パンダネット囲碁講座

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苑田勇一九段
第2回
「凝らせる打ち方」
今回のテーマは「凝らせる打ち方」です。

「凝らせる」とは、相手の石を固める打ち方のことです。

【テーマ図・黒番】
前回とは、白の△の位置が違います。一路低くなっていることを考慮に入れて、次の一手をA~Dの選択肢の中から考えてください。テーマの「凝らせる打ち方」というのがヒントです。



(正解)
「凝らせる」打ち方として、黒1とツケるのが正解です。白2とハネて受けるのなら、黒3と引いて、白4と強くなってもかまいません。元々上辺は白の強いところですから、これ以上固くなっても、かえって凝り形だと見ているのです。そして、黒5と両ガカリします。


続いて、白1のコスミなら、黒2と三々に入ります。白3からオサえて11まで、黒三子を取ることはできますが、黒aからのハネツギも利きますし、隅の黒地が大きいのです。


白1とコスミツケてくれば、黒2のハネから6のオサエまでと応じていいでしょう。白7、9と黒一子を取って収まりますが、黒10のツギまでとなって、今度は白が隅に封じ込められたかっこうです。



白は上辺が強いところですから、じっと白2と引いておくところです。黒3のトビを利かして、5と押したときに、白がどう応じるかも難しいのです。
白6とハネると、黒7の切りがいいタイミングになります。元々白の強いところですから、白8アテから16の二子取りまで、白がさらに強くなってかまいません。むしろ、凝り形になっています。黒11から13、15の利かしを打てれば、無駄がありません。
それから、黒17の三々に入ります。


黒1の三々に、白2とさえぎれば、黒7まで隅に潜り込みます。上辺で黒は外側に石を来させて、白を凝らせていますし、左上隅は地を稼ぎ、働いた打ち方になっています。


白1の方からオサえるなら、黒2とワタって、黒は生きています。白は1でaとさえぎれば隅の地を損するし、白1は生かしてしまうし、悩ましいところです。



白は慌てず1と引くのがいいでしょう。黒2、4に白3、5と受けています。それでも、黒6と三々に入って、黒12のスベリまで隅を黒地にします。
続いて、すぐ白13とツケるのは、黒14と出られて困りますから、事前工作が必要です。


白1のツケを利かしてから、3とツケるのが手順です。今度は黒4と出られても、白5とツイで止めることができます。黒6とアテて、8とケイマに構えることになるでしょう。
隅はまだ、白からコウにする手が残っています。


白1のハネから3と置けば、白7のホウリコミからコウになります。ただし、コウを解消するまでには、手数が掛かります。




[の左]
黒はコウを一旦保留して、黒1と他に転じることも可能です。白2、4と左上隅を取り切る間に、黒3、5とどんどんいいところを打っていきます。これは黒がうまく打ち回しました。


黒1(A)の両ガカリは、白2のツケがぴったりです。これは前回同様、白にいい形を与えますから、黒がいけません。


黒1(B)の三々も失敗です。白2からオサエられて、白8ツギ、黒9トビまで、上辺の白が厚くなります。白10のトビに回って、白の模様が理想的です。



黒1(C)のトビは戦う手ですから、相手の石が多い上辺では、無理な打ち方です。石の配置を考えて、次の一手を選ぶようにしましょう。


相手の石を凝らせる打ち方は高級ですが、決まれば気持ちいいですね。感覚として身につけると、布石の作戦に大いに役立つでしょう。
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