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< 講座テキスト >
菊池康郎師、溝上知親九段
第4回
「大きな所から その1」
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今回は「大きな所から その1」です。
全局を見て、価値の高い場所を見分ける力を養いましょう。
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【テーマ図・黒番】 |
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A~Cの中から、次の一手を選択してください。
Aは左辺の模様を拡大する手です。Bは不安な石を早く収まろうとしています。Cのシマリも大場です。
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(A=菊池推奨)
△の一子を動くかどうか、ここは考えどころです。黒1(A)の大ゲイマは、左辺の模様を拡大する手です。白2のコスミツケに対しても、△の一子は動かずに、黒3とボウシして、あくまで模様を大切にします。白4には、黒5もいいところです。こういう大らかな布石も魅力的です。
黒5ではaのシマリも大きいですが、bなどと引っぱり出すのはよくありません。
△の石を動くなら、黒3のタイミングでしょう。
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動くならここで黒1とノビて、白2のトビに黒3ということも考えられます。下辺の白2とトンだ石と、黒1、3と動いた石のどちらが強いか、これからの勝負になるでしょう。
白は、△の手で、(次の図へ…)
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白1やaと、先に中央にトンで来るかもしれません。左辺の黒模様の拡大を止めることを優先しています。
黒は右下隅を動くことになりますが、2、4のツケ二段から、隅に潜り込んで生きれば十分でしょう。黒14までが一つの定型です。
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(B=溝上推奨)
黒1(B)のケイマは、早く収まってしまおうという手です。白2の受けなら、黒3と狭いながらも収まり形です。
白4の二間ビラキには、黒5から左辺を広げます。模様のスケールはやや小さいですが、地にまとまりやすく有望です。黒からは、aが狙いになります。このあと、(次の図へ…)
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白1は立派な一手ですが、黒2やaに広げて、左辺の黒模様がしっかりしてきます。黒が満足できる進行でしょう。
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先に白1とヒラいてくるかもしれませんが、これには黒2から左辺を広げる要領です。aはどちらからも大きいので、白はいずれ急ぐことになるでしょう。
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(C=ソッポ)
黒1(C)は、方向がよくないでしょう。焦点は下辺でした。白は2のヒラキを利かしてから、4とコスミツケてくるでしょう。黒5と動けば、白6のボウシがいい攻めになっています。下辺が白の勢力圏になって、白に主導権を握られてしまいまいした。黒のいやな展開です。
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黒1と地にカラく打つのも考えられるでしょう。あるいは黒aとツケるか。いずれにしても、下辺が焦点でした。
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方向としては、下辺に石が向かえばいい碁でした。その手段は棋風によって、いろいろな選択肢があるでしょうが、だいたいの方向さえ合っていれば問題ありません。布石は価値の大きなところを優先するのが肝心です。 |
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