パンダネット囲碁講座

< 講座テキスト >

石倉昇九段
第2回
「星編/奇襲攻撃 その1」
今回のテーマは「星編/奇襲攻撃 その1」です。

【テーマ図・黒番】
右下の定石はよく見る形ですが、この白に対して、黒から有力な狙いがあります。他は一段落していますから、いまが仕掛けたいタイミングなのです。
Aのブツカリから決めるか、Bのノゾキから行くか、それともCと露骨にコスミツケるか。その後の進行も考えて、次の一手を選択してください。



テーマ図までの状況を示しておきましょう。白1のトビは十分考えられる手です。ただ、白3とカカるのは無理で、黒4のハサミが厳しい。白5と三々に入って収まる間に、黒12まで厚くします。それから、黒14とサガって白二子を攻める態勢をとれば、黒が主導権を取ることになるでしょう。


白は1とスベって3まで、ここで収まるくらいです。これで部分的には一段落ですから、黒4から白7まで大場に打ち合って落ちついた局面になりました。この図が今回のテーマ図です。


黒1(A)のブツカリから3とオサエるのも立派な形ですが、白2の引きから6のトビまでの後、右辺の黒の形があまり強くないのが不満です。



続いて、白1のノゾキから3とトンでこられると、どちらが攻めているか分からないようなことになります。これでは黒が不十分でした。


黒1(B)のノゾキもよく使われる手です。それから黒3とツケて右辺を先手で止めようというわけです。ただ、やはり右辺の形に隙が残っています。白が強くなっているのも気に入らない。


黒は1の手入れがないと本物ではありませんが、それには白2の打ち込みが厳しくなります。黒3のコスミには白4とケイマに出て行くのが好形です。これは黒がいやな流れでしょう。



正解は、黒1(C)のコスミツケでした。意外に思われるかもしれませんが、じつは有望な作戦なのです。白2と受れば、そこで黒3とコスむのが用意の手筋です。白4のワタリには、黒5のブツカリから7とアテて、9のフクラミまで。白を2線の低位に押し付け、黒は手厚い壁を作ります。これは黒が大成功でした。


白の変化を見ておきましょう。黒3のコスミに対して、白4とコスめば、中央と分断されることはありません。しかし、黒5の出から7とハサミツけて、右辺がピッタリ止まります。


白1のハネ出しは無理で、黒2のアテから4でシチョウです。右辺がしっかり止まっていれば、黒は満足でしょう。



黒3のコスミに、白4とアテるのはどうでしょうか。つい黒5とツイでしまうのはいけません。今度は、白6からハッて、8までワタります。これは白4が有効に働いて、中央もつながっていますから、黒はなにをやったか分かりませんね。


黒は1とコスむのがいい手です。白の△一子を孤立させることができました。白2の抜きには黒3とツイで、本体の白もまだ眼形がはっきりしません。これも黒がうまい形になりました。
黒の仕掛けに対して、白が納得のいく反撃手段はなかなか見つかりません。こうい狙いがあることを知っていると、碁に対する考え方が深まるでしょう。


よくある形でも、実はいろいろな狙いが秘められているものです。そういう隠れた筋を勉強して、実戦に活用してみましょう。
[ ← 講座テキスト一覧のページへ戻る ]


[ ↑このページの先頭へ ]

[ パンダネット トップページへ ]



囲碁の株式会社パンダネット Copyright© PANDANET Inc. All right reserved.