポール・ロックハート氏

セントアンズスクールで子供を指導するロックハート氏
セントアンズスクールで子供を指導するロックハート氏

 アメリカ囲碁財団(AGF)が囲碁普及に貢献した人を讃える「ティーチャー・オブ・ザ・イヤー」賞の2016年受賞者として、ポール・ロックハート氏が選出された。ロックハート氏はニューヨークにある小中高一貫校のセントアンズスクールの教師を務めており、同校で過去15年にわたり囲碁を教えてきた。ロックハート氏は「当初は高校生4人だけで始めた活動が、いまや放課後の囲碁クラブ、大会、囲碁のクラスやセミナーなどを含んだ学校ぐるみの幅広い文化活動に成長しました。一番若い子たちが囲碁に一生懸命取り組んでくれるのが特にうれしいですね。今、クラブに参加している子供達のほとんどが10歳以下で、一番強い高校生のプレーヤーたちは幼稚園の時に囲碁を始めた子たちです。これまでの経験は、教師の私にとっても素晴らしい経験でした。」と喜びを語った。
 ロックハート氏は『A Mathematician's Lament(「数学者の嘆き」)』(Bellevue Literary Press、2009年)と題された数学教育に関して語った本でも知られる。また、息子のウィル・ロックハート、ベン・ロックハートさんも共に碁プレーヤーで、ウィルさんは「サラウンディング・ゲーム(http://www.surroundinggamemovie.com/)」という囲碁ドキュメンタリーの監督をつとめ、またベンさんは韓国でプロ修行をした経験があり、米国でプロになることを目指している。


American Go E-Journal
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囲碁ニュース [ 2016年6月10日 ]

ディープマインド、AlphaGoの賞金分配先を発表

 グーグル傘下ディープマインドのハサビスCEOは、先日のAlphaGo対李世ドル戦の賞金である100万ドルの分配先を自身のツイッターアカウント(https://twitter.com/demishassabis/status/739793493594378241?ref_src=twsrc%5Etfw)を通じて発表した。この賞金に関しては、AlphaGoが勝利した場合、寄付されることが予定されていた。

 内訳は、英ユニセフに45万ドル、英コードクラブ(学校のクラブ活動としてのプログラミングクラブを支援する団体)に10万ドル、また欧州囲碁連盟、米国囲碁連盟・米国囲碁財団、韓国棋院にそれぞれ15万ドル。各団体は、これらの額を主に若者の教育プログラムに充当することとなっており、ユニセフは、女性の教育、ジェンダーの平等といった教育関連プログラムに、コードクラブは世界中の子供達がプログラミングを学べるクラブの設立に、欧州囲碁連盟、韓国棋院および米国囲碁連盟・米国囲碁財団は、囲碁の知名度向上や青少年への囲碁普及に資金を利用する、といった具合。

 なお米国では、15万ドルのうち、米国囲碁連盟が9万ドル、米国囲碁財団が6万ドルを受け取る。米国囲碁連盟はこれらの額を今後6年間北米囲碁プロトーナメントに活用。一方、米国囲碁財団は、学校でより効果的に囲碁普及を図るため資金とする予定。また、欧州囲碁連盟では、これらの資金の活用先として、今後3年間欧州囲碁プロトーナメントを実施する、より大規模の大会を実施する、若いプレーヤーをサポートする、欧州での囲碁の知名度を高める、といった目標を掲げている。


American Go E-Journal
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囲碁ニュース [ 2016年5月30日 ]

US囲碁コングレス、7月30日-8月7日にボストンで開催

 US囲碁コングレスが7月30日から8月7日にかけてボストンのボストン大学で開催される。メイン大会となるUSオープンおよびUSオープンマスターズといった大会のほかに、様々なサイドトーナメントやサイドイベントが開催される。今回は特に、AlphaGoを開発したグーグル傘下ディープマインドのAja Huang博士に加え、10月に対戦を行ったフランスの樊麾2pもコングレスを訪れる。AlphaGoに関する裏話を聞くことができる機会となるかもしれない。

 この他にも、目隠しで多面打ちをするという恐ろしい才能で知られる中国のバオ・ユン・アマ7dがコングレスを訪問。米国のプロに対し、互先で当然目隠しの状態で挑むという。
 また例年通り、金明完9p、Yilun Yang7pなど様々なプロがレッスンを行う。

