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< 講座テキスト >
林海峰名誉天元
第3回
「第27期十段戦挑戦者決定戦 その3」
白・林海峰九段 黒・石田芳夫九段
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【テーマ図・白番】 |
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白は上辺が大きくなっていますが、薄いところもあって気になります。ここで実戦はどう打ったでしょうか。
Aは上辺の模様を広げながら左辺の白に援軍を送る手です。Bは上辺をはっきり囲う手です。Cは生きを確実にする手です。
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白1(A)のケイマは上辺を広げながら、左辺に援軍を送る意味ですが、どちらの意味でも中途半端なのです。上辺は黒aの打ち込みなども残っていて、守りきれているとはいえませんし、左辺との連絡も不十分です。
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白1(C)で生きるのは、立派な一手です。ただ、上辺の白が荒らされるでしょうし、左辺の白も薄いですから、今はまだ、白1と守っている余裕はありません。
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(正解)
白1(C)で地を確保する手が正解です。この碁は形勢が容易ではありませんから、上辺を荒らされては地合で勝てません。ここは地で頑張って上辺を稼ぎ、あとはシノギ勝負にするのが正解でした。
黒2のコスミツケに、白が手を抜くのは大変です。(次の図へ…)
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白が手を抜くと、黒1の置き以下白の眼が奪われます。黒5、7のハネ二つで、これはナカ手になります。
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(実戦)
白1と上辺を囲ったところ、下辺黒2から白の生きを催促してきました。白3のケイマから9とノゾいたところ、黒10とツケたのがタイミングです。
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白1と受けさせれば、白aの切りを防いでいます。これは白がつらいでしょう。
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(実戦)
白は1とツイで頑張りました。黒2の出に、白3と外からオサえてかわしたのは仕方ありません。
白3で、(次の図へ…)
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白1とさえぎるのは、黒2と切られて困ります。
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黒5とツイだときに、白6と生きました。
黒7のハネに対して、白8と肩に打ったのが工夫した手です。左辺の白を小さく捨てても、左辺全体を黒地にさせないようにしています。
この白8で、(次の図へ…)
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単純に白1とハネるのは、黒2の二段バネから8のマゲまで、左辺がそっくり黒地になります。白はこれを避けたかったのです。
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(実戦)
黒1のトビに白2のケイマが筋です。黒3の押しに、白4のハネコミから6とマクったのが用意の手筋で、白10まで左辺で生きたのは鮮やかでした。黒11で白六子を取られましたが、左辺の方が大きいのです。
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(実戦)
白1、3は白の権利です。白5に黒6の受けが必要です。白9まで小さくない地を持って生きては、白がうまくやりました。
この後は、次回のテーマになります。
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碁は中盤の勝負所です。白が中央の六子を捨てて、左辺でうまくサバきました。この後も、難しい戦いが続きます。 |
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