パンダネット囲碁講座

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林海峰名誉天元
第2回
「第27期十段戦挑戦者決定戦 その2」
白・林海峰九段 黒・石田芳夫九段

林海峰名誉天元の会心譜から、テーマを上げて勉強していきましょう。

【テーマ図・白番】
作戦の分岐点です。白番で次の一手を考えてください。
Aのケイマで上辺を広げるか、Bの大場のカカリか、Cの打ち込みか。



白1(A)のケイマは感じのいい手です。次にaのツケを見ています。ただ、黒2からbの打ち込みの具合で、まだ上辺は地とはいえません。白1はまだ早いでしょう。


白1(B)も文句のない大場ですが、この局面では、もっと打ちたいところがありました。大場より急場ですから、正解とは言えません。


(正解)C
実戦は、白1と打ち込みました。ここが急ぎたいところでした。序盤の一つの勝負手です。たとえば、黒2のコスミなら、白3、5で突破します。黒を分断すれば、白がうまいでしょう。



勝負手というのは、反撃が怖い意味があるからです。黒2の肩ツキから4とハネられると、白5とマゲるしかありません。そこで黒6と押してきたときに、本来は白7とノビたいのですが、これは黒8で封鎖されて参ってしまいそうです。


白1とマゲて出なければなりませんが、黒2のハネに白3とサガって、これは黒もまだ眼がありませんから、黒にとっても怖い戦いになります。
白は強引に上下の黒を割いて、主導権を取りにいこうということでした。


(実戦)
実戦の進行を追いながら、勉強していきましょう。
白1の打ち込みに、黒は戦いを避けて、黒2、4とツケ引いたのが実戦です。白5が軽い手でした。次に白aとサガろうとしています。
白5で、(次の図へ…)



白1のノゾキから3とサガって、強引にワタリを止めにいくのは、黒4のノゾキから12まで封鎖されて、これは白が危ないのです。


単に黒1とワタるようでは、白△の石が軽くなります。


(実戦)
そこで、黒1が見習うべき手で、この一子をおとりにして、黒3、5を決めてから7とワタりました。
黒1の一子はシチョウで取られていますが、黒は右辺の白全体を攻める楽しみを残しています。



(実戦)
白1と打ち込んだとき、黒2のツケ一本がオマジナイになっています。それから黒4の下ツケです。


それでも、白1のハネ出しから3とカカえるのは、黒4、6で白が困っています。白7のハイには、黒8から10までで、白はうまくいきません。
黒△と白△の交換が働いています。


(実戦)
それで、白1とカカエ、黒2のサガリと換わりました。
次の白3の大ゲイマに打ちました。上辺を補強しながら、右辺の白とつながった、一石二鳥の手です。
白5のカカリのとき、黒6のサガリから10のブツカリまでは大きい手です。
そこで白11とカケました。



(実戦)
黒1、3の出切りから、黒23となったところです。左辺の白が薄くなっています。
ここで次の一手が次回のテーマになります。


碁は中盤に差し掛かってきました。トッププロのぎりぎりの戦いは、一手一手が手筋と好手の連続です。鑑賞するだけでも上達の手助けになるでしょう。
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