 US囲碁コングレスの公式サイトはこちら(http://www.gocongress.org/2016)。現在、300人以上が参加登録している。

AlphaGoの石並べをしたことで知られるAja Huang博士。囲碁の腕前も七段である。
目隠し碁のスペシャリストであるバオ・ユン7d。
レッスンを行うプロのラインナップ。


American Go E-Journal
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囲碁ニュース [ 2016年4月12日 ]

米国陸軍大学で囲碁セミナーが開催

 3月4日、ペンシルバニア州カーライルにある米国陸軍大学において、陸軍戦略研究所のダビッド・ライ教授(専門はアジア安全保障)が主催する囲碁に関するセミナーが開かれた。米国陸軍将校を中心に30人以上が参加した。

 同セミナーは、陸軍大学で戦略作戦部門責任者を務めるプリチャード大佐の発案で開催された。プリチャード大佐は碁を打ったことがなかったが、ライ教授が著した論文『石から学ぶ:中国の戦略コンセプト「Shi」をマスターするための囲碁を使ったアプローチ(Learning from the Stones: A Go Approach to Mastering China's Strategic Concept, Shi)』や『アジア太平洋地域での中国の動きと対策(China's Moves and Countermoves in the Asia Pacific)』などを読み進めるうちに、囲碁が軍事・政治的な戦略に関する専門書の中にしばしば現れることに注目。陸軍将校や陸軍大学に関係する民間人向けに囲碁を紹介するためのセミナーを開催することを部下のトラビス中佐に要請した。トラビス中佐はカーライル囲碁クラブで囲碁を打った経験があり、ライ教授に加え、カーライル囲碁クラブのメンバーであるワルショー博士、ボールドウィン博士をセミナーに招いた。

 セミナーはレクチャーと実技を含めて4時間にわたって行われた。まずボールドウィン博士が中国古代に遡る囲碁の歴史について、特に戦略家への影響に力点をおいて説明。つぎにライ教授が、囲碁のコンセプトを中国の地政学的な狙いにあてはめつつ分析、「中国が米国とのライバル関係をどのように考えているかを理解するためには、囲碁を理解することが必要だ」と強調した。最後に、ワルショー博士が、囲碁のルールに加え、石取り、死活、地の数え方などについての説明を行った。セミナーの後半では、参加者が9路盤や13路盤で対局。ライ、ワルショー、ボールドウィン博士に加え、カーライル囲碁クラブのメンバーが質問に答えた。ワルショー、ボールドウィン両博士によると、将校たちの飲み込みはとても早かったという。セミナーを組織したプリチャード大佐、トラビス中佐は、囲碁入門を同大学のカリキュラムに取り込むことも考えられる、と述べている。

ボールドウィン博士
ボールドウィン博士
セミナーの様子
セミナーの様子

ポートランドとメキシコシティ、子供のオンライン交流戦を開催

3月12日、メキシコシティと米オレゴン州ポートランドの小学生がオンラインサーバーで対局した。両市から7人ずつが参加。二回戦を行い、共にポートランドが4-3で勝利した。

タブレットとパソコンを使って対局するメキシコの子供達
タブレットとパソコンを使って対局するメキシコの子供達


American Go E-Journal
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囲碁ニュース [ 2016年4月4日 ]

優勝を収めたマーク・リー選手

ニュージャージーオープン、マーク・リーが優勝

 3月19-20日の週末にプリンストン大学で開催されたニュージャージー・オープン選手権でマーク・リー選手が全勝優勝した。リー選手はロサンゼルス在住。今年はすでに1月のJin Chen Openとサンディエゴ大会、3月の南カリフォルニア選手権に優勝している。2位にはZhaonian (Michael) Chen選手、3位にはZhongxia (Ricky) Zhao選手がそれぞれ入賞した。 なお、大会には155人が参加した。

ボストン・オープン、アンディ・リウ1pが優勝

 3月19日、ボストン・オープン大会がマイクロソフトのニューイングランドR&D(NERD)センターで開催され、54人が参加した。優勝したのはアンディ・リウ1p、2位はJie Liang7dだった。大会の写真は以下のサイト(https://massgoblog.wordpress.com/2016/03/20/boston-spring-open-2016/)で閲覧できる。

「環境にやさしいドローン技術(風船とも言う)」を用いた、詰碁大会。
MITの物理学専攻の学生によると、「詰碁が難しければ難しいほど、詰碁が重くなって風船は高く飛ばなくなる!」とか。


American Go E-Journal
より

囲碁ニュース [ 2016年3月23日 ]

