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< 講座テキスト >
小林光一九段
第3回
「第6期棋聖戦全段争覇戦」その3
黒・小林光一九段 白・淡路修三八段
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小林光一九段の実戦譜から、小林流の真髄に触れていただきましょう。
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【テーマ図・黒番】 |
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下辺で白が△にワタった場面です。ここで次の一手を考えてください。黒Aとワリコんで禍根を断つか、Bと広く構えるか、Cと断点をツグか。
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黒1(A)のワリコミは手厚い一着ですが、ちょっと固すぎるでしょう。ここに一手入れてくれれば、白も顔が立ちます。
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黒1(C)のツギは本手で、立派な一着ですが、白2に打たれて中央がぼかされてしまいます。黒1もやや固すぎます。
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(正解)
黒1(B)の大ゲイマがいい見当で正解です。中央に向かって、他の手より働いています。白2の切りから4とノビるのは、黒3から5とハネて外を止めれば十分です。右辺の白を睨んで、黒の攻勢が期待できます。
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(実戦)
白1と切って3と動いてきました。白5のツケには黒6のコスミが形です。
黒6で、(次の図へ)
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黒1と引くのは、白2のツギが利きますから、4のツケコシが筋になります。白8と黒の頭を叩かれては、黒は堪らないでしょう。
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(実戦)
白1のトビに黒2とノビて追いかけます。白3と利かしに来ましたが、この手で、(次の図へ)
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平凡に白1とツグのでは、ふつうに黒2のケイマで黒が好調です。白3のトビは仕方ありませんから、黒4などと右辺を狙われて、白が苦しくなるでしょう。
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(実戦)
しかし、実戦も黒1のノゾキを利かしたまま手を抜き、黒3と出て黒がいい形です。白4のオサエにも、黒5と白6を交換して、黒7と中央を連打しました。白の△二子を取って、中央の黒が厚い形です。黒15に回って、黒が優勢です。
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下辺一帯の折衝で、黒がうまく立ち回りました。流れは黒に傾いてきましたが、この後の中盤の攻防もお楽しみに。 |
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