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< 講座テキスト >
石井邦夫九段
第4回
「少年少女名人戦/アクビしてるよ」
白・万波奈穂(小学6年) 黒・井山裕太(小学2年)
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石井九段の愛弟子、井山裕太九段の成長の過程を、じっくり見ていただきたいと思います。
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【テーマ図・黒番】 |
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中盤戦に入っています。黒番でどう打ったらいいでしょうか。A~Cの選択肢の中から次の一手を示してください。
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(手順)
黒1と三々に入ったあと、黒11から中の黒を動き出しました。白22とトンだところが、テーマ図です。
なお、黒11はノビる方向を間違えました。(次の図へ)
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黒1にノビる方が筋がよかったでしょう。この手は、次に黒aの出とbの急所にノゾく手を見ています。
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(正解)
黒1(A)が厳しい手で正解です。白2には黒3のブツカリで、白一子を取ってしまいます。これで右上の黒がしっかりして、さらに右辺の白が弱くなります。
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黒1(B)は部分的には大きい手ですが、全局的にはたいしたことがありません。左辺の白が強いですし、左上の黒自身は弱くはありませんから、それほど急ぐところではないのです。
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(実戦)
黒1(C)は井山少年が打った手ですが、この黒は弱い石ではないので、慌てて打たなくてもいいところでした。アクビしたような手で、失敗です。
大会の決勝の碁ですから、堅くなったのかもしれません。攻められる石を作りたくない、という思いが強かったのでしょう。
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下辺の黒は、たとえば、白1と攻められても、黒2で逃げられます。つかまるような石ではありませんでした。
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(実戦)
黒1が緩く、白2の大きなハイを打たれました。続く、黒3のトビもアクビをしているような手です。白4とスソを止められては、白に好点を連打されて、形勢に遅れました。黒5、7と実利につきましたが、碁は白が優勢です。
この碁はずっと白の万波さんがよかったのですが、最後に万波さんが失敗して、逆転しました。
なお、黒3では、(次の図へ)
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黒1のコスミを利かして、3とスベるところです。白のスソから入り込んで、ここが大きいのです。実戦は、正直すぎました。
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小学2年生で優勝して、一気に注目を浴びました。このあとも、井山少年が成長していく姿をごらんください。 |
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