日本囲碁ニュース (天元戦)

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囲碁ニュース [ 2019年12月18日 ]

井山五連覇。史上二人目の「永世天元」

 井山裕太天元の「五連覇」か、許家元八段の「最年少天元」誕生か――。今年最後のタイトル戦となった第45期天元戦五番勝負(新聞三社連合主催)の第五局が、12月18日、徳島県徳島市の「徳島グランヴィリオホテル徳島」にて行われた。井山が敗れて「二冠」に後退すると、七大タイトルを5人で分け合うことになる。井山にとっては正念場の大一番であり、井山時代が続くのか、「群雄割拠」が進むのかという意味でも大いに注目された。
 序盤から、両者石の張った戦いに突入し、最初の右上の攻防では井山がややリードを奪った。その後、井山らしい厳しい着手が局面を多彩に動かしていく。井山の「打ちすぎ」と評された一手からは、許が挽回して、一時は「黒有望」の声も聞かれた。だが、難解な激しい攻防を井山が制し、最後は黒の大石を取って、白番井山の中押し勝ちとなった。価値ある一勝をあげた井山は「シリーズを通して、今の自分としてはうまく打てたと思います」と控え目に喜びを語り、「苦しい一年だっただけに、最後はいい結果で終われてホッとしています」と安堵した表情を見せた。許は「五局とも、押された局面が多く、この結果は仕方ありません」とのコメントを残した。
五連覇を達成した井山は、「名誉天元」の永世称号を獲得。天元戦では史上二人目で、棋聖、本因坊、碁聖に続く4つ目の永世称号獲得は、小林光一名誉三冠を抜く記録となった。

囲碁ニュース [ 2019年12月10日 ]

井山が一勝を返し、最終局へ

 井山裕太天元に、許家元八段が挑戦中の第45期天元戦五番勝負(新聞三社連合主催)は、11月22日に福岡県久留米市「ホテルマリターレ創世 久留米」にて第三局が打たれ、許が黒番中押し勝ちを収めた。挑戦者の2勝1敗で迎えた第四局は、兵庫県洲本市の「ホテルニューアワジ」で行われた。序盤、最近実戦例が減っている大ナダレ定石から始まり、積極的な打ち回しを見せた井山が優勢を築く。許が反撃を開始し、勝負形に持ち込むも、残り1分となっていた許に疑問手があり、再び井山が優勢を奪うと猛追を振り切って勝敗を決し、177手まで、黒番井山の中押し勝ちとなった。立会人の円田秀樹九段は「井山天元が堅実に勝った印象。許八段は早々と時間を使いきったのが響いたのかもしれません」とコメント。局後の井山は「最終局を打てるのは非常にうれしい。最後なので悔いのないように打つだけです」、許は「今日の碁はかなり内容がまずかった。最後は持てる力を出してがんばりたい」とそれぞれ抱負を語った。決着のつく第五局は、18日、徳島県徳島市の「徳島グランヴィリオホテル徳島」にて行われる。

囲碁ニュース [ 2019年10月23日 ]

井山天元、1勝を返し、タイに

 永世称号を獲得できる「五連覇」をかけた井山裕太天元に、許家元八段が挑戦する第45期天元戦五番勝負(新聞三社連合主催)の第二局が、10月21日、北海道虻田郡ニセコ町の「ニセコ温泉郷いこいの湯宿 いろは」で打たれた。連勝して勢いに乗りたい許と、流れを変えたい井山。穏やかな序盤から、先に厳しい手を繰り出したのは井山だった。立会人の趙治勲名誉名人は「井山天元の手に、許八段が少しひるんだように見え、それが最後まで響いた」とコメント。劣勢を意識した許が勝負手を放ち難解な戦いとなったが、井山が読み勝ち、黒番中押し勝ちを収め、スコアを一勝一敗のタイに戻した。許は「ここまで二局ともまずい手が多く出たので、三局目はよい碁を打ちたい」と気を引き締め直し、井山も「第三局も精一杯準備して臨みたい」と語った。第三局は、少し間があき、11月22日、福岡県久留米市「ホテルマリターレ創世 久留米」にて行われる。

囲碁ニュース [ 2019年10月16日 ]

天元戦が開幕。許が先勝

 井山裕太天元に許家元八段が挑戦する第45期天元戦五番勝負も開幕した。現在四冠の第一人者井山だが、碁聖戦、名人戦の舞台には現れず、久々のタイトル戦登場となった。白番の井山の実利と黒番の許の模様という展開から、黒模様の荒らしに成功した井山が主導権を奪った。ヨセに入った時点では地合いでリードする白が優勢だったが、粘る許の猛攻が始まり難解な戦いに突入。両者秒読みの中、許が中央の白の大石を仕留めて決着をつけた。許は、昨年の碁聖戦3連勝に続き、井山とのタイトル戦を4連勝としたが、「普通にヨセると悪いので無理気味に大石を取りにいきましたが、正しく打たれていたらシノがれていました。ずっと苦しかったので、とりあえず一局勝ててうれしい。次局は内容の良い碁を打ちたい」とホッとした表情で控え目に語った。井山は「最後は残念な形になったが、気持ちを切り替えて納得のいく碁を打ちたい」と巻き返しを誓った。立会人の小県真樹九段は「許八段が執念で逆転しました。次局も熱戦になるでしょう」と期待を寄せた。第二局は10月21日に、北海道虻田郡ニセコ町の「ニセコ温泉郷いこいの湯宿 いろは」で打たれる。

囲碁ニュース [ 2019年8月29日 ]

許、天元戦挑戦者に

 井山裕太天元への挑戦権をかけた第45期天元戦(新聞三社主催)の挑戦者決定戦が、8月15日に、東京都千代田区の日本棋院で打たれた。許家元碁聖が余正麒八段を、佐田篤史四段は河野臨九段をそれぞれ準決勝で降して本局に臨んだ。佐田は、最近急成長の関西棋院のホープ。本戦に入ってから、本木克弥八段、張栩名人、河野九段と強敵を倒す快進撃で初のタイトル挑戦に大きな期待がかかったが、序盤のミスで優勢を奪われ、そのまま寄り切られる流れとなった。結果は許の白番中押し勝ち。佐田は「本戦を通じて、強くなる手応えをつかめたのが収穫です。次の機会を目指して頑張りたい」と前向きなコメントを残した。許は「天元戦は相性の良さを感じていて、挑戦者になれて嬉しい」と笑顔で語った。井山天元の五連覇なるか、許が阻むか、注目の五番勝負は、10月11日、岐阜県岐阜市「都ホテル岐阜長良川」にて開幕する。

囲碁ニュース [ 2019年1月4日 ]

井山、五冠を堅守

 昨年最後の挑戦手合い、第44期天元戦五番勝負(新聞三社連合主催)の第五局は、12月19日に徳島県徳島市の「徳島グランヴィリオホテル」で打たれた。先に王手をかけた井山裕太天元に対して、挑戦者の山下敬吾九段も簡単には土俵を割らず、2勝2敗とシリーズを盛り上げたが、最終局は中盤の鋭い打ち回しでリードを奪った白番の井山天元がそのまま押し切り中押し勝ちを収め、通算7期の4連覇を決めた。昨年は2つのタイトルを明け渡した井山だが、五冠を堅守。七大タイトル獲得数「43」の新記録も達成した。井山は「一つ一つの積み重ねの結果です。これからも励みにしたい」と語った。
 新春は、1月10日から第43期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)が開幕する。天元戦に続いて挑戦する山下九段の雪辱がなるか、井山時代が続くのか、今年の囲碁界の熱い幕開けに期待したい。

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