学習
13図
つまり、14図で、黒1に打てば、白石が取れます。実際に打つときは、白石を一つ手に取って盤上から外す作業をします。これはだれでも気分のいい思いをします。白を抜いたところは、黒が上下左右を囲った形ですから、黒の地になります。14図
15図は白石が二つになっていますが、石数が増えても、同じように天地左右を黒が囲えば、白石を取ることができます。次に×印に黒が打てば取れるわけです。15図
16図 黒1のところに打てば、白石二つが取れます。碁盤に黒1と打って、白の二つの石を取り上げるのは、さらに楽しい作業になるでしょう。石を取ることを覚えると、病み付きになるかもしれません。16図
17図は白石が六個になっています。これも同じように天地左右を黒が囲えば、白石を取れます。白の塊は、天地左右をほぼ黒に囲われていて、空いているのは×印の一点ですから、次に黒が×印に打てば白を取り上げることができます。17図
18図 黒1に打てば、白六個が取れるわけです。盤上に黒1と打って、六個の黒石を取るのは大変です。六個一度に手で掴むことは難しいですから、だいたい二つずつ三回に分けて取り上げることになるでしょう。その間、相手は自分の石を取り上げられるのを待っていなければなりません。戦いに勝った武将と、兵隊をたくさん失った敵将とのコントラストは、囲碁の醍醐味の一つでもあります。こうしてあなたも、石を取る魅力に取り付かれることでしょう(笑)。18図
逆に、白の立場で考えて見ましょう。白の打つ番なら、石を取られる前に、白石を逃げることもできます。19図の白1と打てば、すぐには取られなくなります。白の周囲の点は×印三カ所に増えていますから、黒にこの三カ所をすべて打たれなければ取られないわけです。白1に打たなければ、一手で取られてしまうのに、白1と打てば、相手に×印三カ所をすべて打たれなければ取られないわけです。ずいぶん立場が変わりましたね。19図
20図 碁は一手ずつ交互に打っていきますから、次に黒1と追いかければ、さらに白2と逃げて、今度は×印が四カ所に増えます。ますます取られにくい石になりました。これで白は少し安心です。相手の黒は、いくら追いかけても、するする逃げられてしまって、イライラするでしょう。石は簡単には取れるものではないのです。20図
21図 続いて、黒1、白2、黒3、白4と交互に打っていくと、黒が追い掛けても、白は楽に逃げてしまいます。単純に追いかけても、石はなかなか取れるものではありません。21図
【応用】22図を見ていただきましょう。石が込み入って、複雑な形をしています。次に、黒から×印に打てば、白△の白石を取れることがお分かりでしょうか。白△の石は、すでに上下と左が黒石で囲まれていますから、空いているのは×印の1カ所です。その×の点を黒に打たれれば取られてしまうのです。22図
23図 つまり、黒1と打てば白一子を取ることができるのです。相手の石を盤上から取り上げるのは、気分がいいだけではなく、実際に大いに有効な手段です。この図でも、白石を一つ取り上げれば、残った白石は二つだけです。黒石は四つ残っていますから、その力関係は、黒が大いに有利になっているのです。この図の全体を眺めてください。黒は→の三カ所に向かって、強力なエネルギーを発しているように見えませんか。何となく黒の陣地をたくさん作れそうでしょう。それに対して、白は→の上の方向は囲えるかもしれませんが、石も二つしか残っていませんし、頼り無い感じに思えるでしょう。今の段階では、「石を取られるとまずそうだ」と感じていただければ十分です。詳しいことは、だんだんに理解できてくるでしょう。23図
24図 同じ図で、打つ番を逆にして考えてみます。白から打てばどうなりますか。黒△は上下と左を白に囲まれていますから、空いているのは×印の一点です。ですから、白から×印に打てば黒石を取れてしまうのです。24図
25図 白1と打てば、黒石を取れるのですから、どちらが打つ番かが大変な違いでした。実戦では、こういうふうに、石が込み合っていることが多いですから、見分けられるように、慣れておくことが大切です。25図
【実戦例①】26図は実戦例です。まず、黒番で考えてください。白△の一子が上下と左を黒に囲われています。空いているのは、×印の一点ですから、後はお分かりですね。26図
27図の黒1と打てば、白一子を取ることができます。残った黒石は5個ありますが、白石は3個です。黒は→の右や下の方向を囲っていて、大きな黒地ができそうです。白も→の左の方を囲っていますが、見た目だけでも黒の方が頑丈な形をしているでしょう。石を取ることは、これだけ効果があるのです。27図
28図をご覧ください。もし、打つのが白の番なら、白1で黒一子が取れてしまいます。取った後は、白が→の方向を囲って頑丈に見えます。黒も→の方向が囲えるかもしれませんが、相当頼り無く感じがしますね。どちらにとっても、石を取られるのは大変なのです。28図
【実戦例②】29図も実戦例です。これも打つのが黒の番か、白の番かで大違いになります。まず、黒番で考えてみましょう。真ん中の白△の二つが、上下左右をほぼ黒に囲われています。後は×印の一点が空いているだけです。29図
30図の黒1と打てば、白二子を取れることがお分かりでしょうか。二子を取れば、残った黒石は6個なのに対して、白石は3個に減ってしまいました。黒は→の方向に強烈な威力を発揮していますが、白は心細い限りです。力関係が圧倒的に黒有利になっているのを、感じていただけたでしょうか。30図
31図のように、白が打つ番ならどうでしょうか。×のところに打って逃げますか。それとも他にもっといい手があるでしょうか。31図
32図の白1と打つのがいい手です。真ん中の黒石二つも白に囲われている形ですから、白1で上下左右を全部塞いでしまえば、黒石二つを取ることができるのです。自分が逃げるより、相手を取ってしまう方がいい手になります。取ってしまえば、白→の方向に白が大きな地を作ることができます。逆に黒は、相当弱い立場になりました。32図
1日目…囲碁の紹介