テキストで学ぶプロ棋士囲碁講座

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二十四世本因坊秀芳(石田芳夫九段)
第1回
「大模様の形勢判断 その1」
今回から、石田芳夫の『形勢判断のコツ』をお送りします。
今回のテーマは、「大模様の形勢判断」です。
プロは布石から形勢判断を行いますが、アマチュアの方はこの形勢判断が苦手な方が大勢いらっしゃると思います。アマチュアの方には、中盤からの形勢判断がお勧めです。
最初から正確な形勢判断はできないかも知れませんが、こういうのは慣れが大事です。大まかでも結構ですので、形勢判断をするクセをつけていきましょう。

【テーマ図】
テーマ図は白1の様子見に対し、黒2と上からボウシしたところです。
ここで形勢判断をしてみましょう。

白の地はほとんど確定地ですね。
上辺が30目程度あります。左下が10目強といったところで、左隅と右隅を合わせて 大体20目。右辺が15目くらいでしょうか。ということは白地が大体65目見込めることになります。

問題は黒地で、まだ下辺も決まっていないので数えにくいですが、仮に中央をこのように 囲うと大体70目くらいになります。逆にいうと、黒地をこのくらいに絞り込めば白にも 望みがある、ということになります。

ここで次の白の手を考えてみましょう。候補は3つあります。
まずは白を増やすと言う意味でA、ツケに対し手抜いたところなので、右辺の1子を手厚く抱えます。
次にB、左辺から荒らすのですが、△の場所にはいきなり行くのは危ないので カタから荒らしていきます。
最後にC、下辺に直接手を付け、黒の様子を見ます。

さて皆さんはどのように打ちますか?
まずAは、この手は20目以上ある大きな手ですが、この碁は特殊な碁で、大模様の碁は 常識的な考え方は通用しません。
黒2と打たれると中央と下辺がとても大きくなってしまいます。
次にBです。ここは先手になりますが、黒4まで打たれたときに下辺に手をつけにくくなります。 どういうことかというと、この一連の交換がない場合は下辺に手をつけたときに左辺に逃げることができるかもしれませんが、この図では黒が強くなってしまったので心配です。

正解はCで、まず白が下辺で全滅することはないでしょう。黒も全部を取りにいって模様を 荒らされると負けてしまうので、お互いにどうバランスをとるかというのがここからの狙いです。
図で黒イと打つのは白からアタリが聞いてしまうので、黒2からいきます。
黒6まで打って、下辺に手を付けやすくなったので、白7とカタに行きます。
白19まで、黒が全滅を狙うなら黒21とサガル一手ですが、上も空いているのでなかなか全滅させることができません。
白△のデを見せながら白23~25と打ちます。
白27まで、中央が大体黒70~80目程度あります。
しかし下辺の白地も増えています。先程は10目弱と計算しましたが、かなり増えました。 白27で右辺もだいぶ増えましたので、この局面では黒も大きいけれども白の勝ちがすでに確定しているのです。

次回も「大模様の形勢判断」をお送りします。お楽しみに。
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