囲碁のパンダネット
1−5プロ棋士スーパー早碁トーナメント
特別インタビュー

優勝を振りかえって
〜 小林光一 十段・天元

小林光一先生宅にて

率直な感想としてやっぱり「1−5」(持ち時間1分、秒読み25手毎に5分)はきつかったですね。 ほとんど、10秒碁だものね。 でもそれが逆に集中力を高め、常に緊張感がある状態で打っていられたと思いますよ。 やっぱり、短い時間で次の決断しなければならないので、完全にプロとしての実力が出ますからね。

普段は夕食のとき晩酌をするんですが、いつもこの対局が夕食の時間と一緒になるんですよ。 夕食は後回しにして、ま、食べてしまうと頭の回転も鈍るし、 もちろん、晩酌もお預け状態で対局に臨みました。 飲んで打ったらいくら顔が見えてなくても相手に失礼だしね。(笑)

覆面対局については、特に違和感もありませんでした。相手はプロだとわかってたしね。 2回戦で打ったのは私の弟子の大矢君(大矢浩一八段)だったんですが、 彼は対局後すぐに「これは師匠に違いない」と思ったそうです。 でも私は最後の最後までわからなかったんです。 棋風とかでわかるのかなぁ。 実は、決勝戦の相手だけは判っていたんですよ。 私の研究会に来ていた弟子の中に勝ち残っているものがいたので(河野臨五段)。 彼も相手が私だとわかってましたけどね、カレンダーにパンダと書いてマルつけてあったから。 研究会では打つことはあるのですが、一般の方の前で弟子と打ったのは初めてでしたよ。

これから、インターネット棋戦はますます増えるのではないでしょうか。 対局者以外誰もいないことを証明できる監視カメラみたいなものもネット上で管理できると聞いたし、 何と言っても私みたいな年になると、とくに海外棋戦などは、対局のための移動がしんどくなってくるけど、 インターネット棋戦ならその必要もないしね。(笑)

やっぱり、プロ棋士はパンダネット含め囲碁以外のいろいろな情報を得るためにもインターネットをやるべきですよ。 マウスで碁を打つ抵抗感もまったく無いしね。 世の中インターネットが必需品になってきてるでしょ。

最後にこの棋戦について一言だけ言わせてもらうと、たまたま全局白番だったのだけど、やっぱり早碁で5目半はきついですね。 6目半で誰も文句いわないと思いますよ。 6目半でも黒を持ちたがる人がかなりいるんじゃないかな。 早碁なので、一手の修正が白だとなかなかできないんですよ。 今、韓国でも6目半になってきているしね。 今度は6目半でどうでしょうか。

取材・構成 パンダネット事務局
平成12年11月13日 小林光一先生宅にて

取材をして

天元戦の途中にお邪魔してしまい、先生には大変失礼いたしました。
取材の途中でもうすぐ生後4ヶ月になる彩ちゃんを抱いた奥様の茂代夫人が、 そういえば、天元戦第1局で主人が北海道に行っている時に、 パンダネット事務局から全ての対局が終了したので出場棋士名が入ったトーナメント表が送られてきましたよね。 (本棋戦の規定で出場棋士の方だけには実名をお知らせすることになっております。) そのことを主人に話したら「僕の打った相手を1回戦から早く読んでいって」と言われたんですよ。 やっぱり誰と打ったか知りたいんですね、と小林家の裏話を披露していただきました。
また、取材中の先生の彩ちゃんを見る優しい眼差しがとても印象に残りました。
どうぞ、お体に気をつけてますますご活躍されることをお祈りいたします。
パンダネット事務局・スタッフ一同


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