イ・セドル対AlphaGo:各地で「ウォッチパーティー」が開催

 イ・セドルとグーグル傘下のディープマインド社が開発したAlphaGoの5番勝負は世界的に大きな注目を集めたが、米国では、この機会に、囲碁クラブが集まってインターネット上でのライブ放送をみんなで楽しむ「ウォッチパーティー」が各地で開かれた。ただし、ソウルと米国では、ニューヨークなどがある東岸で14時間、ロサンゼルスなどがある西岸で17時間の時差があり、対局時間(ソウル時間で13時に開始)の関係から、開催したのは西部のクラブが多かったようである。

エバーストン囲碁クラブのウォッチパーティー。
 中部シカゴ近郊のエバーストンの囲碁クラブは、ルベンスタイン会長の自宅で第1局を観戦した。「私達みんなが今晩、歴史の一部になった気がします」と会長。「ここまでくるには、まだ何年もかかると思っていました。驚きましたし、ちょっと悲しい。コンピューターが人間に勝てないんだ、と言えるのが好きでしたからね。新しい世界ですね。」

シアトル囲碁センターで第一局を見守る人々。
対局を始めてしまった人も、終局を急ぐ。
第2局を検討するプレーヤーたち。


サンディエゴとカリフォルニア大学サンディエゴ校の
クラブがウォッチパーティーを共同開催。
アリゾナ囲碁クラブはレストランで観戦。
サンフランシスコ囲碁クラブ開催の
ウォッチパーティー。
 シアトル囲碁センターは、全5局でウォッチパーティーを開催した。第1局のウォッチパーティーでは、実に60人の人が集まり、ピザやテイクアウトの韓国食などを食べながら世紀の対局を見守った。イ・セドルが投了したのはシアトル時間の夜11時30分だったが、この時間まで、25人の人が観戦していた。囲碁のプレーヤーのほかにも、プレーヤーから招かれた碁を知らない人々、普段はなかなか囲碁センターにこられない郊外在住のプレーヤーも集まった。
 サンディエゴ囲碁クラブとカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)囲碁クラブは、第3局のウォッチパーティーをUCSD囲碁クラブのタープストラ会長の自宅で開催した。17人が集まった。「まるでスポーツバーみたいな感じでした。大画面テレビ2台、パソコンとタブレット数台、大量のスマホも動員して観戦しました。2階のテレビではディープマインド公式チャンネルのレドモンド9pと米囲碁連盟(AGA)のガーロック氏の解説を、1階ではAGA公式チャンネルの趙惠連9pとAGAのジャクソン氏の解説を流していました。みんなが検討できるように、あちこちに碁盤をばらまいておきました。」まさに家の大きなアメリカならでは。「AGAからピザなどの差し入れがあって、パーティーのような雰囲気でした。イ・セドルが投了したあと、最後の人がすごすごと帰っていったのが夜の12時半ころでした。」
 アリゾナ囲碁クラブは、ピザとチキンウィングのレストランに集まって第3局を観戦した。「人間の優位が埋葬される瞬間を見に来た」とクラブのレブルさん。第1局、第2局でも別のレストランで観戦したが、第3局では、より料理がおいしくドリンクも多いレストランにグレードアップしたという。「AlphaGoが複雑なコウも打てるのだということを証明して、人間が埋葬されたのは夜中の1時半でした。でもみんな楽しみました」
 サンフランシスコ囲碁クラブは、ハッカースペースの「ノイズブリッジ」でウォッチパーティーを開催した。同クラブはこの機会に、3月20日から10週間にわたる初心者囲碁クラスを開くという。

また、グーグルのマウンテンビューキャンパスでも
ウォッチパーティーが開催された。
ガーロック氏とレドモンド9p。

 なお、先に触れたように、Youtube上のディープマインド公式チャンネルでは、日本棋院のマイケル・レドモンド9pが解説、司会はAmerican Go E-Journalの責任者であるクリス・ガーロック氏が務めた。


American Go E-Journal
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囲碁ニュース [ 2016年3月4日 ]

