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< 講座テキスト >
苑田勇一九段
第3回
「攻めを強調したサバキ」
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【テーマ図・黒番】 |
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焦点は左下の黒の動き方です。考慮に入れて欲しいのは、右下にある黒△の一子の存在です。これは下辺の白二子に対して、攻める意志を持っています。その趣旨に沿った手を、A~Dの中から選択してください。
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(正解)
下辺の白二子に圧力を掛ける、黒1(C)のカケが正解です。白2、4の出切りには、黒5のアテから7と押して、9と一間にトベば、きれいに整形できます。左下の力関係が黒に有利になって、これなら十分です。
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黒1のカケに対して、白2とハザマを突いてきた場合は、黒3と隅にカケるのが好手です。白4と換わってから、黒5とオサえます。白6、8の出切りに、黒9のアテを利かしてから11とノビて、白の応手を問います。
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次に、白1とカカえれば、黒2、4と出て行きます。これは下辺の白が分離されて、白がつらい形ですから、黒の成功です。
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白1とツグなら、黒2のオサエを利かしてから4のマゲで、隅の攻め合いは黒が勝っています。
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黒1のカケに、白2、4と押してくれば、黒3、5とノビます。白6のヒラキを待って、黒7が“千両マガリ”という絶好点になります。黒9から13の押しまで決めて、15のカカリに回れば、中央の厚みが働いた碁になりました。
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白2と単に受ければ、黒3、5とオサエ込みます。白6のコスミツケで隅は立派な形ですが、黒7がやはり“千両マガリ”の好点です。下辺の白を攻める態勢ができました。黒△のツメが生きています。
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黒1(A)のカケから5と壁を作っても、下辺の白には響きません。黒7のボウシには白8とトンで、この白に対する攻めは期待できません。攻めの効果が望めないときは、黒1以下の交換は、地を損しただけになります。
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黒1(B)のコスミから3の定石は、局面が落ち着きます。こうなると、黒△は攻めに働かなくなっています。
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黒1(D)のツケは、下辺の白を固める手です。先に打ってある黒△のツメは、白を攻めようとしていますから、着手の意図がバラバラです。白2のハネに、黒3と下にハネ返して、白8までが想定図です。黒が左下に入り込んで、下辺がダメ場になりましたから、黒△の石が小さなところに向かっています。これでは失敗です。
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布石では先に打った石を働かせるのが大切です。攻めるつもりで打ったなら、その石を生かすように、次の手を考えましょう。 |
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