冷静に打つにはどんなことに気をつけることがいいんでしょうか?

華の女流棋士が交代でお答えします。
あなたのお悩み「囲碁」相談室
6月の囲碁相談室
其の一
質問1:大阪府 松木さんからのご相談
小林泉美名人こんにちは。いつも、NHK杯で拝顔しております。
NHK杯では、是非男性棋士に負けないよう、ご活躍をお祈りしております。
さて、囲碁は極めて自らの精神状態がとても作用するゲームだと思います。
気持ちが不安定な時には、どうも石の運びが思うように行かず、墓穴を掘ることもままあります。
また、相手の石を攻めに行く時でも、勢いに任せて攻めると、とんでもない結果になることもあります。
反対に気合が不足すると、ジリ貧になりますし、ほんとに難しいです。
冷静に打つことが大事だとは分かっていても、勝負事ですからつい熱くなってしまうのです。
例えば、名人は男性棋士と打つ時など、変に気負うことなどないんでしょうか?
冷静に打つにはどんなことに気をつけることがいいんでしょうか?
是非教えてください。

小林泉美女流名人の回答
松本さん、こんにちは。
碁を打ちながら冷静になる、というのは確かに難しいことですね。
私も、最後まで冷静に計算ができる時は多少悪い碁でも勝てたりしますが、逆に冷静さがなくなってしまうとどんなに良い碁でも逆転されたりします。
熱くならないためのアドバイスですが、勝負にこだわらないこと。勝ち負けを考えないこと。がいいような気がします。
気合が入りすぎてしまったり、勝ちが見えて冷静になれないときは、まず次の一手の最善を尽くすことに集中するのがいいのではないでしょうか。
結局、碁も一手一手の積み重ねですから、常に目の前の一手を考えていればいずれゴールが来るはずです。
結果は天に任せるというくらいの気楽な気持ちが好結果を生むような気がします。
男性棋士と打つときに気負いがないでしょうか? というご質問ですが。
私はNHK杯には毎回「女流推薦」という形で出場資格をいただいています。
一流の先生と対局! という貴重な経験ですので、勉強のつもりでいますから特別に気負うことはありません。
もちろんせっかくいただいたチャンスですから、1局でも多く対局したいというのはありますが、その前に序盤から潰れてしまっては、すぐ終わってしまってもったいないので、「息の長い碁にできるように」と、それだけを考えて打っています。
私なりに考えたアドバイス…お役に立てると良いのですが。
私は松本さんのように『熱い』気迫のこもった碁を打てる方を本当に尊敬します。
勝負に徹したらそれは冷静なほうが有利かもしれませんが、碁も生き物ですから、人間味あふれる一手一手に人の心は動かされます。
冷静なコンピューターのような着手もすごいですけど、気合の入った手に相手が押されて間違えるということもよくありますよね。
これからも「松本さんらしさ」を大切に、躍動感のある碁を打ちつづけてくださいね♪
「囲碁」相談室 [ 2001年6月 其の二
「囲碁」相談室 [ 2001年6月 番外編
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