ハードロック・スターのデイヴィッド・リー・ロス、
金明完9pの囲碁レッスンを受けていたことが判明

 世界的に有名なハードロック・グループ「ヴァン・ヘイレン」のボーカルとして知られるデイヴィッド・リー・ロスが、ロサンゼルス在住の金明完9p(キム・ミュンワン、韓国棋院)から囲碁のレッスンを受けていることが判明した。ロック界の伝説であるデイヴィッドは、自分のフェイスブックページに、「6時34分:ミュンワン・キムと囲碁のレッスン。例によって負けそう。」というメッセージを白黒写真と共にアップした。デイヴィッド・リー・ロスは1972年から85年にかけて第1期ヴァン・ヘイレンのボーカルをつとめ、「Dance the Night Away」「Jump」など数々の大ヒットを飛ばした。その後バンドを脱退し、ソロでも大活躍したが、紆余曲折を経て2007年には再びヴァン・ヘイレンに復帰している。多才なロックスターで、救急救命士の資格を持つほか、その回想録はベストセラーになった。デイヴィッドの写真付きメッセージに対してファンは「おおデイヴ、なんかよく知らんものではルーザーかもしれないけど、デイヴは俺達の心の中ではいつまでもウィナーだぜ!」といったコメントをよせている。

デイヴィッド・リー・ロス(左)と金明完9p。


American Go E-Journal
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囲碁ニュース [ 2016年1月12日 ]

アメリカ囲碁連盟プロ入段手合

 アメリカ囲碁連盟(AGA)は、2012年以来独自のプロ入段手合を開催している。これを通じて、これまで、アンディ・リュウ、ガンシェン・シ(共に2012年)、カルヴィン・スン(2013)、ライアン・リ(2014)という4人のプロが誕生した。2016年1月3日から9日にかけて、5人目のプロを決定する手合が開催された。参加者は8人で、2015年中に米国およびカナダで開催された大会(プロ手合、カナダ選手権、米囲碁コングレスのオープンディビジョン、ゴーサム・オープン、コッツェン・オープン、インターネット上の予選)の結果を元に選出される。会場は、ロサンゼルスのコリアタウンにあるホテル・ノルマンディー。

参加者(AGAレーティング順)

 名前段位国籍
1エリック・ルイ7dアメリカ
2ベン・ロックハート7dアメリカ
3アーロン・イェ7dアメリカ
4アンドリュー・ルー7dアメリカ
5ダニエル・グールドー6dカナダ
6ジェレミー・チウ6dアメリカ
7サラ・ユー6dカナダ
8マヌエル・ヴェラスコ5dカナダ
入段手合の参加者。

予選の様子。グールドー6d(左)とチウ6dとの検討に、ユー6dとヴェラスコ5d(中央)が加わる。

 AGAの入段手合では、まず総当りのリーグ戦で順位付けを行い、その順位を元に最終段階のトーナメントの組み合わせを決める。そして、(リーグ戦での結果を数えた上での)3番勝負のトーナメントで勝利したプレーヤーが入段となる。一人あたり10試合を要する、長丁場である。

 予選リーグ戦では、参加者の中で最もAGAレーティングの高いエリック・ルイ7dが、紅一点のサラ・ユー6dに半目負けしたものの、6勝1敗でトップに立った。ルイ7dはこれまで入段手合の全てに参加しており、昨年は決勝で涙を呑んでいる。レーティング2番目のベン・ロックハート7dは2勝5敗と大ブレーキだった一方、3番目のアーロン・イェ7dが6勝1敗で2位を確保した。また、カナダのグールドー6dが4勝3敗で3位に食い込む健闘を見せた。

予選結果

1エリック・ルイ7d6勝1敗
2アーロン・イェ7d6勝1敗
3ダニエル・グールドー7d4勝3敗
4アンドリュー・ルー7d3勝4敗
5サラ・ユー6d3勝4敗
6ジェレミー・チウ6d2勝5敗
7ベン・ロックハート6d2勝5敗
8マヌエル・ヴェラスコ5d2勝5敗
決勝トーナメントの様子。

(同星の場合は、レーティングで順位を決定。決勝トーナメント1回戦では、予選1位が8位と、2位が7位と、3位が6位と、4位が5位と対局。リーグ戦での直接対局の結果を含んだ3番勝負を行う)

 決勝トーナメントでは、予選1位のルイ7dとイェ7dが順当に決勝に駒を進めた。決勝ではルイ7dが黒番中押し勝ちを収め、プロ入段を果たした。

決勝の様子。エリック・ルイ7d(左)が昨年の雪辱を果たす。

 予選・決勝を通じて9勝1敗と圧倒的な力を見せつけたルイ7dは、「長い一週間だった。でも勝てて本当に気持ちがいいです。昨年よりもレベルが上がっていました」と語った。来年度入段手合のシード権は、決勝で敗れたイェ7dと3位決定戦でグールドー6dを破ったアンドリュー・ルー7dが獲得した。


American Go E-Journal
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