[2]実戦対局例
◇ 実戦対局/1局目
実際の対局の様子を示します。この碁は争いの少ない、平和的な碁です。黒と白の双方が、自分の陣地を増やしていく様子を見てください。
[1譜]黒1~白4
黒1から白4まで、碁盤の端から三線目に打っています。双方とも隅を占めたのも、基本的な打ち方です。
1図、黒1、黒3は同じです。これに対して、白2、白4のように、二線や一線に打つのは、下の方ばかりで、つまらないところです。黒の堂々とした構えに対して、白は小さく狭いところに偏って見えませんか。
[2譜]黒5~黒9
黒5で黒の陣形を増やしました。白6も上下の白を連絡しながら、自分の陣地を守っています。
白6で、2図の白1などと他を打つと、黒2にトビ込んでくるのがいい手になります。左辺の白地が破られてしまいます。
[3譜]白10~黒15
白10は、下辺の白を増やしながら、黒を減らしています。黒11で白の進出を止めるのは当然です。白14に黒15と止めたのもいい手です。
[4譜]白16~黒19
白16から黒19まで、白の先手です。白16を打たないと、
3図、逆に、黒1から打たれてしまいます。これも黒の先手ですから、同じ先手なら、早く打った方が得なのです。
黒19で石をつなげるのが肝心です。これを打たないと、
4図、白1と切られて困ります。黒2と逃げても白3で取られてしまいます。一線がきちんと止まるようになれば、安心して打てますから、早く慣れましょう。
[5譜]白20~白24
黒21から白24までも黒の先手です。白24を打たないと、
5譜
5図、黒1と切られて困ります。白2と上の二子を逃げても、黒3で下の白一子を取られます。碁盤の端の境界線は、事件が起こりやすいですから、ていねいに打つようにしてください。
最後に×印のところが残りました。ここは「ダメ」ですから、次の手番の人が埋めて終わりにします。
[6譜]
黒1と埋めて終局です。黒地は30目、白地は26目ですから、黒の4目勝ちです。
6譜
◇ 実戦対局/2局目
[1譜]黒1~黒5
黒1は真ん中近くに打ちました。白2と近づいてきたので、黒3とくっつけました。白4に黒5と切って、接近戦です。
石がくっつくと、事件が起こりやすくなります。自分にとっても危険ですが、相手も驚いているでしょう。どちらがうまくいくか、際どいことになりそうです。
[2譜]白6~白10
白6と一つ先に石を伸ばしました。黒7には白8と逃げます。
黒9で黒△と黒7の石を連絡しました。これは大切な手です。これがないと、
2譜
1図、白1に黒2と逃げたときに、白3で黒△の石が「シチョウ」で取られてしまいます。
白10も逃せぬポイントです。これを忘れると、
1図
2図、黒1で、白二子が取られます。白2と逃げようとしても、黒3で捕まっています。白4と打っても、黒5から先に取られます。
[3譜]黒11~黒15
黒11で右側一帯を黒が制した感じでしょう。この後、白は無理して入ってきませんでした。
白12と左下に入りましたが、黒13から黒15で、これ以上の侵入を防げば黒は十分です。
[4譜]白16~白24
白16から黒19で右上の境界線がはっきりしました。白20から白24で、左下もだいたい決まりました。こうやって、終局に近づきます。
[5譜]黒25~黒33
これから、最後の「ヨセ」に入ります。黒25で中央を止めました。白26から黒29は先手です。
黒31も先手です。白32を打たないと、
5譜
3図、黒1と出られて困ります。
3図
4図、白1とつないでも、黒2から黒6まで大きく取られてしまいます。こうなっては大変ですね。
黒33で終局です。「ダメ」はありません。黒△の一子を黒地に埋めて、互いの地を数えます。
[6譜]
黒△を黒地に埋めました。
黒地は31目、白地は17目。黒の14目勝ちです。黒の大きく広げる作戦が成功しました。
6譜
◇ 実戦対局/3局目
[1譜]黒1~黒5
この碁は、互いに石が絡んで、複雑な展開をします。実戦ではこういう碁が多いですから、じっくり手順を追いながら、慣れていきましょう。
黒1、黒3で右下を固めました。白2、白4で左辺が大きくなりそうです。
そこで、黒5と左上に突入しました。ここで頑張れば、白地を減らして有望です。
[2譜]白6~黒9
白6、白8で右辺の黒を制限しました。
黒△から黒9に広げて、小さいながらもしっかりした黒地ができそうです。
2譜
[3譜]白10~黒15
白10で右上が止まりました。
今度は白12で、左上の境界線を決めようとしています。
黒13に白14と受けるのは当然です。これで、
1図、白1と先を急ぐのは、黒2と出られて、左右の白が分断されて困ります。
黒15と止めて、左上に黒地ができました。
[4譜]白16~黒21
白16の石は、黒17、黒19で取られました。その替わり、白20の手と、将来白Aが先手になります。
4譜
[5譜]白22~黒27
白22の後、黒23には白24と逃げました。この手で、
2図、白1は、黒2で白一子を取られてしまいます。
[6譜]白28~白36
黒31と打たれると、白32と連絡する必要があります。これがないと、
3図、黒1と切られてしまいます。白2は間に合いませんから、黒3で白二子が取られです。
白36も同じように必要です。
4図、黒1と切られては、白二子が取られます。
[7譜]黒37~黒51
黒43は必要です。これがないと、
7譜
5図、白1で黒2のところが「欠け眼」になりますから、黒2が必要になります。黒2にできるはずの一目がなくなって、黒が損をします。
黒51で、一目も出来るところがなくなりました。後は、×印の地点を埋めるだけです。
[8譜]
白1で終局です。数える前に、Aのことろで抜いた白石を、相手の白地に白△と埋めます。
黒地は右下が10目、左上が8目で、合計18目。白地は右上が7目、左下が4目で、合計11目。黒の7目勝ちです。
8譜
◆ 「コミ」について
碁は、9路盤も19路盤も先に打った方が有利です。実力が同じなら、先に打つ黒を持つか、白を持つかは大違いになります。ですから、後から打つ白にはハンデを付けるのがふつうです。
19路盤の場合は、黒が6目半のコミを出します。つまり白に6目半のハンデをあげるのです。「半」という半端な数がつくのには理由があります。「6目」では、碁盤の上で黒が6目多いときに、6-6=0で、引き分けになってしまいます。それで、「半目」をつけて、黒が7目多いときには、7-6.5=0.5で、黒の半目勝ちとするのです。黒が6目多いときは、白の半目勝ちです。
9路盤の場合は、適正なハンデは微妙です。とくに初心者同士の場合は、ちょっとした知識の差で、大きく実力が違います。初めての相手の場合は、黒と白を交互に持って打つのがいいでしょう。勝ったり負けたりなら、「コミ」を4目半か5目半に設定するといいでしょう。どちらからに勝利が偏るようなら、勝ってる方が白を持ちましょう。
上達には、実戦をたくさん経験するのが、一番の近道です。あまり勝ち負けにこだわらないで、気軽に打ちましょう。楽しく打てる相手が増えるほど、上達の可能性も増えますから、碁の仲間を大切にしたいものです。
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9日目…実戦例/9路盤
[1]序盤の打ち方
[2]実戦対局例
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