冷静に碁を打つには

華の女流棋士が交代でお答えします。
あなたのお悩み「囲碁」相談室
6月の囲碁相談室
其の二
質問1:石川県 山本さんからのご相談
働き盛りの40代なかば、仕事が忙しく囲碁の勉強ができません。
囲碁初めて6年、初段を目指すものの、なかなか苦しい。今は、2級くらいあるか難しいところです。
そこで、「ヒカルの碁」の漫画はすべて読んでますが、院生というのは、14〜15才くらいの子供だろうけど、子供は学校の勉強もあり、どうやって強くなっているのか。
勉強の仕方が全くわかりません。
私の場合、平日はストレスで勉強する気にはなれず、パンダネットでは現在5級格で650局以上対戦しております。2級というのは、もってのほかか。
土曜は日本棋院の教室で2時間ほどの勉強と対戦1局、日曜は碁会所みたいところでも5局程度対戦してます。
定石などほとんど知りません。全くの感覚で打っております。
今後、せめて初段〜3段程度にはなりたいのですが、対局は楽しいのですが、誰もが認める有段になるには、囲碁に対しての考え方なり勉強の仕方等をお教えください。

小林泉美女流名人の回答
山本さん、こんにちは。
碁の上達法。これは、私にとっても永遠のテーマです。
特にお仕事も忙しく、碁を打つお時間も限られていらっしゃいますと、効率良い上達法を求めたくなりますね。
パンダネットや、碁会所の対局で、週に何度も碁に接しておられるのであれば、実戦は十分かと思います。
その中で、アドバイスさせていただくとすると、自分の打った碁の中で1つだけ反省するところを見つけられたらいいな、と思います。
常に、打った碁を振り返って反省するのは上達のポイントです。棋譜が残せるパンダネットはここでも役に立ちますね。
何子も置く相手に教わらなくても十分です。自分と同じくらいか、又はちょっぴり強い人に何か1つ気づいたところを教えてもらって下さい。一局打つたびに1つ前進します。
もちろん自分より強い人と打つのだけが勉強ではないので、少し棋力の下の方と打つと、また違った目で局面が見られて発見もあるかと思います。その時は逆に気づいたことをアドバイスしてあげてくださいね♪
いろんな人とたくさん対局。それでちょっぴり反省しながら打てば、力をつけつつ、お友達も増えて一石二鳥です!
山本さんは感覚で打てる、とのことですが、それが最大にして最高の山本さんの碁の才能です。
最初から長考派で、石が前に進まない人がいますが、感覚で打てるというのは本当にうらやましい限りです。是非その感覚を大きく伸ばしていってくださいね!
定石などは無理に覚える必要はありませんが、更に上を目指すのであれば「詰碁」がオススメです。
私は週に1回級位者の方に指導する機会があるのですが、そこにいらっしゃる方の中でも、やはり上達に差ができてしまいます。
これは、やはり「詰碁」の威力が大きいかと思います。詰碁の本は、1〜3手、多くても5手以内に答えの出る、基本的なものを繰り返し解くことによって、生き死にに強くなるだけでなく、良い形についても明るくなります。石の筋というのはたくさんあるようで、案外少ないのです。
本をいっぱい買い込む必要はありません。1冊でいいのです。
それを、ひとめで見た瞬間にできるようになるくらい何度も解いて下さい。自然と力がついているはずです。
院生、棋士になっても勉強法はさほど変わりません。実戦、詰碁の他に、プロの棋譜を並べるくらいです。
もちろん自分の打った碁の反省は何よりもの勉強材料ですよ。
「ちょっぴりの反省と詰碁」この2つで直に有段者になれるはずです。
しかも、詰碁の読みの能力というのは高段者の方も意外と苦手な方が多いので、是非、読みの力を備えた「実力派有段者」になって下さいね。
「囲碁」相談室 [ 2001年6月 其の一
「囲碁」相談室 [ 2001年6月 番外編
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